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【鼎談】須賀健太×荒牧慶彦×志磨遼平(ドレスコーズ)、「『奪われた僕たち』という作品の解像度が上がった」 | BARKS

鼎談ていだん須賀すか健太けんた×荒牧あらまき慶彦よしひこ×こころざしすりりょうひらめ(ドレスコーズ)、「『うばわれたぼくたち』という作品さくひん解像度かいぞうどがった」

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ドレスコーズの新曲しんきょく「キラー・タンゴ」は、4がつ11にちから放送ほうそうがスタートしたドラマ『うばわれたぼくたち』の主題歌しゅだいかとしてろされた。

ろし写真しゃしん

かろやかに躍動やくどうするリズムとメロディのこうがわから不穏ふおんなムードをただよわせるさまが、とても印象いんしょうてき仕上しあがりだ。「連続れんぞく殺人さつじんかえすピアノ講師こうしと、犯行はんこう記録きろくするフリーの映像えいぞうディレクター」という2人ふたりじくとして展開てんかいする『うばわれたぼくたち』の物語ものがたりゆたかな色彩しきさいえている。

今回こんかい、ダブル主演しゅえんつとめるさかい洋一よういちやく須賀すか健太けんたひかりきょうやく荒牧あらまき慶彦よしひこテレビ局てれびきょくのディレクター・櫻井さくらい幸司こうじやくげきちゅう登場とうじょうするドレスコーズ・こころざしすりりょうへいが、このドラマと「キラー・タンゴ」についてかたってくれた。

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おもっていた以上いじょうにメッセージせいつよ作品さくひんになりました

──『うばわれたぼくたち』は、荒牧あらまきさんが代表だいひょうつとめているPastureとキングレコードの共同きょうどう企画きかくですよね?

荒牧あらまき:そうです。キングレコードさんとおはなしをしたさいに「まえにドラマを一緒いっしょつくったチームとまたつくりたいので、なにかないですか?」ということになって、そこから企画きかくがスタートしました。「ぼくいままでにやっていない殺人鬼さつじんきをやってみたいです」というおはなしもしながらふくらませて、監督かんとくさんたちとともうごいていったかんじでしたね。


──こころざしみがくさんはテレビ局てれびきょくのプロデューサー・櫻井さくらい幸司こうじやく出演しゅつえんしていますね。もともと出演しゅつえんする予定よていだったんですか?

こころざしすり:いえ、主題歌しゅだいかのおはなしをいただいたのがさきでした。そのに「もしよければ、ちらっと出演しゅつえんしませんか?」と。

──須賀すかさんがえんじているフリーの映像えいぞうディレクター・さかい洋一よういちを、かなりネチネチといじめていますね。

こころざしすり:そうなんです。どうもすいません。

須賀すか:とんでもないです(笑)。

こころざしすり:もっといやみなシーンもったんですが、カットされていましたね。しんおににしてツンツンとつついたんですけど。

須賀すかこえあらげるタイプのいやひとではなくて、チクチクしてくるかんじなんですよね。

こころざしすり:はい。チクチクと。

須賀すか:そのシーンをったのは序盤じょばんだったので、後半こうはん撮影さつえいかつかせるフラストレーションになりました(笑)。ぼくやくは、そういうフラストレーションが根本こんぽんにあるので。


──須賀すかさんにとって、待望たいぼう髭面ひげづらやくでもあったとおきしています。

須賀すか:そうなんです。童顔どうがんなのもあって、なかなかひげやすやくはないんです。そういう意味いみでも特別とくべつ作品さくひんになりましたし、俳優はいゆうとしてやっていくうえでのなにかにつながっていくのかなとおもいます。

──こころざしみがくさんはこれまでも演技えんぎのお仕事しごとをする機会きかいなんもありましたが、撮影さつえいにどのような気持きもちでのぞんでいますか?

こころざしすり一生懸命いっしょうけんめいやるのはもちろんなんですけど、どこか社会しゃかい見学けんがくというか……。

須賀すか荒牧あらまき:(笑)。

こころざしすり:「こんなふうにドラマはつくられてるんだなあ」って感激かんげきしながら参加さんかしています。撮影さつえい経験けいけんすると、ひとりで映画えいがやドラマをているとき見方みかたわって面白おもしろいんです。「このシーンはきっとこういうふうっているな」とかがわかるので。


──『うばわれたぼくたち』は、ドレスコーズのファンのみなさんがたら新鮮しんせん印象いんしょうだとおもいます。こんなに嫌味いやみこころざしみがくさんの姿すがたは、ではなかなかられないでしょうから。

こころざしすり須賀すかさんのファンのみなさんにはきらわれそうでこわいです。

須賀すかこころざしみがくさんがきらわれるとか、ないですから(笑)。

──(笑)。さきほど荒牧あらまきさんとこころざしみがくさんが「はじめまして」と挨拶あいさつわしているのをかけたのですが、今日きょう初対面しょたいめんなんですか?

荒牧あらまき:そうなんです。

こころざしすり一緒いっしょのシーンがなかったので。

──印象いんしょうは、いかがですか?

