【インタビュー】DEAN FUJIOKA、新境地「Take Over」を語る「普通の状況では生まれない新たな流れの一部」

コロナ禍かによる二に度目どめのアジアツアー中止ちゅうしを受うけ、2020年ねん12月に行おこなった自身じしん初はつのストリーミングライブ＜Plan B＞では、新しん境地きょうちを開ひらくパフォーマンスでファンを魅了みりょうしたDEAN FUJIOKAが3月がつ10日とおか、CDシングル「Take Over」をリリースする。同どうシングルには＜Plan B＞でも披露ひろうされたリード曲きょく「Take Over」ほか、ライブのオープニングを飾かざった「Plan B」、そしてCDに先駆さきがけてリリースされた「Follow Me」の3曲きょくが収録しゅうろくされている。

◆DEAN FUJIOKA 画像がぞう / 動画どうが

DEAN FUJIOKAは2020年ねん、これまでの自分じぶん自身じしんの軌跡きせきを振ふり返かえるべく初はつリリース楽曲がっきょく「My Dimension」を進化しんかさせた「Neo Dimension」の発表はっぴょうを皮切かわきりに、「东京游ゆう (Tokyo Trip)」「Go The Distance」「Follow Me」といった4つのシングルをリリースするなど、コロナ禍かにあっても精力せいりょく的てきな活動かつどうを続つづけてきた。インタビューでは「Take Over」に込こめたメッセージ、2020年ねんのリリース作品さくひんやストリーミングライブ＜Plan B＞について、DEAN FUJIOKA本人ほんにんにじっくりと話はなしを聞きいた。その10,000字じオーバーのロングインタビューをお届とどけしたい。

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■「Neo Dimension」を皮切かわきりに生うまれた
■新あたらしい流ながれの一部いちぶとしての「Take Over」

──3月がつ10日とおかにCDシングル「Take Over」がリリースされます。2020年ねんは多様たようなジャンルを楽曲がっきょくに取とり入いれてきましたが、シングルには近年きんねんのDEANさんらしさも感かんじるフューチャーベース系けいトラックを基調きちょうにした「Take Over」「Plan B」や、2020年ねんに配信はいしんリリースした「Follow Me」が収録しゅうろくされました。聴きかせていただいたところ、2020年ねんのリリース作品さくひんよりもチルで、より歌うたを聴きかせる内容ないようになっているように感かんじました。シングルにこの3曲きょくを収録しゅうろくしたのは、どのような意図いとがあるのでしょうか？

DEAN：実じつは曲きょく自体じたいは結構けっこうな数かずを作つくっていて、このシングルに関かんしては、“自分じぶんがこの曲きょくを入いれたい”というよりは、“こういう形かたちでのリリースはどうか？”という提案ていあんをもらって。“だったらこういう曲きょく順じゅんにしたほうがいい”という感かんじで作つくったものなんです。だから、「Neo Dimension」(2020年ねん8月がつ配信はいしんリリース)を皮切かわきりに、ひとつの新あたらしい地図ちずというか、流ながれみたいなものを計画けいかくして作つくってみたのですが、今回こんかいはそれの一部分いちぶぶんでしかないっていう。「Plan B」は、“すでにもうプランAではない”ということを明確めいかくにするための曲きょくで、その感かんじは聴きいてもらえばすぐにわかると思おもいますし、逆ぎゃくにこういう状況じょうきょうじゃなかったら、作つくれなかった曲きょくだと思おもうんですよね。曲きょく自体じたいは、相当そうとう歪いびつなキメラみたいな曲きょくで、普通ふつうの状況じょうきょうでは生うまれない曲きょくになっています。

▲CDシングル「Take Over」初回しょかい限定げんてい盤ばん

──2020年ねんはアーティストに限かぎらずコロナ禍かがいろいろな人ひとに影響えいきょうを与あたえた1年ねんになりました。DEANさんにとってコロナ禍かは、本ほん作さくにどんな影響えいきょうを与あたえたとお考かんがえでしょうか？

