■学生生活 お金のリアル(神奈川県横浜市)
学校教員の志願者は減少傾向にありますが、教員になることを目指して頑張る大学生は多くいます。関東学院大学教育学部こども発達学科2年の大越健人さん(仮名)もそんな学生の一人です。教員の仕事に役立つアルバイトをしています。横浜市での一人暮らしにかかる費用などを聞きました。(写真=本人提供)
実習が多い横浜の大学へ
大越さんは新潟県出身で、両親、兄2人が教員として働いています。子どもが好きで、子どもと関われる仕事がしたいと、いつしか大越さんも小学校の教員を目指すようになりました。
高校までは野球に打ち込んでいました。教育学部を志望するにあたって、高校の指定校推薦(学校推薦型選抜)の一覧にある大学を調べていたところ、関東学院大学のカリキュラムには実習が多いことを知り、興味を持ちました。大学に隣接してこども園や小学校などがあり、そこでの実習やボランティアを通して、子どもたちと関わることができる環境が整っていることもわかりました。そこで、生まれ育った新潟県を離れ、進学することを決めました。
関東学院大学 横浜・金沢八景キャンパス外観(写真=関東学院大学提供)
――進路を考える中で、初めて関東学院大学を知ったのですか。
そうです。いろんな教育学部を調べていて、他大学と比べて実習が多いところに惹かれました。志望大学を決めた後で、「関東学院大学って神奈川にあるんだ」と気づきました(笑)。1年次では小学校で1週間の参観型実習があり、2年次ではインターンとして、授業の空きコマなどに小学校に行くことができ、累計70時間になれば単位として認められます。現場で実践的に学ぶ機会が多いのはきっとプラスになると思いました。
――教育学部があるのは横浜・金沢八景キャンパス(横浜市金沢区)ですね。
海に近くて自然が多く、いいところです。よく近くを散策しています。横浜・金沢八景キャンパスの近くに住むつもりでしたが、物件を探していくうちに、京浜急行で10分くらいの上大岡がいいなと思い、ここに決めました。築浅(建築して年数が経っていない)でバス・トイレ別が希望でした。上大岡駅からは徒歩15分くらいですが、近くにスーパーがあって便利です。家賃は4万7000円で、親が負担してくれています。周辺では5万円台の物件も多いので、家賃は少し安いほうかもしれません。通学の交通費は月3000円くらいです。
夕暮れ時の横浜・金沢八景キャンパス付近(写真=本人提供)
学食はカレーがお気に入り
――生活費などはどうしていますか。
水道光熱費は月1万3500円くらいです。電気代とガス代は親が出してくれているので、水道代だけ自分で払っています。食費が約3万円。友達とご飯を食べたり、遊びに行ったりする娯楽費が月約1万円で、これを月約8万円のアルバイト代でまかなっています。残った分を少しずつ貯金して、休みに旅行に行く時などに使います。
一人暮らしは初めての経験でしたが、実際にやってみると「これは慣れだな」と思いました。ただ、実習やテスト期間などの時間がない時や、疲れている時に家事をするのは大変です。自炊はあまりしておらず、炊飯器でご飯を炊いて、おかずは買ってくることが多いです。
学食。半額フェアが開催されることもある(写真=関東学院大学提供)
昼食は学食を利用していて、カレーが気に入っています。ここは半額フェアを開催していることもあるんです。定食などもよく食べますね。
友達の中には、レシートをノートに貼ったりしてお金を管理している人もいますが、特にそういったことはしていません。毎月の予定を見て、「この時にこれくらいお金を使いそう」と把握したうえで、やりくりをしています。でも、一人暮らしなので、「今月は節約しよう」と思っていても、洗剤など生活必需品がなくなったら自分で買わざるを得ないので、大変だなと感じています。
隣接する関東学院六浦小学校の外観(写真=関東学院大学提供)
子どもと関わるアルバイト
――アルバイトは何をしていますか。
隣にある関東学院六浦小学校の敷地内にある建物で、放課後に子どもたちが過ごすキッズクラブ(学童保育)のアルバイトと、ゲームセンターのアルバイトをしています。キッズクラブは週3回、1年の時から通っています。時給は1230円です。始めた当初は子ども一人ひとりが違うので、何かを伝えるにしてもそれぞれ工夫が求められるので大変だな、と思いました。でも、一緒にいる時間が長くなるにつれ、みんなの個性が見えてくるようになりました。教員を目指すうえで、とてもプラスになっています。
キッズクラブは小学校の放課後から夕方までなので、大学の授業が夕方まである時はできません。そこで、2年からゲームセンターでのアルバイトを始めました。これは先輩が紹介してくれたもので、クレーンゲームの商品補充などをしています。時給は1120円です。
インターン宿泊体験時の日本丸(写真=本人提供)
――サークル活動などはしていますか。
僕は高校までずっと野球をしてきました。大学でも続けることを考えましたが、高校までを振り返ると、野球に集中しすぎて勉強があまりできていなかったので、大学では勉強を頑張ることにしました。トレーニングは続けていて、家で筋トレや自重トレーニング(自分の体重を負荷にして行うトレーニング)、ジョギングなどをしています。
大学のオープンキャンパスでは、学生スタッフとして関わっています。何か一つは大学の活動に関わってみたかったからです。役割はその都度変わりますが、キャンパスツアーの案内などをしています。僕がキャンパスツアーで関わった受験生が翌年に入学して、今、一緒に学生スタッフとして関わっているのですが、とてもうれしかったですね。
アルバイト代で沖縄旅行へ
――帰省はしていますか。
春休み、夏休み、年末年始に帰っています。新潟から関東に進学した友達がいるので、一緒に夜行バスで帰る時もあります。夜行バスだと片道約6時間、5000〜6000円くらいです。上越新幹線を使うこともあって、東京駅から新潟駅まで学割で片道1万円くらいです。
長期休みの時は1カ月くらい帰ることもありますが、友達と旅行に行くこともあります。近場が多くて、静岡や高尾山などに行きました。先日は、初めて沖縄に行きました。新潟の友達が羽田空港から沖縄に行くというので、羽田に比較的近い僕の部屋に前泊して、一緒に行くことにしました。4日間5万円のツアーを見つけたので、ためていたアルバイト代を使いました。
高校まではずっと野球ばかりの生活で、旅行に行く時間がなかったので、大学時代にいろんなところに行ってみたいです。海外もいいですね。やっぱりアメリカでメジャーリーグの試合を観戦したいです。
友達と遊びに行った高尾山の夕景(写真=本人提供)
子どもたちから元気をもらえる学校現場に
――4月から3年生。大学生活も折り返しですね。
関東学院大学は実習が多くて、子どもたちと触れ合える機会が多いので、ここで学べてよかったと感じています。卒業後は新潟に戻るのか、横浜で就職するのかはまだ決めかねています。横浜市内や神奈川県の教員採用試験だと、大学推薦があり、1次試験が免除になります。ただ、これは2年の時点で申し込みが必要でした。僕は今の時点であわてて申し込んで決めるよりも、あと2年間しっかり教員になるための勉強を積み重ね、将来の選択肢を広げられたらと思っています。
最近は教員の志望者が減って、学校現場は大変だと聞きます。もちろん、実際に働き始めると大変なことはいっぱいあるでしょう。でも、子どもたちから元気をもらえるので、僕はあまり気にしていません。今は、4年次に2回ある教育実習に備えて、日々勉強です。
【1カ月の主な費用】
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>>【連載】学生生活 お金のリアル
(文=𠮷川明子)