石川いしかわ祐希ゆきや髙橋藍あいが途中とちゅう合流ごうりゅうでも銀ぎんメダル　男子だんしバレー日本にっぽん代表だいひょうが磨みがき続つづけた「最後さいごの１点てんを取とりきる力ちから」

2024年ねん07月がつ03日にち(水)すい07:15

石川祐希や髙橋藍が途中合流でも銀メダル　男子バレー日本代表が磨き続けた「最後の１点を取りきる力」

【チームとして目指めざした世界せかいの頂点ちょうてん】

　バレーボールの国際こくさい大会たいかい「FIVBネーションズリーグ2024」の男子だんし大会たいかいは、ファイナルラウンドが開催かいさいされたポーランドの現地げんち時間じかん６月がつ30日にちに閉幕へいまく。男子だんし日本にっぽん代表だいひょうは初はつの決勝けっしょう進出しんしゅつを果はたし、最後さいごはフランスの前まえに屈くっしたものの、過去かこ最高さいこうを更新こうしんする銀ぎんメダルを獲得かくとくした。

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　すでに予選よせんラウンド終了しゅうりょう直後ちょくごの６月がつ24日にちには、パリ五輪ごりんの代表だいひょう内定ないてい選手せんしゅ13名めいは発表はっぴょう済ずみ。

本戦ほんせんまで1カ月かげつを切きり、チームは最強さいきょうメンバーを揃そろえて集大成しゅうたいせいを迎むかえようとしている。

「HISTORY FOR TEAM JAPAN!」

　ネーションズリーグ準決勝じゅんけっしょうで日本にっぽんがスロベニアを下くだし、初はつの決勝けっしょう進出しんしゅつを決きめた際さい、FIVB（国際こくさいバレーボール連盟れんめい）は、そのような言葉ことばで快挙かいきょを称となえた。訳やくするならば、「歴史れきしが動うごいた」「歴史れきしを作つくった」といった表現ひょうげんだろう。すでにパリ五輪ごりん出場しゅつじょうを決きめていた国々くにぐには予選よせんラウンドこそ調整ちょうせいの様相ようそうもあったが、ファイナルラウンドからはフルメンバーを揃そろえていた。しかし、男子だんし日本にっぽん代表だいひょうはそれをも撃破げきは。国際こくさい大会たいかいで銀ぎんメダル以上いじょうの成績せいせきを収おさめたのは、1977年ねんのワールドカップ以来いらい（同どう大会たいかいは２位い）。

実じつに47年ねんぶりのことで、まさに新あらたな歴史れきしの１ページを刻きざんだのだ。

　振ふり返かえれば、ネーションズリーグで男子だんしチーム史上しじょう初はつの銅どうメダルを獲得かくとくしたのは1年ねん前まえのこと。最後さいごの３位い決定けってい戦せんで、2022年ねん世界せかい選手権せんしゅけんの王者おうじゃイタリアを相手あいてにフルセットの激闘げきとうを制せいしての表彰台ひょうしょうだいだった。

　2021年ねんにパリ五輪ごりんに向むけたチームが始動しどうしてから初はつのメダルとあって、その成功せいこう体験たいけんは選手せんしゅたちの自信じしんとなり、続つづくアジア選手権せんしゅけんを制覇せいは。そして秋あきのパリ五輪ごりん予選よせんを兼かねたワールドカップもオリンピック出場しゅつじょう権けん獲得かくとくを果はたしている。

　そうして臨のぞんだ今年ことしのネーションズリーグは、パリ五輪ごりんを前まえにした最後さいごの国際こくさい大会たいかいであり、貴重きちょうな実戦じっせんの場ば。

とはいえ、フィリップ・ブラン監督かんとくはネーションズリーグで「メダル獲得かくとく」という目標もくひょうを掲かかげることはしなかった。

　もちろん、ネーションズリーグ予選よせんラウンド終了しゅうりょう時点じてんでのFIVBランキングが高たかいほど、パリ五輪ごりん本番ほんばんのプール分わけ（予選よせんラウンド）で同どうランキング上位じょうい勢ぜいとの対戦たいせんを避さけられるため、ブラン監督かんとくは「（ランキングの）上位じょうい５位い以内いないを維持いじすることが大切たいせつ」と口くちにしていた。

