急成長しているビットコインブロックチェーンのオンチェーンエコノミーが独自のドル連動型ステーブルコインを手に入れることになった──今週から週のニュースの振り返りを“テーマ別”にまとめてお伝えします。
ステーブルコイン:改正資金決済法が施行
6月1日、改正資金決済法が施行され、日本でもステーブルコインの発行・流通が可能になった。どのような企業が、何を基盤にステーブルコインを発行するのか注目される。
発行元のStablyによると、新しいステーブルコイン「Stably USD」は、ビットコインブロックチェーン上に構築された新しい資産を取引するトレーダーにとって、頼りになる通貨となることを目的としている。
5月26日に発表されたレポートによると、欧州中央銀行(ECB)は、EUの法定通貨を新しい形式で開発するかどうかを今年後半に決定する準備として、デジタルユーロのプロトタイプを完成させたという。
オフショア人民元にペッグされたステーブルコインであるCNHCと、香港ドルに結びついたHKDCの開発チームが上海警察に拘束されたとPANewsが5月31日に報じた。
三菱UFJ信託銀行、Datachain、ドバイを拠点にするTOKI FZCOの3社は6月2日、ステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」によって、さまざまなパブリックブロックチェーンで発行・流通が見込まれるステーブルコインについて、パブリックブロックチェーン間のクロスチェーンインフラ構築のための技術提携を開始したと発表した。
NFT:“話題”から実用フェーズへ
NFTは高額取引が注目を集める“話題”から、顧客エンゲージメントのための新しい手段や新たな価値提供手段となりつつある。
フォーミュラ1(F1)のチケット発行会社であるプラチナム・グループ(Platinium Group)は、今週末のモナコグランプリから、NFT(非代替性トークン)レースチケットを導入する。
ナイキはWeb3プラットフォーム「.Swoosh」で、初のNFTスニーカーコレクション「Our Force 1(OF1)」を発売。開始日の延期、技術的トラブルにもかかわらず、売上は100万ドル(1億3500億円、1ドル135円換算)を超えた。
デジタルアート団体の「Fingerprints DAO」は、オランダ人アーティストのハーム・ファン・デン・ドーペル(Harm van den Dorpel)氏と、ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)とコラボレーションし、自動車をコンセプトにしたジェネレーティブ(生成)アートのNFTコレクションをリリースする。
Web3ゲーム「STEPN」を運営するFind Satoshi Lab(FSL)は、人工知能(AI)を搭載したNFT(非代替性トークン)ジェネレーターを発表した。
早川書房とメディアドゥは6月1日、本編と同じ内容が収録された「NFT電子書籍」がセットで付いてくるNFT電子書籍付き新書を発売すると発表した。紙の書籍にNFT電子書籍が付くのは世界初の試みだという。
全日本空輸(ANA)とANA NEOは5月30日、NFT事業すると発表した。独自のNFTマーケットプレイス「ANA GranWhale NFT MarketPlace」をANA NEOが開設。ANAは「ANA NFT コレクション」としてNFT商品を販売する。
セキュリティトークン/RWAのトークン化:いよいよ離陸
何度目から「元年」を経て、セキュリティトークン、さらにはRWA(現実資産)のトークン化が勢いを増している。国内でのステーブルコインの動向と並び、2023年注目のテーマ。
Hash DasHは5月30日、「デジタル証券・渋谷神宮前イノベーションオフィス」の取り扱い開始を発表した。投資対象物件は、東京都渋谷区神宮前にある複合オフィスビル。
東京都は5月31日、デジタル証券の多様な発行事例を創出し、ノウハウや課題を広く共有することで市場拡大を図る取り組みを開始すると発表した。
ラマ・オリーブオイル(Lamar Olive Oil)は、スイスに拠点を置くDeFi(分散型金融)プラットフォームのObligateを使って、持続可能な農業業界初のオンチェーン債券を発行した。6月1日、Obligateが発表した。
アルトコイン:“日本人気”を反映?
ドージコインから始まった「柴犬」をモチーフとしたコイン。もしかしたら、これもある意味、「世界から注目される日本」を表しているのかも…。
柴犬をテーマにしたフロキ(FLOKI)は5月28日に10%以上急騰し、3週間以上ぶりの高い取引高を記録した。このトークンを使用するメタバースゲーム「バルハラ(Valhalla)」の中国での普及を見込んで、トレーダーがこのトークンに賭けたためだ。
値動きが激しいことで知られるミームコインであるドージコイン(DOGE)は、今年はわずか3%の上昇にとどまっている。代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)が68%、60%上昇しているなか、ドージコインのボラティリティの低さは際立っており、あるテクニカル指標は今後ボラティリティが急上昇する可能性を示している。
6月のライトコイン(LTC)相場は上昇で始まり、過去24時間で7%上昇。強気派は、ライトニングネットワークが8月に半減期を迎えること、5月にネットワーク活動が大幅に増加したことを指摘している。
その他
新しいブロックチェーントークン規格「BRC-721E」によって、イーサリアムベースのNFTをビットコインNFTに変換できるようになった。
欧州議会の議員から依頼を受けて5月30日に発表された報告書では、暗号資産(仮想通貨)は基本的に証券として扱われるべきであり、分散型金融(DeFi)を管理する自治組織には法的地位を与えるべきだとしている。
|文・編集:増田隆幸
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