荒牧あらまき印象いんしょうですか? やさしそうなほうですね。

こころざしすり:ありがとうございます。荒牧あらまきさんは、がおこういですね。

荒牧あらまき今日きょうは、ちょっとっているんですよ(笑)。

こころざしすり:ヒールのたかいブーツをいてらっしゃるんですね。

──こころざしみがくさんもたかいですけど、なにcmでしたっけ?

こころざしすり:183cmです。

荒牧あらまきぼくは176cmなので。



──「キラー・タンゴ」をつくさいこころざしみがくさんはどのようにイメージをふくらませていったんでしょうか?

こころざしすり:まずは脚本きゃくほんをいただいてみました。決定けってい稿こうになるまえ段階だんかいではあったんですけど、すでに「面白おもしろいなあ」とおもいながらみましたね。

──つくじょうでのとっかかりのイメージやテーマは、どのようなかんじでしたか?

こころざしすり:ポップスで「殺人さつじん」というテーマをあつかうことって、なかなかないじゃないですか。なので、この機会きかいにじっくりとかんがえをめぐらせました。なかでも、脚本きゃくほんなんてくる「間接かんせつてき殺人さつじん」ということについて、ですね。そこをとっかかりとしてつくっていきました。

荒牧あらまき:「間接かんせつてき殺人さつじん」という部分ぶぶんは、脚本きゃくほんいた我人われひとさちふとしさんのアイディアだったんです。最初さいしょ段階だんかいまっていたのはこの作品さくひん世界せかいかん、「殺人さつじんをするぼくがいて、それを健太けんたくんがえんじるさかい撮影さつえいする」ということでした。そこに我人われひとさんが「間接かんせつてき殺人さつじん」ということをくわえてくださったんです。

──殺人さつじんはんをフリーの映像えいぞうディレクターが記録きろくするという独特どくとく設定せっていは、初期しょき段階だんかいからあったんですね。

荒牧あらまき:そうなんです。たとえば『DEATH NOTE』のよる神月こうづきひところしますけど、あれはデスノートのちからですよね。そうではなくて人間にんげんくだした場合ばあい、どうなっていくのか? その影響えいきょうりょくとは? そういうところからはじまりました。あと、ぼくがピアノ講師こうしというのもまっていて、そこから我人われひとさんがふくらませてくださったんです。


──ピアノ講師こうしやくはじめてですか?

荒牧あらまきはじめてです。実際じっさいにピアノをかせていただきました。ドレスコーズの「スコラ」をいたんですよ。

こころざしすり:ありがとうございます。

──「間接かんせつてき殺人さつじん」ということにかんして、こころざしみがくさんはどのようにとらえたんでしょうか?

こころざしすり自分じぶん直接ちょくせつくださないまでも、無関係むかんけいではないということですよね。たとえば、とおくできている紛争ふんそうのニュースをただながめているのも、おなじことなのかもしれないです。とても時事じじてきなテーマとしてもとらえられるとおもいました。空想くうそうはなしではなくて、「ぼくもあなたも無関係むかんけいではないですよ」というのは、つよいテーマになるとかんじていました。

──「ほうさばきに納得なっとくがいかないからといって、個人こじんくだすのはゆるされるのか?」とかも、日常にちじょう生活せいかつなかかんがえる機会きかいがあることだとおもいます。

荒牧あらまき:こういうのは、容易ようい解決かいけつできることではないですよね。人間にんげん社会しゃかいなかかならこりることですし、生物せいぶつ本能ほんのうでもあるのかもしれないです。でも、社会しゃかいてきなテーマをめたわけでもなくて、「こういう物語ものがたりがあったら面白おもしろいんじゃないかな?」というところからはじまったんです。結果けっかてきに、おもっていた以上いじょうにメッセージせいつよ作品さくひんになりましたね。

須賀すかぼく問題もんだい提起ていきをしたいというよりも、「ときにどこかむねがざわつく」みたいなことをとしみたいとおもっていました。この作品さくひんなかきていることを一番いちばん素直すなおにキャッチする役回やくまわりがさかいだとかんじたので、登場とうじょうするひとたちのなか一番いちばんしんうごいているべきだとおもってえんじています。


──「キラー・タンゴ」は、撮影さつえい時点じてんすで完成かんせいしていたんですか?

須賀すかこころざしみがくさんと撮影さつえい共演きょうえんさせていただいたとき、このきょく制作せいさく途中とちゅうだといていたので「どんなかんじの主題歌しゅだいかになるのかな?」とおもっていました。出演しゅつえんシーンの撮影さつえい全部ぜんぶわったこころざしみがくさんがかえとき、「撮影さつえい頑張がんばってください。ぼくはいいきょくつくります」とおっしゃったのをよくおぼえています。のこりの撮影さつえいがあったぼくにとって、とても心強こころづよいお言葉ことばでした。

こころざしすり:いえいえ、とんでもないです。

須賀すか後日ごじつ完成かんせいしたきょくかせていただいたのは、撮影さつえい現場げんばでした。ストーリーや脚本きゃくほんのイメージからすると「はげしいメロディのきょくなのかな?」「ホラー要素ようそつよくしたおどろおどろしいかんじなのかな?」とか想像そうぞうしていたんですけど、想像そうぞうえるきょくでした。

荒牧あらまき意外いがいだったよね?

