２学科がっかから３学科がっかへ（計画けいかく中ちゅう）。昭和女子大学しょうわじょしだいがくが国際こくさい学部がくぶを再編さいへんし、グローバル教育きょういくをさらに強化きょうか

1920年ねんに創立そうりつし、慈愛じあいに満みち社会しゃかいで活躍かつやくする女性じょせいの教育きょういくを続つづけ、100年ねんを超こえる歴史れきしを紡つむいできた昭和女子大学しょうわじょしだいがく。社会しゃかいの要請ようせいをいち早はやく取とり入いれ、同どう大学だいがくのグローバル教育きょういくの先頭せんとうを走はしってきた国際こくさい学部がくぶが2025年ねん、国際こくさい学科がっかに加くわえ、国際こくさい教養きょうよう学科がっかと国際こくさい日本にっぽん学科がっかを開設かいせつして３学科がっか体制たいせいとなる（計画けいかく中ちゅう*）。昭和しょうわボストン、ダブル・ディグリー・プログラムなど、世界せかいを視野しやに入いれた教育きょういくを推進すいしんしてきた国際こくさい学部がくぶの川畑かわはた由美ゆみ学がく部長ぶちょうに、国際こくさい学部がくぶの未来みらい、そして昭和女子大学しょうわじょしだいがくが育成いくせいする人物じんぶつ像ぞうについて聞きいた。（写真しゃしん提供ていきょう／昭和女子大学しょうわじょしだいがく）
*本ほん計画けいかくは予定よていであり、内容ないようが変更へんこうになる場合ばあいがあります。

◆米国べいこく式しきリベラルアーツ教育きょういくで主体しゅたい的てきに考かんがえる力ちからを養やしなう

常つねに時代じだいのニーズに応こたえる教育きょういくを続つづけている昭和女子大学しょうわじょしだいがく。グローバル教育きょういくをリードしてきた国際こくさい学部がくぶが新あらたなステージに進すすもうとしている。それは「英語えいごコミュニケーション学科がっか」を「国際こくさい教養きょうよう学科がっか」と「国際こくさい日本にっぽん学科がっか」の２学科がっかに再編さいへん、「国際こくさい学科がっか」と合あわせて３学科がっか体制たいせいにし、よりきめ細こまかい教育きょういくをすることである。

「英語えいごコミュニケーション学科がっかの昨今さっこんの傾向けいこうとして、教員きょういんや外資がいし系けい企業きぎょうなどで働はたらくことを目指めざし、英語えいご力りょくをさらにレベルアップしたい学生がくせいがいる一方いっぽう、ツーリズムを学まなんだり、日本にっぽん文化ぶんかを世界せかいに向むけて発信はっしんしたいと考かんがえたりする学生がくせいがいます。この二ふたつの要望ようぼうを学科がっかの同おなじカリキュラムで実現じつげんするのはやや無理むりがあると判断はんだんしました。それ以上いじょうに、学生がくせいの希望きぼうに沿そったカリキュラムで育成いくせいする人材じんざいの姿すがたをしっかり定さだめようと考かんがえたのです」

川畑かわはた由美ゆみ学がく部長ぶちょうはそう力強ちからづよく話はなす。

英語えいごコミュニケーション学科がっかから名称めいしょう変更へんこうする国際こくさい教養きょうよう学科がっかは、知識ちしきを詰つめ込こむのではなく、幅広はばひろい分野ぶんやを学まなびながら、批判ひはん的てきに物事ものごとを考かんがえ、表現ひょうげんする力ちからを高たかめる米国べいこく式しきリベラルアーツ教育きょういくを行おこない、幅広はばひろく、なおかつ、専門せんもん領域りょういきの知識ちしきを身みにつけることを目指めざす。

「スピーキングなどのコミュニケーション能力のうりょくに関連かんれんする科目かもくは超ちょう少しょう人数にんずう制せいで、１クラス８人にん程度ていどにします」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

昭和女子大学しょうわじょしだいがくではもともと教員きょういんと学生がくせいの距離きょりが近ちかいが、より密接みっせつな関係かんけいを築きずけ、授業じゅぎょうの密度みつどが濃こくなることが期待きたいされるという。