　ただ、ネーションズリーグの予選よせんラウンドを突破とっぱするとなれば、フィリピンで実施じっしされた第だい３週しゅうからポーランドでのファイナルラウンドに臨のぞむにあたって移動いどうを要ようし、なおかつ期間きかんも短みじかいため、疲労ひろうの蓄積ちくせきが懸念けねん材料ざいりょうとなる。ゆえに指揮しき官かんは、あえてネーションズリーグでの上位じょうい成績せいせきを目標もくひょうとせず、それでも「各かく試合しあいの質しつにこだわることが重要じゅうよう。パフォーマンスが素晴すばらしければ、おのずと掲かかげる目標もくひょうは達成たっせいできる」と語かたっていた。

　一方いっぽうで、選手せんしゅたちの口くちからはギラギラとした野心やしんがうかがえた。

ネーションズリーグの目標もくひょうについて、みなが口くちを揃そろえたのは「昨年さくねん以上いじょうの成績せいせきを残のこす」ということ。この大会たいかいがパリ五輪ごりん予選よせんに向むけた最終さいしゅう調整ちょうせいの機会きかい、また個々ここに目めを向むければ、五輪ごりんメンバー入いりへの最終さいしゅう選考せんこうという側面そくめんがあったとしても、だ。日ひの丸まるをつけて国際こくさい舞台ぶたいで戦たたかう以上いじょう、「チームとしては世界せかいの頂点ちょうてんを目指めざす」。ただそれだけなのである。

【磨みがいてきた「最後さいごの１点てんを取とりきる力ちから」】

　昨年さくねんのワールドカップでパリ五輪ごりんの出場しゅつじょう権けんを獲得かくとくしたことは、コンディション調整ちょうせいを図はかりながらネーションズリーグを戦たたかうことができる"アドバンテージ"となった。

　実際じっさいに予選よせんラウンド第だい１週しゅうでは、石川いしかわ祐希ゆき、高橋たかはし藍あいを登録とうろく外がいとしてクラブシーズンからの疲労ひろう回復かいふくと調整ちょうせいに充あてている。

対たい角かくのエースふたりを欠かいても、チームは３勝しょう１敗はいと勝かち越こしに成功せいこう。ふたりが合流ごうりゅうした第だい２週しゅうも、黒星くろぼしを喫きっしたのは控ひかえメンバーで挑いどんだポーランド戦せんだけ。そして第だい３週しゅうはカナダにこそ競せり負まけたものの、フランスやアメリカという上位じょうい勢ぜいから勝利しょうりを収おさめ、結果けっか的てきにFIVBランキングは２位いまで上昇じょうしょうした。

　予選よせんラウンドは９勝しょう３敗はいで４位いの成績せいせきを収おさめ、決勝けっしょうトーナメントに進すすむことに。初戦しょせんの準々じゅんじゅん決勝けっしょうでは、予選よせんラウンドで敗やぶれたカナダにストレすとれート勝とがちでリベンジを収おさめ、続つづく準決勝じゅんけっしょうでもストレすとれート勝とがち。その試合しあいでは予選よせんラウンド首位しゅい通過つうかのスロベニアを相手あいてに、一いち歩ほも譲ゆずらぬ壮絶そうぜつなラリーも制せいするなど、実力じつりょくで押おしきって見みせた。

　そうした１点てんをもぎ取とる力ちからもまた、チームが磨みがいてきた部分ぶぶんにほかならない。２年ねん前まえの世界せかい選手権せんしゅけんの決勝けっしょうトーナメント１回戦かいせん（ベスト16）では、その前年ぜんねんに東京とうきょう五輪ごりんを制せいしたフランスを相手あいてに、一いち度どはマッチポイントに到達とうたつ。最後さいごは敗やぶれたが、それ以降いこう、選手せんしゅたちは「最後さいごの１点てんを取とりきる力ちからを」を合言葉あいことばに、それぞれ研鑽けんさんを積つんできた。着々ちゃくちゃくと身みについてきたその力ちからは、スロベニアとの準決勝じゅんけっしょうでも確たしかな成果せいかとして表あらわれたのであった。

　思おもえば、29年ねんぶりの決勝けっしょうトーナメント進出しんしゅつを果はたした東京とうきょう五輪ごりんから、男子だんし日本にっぽん代表だいひょうは数々かずかずの勲章くんしょうとともに、その歴史れきしにいくつものドラマをつづってきた。パリ五輪ごりんでは、おそらくこれまで以上いじょうに高たかいパフォーマンスを発揮はっきしてくるであろう強敵きょうてきとの対戦たいせんや、ネーションズリーグ決勝けっしょうで後塵こうじんを拝はいしたフランスへのリベンジの機会きかいも巡めぐってくるかもしれない。