須賀すか:はい。イントロをいた時点じてんおどろきがありました。でも、不思議ふしぎとしっくりきたというか。きょくいたことによって『うばわれたぼくたち』という作品さくひん解像度かいぞうどがったんです。意外いがいせいふくめてこの作品さくひんにとてもいますし、「キラー・タンゴ」によってこのドラマをさらにふかめていただけたとかんじています。

こころざしすり:そうっていただけて、うれしいです。

須賀すか:「キラー・タンゴ」が一瞬いっしゅんながれるオープニングのトマトの映像えいぞうふくめて、おしゃれですよね。「おしゃれ」といういいかたっているのかはわからないですけど(笑)。あと、挿入歌そうにゅうかでもドレスコーズさんのきょくながれるんですけど、そのシーンでのさかい鬱屈うっくつした感情かんじょうととてもっています。音楽おんがく映像えいぞうぼくらの芝居しばい上手うまくマッチしていたので、すごくうれしかったです。

こころざしすり脚本きゃくほんけてきょくくというのは創作そうさくというか、リアクションなんですよね。つまり作品さくひん順番じゅんばんとしては、ぼく視聴しちょうしゃのみなさんとおなじなんです。だから解釈かいしゃく間違まちがっているかもしれないですけど、自分じぶんなりのリアクションとしてきょくつくっています。なので、ご本人ほんにんから「解像度かいぞうどがった」とっていただけて安心あんしんしました。

荒牧あらまき:タンゴ調ちょうなのがすごくっているんですけど、意外いがいでした。これは、脚本きゃくほんんでおもかんだんですか?

こころざしすり最初さいしょはタンゴじゃなかったんです。きょくつくってから歌詞かしき、そのに「タイトルをかんがえよう」となって、なぜか「タンゴ」という言葉ことばてきたんです(笑)。あんまり論理ろんりてき理由りゆうがあったわけでもなく。

荒牧あらまき感覚かんかくてきなことだったんですね?

こころざしすり:そうなんです。「タンゴ?」ってぼくおもって。メンバーには「とにかくこれはタンゴということになりました」とつたえて(笑)。「タンゴのつもりで演奏えんそうしてみてください」とってレコーディングをすすめるうちに、こういうかたちになっていきました。



──タンゴのイメージが根底こんていにあることによって、かえって不穏ふおん雰囲気ふんいきかもされている印象いんしょうです。

荒牧あらまき:そうなんですよね。ひかり殺人さつじんたいしてうしろめたさをまったくいていないので、その雰囲気ふんいきがすごくているとおもいます。

こころざしすり:ありがとうございます。きょくつくまえに、制作せいさくのみなさんに「なにかご要望ようぼうがありましたら、おっしゃってください」とおつたえしたら、「いつもとお自由じゆうつくってください。でも、どこかかろやかさみたいなものがあるとうれしいです」とのことだったので。あまりおもしずんでいくものにしないつもりではありました。

──歌詞かしは、複数ふくすう登場とうじょう人物じんぶつ心情しんじょう視点してんまれていますよね?

こころざしすり:そうですね。1ばんのサビは、被害ひがいしゃ視点してんです。でも、2ばんのサビでは加害かがいしゃになっていますね。ふとしたきっかけでぼくらは被害ひがいしゃにも加害かがいしゃにもなりる、ということがいたかったんでしょうね。おそらく(笑)。

──(笑)。犯罪はんざい殺人さつじんとかは、もちろんゆるされない行為こういですけど、そういう題材だいざいえがいた作品さくひんは、しんゆたかにうごかしてくれますよね。ドレスコーズのきょくにも、よくわるひとあらわれますし。

こころざしすりぼくわるひとだからです(笑)。

荒牧あらまきあくえがいたものにかれる理由りゆうの1つは、自分じぶんちがうからじゃないですかね? 

須賀すか:そうですね。

荒牧あらまき普通ふつう生活せいかつしていたらない感情かんじょうは、ドラマとかをつうじてじゃないと、なかなか摂取せっしゅできないですからね。おそらく、自分じぶんちがうからかれるんだとおもいます。

須賀すか:こういう作品さくひんえがかれるあくって、純粋じゅんすいにかっこいいというのもありますよね。あと、人間にんげん繊細せんさい部分ぶぶんあらわれているとおもいます。つみおかすというのは、じつ繊細せんさい感情かんじょう機微きびみたいなものがあって、ぼくもそれを表現ひょうげんするのがきです。えんじるがわとしても、そういうやくをやらないと摂取せっしゅできないなにかがあるんです。技術ぎじゅつがないとやすっぽくえてしまうジャンルでもあるとおもうのですが。

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