国際こくさい学部がくぶはどの学科がっかにも留学りゅうがくがカリキュラムに組くみ込こまれている。国際こくさい教養きょうよう学科がっかは２年ねん次つぎに同おなじ敷地しきち内ないにあるテンプル大学だいがくジャパンキャンパス（TUJ）で「国内こくない留学りゅうがく」を経験けいけんし、その後ご、1988年ねん開設かいせつの海外かいがいキャンパス、昭和しょうわボストン（米べいボストン）へ留学りゅうがくするカリキュラムとなっている。

「TUJへの国内こくない留学りゅうがくではクラブ活動かつどうなどもアメリカで体験たいけんするものと変かわりません。その後ごの昭和しょうわボストンへ留学りゅうがくするための地じならし的てきな役割やくわりもあり、現地げんちへの留学りゅうがくもスムーズに行いけます」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

国際こくさい教養きょうよう学科がっかでは「国内こくない留学りゅうがく」後ご、昭和しょうわボストンで19週間しゅうかんの留学りゅうがく生活せいかつを送おくる。昭和しょうわボストンではアメリカの大学だいがくへ入学にゅうがくするために英語えいご力りょくなどの向上こうじょうを目指めざすアメリカン・カレッジ・レディネス・プログラム（American College Readiness Program：ACR）も履修りしゅうできる。アメリカの移民いみん問題もんだいや現地げんちのフードカルチャー、ヘルスケアなど、現在げんざい進行しんこう中ちゅうの問題もんだいを従来じゅうらいとは違ちがう視点してんで捉とらえるプログラムだ。

国際こくさい教養きょうよう学科がっか卒業そつぎょう後ごの就職しゅうしょく先さきとしては、商社しょうしゃ、物流ぶつりゅうなどの国内こくない企業きぎょうの国際こくさい部門ぶもんや外資がいし系けい企業きぎょうなどが考かんがえられる。また、外国がいこく人じんへの対応たいおうが増ふえつつある自治体じちたいなども今後こんごは増ふえていくと期待きたいされる。

◆日本にっぽん社会しゃかいや文化ぶんかに対たいする深ふかい知識ちしきを身みにつけ、世界せかいに発信はっしんする人材じんざいを

国際こくさい学部がくぶの再編さいへんで新設しんせつされるのが国際こくさい日本にっぽん学科がっかである。

「日本にっぽんの社会しゃかいや歴史れきしを学まなぶジャパン・スタディーズで、世界せかいの中なかの日本にっぽん文化ぶんかやものづくり文化ぶんか論ろんを学まなびます」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

日本にっぽんの社会しゃかいや文化ぶんかに対たいする深ふかい知識ちしきや国内こくない観光かんこう、各かく地域ちいきの特色とくしょくを生いかした地域ちいき創そう生せいのために必要ひつような知識ちしきやスキルを身みにつける。さらに英語えいごを活用かつようし、日本にっぽんの魅力みりょくを発信はっしんする人材じんざいの育成いくせいを目的もくてきとしている。

「本学ほんがくには人間にんげん文化ぶんか学部がくぶに日本語にほんご日本にっぽん文学ぶんがく科かと歴史れきし文化ぶんか学科がっかがあり、伝統でんとう的てきな日本にっぽんの文化ぶんかを学まなびます。それに対たいし、国際こくさい日本にっぽん学科がっかは海外かいがいの視点してんを入いれながら学まなぶもので、現代げんだいの日本にっぽん文化ぶんかへの理解りかいを深ふかめ、発信はっしん力りょくを高たかめます」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

昨今さっこんはインバウンド需要じゅようが高たかまり、来日らいにちする外国がいこく人じんが増ふえ続つづけていている。その背景はいけいにはアニメをはじめとした日本にっぽんのポップカルチャーへの関心かんしんが高たかまり、日本にっぽんを訪おとずれたいと考かんがえる外国がいこく人じんが増ふえたからだ。

「留学りゅうがく先さきなどで現地げんちの学生がくせいから日本にっぽんについて聞きかれることも多おおくなりました。そのときに日本にっぽんのことをしっかり伝つたえられることも、これからはより求もとめられると考かんがえられます」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

