「文理ぶんり融合ゆうごう型がた」学部がくぶが急増きゅうぞう…なぜ？　早稲田わせだ政経せいけいでも入試にゅうしに「数学すうがく」

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データサイエンス学部がくぶ、グローバル共きょう創そう科学かがく部ぶなど「文理ぶんり融合ゆうごう型がた」の学部がくぶが注目ちゅうもくを集あつめています。背景はいけいには、文理ぶんりを分わけない「総合そうごう知ち」と、数学すうがく的てき素養そようを求もとめる現代げんだい社会しゃかいがあります。入試にゅうしはどのように変化へんかしているのでしょうか。また、どんな対策たいさくが必要ひつようなのでしょうか。（写真しゃしん＝Getty Images）

早稲田大わせだだい政経学部せいけいがくぶでは2021年度ねんど入試にゅうしから数学すうがくが必須ひっすに

文理ぶんり横断おうだんや文理ぶんり融合ゆうごうの教育きょういくが広ひろがっていることについて、リクルート進学しんがく総研そうけんの小林こばやし浩ひろし所長しょちょうは、次つぎのように指摘してきします。

「私大しだい文系ぶんけいの最さい難関なんかんの早稲田大学わせだだいがく政治せいじ経済学部けいざいがくぶは21年度ねんどの一般いっぱん選抜せんばつから数学すうがくを必須ひっす科目かもくとしています。これは政治せいじ学がくでも経済けいざい学がくでも、データと向むき合あう統計とうけい学がくなど数学すうがく的てきな知識ちしきを必要ひつようとしているからです。早稲田大学わせだだいがくは『デジタル社会しゃかいにおいては政治せいじ経済けいざいを学まなぶうえでも数学すうがく的てき素養そようが重要じゅうよう』というメッセージを発信はっしんしているのです。これから私立しりつ大学だいがくの文系ぶんけい学部がくぶでも数学すうがくが必須ひっすの入試にゅうしが増ふえてくると思おもいます」

データを社会しゃかい課題かだいの解決かいけつに結むすびつけられる人材じんざいが必要ひつよう

そのうえで小林こばやし所長しょちょうは、文理ぶんり横断おうだんや文理ぶんり融合ゆうごうの教育きょういくは「データサイエンス」がポイントになると話はなします。これからの社会しゃかいは、さまざまな情報じょうほうが行いき交かう「サイバー空間くうかん（仮想かそう空間くうかん）」と「現実げんじつ空間くうかん」が融合ゆうごうする「Society 5.0」の世界せかいに向むけて、経済けいざいの発展はってんと社会しゃかい課題かだいの解決かいけつを両立りょうりつさせられるIT人材じんざいが求もとめられています。「Society 5.0」では、膨大ぼうだいな顧客こきゃく情報じょうほうや購入こうにゅう履歴りれきをマーケティングに役立やくだてたり、気象きしょうや地震じしんについて蓄積ちくせきしたデータを分析ぶんせきして災害さいがい予測よそくを行おこなったり、交通こうつう情報じょうほうのデータを読よみ解といて交通こうつう渋滞じゅうたいを緩和かんわしたりするなど、データの力ちからを経済けいざいの発展はってんや社会しゃかい課題かだいの解決かいけつに結むすびつけられる人材じんざいが必要ひつようです。

このため、大学だいがく教育きょういくでもデータサイエンスの必要ひつよう性せいが強つよまっているのです。

23年度ねんどには、一橋大学ひとつばしだいがくが社会しゃかい科学かがくとデータサイエンスを結むすびつけて学まなぶ文理ぶんり融合ゆうごう型がたのソーシャル・データサイエンス学部がくぶを、順天堂大学じゅんてんどうだいがくは健康けんこうとデータサイエンスを組くみ合あわせた健康けんこうデータサイエンス学部がくぶを新設しんせつしました。また静岡大学しずおかだいがくは、グローバル系けい科目かもくやデータサイエンス系けい科目かもく、人文じんぶん・社会しゃかい科学かがく系けい科目かもく、自然しぜん科学かがく系けい科目かもくを必修ひっしゅうとするグローバル共きょう創そう科学かがく部ぶを、名古屋市立大学なごやしりつだいがくはIT、ビジネス、医療いりょうなど社会しゃかいにおける情報じょうほう技術ぎじゅつやデータ活用かつようを学まなぶデータサイエンス学部がくぶを新設しんせつしました。

