上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0現代の応用動向に即した微分積分の教科書
2024年1月23日に日本でレビュー済み
(厳密な議論を展開するために必要な)弧状連結など位相的概念が導入されたり(第5章第1節)、ガンマ関数・ベータ関数(第4章第4節)、初等的な微分方程式(第9章)などが盛り込まれたりと完全を期している微分積分の教科書。ただ公文式数学のTⅠ・TⅡ教材(微積分)と比較すると、第8章で整級数の導入を行っており遅い。第3章で有限テイラー展開、第8章で無限テイラー展開の導入となる。もしかすれば、工学部生のために有用な概念は前半に配置されているのかもしれない。ジョルダン測度によるリーマン積分の厳密な議論は発展扱いであり、ルベーグ積分は登場しない。また、フーリエ変換に重要な直交関数列も登場しない。ただし、ラグランジュの未定乗数法は登場する。その点で、公文式教材より現代の応用動向に即していると言えるのかもしれない。