DEAN：やっぱり歌詞かしへの影響えいきょうがすごく大おおきかったです。今いまは、全すべてがスマホになってしまったというか、自分じぶんという存在そんざいと社会しゃかいとの接点せってんが、スマホのスクリーンになってしまったという感覚かんかくがあります。もちろんそこに“人ひとと人ひとが会あって、そこで何なにかが起おきる物語ものがたり”というのも含ふくまれていないわけではないのですが、何なにか自分じぶんというものの存在そんざいと肉体にくたいが持もつ五感ごかんとの接点せってんというものが、もうこのスクリーンで完結かんけつしてしまうというか。パソコンとかスマホやタブレットのスクリーンというものの存在そんざいが一気いっきに大おおきくなりましたよね。それを意識いしきしないで曲きょくを聴きいていると、たぶん歌詞かしの意味いみがわからない部分ぶぶんもあると思おもうんです。例たとえば、「Take Over」の歌詞かしでは、“息いきもできないね 割われたままの画面がめん 流ながれてくtimeline noise”、“よそ見みばかり誰だれかのstories”、“忘わすれないで置おき去ざりのmelody”のように、スクリーンが自分じぶんに見みせる世界せかいや人ひととのつながりをメタファーとして、いろいろな違ちがうい方いかたで表現ひょうげんしているんですよ。こういったところは以前いぜんと比くらべて明確めいかくに違ちがいが出でていると思おもいます。

──本ほん作さくに収録しゅうろくされる「Take Over」「Plan B」「Follow Me」の3曲きょくには、閉塞へいそくした状況じょうきょうからの脱却だっきゃくを目指めざすようなイメージを個人こじん的てきに持もったのですが、そのスクリーンの話はなしを聴きいて、すごく腑ふに落おちたというか、納得なっとくできました。

DEAN：スクリーンって一応いちおう物体ぶったいだからヒビも入はいれば、画面がめんの裏側うらがわに何なにが映うつっているか見みえない、すごく物理ぶつり的てきでアナログなんですよね。でも、このスクリーン越ごしでつながる世界せかいというのは、ミラーワールドというか、そこで意思いしを持もっていろいろなアクションを起おこしているのはやっぱり人間にんげんだし、というメッセージがどの曲きょくにも何なにかしらの形かたちで入はいっています。


──「Take Over」はES-PLANTさん、「Plan B」は2020年ねんの「Go The Distance」で組くんだMitsu.Jさんを制作せいさくに招まねかれていますが、この2人ふたりと制作せいさくしたことで起おこった楽曲がっきょくの化学かがく反応はんのう的てきなものを挙あげるとすれば？

DEAN：ES-PLANTさんとは何なん曲きょくか作つくってみたのですが、同おなじスタジオで部屋へやをふたつ使つかって、彼かれ以外いがいにも同時どうじにとにかく曲きょくを作つくりまくるみたいなことを初はじめてやってみたんです。こっちで作つくって、あっちで作つくってみたいに同時どうじ進行しんこうで何なん回かいかやってみて、その中なかでのちに「Take Over」になる曲きょくが生うまれるという流ながれがありました。「Take Over」のサウンドでいうと、とにかく疾走しっそう感かんがあるというか、その勢いきおいがフックの頭あたまにすごくある。歌詞かしも、無限むげんの可能かのう性せいを掴つかみ取とれそうというか、“無限むげんの海原うなばらに飛とび込こんで行いけ！”みたいな感かんじで。これもまたミラーワールド、デジタルの世界せかいの中なかでその可能かのう性せいを身体しんたいで感かんじるみたいな意味いみを込こめました。ES-PLANTさんとは、あんまり細こまかいことは考かんがえないで、とにかくこのビートで身体しんたいが動うごくかとか、メロディーを聴きいて鳥肌とりはだが立たつかとか、そういう動物どうぶつ的てきで生理せいり的てきな判断はんだんをして。その上うえで、10曲きょくくらい作つくった中なかで一番いちばんパワフルだったこの曲きょくの原型げんけいにメロディーをファイナライズして、歌詞かしを乗のせて、アレンジを加くわえる形かたちで今いまの形かたちになったので、すごくアスレチックな曲きょくになったと思おもいます。本当ほんとうに躍動やくどう感かん満載まんさいで、まさにテイクオーバーする曲きょくですね。

