現役げんえき慶応大けいおうだい生せい・俳優はいゆうの駒井こまい蓮れんさん「自分じぶんの力ちからを試ためしたい」慶應けいおうだけを狙ねらって特別とくべつ選抜せんばつにチャレンジ

2023年ねん4月がつに公開こうかいされた、大学だいがくのぬいぐるみサークルを舞台ぶたいにした映画えいが「ぬいぐるみとしゃべる人ひとはやさしい」でヒロインの麦むぎ戸と美び海うみ子役こやくを演えんじた駒井こまい蓮れん（こまい・れん）さん。現在げんざい、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく文学部ぶんがくぶ英えい米べい文学ぶんがく専攻せんこうの4年生ねんせいで、卒業そつぎょう論文ろんぶんの執筆しっぴつを控ひかえています。 大学だいがく受験じゅけんのことや、忙いそがしい俳優はいゆう業ぎょうとの両立りょうりつなどについて聞ききました。

オープンキャンパスに行いき「進学しんがくしたい」

駒井こまいさんは中学ちゅうがく1年生ねんせいの終おわりに原宿はらじゅくでスカウトされ、地元じもとの青森あおもりでモデルや俳優はいゆうの活動かつどうをスタートしました。仕事しごとにより力ちからを入いれるために、東京とうきょうの私立しりつ高校こうこうの芸能げいのうコースに進学しんがく。幼おさないころから勉強べんきょうが好すきで、負まけず嫌ぎらいな性格せいかくです。定期ていきテストでは毎回まいかい、「1位いを取とりたい！」と必死ひっしに勉強べんきょうしました。

「大学だいがく受験じゅけんをしたのは、自分じぶんの力ちからを試ためしてみたかったからです。受験じゅけんした大学だいがくは慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがくだけです。不ふ合格ごうかくの場合ばあいは大学だいがくに進学しんがくせず、俳優はいゆう業ぎょうに専念せんねんするつもりでした」と駒井こまいさんは言いいます。慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがくに進学しんがくしたかったという父親ちちおやの影響えいきょうで、小学生しょうがくせいのころから同どう大学だいがくに興味きょうみを持もち、オープンキャンパスに行いったことで「進学しんがくしたい」という気持きもちが強つよまったそうです。

入試にゅうし方法ほうほうは、文学部ぶんがくぶの「自主じしゅ応募おうぼ制せいによる推薦すいせん入学にゅうがく者しゃ選考せんこう」を受うけました。これは自己じこ推薦すいせん書しょと学校がっこうからの調査ちょうさ書しょおよび評価ひょうか書しょを提出ていしゅつし、大学だいがくで行おこなわれる「総合そうごう考査こうさⅠ」「総合そうごう考査こうさⅡ」によって合否ごうひが決きまります。総合そうごう考査こうさは小論文しょうろんぶん形式けいしきで、現代げんだい文ぶんの長文ちょうぶん読解どっかいや和文わぶん英訳えいやくなども含ふくまれ、国語こくごと英語えいごの力ちからが問とわれます。駒井こまいさんは、忙いそがしい俳優はいゆう業ぎょうの合間あいまに猛もう勉強べんきょうして合格ごうかくを勝かち取とりました。

19年ねん4月がつに文学部ぶんがくぶ英えい米べい文学ぶんがく専攻せんこうに入学にゅうがく。俳優はいゆう業ぎょうと大学だいがくの授業じゅぎょうを両立りょうりつさせる生活せいかつがスタートし、多おおくの友人ゆうじんにも恵めぐまれました。

「身近みぢかに私わたしが出演しゅつえんしているドラマの感想かんそうを毎週まいしゅう聞きかせてくれる人ひとや、クイズ番組ばんぐみで私わたしがおかしな回答かいとうをすると、それをいじってくる人ひとがいます（笑）。出演しゅつえんした映画えいがを見みてくれた人ひとが、キャンパスで声こえをかけてくれることもありました」

ただ、仕事しごとが忙いそがしく、大学だいがくのサークルに入いれなかったことが残念ざんねんだったそうです。

「本当ほんとうは落語らくご研究けんきゅう会かいや映画えいが研究けんきゅう会かいに入はいってみたかったです。映画えいが『ぬいぐるみとしゃべる人ひとはやさしい』で私わたしはヒロイン役やくを演えんじたのですが、これは大学だいがくのぬいぐるみサークルが舞台ぶたいです。映画えいがを通つうじて、サークル活動かつどうは友ともだちとたくさん会あえて、先輩せんぱいや後輩こうはいと縦たての関係かんけいでつながることができて、改あらためていいなと思おもいました」