国際こくさい日本にっぽん学科がっかももちろん留学りゅうがくがカリキュラムに組くみ込こまれており、２年ねん次じ前期ぜんきに昭和しょうわボストンに留学りゅうがくする。19週間しゅうかんのうち４週間しゅうかんをジャンプスタートと称しょうし、海外かいがいで学まなぶ基盤きばんをつくるプログラムが用意よういされている。留学りゅうがく中ちゅうは地域ちいきのコミュニティーでボランティアを経験けいけんしたり、ボストンにある企業きぎょうを訪問ほうもんしたりして、日本にっぽんとアメリカの企業きぎょう文化ぶんかの違ちがいを学まなぶ。

また、昭和しょうわボストンは日本にっぽん文化ぶんかの発信はっしんにも寄与きよしており、国際こくさい日本にっぽん学科がっかの学生がくせいはその役割やくわりも果はたす。

「ボストンは日本にっぽん研究けんきゅうが盛さかんな地域ちいきです。昭和しょうわボストンは現地げんちの人々ひとびとに日本語にほんごを教おしえる機関きかんでもあり、近隣きんりんの大学だいがくや市民しみんに活用かつようされています。本学ほんがくの学生がくせいはそこで日本語にほんごを教おしえる際さいのアシスタントをしつつ、日本語にほんごの教授きょうじゅ法ほうを学まなぶ機会きかいもあります。教きょうわる側がわだけでなく、教おしえる側がわになるのも貴重きちょうな経験けいけんです」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

国際こくさい日本にっぽん学科がっかは今いまの社会しゃかいのニーズを反映はんえいし、今後こんご、より活躍かつやくできる人材じんざいの輩出はいしゅつが期待きたいできる学科がっかである。

◆学内がくないでも異い文化ぶんか交流こうりゅうが可能かのうで、広ひろい視野しやと考かんがえが持もてる

国際こくさい学部がくぶの一ひとつ、国際こくさい学科がっかは、名称めいしょうは従来じゅうらいのままでも、今いまの時代じだいに合あわせてカリキュラムなどを更新こうしんする。国際こくさい学科がっかはこれまでも、英語えいごともう一ひとつの言語げんごを基礎きそから実践じっせんで運用うんようできるレベルまで学まなび、あらゆる文化ぶんかが共生きょうせいする国際こくさい社会しゃかいや地域ちいき社会しゃかいで活躍かつやくできる人材じんざい育成いくせいを目的もくてきとしてきた。選択せんたくするもう一ひとつの言語げんごには中国語ちゅうごくご、韓国かんこく語ご、ベトナム語ご、ドイツ語ご、フランス語ふらんすご、スペイン語ごがあり、なかでもベトナム語ごがしっかり学まなべる大学だいがくは国内こくないに少すくないため、希少きしょうな学まなびの場ばだと川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょうは話はなす。

外国がいこく人じん留学生りゅうがくせいを増ふやし、日本人にっぽんじん学生がくせいとの共修きょうしゅうの場ばを増ふやすためにさまざまな取とり組くみを計画けいかくしている。外国がいこく人じん留学生りゅうがくせいは英語えいごと日本語にほんごを選択せんたくし、双方そうほうの言語げんご力りょくをしっかり伸のばしてから、徐々じょじょに専門せんもん科目かもくを学まなんでいく。

「学内がくないに日本語にほんご教育きょういくセンターも開設かいせつされたことから、就職しゅうしょく・インターンシップなどにも使つかえる実践じっせん的てきな日本語にほんごを学まなべるカリキュラムに充実じゅうじつさせました」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

留学生りゅうがくせいとの共修きょうしゅうは新あらたな学習がくしゅう効果こうかも生うんでいる。例たとえば、「中国ちゅうごく社会しゃかい研究けんきゅう」の授業じゅぎょうに中国人ちゅうごくじんの留学生りゅうがくせいが参加さんかすることで、日本人にっぽんじんとは違ちがう視点してんが入はいって議論ぎろんが活発かっぱつになり、より深ふかい学まなびが得えられる。多様たよう化かする社会しゃかいを学生がくせいのときから経験けいけんしてほしいと川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょうは強調きょうちょうする。

留学りゅうがく先さきがベトナムとスペインの場合ばあいは現地げんちで地域ちいき貢献こうけんをするプログラムがある。ベトナムの場合ばあいは、日本にっぽんとベトナムの合弁ごうべんに関かんするコンサルタント企業きぎょうにインターンシップに入はいったり、ハノイ工科こうか大学だいがくの学生がくせいに日本語にほんごを教おしえたりする。スペインでは「カリタス」というボランティア団体だんたいと協力きょうりょくして移民いみんの子こどもたちにスペイン語ごを教おしえたりする。学生がくせいは移民いみんが多おおいスペインの課題かだいを肌はだで感かんじることができ、やりがいを感かんじているという。