小林こばやし所長しょちょうは「学部がくぶ選えらびでは、必かならずしも文理ぶんり横断おうだんや文理ぶんり融合ゆうごう教育きょういくを前面ぜんめんに打うち出だす学部がくぶや学科がっかにこだわる必要ひつようはありません」と話はなす一方いっぽうで、就職しゅうしょくを見据みすえるなら、文理ぶんりの垣根かきねを越こえた学まなびや複眼ふくがん的てきな視点してんを養やしなえる教育きょういく環境かんきょうを選えらぶのがお勧すすめだと言いいます。

「上智大学じょうちだいがくのように全学ぜんがく共通きょうつう科目かもくとしてデータサイエンス概論がいろんを用意よういする大学だいがくや、早稲田大学わせだだいがくのデータ科学かがく認定にんてい制度せいどのように独自どくじに能力のうりょくを証明しょうめいする大学だいがくが増ふえるかもしれません。文系ぶんけい学部がくぶだとしても、選択せんたく科目かもくや副ふく専攻せんこうでデータを分析ぶんせきする力ちからを養やしなっておくと、就職しゅうしょく活動かつどうにもプラスに働はたらくのではないでしょうか」

高校こうこうでの「文理ぶんり選択せんたく」には注意ちゅういが必要ひつよう

文理ぶんり融合ゆうごう型がたの学部がくぶや学科がっかへの進学しんがくを検討けんとうする場合ばあいは、高校こうこう時代じだいの学まなびや選択せんたくも重要じゅうようになってきます。

「数学すうがくの基礎きそ知識ちしきはしっかり身みにつけておいたほうがいいでしょう。早はやいうちから文系ぶんけいか理系りけいかを決きめると選択肢せんたくしが狭せばまってしまいますし、少すくなくとも数学すうがくⅠはきっちり学まなんでおく必要ひつようがあると思おもいます。また22年度ねんどから本格ほんかく的てきに始はじまった『総合そうごう的てきな探究たんきゅうの時間じかん』の学習がくしゅうが楽たのしいと思おもえる人ひとは、文理ぶんり融合ゆうごう型がたの学部がくぶに向むいているかもしれません。教科きょうか横断おうだん型がたのアプローチが多おおい探究たんきゅう学習がくしゅうが好すきなら、大学だいがくでのPBL（課題かだい解決かいけつ型がた学習がくしゅう）などのアクティブラーニングにも前向まえむきに取とり組くめるのではないでしょうか」（小林こばやし所長しょちょう）

大学だいがく入試にゅうしはどう変かわってくるのでしょうか。大学だいがく通信つうしん情報じょうほう調査ちょうさ・編集へんしゅう部ぶの井沢いざわ秀しげる部長ぶちょうはこう分析ぶんせきします。

「現在げんざいの大学だいがく入試にゅうしシステムでは、文系ぶんけい、理系りけいに分わかれざるを得えないことが多おおいのが現状げんじょうですが、経済学部けいざいがくぶに数学すうがくは必要ひつようだし、理工学部りこうがくぶにも社会しゃかい科学かがくの知識ちしきは必要ひつようです。社会しゃかい科学かがく系けいの学部がくぶの入試にゅうしに数学すうがくを課かす大学だいがくが増ふえているように、今後こんごは大学だいがく教育きょういくでも文理ぶんりの垣根かきねがなくなっていくのではないでしょうか」

一言ひとことで文理ぶんり融合ゆうごうと言いっても、文系ぶんけいのどの分野ぶんやと理系りけいのどの分野ぶんやを掛かけ合あわせるかは、大学だいがくや学部がくぶによって異ことなります。また、学部がくぶ名めいや学科がっか名めいだけでは判断はんだんしづらいこともあります。どんな学まなびに興味きょうみがあるか、どんなことを体験たいけんしたいのかを考かんがえたうえで、関連かんれんする学部がくぶの教育きょういく内容ないようをしっかりと調しらべることが大切たいせつです。

（文ぶん＝菅野かんの浩二こうじ）