大学だいがくオープンキャンパス、親子おやこ連づればかり　理由りゆうは受験じゅけんの複雑ふくざつ化か？

■特集とくしゅう：はじめてのオープンキャンパス

大学だいがくの説明せつめい会かいの場ばであるオープンキャンパスに、最近さいきんは親おやと一緒いっしょに参加さんかする受験生じゅけんせいの姿すがたが多おおく見みられます。親おやを対象たいしょうとした説明せつめい会かいを行おこなう大学だいがくも増ふえています。（写真しゃしん＝東京理科大学とうきょうりかだいがく提供ていきょう）

親おや向むけのイベントが人気にんき

近年きんねんは親おやと中高生ちゅうこうせいが一緒いっしょにオープンキャンパスに参加さんかするケースが多おおく、体験たいけん授業じゅぎょうなど中高生ちゅうこうせい向むけのプログラムに加くわえ、保護ほご者しゃを対象たいしょうとした説明せつめい会かいなども盛さかんに開ひらかれています。

2023年ねん、城西大学じょうさいだいがく埼玉さいたま坂戸さかどキャンパスでは、オープンキャンパスで保護ほご者しゃのみを対象たいしょうとした説明せつめい会かいが行おこなわれました。北星学園大学ほくせいがくえんだいがくでは、高校生こうこうせい向むけに大学だいがく説明せつめいや学内がくない見学けんがくなどを行おこなう「HOKUSEI OPEN DAY」に合あわせて、保護ほご者しゃ向むけの説明せつめい会かいも開催かいさいし、入試にゅうしの現状げんじょうと対策たいさく、学費がくひや奨学しょうがく金きんの説明せつめいに加くわえ、希望きぼう者しゃには個別こべつ相談そうだんも行おこないました。

1000人にん以上いじょうの親子おやこ連づれが予約よやくした東京理科大とうきょうりかだい

1000人にんを超こえる事前じぜん予約よやくが入はいったのが、千葉ちば県けん野田のだ市しにある東京理科大学とうきょうりかだいがく創そう域いき理工学部りこうがくぶ（23年ねん４月がつに理工学部りこうがくぶから名称めいしょう変更へんこう）です。創そう域いき理工学部りこうがくぶ事務じむ課かの木俣きまた博史ひろふみさんによると、23年ねん4月がつのオープンキャンパスの来場らいじょう者しゃ数すう1390人にんのうち、高校生こうこうせいなどの申込もうしこみ者しゃ697人にんに対たいし、親おやなどの同伴どうはん者しゃが693人にんと、ほぼ同数どうすうで、多おおくの高校生こうこうせいたちが親おやと一緒いっしょに参加さんかしました。

オープンキャンパスでは、学部がくぶ長ちょうらによる「学部がくぶ・学科がっか説明せつめい会かい」に加くわえ、予備校よびこう講師こうしによる「入試にゅうし動向どうこう説明せつめい会かい」も行おこなわれ、大学だいがく入学にゅうがく共通きょうつうテストの解説かいせつから東京理科大学とうきょうりかだいがくの志願しがん状じょう況きょう、合格ごうかくのためのアドバイスなどをわかりやすく、予備校よびこう独自どくじのデータを使つかって説明せつめいしました。また「保護ほご者しゃ向むけ説明せつめい会かい」では、入試にゅうし方法ほうほうやスケジュール、キャンパスの周辺しゅうへん環境かんきょうや奨学しょうがく金きん制度せいど、進路しんろについての情報じょうほうを提供ていきょうしました。

「自分じぶんの大学だいがく受験じゅけんとは大だい違ちがい」と親おやが実感じっかん

東京とうきょう都と在住ざいじゅうのAさん夫妻ふさいは、親おやだけで参加さんか。「子こどもは第だい一いち志望しぼうの大学だいがくしか目めに入はいっていないので、親おやがほかの大学だいがくも見みておこうと参加さんかしましたが、入試にゅうし方式ほうしきの複雑ふくざつさに驚おどろきました」と話はなしました。

「自分じぶんが受験じゅけんした時ときと比くらべていろいろな受験じゅけん方法ほうほうがあり、この方式ほうしきだとこの教科きょうかでは受うけられない、これとこれは併願へいがんできないなど、組くみ合あわせが難むずかしい。情報じょうほう収集しゅうしゅうが合否ごうひの分わかれ目めだと思おもいました」（父親ちちおや）

「ウェブで出願しゅつがんした後のちに紙かみの書類しょるいを提出ていしゅつするなど、出願しゅつがん手続てつづきを間違まちがえたら大変たいへんです。事務じむ的てきな部分ぶぶんは親おやもフォローしていかないといけないと認識にんしきしました」（母親ははおや）

