急速に拡大する「セキュリティ・トークン」とは? 野村證券の専門家が動画で解説

CoinDesk JAPANと野村證券のむらしょうけんおくる「セキュリティ・トークンをまなぶ!入門にゅうもんシリーズ」動画どうがだい2だんが5月16にち公開こうかいされた。野村證券のむらしょうけんデジタル・アセット推進すいしんしつ坂本さかもとさちふとしが、きゅう拡大かくだいする不動産ふどうさんセキュリティ・トークン(ST)市場いちば特徴とくちょうと、現物げんぶつ不動産ふどうさんやJ-REIT(Jリート・不動産ふどうさん投資とうし信託しんたく)への投資とうしとのちがいなどについて解説かいせつした。動画どうがは[CoinDesk JAPANのYouTubeチャンネル](URL)で視聴しちょうできる。

2023年度ねんどきゅう成長せいちょう! ST市場いちばは1,200おくえん規模きぼ

セキュリティ・トークンの仕組しくみが日本にっぽん登場とうじょうしたのは2020ねん改正かいせい金融きんゆう商品しょうひん取引とりひきほう施行しこうで、発行はっこうできるようになった。

坂本さかもとによると、事例じれいよく2021ねんから徐々じょじょえ、2024ねん3がつまつ時点じてんで、1,200おくえんえる発行はっこう規模きぼとなった。

とくに2023年度ねんどには加速度かそくどてき市場いちばび「1年間ねんかんやく970おくえんのセキュリティ・トークンが発行はっこうされた」という。=グラフ参照さんしょう=

それでも、このきゅう成長せいちょう具合ぐあいっている投資とうしは「まだすくない」段階だんかい。「これから認知にんち向上こうじょう余地よち多分たぶんにある」と坂本さかもと指摘してきする。

次々つぎつぎ登場とうじょうするしん銘柄めいがらの「セキュリティ・トークン」

さきほどの1,200おくえんちょう市場いちばのうち、やく87%をめる1,065おくえんぶんが「不動産ふどうさん裏付うらづけとするセキュリティ・トークン」だ。

不動産ふどうさんセキュリティ・トークンは銘柄めいがらかずやサイズ(調達ちょうたつがく)がともにおおきく増加ぞうかしているのが特徴とくちょう。2023年度ねんどには「30銘柄めいがらえ」て、「100おくえんえるサイズの大型おおがた銘柄めいがら複数ふくすうでてきた」と坂本さかもとかたる。

のこやく13%は債券さいけんのセキュリティ・トークンで、野村證券のむらしょうけん販売はんばい関与かんよしたものでは、グリーン・デジタルさいが100おくえん規模きぼ発行はっこうされたという。

大手おおて金融きんゆう機関きかん中心ちゅうしんに、続々ぞくぞく参入さんにゅうするセキュリティ・トークンの取扱とりあつか企業きぎょう

現状げんじょう、どんな企業きぎょうがセキュリティ・トークン市場いちば参入さんにゅうしているのか?

坂本さかもとしめしながら「大手おおて金融きんゆう機関きかん中心ちゅうしん取扱とりあつかいがえてきている」「資金しきん調達ちょうたつするがわ(スポンサー・アセットマネージャー・発行はっこうたい)も、参入さんにゅう企業きぎょうひろがってきている」と解説かいせつする

金融きんゆう業界ぎょうかいなかでも、伝統でんとうてきなものとはことなるあたらしいテクノロジーをもちいた金融きんゆう商品しょうひんとして「注目ちゅうもくされている」という。坂本さかもとは「今後こんごもますます取引とりひき拡大かくだい見込みこまれると想定そうていされている。今年ことしはさらにたのしみだ」と期待きたいめる。

不動産ふどうさんセキュリティ・トークンの特徴とくちょうは?

不動産ふどうさんセキュリティ・トークンは、現物げんぶつ不動産ふどうさん投資とうしやJ-REIT投資とうしなどとくらべて、どんなちがいがあるのだろうか?

坂本さかもとによると、セキュリティ・トークンは「現物げんぶつ不動産ふどうさん投資とうしとJ-REIT投資とうし特徴とくちょうそなえたあたらしい投資とうし選択肢せんたくし」で「温泉おんせん旅館りょかんや、アウトレットモールを対象たいしょうとするセキュリティ・トークンなど、これまで個人こじんにとって、投資とうし機会きかいがなかったようなアセットに比較的ひかくてき小口こぐち投資とうしできる」のが特徴とくちょうだという。

ポイントは、おおきく3つある。

1つのポイントは「投資とうし対象たいしょう明確めいかく」で、「個人こじんでは投資とうし困難こんなんだい規模きぼ物件ぶっけんへの投資とうし可能かのう」なこと。

現物げんぶつ不動産ふどうさんへの投資とうしは、自分じぶんがどの不動産ふどうさん投資とうししているかが明確めいかくでわかりやすい。その一方いっぽうで、1つの不動産ふどうさん多額たがく大口おおぐち)の資金しきん必要ひつようとなってくる。「たとえば、投資とうしようマンションをうために個人こじんでローンをむようなケースもめずらしくない」と坂本さかもとはなす。

一方いっぽうJ-REITは、「証券しょうけんされ、上場じょうじょうしており、小口こぐち投資とうし可能かのう」だが、投資とうし対象たいしょう複数ふくすう不動産ふどうさんわせたポートフォリオのため、実際じっさい自分じぶんがどの建物たてもの投資とうししているのか体感たいかんしにくい。

これらにたいして、セキュリティ・トークンは双方そうほう特徴とくちょうそなえている。1つの不動産ふどうさん(あるいは少数しょうすう特色とくしょくある不動産ふどうさん)に投資とうしするが、比較的ひかくてき小口こぐち証券しょうけん金融きんゆう商品しょうひん)のかたち投資とうしができるものとなっているのだ。

税金ぜいきん」はどうなる?