「現地げんちに留学りゅうがくしたり、国内こくないでも海外かいがいの学生がくせいたちと触ふれ合あったりすることで、今いまを感かんじ、課題かだいを考かんがえるプログラムを構成こうせいしています。それが生いきた学まなびにつながると考かんがえています」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

◆独自どくじの「ダブル・ディグリー・プログラム」の修了しゅうりょう学生がくせいが増加ぞうか

昭和女子大学しょうわじょしだいがくはグローバル教育きょういくに力ちからを入いれているが、それがよく表あらわれているのがダブル・ディグリー・プログラムである。昭和女子大学しょうわじょしだいがくで２年ねん半はん～３年間ねんかん学まなび、その後ご、海外かいがいの協定きょうてい校こうでの２年間ねんかんの計けい５年間ねんかんで二ふたつの大学だいがくの学位がくいを取得しゅとくするプログラムだ。このプログラムに参加さんかすることで語学ごがく力りょくがアップするのはもちろんのこと、幅広はばひろく深ふかい知識ちしきと教養きょうようが身みにつき、精神せいしん的てきにも格段かくだんに成長せいちょうできる。

「これまでに93人にんの学生がくせいがプログラムを修了しゅうりょうしています。数かずが増ふえただけでなく、学生がくせいのレベルも上あがっています。韓国かんこくの淑よし明あきら女子大じょしだい学校がっこうに留学りゅうがくしたある学生がくせいは、韓国かんこく人じん学生がくせいも含ふくめた所属しょぞく学部がくぶの中なかでトップになり、成績せいせき優秀ゆうしゅう生せいとして全額ぜんがく奨学しょうがく金きんを得えています。今いまではダブル・ディグリー取得しゅとくを目指めざして本学ほんがくに入学にゅうがくする学生がくせいも増ふえています。TUJもこのプログラムに参加さんかできる大学だいがくなので、国内こくないにいながら留学りゅうがくして卒業そつぎょうすることも可能かのうです」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょうによると、日本にっぽんではまだ馴染なじみがないプログラムだが、海外かいがいの大学だいがくでは広ひろく浸透しんとうしているという。

また、日本にっぽんの大学だいがくとして初はじめて設置せっちした海外かいがいキャンパス、昭和しょうわボストンは昭和女子大学しょうわじょしだいがくのグローバル教育きょういくの拠点きょてんとなっており、国際こくさい学部がくぶでは多おおくの学生がくせいがここで留学りゅうがくを経験けいけんすることになっている。昭和しょうわボストンに限かぎらず留学りゅうがく経験けいけんをスムーズにできるよう、海外かいがい協定きょうてい校こうは28カ国かこく・地域ちいきの53校こうに及およぶ。

「昭和女子大学しょうわじょしだいがくは世界せかいへの扉とびらが大おおきく開ひらいています。世界せかいに目めを向むけて国際こくさい問題もんだいなどを解決かいけつしたいと考かんがえている人ひとはぜひ、本学ほんがくの門もんを叩たたいてください。本学ほんがくで学まなぶことで多た文化ぶんか・多様たよう性せいの世界せかいで生いき抜ぬく力ちからが確実かくじつに身みにつき、世界せかいをリードする人ひとになれるはずです。そしてダブル・ディグリー・プログラムを目指めざしてほしいです。チャレンジする学生がくせいの皆みなさんを教員きょういん・職員しょくいんは全力ぜんりょくで後押あとおしします」（川畑かわはた学まなぶ部長ぶちょう）

国際こくさい学部がくぶの再編さいへんで、昭和女子大学しょうわじょしだいがくのグローバル教育きょういくが新あらたな夜明よあけを迎むかえる。

〈詳くわしくはこちらへ〉
昭和女子大学しょうわじょしだいがく国際こくさい学部がくぶHP
https://www.swu.ac.jp/faculty/international/202504new.html

取材しゅざい・文ぶん／鮎川あいかわ哲也てつや　撮影さつえい／今村いまむら拓馬たくま　制作せいさく／朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱんメディアプロデュース部ぶブランドスタジオ