いつかシェークスピア作品さくひんを演えんじてみたい

20年ねん以降いこう、大学だいがくの授業じゅぎょうはオンライン中心ちゅうしんになり、駒井こまいさんは撮影さつえいの合間あいまや移動いどう中ちゅうの新幹線しんかんせんの中なかで授業じゅぎょうを受うけることもありました。課題かだいの量りょうが膨大ぼうだいで、睡眠すいみん時間じかんを削けずって課題かだいをこなす日々ひびだったと言いいます。

卒業そつぎょう論文ろんぶんでは、イギリスの劇げき作家さっか、ウィリアム・シェークスピアの『タイタス・アンドロニカス』という戯曲ぎきょくをテーマに選えらびました。シェークスピア作品さくひんの中なかでは、悲劇ひげき的てきなエピソードが多おおい異色いしょくの作品さくひんで、ほかの人ひとたちが卒業そつぎょう論文ろんぶんのテーマにしない作品さくひんだからこそ、あえて選えらびました。

「楽らくをしたいと思おもうこともありますが、基本きほん的てきに手てを抜ぬけない性格せいかくです。卒論そつろんに関かんしても、書かいているうちにだんだんと自分じぶんの作品さくひんを作つくっている気持きもちになり、熱ねつが入はいって書かき進すすめてしまいました。担当たんとう教授きょうじゅからは『シェークスピアの作品さくひん分析ぶんせきを通つうじて、普通ふつうの役者やくしゃの人ひとではわからない物語ものがたりの背景はいけいや歴史れきし、作品さくひんの細部さいぶに込こめられたものまで深ふかく理解りかいした駒井こまいさんなら、どのように演えんじるのか興味きょうみがある』と言いわれました。私わたしもいつか舞台ぶたいで演えんじてみたいです」

卒業そつぎょう論文ろんぶんに取とり組くみ、言葉ことばと深ふかく向むき合あう機会きかいが増ふえたことが、仕事しごとにも生いかされていると感かんじています。

「言葉ことばの選えらび方かたや言葉ことば遣づかいに以前いぜんよりも力ちからを注そそぐようになり、書かく力ちから、話はなす力ちからが伸のびたと思おもいます。インタビューやラジオの仕事しごと、出演しゅつえん映画えいがへのコメントを書かく時ときなど、いろいろなところで生いきています」

受験生じゅけんせいへのエール「学まなぶって、楽たのしいこと」

大学だいがく受験じゅけんを振ふり返かえって、駒井こまいさんは次つぎのように語かたります。

「高校生こうこうせいのころ、芸能げいのうの仕事しごと1本ほんでやっていこう、大学だいがくへ行いかなくてもいいと思おもっていた時期じきがありました。でも今いまは大学だいがくに進学しんがくしてよかったと思おもっています。好すきな学問がくもんを夢中むちゅうで追究ついきゅうする教授きょうじゅや同級生どうきゅうせいからたくさんの刺激しげきをもらい、大学だいがくでの広ひろい学まなびを通つうじて、物事ものごとを多面ためん的てきに見みる力ちからをつけられました。この経験けいけんは今後こんごの俳優はいゆう業ぎょうにも生いきてくると思おもいます。今いまは趣味しゅみで韓国かんこく語ごを勉強べんきょうしていますが、新あたらしいことを学まなぶのは楽たのしいことです。スポーツや趣味しゅみにはまるように、熱狂ねっきょう的てきに勉強べんきょうを楽たのしめると最高さいこうだと思おもいます。高校生こうこうせいの皆みなさんもぜひ、頑張がんばってください！」

駒井こまい 蓮れん（こまい・れん）／2000年ねん12月2日にち生うまれ、青森あおもり県けん出身しゅっしん。「ニコラ」専属せんぞくモデルを経へて、「セせーラらー服ふくと機関きかん銃じゅう -卒業そつぎょう-」（16年ねん/前田まえだ弘二こうじ監督かんとく）で映画えいが初はつ出演しゅつえん。主おもな出演しゅつえん作さくに映画えいが「いとみち」、NHK連続れんぞくテレビ小説しょうせつ「ちむどんどん」など。NHK-FM「駒井こまい蓮れんのニポミン！」ではMCを務つとめる。慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく文学部ぶんがくぶ英えい米べい文学ぶんがく専攻せんこう在学ざいがく中ちゅう。出身しゅっしん地ちの青森あおもり県けん平川ひらかわ市しの「ひらかわPR大使たいし」としても活動かつどう中ちゅう。

（文ぶん＝外山とやま武史たけし／写真しゃしん＝上野うえの憲一郎けんいちろう）