2つのポイントは「税制ぜいせい」。

現物げんぶつ不動産ふどうさん投資とうし場合ばあい保有ほゆう期間きかんちゅう所得しょとくについては不動産ふどうさん所得しょとくとして総合そうごう課税かぜい区分くぶんされる。

一方いっぽう不動産ふどうさんセキュリティ・トークンにはJ-REITと同様どうよう有価ゆうか証券しょうけん税制ぜいせい適用てきようされ、運用うんよう期間きかんちゅうられる配当はいとうについても、最大さいだい税率ぜいりつ20.315%の申告しんこく分離ぶんり課税かぜいえらべる。特定とくてい口座こうざでの取扱とりあつかいや損益そんえき通算つうさんといった、上場じょうじょう株式かぶしきとう同様どうようの「ぜい優遇ゆうぐう」がられるという。

3つのポイントが、「不動産ふどうさん運用うんよう管理かんり自分じぶんでしなくてもい」というてんだ。

現物げんぶつ不動産ふどうさんは、投資とうし自身じしん運用うんよう管理かんりかんがえなければならず、その手間てま煩雑はんざつさがある。一方いっぽう不動産ふどうさんセキュリティ・トークンはJ-REITと同様どうように、不動産ふどうさんやファンドの運用うんよう管理かんりを「アセット・マネジメント会社かいしゃなどの専門せんもんにおまかせできる」。そのてんは「投資とうしにとっておおきなメリット」だと坂本さかもとはなす。

手触てざわかんのある」投資とうし小口こぐち

まとめると、不動産ふどうさんセキュリティ・トークンは、現物げんぶつ不動産ふどうさんくらべて「小口こぐち」で「証券しょうけん会社かいしゃつうじた取引とりひき可能かのう」となっている。また、J-REITとくらべると、自分じぶんがどの物件ぶっけん投資とうししているかを把握はあくしやすく「手触てざわかんがある」ということだ。

坂本さかもと最後さいごに、J-REITは機関きかん投資とうし売買ばいばい動向どうこう時々ときどきのマクロ環境かんきょうによって価格かかく左右さゆうされることもあるが、不動産ふどうさんセキュリティ・トークンは「基本きほんてき不動産ふどうさん価値かちじゅんじた価格かかく形成けいせいがなされていく」と指摘してき不動産ふどうさんセキュリティ・トークンは「ポートフォリオ分散ぶんさん効果こうかめんでも注目ちゅうもくされている」ともくわえていた。

次回じかいだい3かい)は、よりくわしい商品しょうひん内容ないようや、実際じっさいにセキュリティ・トークンを購入こうにゅうする方法ほうほうなどについて解説かいせつしていく。

ックメディアCoinDeskの日本にっぽんばん「CoinDesk JAPAN」や、国内こくない最大さいだいきゅうのブロックチェーンカンファレンス「btokyo」などを運営うんえいする。

出演しゅつえんしゃ

坂本さかもと さちふとし| 野村證券のむらしょうけん株式会社かぶしきがいしゃ

坂本 祥太氏| 野村ホールディングス株式会社

Vice President セキュリティ・トークン・グループ・リーダー/デジタル・アセット推進すいしんしつ
2012ねん野村證券のむらしょうけん入社にゅうしゃ投資とうしけコンサルティング営業えいぎょう、J-REITとう資金しきん調達ちょうたつとうをサポートする投資とうし銀行ぎんこう業務ぎょうむ従事じゅうじしたのち、2019ねんより未来みらいどもそうカンパニー(現在げんざいのデジタル・カンパニー)にてセキュリティ・トークン(ST)ビジネスの企画きかく開発かいはつ推進すいしん担当たんとう

かみほん 侑季 | N.Avenue 代表だいひょう取締役とりしまりやくCEO(モデレーター)

神本 侑季 | N.Avenue/CoinDesk JAPAN 代表取締役CEO(モデレーター)

2013ねんにヤフー株式会社かぶしきがいしゃげんZホールディングス株式会社かぶしきがいしゃ)に入社にゅうしゃ。Yahoo!ニュースを中心ちゅうしんにメディア・広告こうこくのビジネス開発かいはつ従事じゅうじしたのち海外かいがいのテックベンチャー企業きぎょうとも新規しんき事業じぎょうげを担当たんとう。2018ねんより、グループの投資とうしファンドであるZコーポレーシ

|テキスト:渡邉わたなべ一樹かずき
編集へんしゅう:CoinDesk JAPAN
写真しゃしん:N.Avenue