──なるほど。

DEAN：「Plan B」に関かんしては元々もともとはタイアップの話はなしがあって、それ用ように作つくった曲きょくなんですが、いただいたリクエストを全部ぜんぶそのまま形かたちにしたので、すごく特殊とくしゅな形状けいじょうの曲きょくになっているんです。ただ、その話はなし自体じたいは結局けっきょく、流ながれてしまったのですが、この曲きょくに関かんしては“なんてものが生うまれてしまったんだ！”みたいな感かんじで、内容ないようが自分じぶんの中なかであまりに良よかったために「Plan B」という形かたちでリリースすることになりました。


──Mitsu.Jさんとの作業さぎょうは？

DEAN：実じつはここ何なん年間ねんかんの間あいだにひとつ後悔こうかいしていたのが、「Echo」(2ndシングル／2018年ねん6月がつリリース)をMitsu.Jさんと一緒いっしょに作つくったのですが、その時ときに生うみ出だしたWaveのアカウントみたいなものを続つづけていけなかったことなんです。本音ほんねで言いえば、“このままずっとWave職人しょくにんみたいになりたい”という思おもいもあったし。でも、「Echo」と同おなじことをやっても仕方しかたないので、どうやったら現行げんこうのWaveの半はん歩ふ先さきにある最新さいしん進化しんか版ばんみたいなものを作つくれるか、ということを考かんがえた時ときに出でてきたのがあの感かんじだったんです。曲きょくのニュアンス的てきにも何なにが起おこるかわからない今いまの時代じだいにぴったりハマっている感かんじがする。だからこそ、“プランB”を持もっていることって、もしかしたら命いのちを救すくうことになるかもしれないですよね。そういうことも考かんがえると、コンセプトがドンピシャでハマったし、この曲きょくはそのために生うまれてきたようにも思おもえるんです。「Echo」以来いらい、やりたかったけどできなかった自分じぶんの中なかでのベースミュージックの最新さいしん形がた──いろいろなサウンドを通過つうかしてきた上うえでの今いまの自分じぶんが、本当ほんとうにやりたいサウンドを追求ついきゅうできた。そんな曲きょくになりました。

──具体ぐたい的てきに「Plan B」のどの部分ぶぶんがDEANさんの中なかでの最新さいしんベースミュージックにあたるのでしょうか?

DEAN：ベースミュージックとは言いったものの、自分じぶんの中なかでは、実じつは1970年代ねんだいあたりの日本にっぽんの歌謡かよう曲きょくをすごく意識いしきして作つくったんですよ。だから、その世界せかい観かんをどうやったら活かつかせるかを考かんがえるためにもそういった曲きょくをたくさん聴ききましたし、その“触ふれたら壊こわれそうな危あやうい感かんじ”というか、“不思議ふしぎの国くににここから迷まよいこんでいくみたいな感かんじ”というか。あとオートチューンの使つかい方かたをどうやってアートに落おとし込こむか、かなり考かんがえましたし。ある程度ていど正確せいかくに音おとを刻きざむアルペジオも、それから逸脱いつだつした音色ねいろだったり、ちょっとしたノートの変化へんかだったり、正確せいかくさが加熱かねつして暴発ぼうはつするような“怒いかり”みたいな感かんじを取とり入いれました。こういう部分ぶぶんは基調きちょうとなるベースフレーズと同おなじくらいこだわりましたね。だから、ジャンル名めいをつけるとすれば、さっきの言葉ことばを英語えいごにした“Rage”とか、そういうイメージになりますね。その意味いみでは使つかっている楽器がっきは違ちがいますが、メタルなんですよ。何なにか新あたらしいサイバーで未来みらい的てきなメタルというか、構造こうぞう的てきにはちょっとメタリカの音楽おんがくに通つうじるところがあると思おもいます。

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