神奈川かながわ県けん在住ざいじゅうのBさん夫妻ふさいは、高校こうこう3年ねんの息子むすこと参加さんか。息子むすこが模擬もぎ講義こうぎを受うけている間あいだに保護ほご者しゃ向むけ説明せつめい会かいに参加さんかしました。

「私わたしたちが受験じゅけんした頃ころは、偏差へんさ値ちや、理系りけい科目かもくができないから文系ぶんけいにしようといった感覚かんかくで大学だいがく選えらびをしていました。今いまは入試にゅうし方式ほうしきがたくさんあり、共通きょうつうテストを使つかうかどうか、理科りかは1科目かもくか2科目かもくかなど、受験じゅけんに必要ひつような情報じょうほうが多おおすぎます。親おやがある程度ていど理解りかいしていないと、本人ほんにんだけでは選択せんたくできないだろうと思おもいました」（母親ははおや）

親おやならではの視点してんもあります。

「理系りけいの大学だいがくは学費がくひが高たかいこともあり、子こどもが行いきたいならどこでもどうぞ、とはいきません。どんな大学だいがくなのか、本当ほんとうに本人ほんにんがやりたいことが学まなべるのか、親おやとしてしっかり見極みきわめるために来きました。友ともだちが行いくなら自分じぶんも、などと流ながされがちなので、親おやがある程度ていど関与かんよして、情報じょうほうの整理せいりをしておこうと思おもいます」（父親ちちおや）

「自宅じたくから遠とおいので寮りょうを利用りようしようと思おもっています。職員しょくいんの方ほうに伺うかがったところ、寮りょうは申もうし込こみ順じゅんで希望きぼう者しゃも多おおいため、入寮にゅうりょうできない場合ばあいもあるそうですが、大学だいがく近辺きんぺんのアパート紹介しょうかいも受うけられるとのことでした。息子むすこの第だい一いち志望しぼうは国立こくりつ大学だいがくで、合格ごうかく発表はっぴょうが私立しりつよりも後のちになるので、東京理科大学とうきょうりかだいがくに入学にゅうがくする場合ばあい、学費がくひとあわせて部屋へや代だいも考かんがえておかないといけません」（母親ははおや）

複雑ふくざつ化かする受験じゅけんには親おやの意識いしきのアップデートが必須ひっす

創そう域いき理工学部りこうがくぶの伊藤いとう浩行ひろゆき学がく部長ぶちょうは、親おやにはまずはオープンキャンパスで大学だいがくの雰囲気ふんいきを感かんじてほしいと言いいます。

「キャンパスの環境かんきょうや立地りっちは大学だいがく選えらびで重要じゅうような部分ぶぶんだと思おもうので、現地げんちに来きて見みてほしいです。郊外こうがいならではの緑みどり豊ゆたかな環境かんきょうや、芝生しばふが広ひろがるキャンパスの雰囲気ふんいきのよさ、都心としんおよび研究けんきゅう交流こうりゅうのある筑波つくば研究けんきゅう学園がくえん都市としへのアクセスの利便りべん性せいなども、実際じっさいに来きてもらえるとよくわかると思おもいます」

また、子こどもの大学だいがく選えらびには親おやの意識いしきのアップデートが重要じゅうようだと付つけ加くわえます。

「保護ほご者しゃはどうしても自分じぶんの受験じゅけんの時ときの感覚かんかくでお子こさんの大学だいがく選えらびを考かんがえがちですが、当時とうじと今いまの大学だいがくは全まったく違ちがい、入試にゅうしも非常ひじょうに複雑ふくざつ化かしています。そのため保護ほご者しゃ向むけ説明せつめい会かいで、最新さいしんの受験じゅけん情報じょうほうを知しってもらいたいです。また、お金かねの問題もんだいも重要じゅうようです。合格ごうかくしたらいつまでに入学にゅうがく金きんを支払しはらうのか、そのスケジュールによってどの大学だいがくに出願しゅつがんするのがいいのかなどの情報じょうほうは、受験じゅけん情報じょうほう誌しを読よんでもなかなかわかりません。説明せつめい会かいは直接ちょくせつ話はなしながら情報じょうほうを整理せいりできる、いい機会きかいだと思おもいます」（伊藤いとう学まなぶ部長ぶちょう）

偏差へんさ値ちで大学だいがくを選えらぶ時代じだいが終おわりつつある一方いっぽうで、では何なにを基準きじゅんにしたらいいのか、わからないという受験生じゅけんせいもいます。また、受験じゅけん制度せいどが複雑ふくざつ化かしており、親おやの手助てだすけが必要ひつような面めんも増ふえています。保護ほご者しゃもオープンキャンパスに参加さんかして、大学だいがくの特色とくしょくや受験じゅけんの知識ちしきをアップデートするのがいいでしょう。

（文ぶん＝安藤あんどう彩あや紀おさむ）