夜よるしか泳およげなかった

切実せつじつな物語ものがたりを誠実せいじつに描えがいた、その先さきにある救すくい。
軽率けいそつに手てに取とって、打うちのめされるこの感かんじ。
今いまもっとも読よまれてほしい作家さっか・古こ矢や永えい塔子とうこの勝負しょうぶ作さく！
——書評しょひょう家か・藤田ふじた香織かおり氏し、大だい推薦すいせん!!


「私わたしが死しぬまでの一いち年間ねんかん、くそみたいなこの世界せかいに八やつ当あたりするのに付つき合あってくれない？」
中高生ちゅうこうせいに人気にんきのベストセラー小説しょうせつ『君きみと、青あお宙ちゅう遊泳ゆうえい』。それは、高校こうこう教師きょうし・卯之うの原はら朔さく也がかつて封印ふういんした物語ものがたりに酷似こくじしていた。
今いまは亡なき高校こうこうの同級生どうきゅうせい・日にち邑千陽ひと過すごした7年ねん前まえの夏なつ——あれは「僕ぼくたちだけの物語ものがたり」だったはずなのに。
覆面ふくめん作家さっかルリツグミの正体しょうたいを探さぐる卯之うの原ばらの前まえに、当とうの本人ほんにんが転校生てんこうせいとして現あらわれる。

「生うまれ変かわったら、深海魚しんかいぎょになるのもいいよな」
愛あいとか死しとか幸しあわせとか、その言葉ことばの本当ほんとうの意味いみを僕ぼくたちはまだ知しらなかった……。

乾かわききった心しんを潤うるおす、書かき下おろし長篇ちょうへん小説しょうせつ。