「国くにの検討けんとう会かいはパンドラの箱はこ開あけられず」　1860時じ間あいだに抗議こうぎし辞任じにん

　4月がつから始はじまった「医師いしの働はたらき方かた改革かいかく」で、時間じかん外がい労働ろうどうの上限じょうげんは、特例とくれいとして年とし1860時間じかん（月つき155時じ間あいだ相当そうとう）まで認みとめられました。過労かろう死しライン（月つき80時じ間あいだ相当そうとう）の2倍ばい近ちかい長ながさです。

　これを決きめた2019年ねん、抗議こうぎして厚生こうせい労働省ろうどうしょうの検討けんとう会かい副ふく座長ざちょう（当時とうじ）を辞任じにんした渋谷しぶや健司けんじ医師いし（58）=東京とうきょう財団ざいだん政策せいさく研究所けんきゅうじょ=は、「長時間ちょうじかん労働ろうどうを当あたり前まえとする日本にっぽんの医療いりょう文化ぶんかを変かえるチャンスだったが、『パンドラの箱はこ』を開あけられず、現状げんじょう維持いじに終おわった」と振ふり返かえります。

　詳くわしく聞ききました。

　――医師いしの働はたらき方かた改革かいかくの目的もくてきを教おしえてください。

　日本にっぽん医療いりょうは、医師いしの使命しめい感かんと自己じこ犠牲ぎせいによる長時間ちょうじかん労働ろうどうに支ささえられてきましたが、それを罰則ばっそく付つきで規制きせいし、医師いしの健康けんこうを確保かくほしようとするものです。

　一方いっぽう、労働ろうどう時間じかんが短みじかくなれば、地域ちいき医療いりょうに悪影響あくえいきょうがないかと心配しんぱいされてきました。二律背反にりつはいはんする難むずかしい課題かだいです。

　――ご自身じしんの見解けんかいはいかがですか？

　現場げんばの医師いしは、患者かんじゃを救すくいたいという使命しめい感かんが強つよかったり、大学だいがく病院びょういんでは教授きょうじゅに逆さからえなかったりして、自分じぶんで労働ろうどう時間じかんをセーブすることは難むずかしいものです。

　時短じたんが改革かいかくの目的もくてきではありませんが、まずは時短じたんをすることで、結果けっかとして医療いりょう界かいの旧態きゅうたい依然いぜんとした文化ぶんかが変かわると考かんがえました。

　労働ろうどう時間じかんという限かぎりある資源しげんを病院びょういんや地域ちいきの中なかでどう配分はいぶんするか。これは病院びょういんの経営けいえい者しゃたちがトップダウンで進すすめるしかありません。

　17年ねんから始はじまった厚労省こうろうしょう検討けんとう会かいの議論ぎろんには、「現場げんばの医療いりょう者しゃの声こえにならない声こえを届とどける」という覚悟かくごで臨のぞみました。

経営けいえい側がわ、医師いしの健康けんこうへ薄うすい危機きき感かん

　――どうなりましたか？

　検討けんとう会かいの病院びょういん経営けいえい側がわのメンバー…