【6月がつ22日にち AFP】サウジアラビアにあるイスラム教いすらむきょうの聖地せいちメッカ（Mecca）への大だい巡礼じゅんれい「ハッジ（Hajj）」中ちゅうの死者ししゃが、21日にちまでに1100人にんを超こえた。多おおくは酷暑こくしょによる熱中ねっちゅう症しょうが原因げんいんとみられているが、サウジ高官こうかんは同国どうこくの巡礼じゅんれいの管理かんりに「落おち度どはなかった」と主張しゅちょうした。

　同どう高官こうかんはAFPに対たいし、「わが国くにに落おち度どはなかったが、リスクを理解りかいしていなかった一部いちぶの人々ひとびとによる判断はんだんミスだ」と語かたった。サウジ政府せいふ関係かんけい者しゃがハッジ中ちゅうの死者ししゃについてコメントするのは初はじめて。

　各国かっこくの発表はっぴょうなどに基もとづいたAFPの集計しゅうけいでは、21日にちまでの死者ししゃは計けい1126人にんとなっている。

　同どう高官こうかんによれば、サウジ政府せいふは19日にちに終了しゅうりょうしたハッジが最高潮さいこうちょうを迎むかえた15～16日にちに577人にんの死亡しぼうを確認かくにんした。だが、この数字すうじは死者ししゃ全員ぜんいんを網羅もうらしたものではないという。

　サウジ当局とうきょくは先さきに、今年ことしのハッジには昨年さくねんとほぼ同おなじ約やく180万まん人にんが参加さんかし、うち160万まん人にんが外国がいこく人じんだと述のべていた。

　ハッジの許可きょか証しょうは国こくごとに割わり当あてられた上うえで、抽選ちゅうせんで個人こじんに配布はいふされる。

　しかし、たとえ当選とうせんしたとしても費用ひようは高額こうがくで、許可きょか証しょうなしで巡礼じゅんれいすれば数すう千せんドル（数すう十じゅう万まん円えん）の節約せつやくになるため、サウジが一般いっぱんの観光かんこうビザを導入どうにゅうして入国にゅうこく措置そちを緩和かんわした2019年ねん以降いこう、非ひ正規せいき巡礼じゅんれい者しゃが急増きゅうぞうしている。ただし、サウジ治安ちあん部隊ぶたいに見みつかれば、身柄みがらを拘束こうそくされ、強制きょうせい送還そうかんされるリスクがある。

　今年ことしのハッジ開始かいし前まえ、サウジ当局とうきょくは、許可きょか証しょうなしでハッジに参加さんかしようとしていた非ひ正規せいき巡礼じゅんれい者しゃ30万まん人にん以上いじょうをメッカから排除はいじょしたと発表はっぴょうしていた。

　だが、先述せんじゅつの高官こうかんは21日にち、「聖地せいちの入いり口くちに到着とうちゃくした巡礼じゅんれい者しゃの参加さんかを許可きょかするようにと上うえから命令めいれいがあった」と認みとめた。

　同どう高官こうかんによると、非ひ正規せいき巡礼じゅんれい者しゃは推定すいてい40万まん人にんで、ほとんどがエジプト人じんだという。

　ハッジの時期じきは太陰暦たいいんれきであるイスラム歴れきに基もとづいて決きまり、今年ことしはサウジの酷暑こくしょの時期じきに行おこなわれた。

　サウジの国立こくりつ気象きしょうセンターによると、メッカの聖せいモスク（Grand Mosque）の気温きおんは17日にちに51.8度どまで上昇じょうしょうした。

　だが、非ひ正規せいき巡礼じゅんれい者しゃは、冷房れいぼうを備そなえたテントなど、巡礼じゅんれいを支援しえんするために用意よういされた施設しせつを利用りようすることができなかった。

　エジプト人じんの非ひ正規せいき巡礼じゅんれい者しゃは今週こんしゅう、AFPの取材しゅざいに対たいし、病院びょういんを受診じゅしんするのにも救急きゅうきゅう車しゃを呼よぶのにも苦労くろうしたと語かたった。中なかには亡なくなった人ひともいるという。

　また、メッカなどを巡めぐるハッジ用ようのバスで法外ほうがいな料金りょうきんを求もとめられ、炎天下えんてんかを何なんキロも徒歩とほで移動いどうせざるを得えない中なか、疲労ひろうで路肩ろかたに倒たおれ、そのまま動うごかなくなった巡礼じゅんれい者しゃを見掛みかけたこともあったと話はなした。

　先述せんじゅつのサウジ高官こうかんは、「非ひ正規せいき巡礼じゅんれい者しゃのバス利用りようを禁止きんししているわけではないが、こうしたバスは、参加さんかを事前じぜんに把握はあくしている正規せいきの巡礼じゅんれい者しゃのために用意よういしたものだ」と説明せつめい。

　非ひ正規せいき巡礼じゅんれい者しゃが歩あるいているバスルートは、食料しょくりょうや救急きゅうきゅう車しゃなどの医療いりょうサービスが用意よういされておらず、バス用ようの幹線かんせん道路どうろだと指摘してきした。(c)AFP/Haitham EL-TABEI