2016年ねん11月13日にちニュージーランドの地震じしんに伴ともなう地殻ちかく変動へんどう

地理ちり地殻ちかく活動かつどう研究けんきゅう
センター

合成ごうせい開口かいこうレーダー（SAR）解析かいせきによって明あきらかとなった地殻ちかく変動へんどう

作成さくせい：2016年ねん11月17日にち、更新こうしん：2016年ねん11月19日にち English version of this page

地殻ちかく変動へんどうの特徴とくちょう

2016年ねん11月13日にちにニュージーランドで大おおきな地震じしんが発生はっせいしました。これらの地震じしんに伴ともなう地殻ちかく変動へんどうを把握はあくするため、日本にっぽんの地球ちきゅう観測かんそく衛星えいせい「だいち2号ごう」（ALOS-2）に搭載とうさいされた合成ごうせい開口かいこうレーダー（PALSAR-2）のデータを使用しようしてSAR干渉かんしょう解析かいせき及およびピクセルオフセット解析かいせきを行おこないました。さらに、それらの結果けっかを利用りようして、地殻ちかく変動へんどう量りょうの3次元じげん成分せいぶんの面めん的てき分布ぶんぷを明あきらかにしました。その結果けっか、複数ふくすうの断層だんそうが複雑ふくざつに入いり組くんだ地殻ちかく変動へんどうと最大さいだい約やく10mに及およぶ隆起りゅうきを検出けんしゅつしました。

これまでの解析かいせきにより、以下いかのことがわかりました。

10cm以上いじょうの地殻ちかく変動へんどうが見みられる範囲はんいは、南北なんぼく方向ほうこうで150km以上いじょうの広域こういきに及およんでいます（図ず1）。
Kekerengu断層だんそうとHope断層だんそうの北西ほくせい側がわでは衛星えいせいに近ちかづく向むき、南東なんとう側がわでは衛星えいせいから遠とおざかる向むきの変動へんどうとなっています（図ず1）。Kekerengu断層だんそうの北西ほくせい側がわの地殻ちかく変動へんどうはHope断層だんそう沿ぞいの地殻ちかく変動へんどうに比くらべて変動へんどう範囲はんいが広ひろく、Hope断層だんそう沿ぞいに比くらべてKekerengu断層だんそうでより大おおきな滑すべりが生しょうじたと考かんがえられます。
カイクラ（Kaikoura）以北いほくの沿岸えんがんでは広ひろい範囲はんいで1m以上いじょう隆起りゅうきしました（図ず7、図ず10）。
既知きちの断層だんそうであるKekerengu断層だんそう、Jordan断層だんそう及およびHope断層だんそう沿ぞいの一部いちぶで地殻ちかく変動へんどうの不連続線ふれんぞくせんが明瞭めいりょうに見みられます。Kekerengu断層だんそうでは北側きたがわ隆起りゅうきで右みぎ横よこずれの動うごきが見みられます（図ず7-図ず10）。ずれ量りょうは最大さいだい約やく10mに及およびます。Jordan断層だんそうでは南側みなみがわ隆起りゅうきで右みぎ横よこずれの動うごきが見みられます。
Kekerengu断層だんそう南端なんたん（Jordan断層だんそう北端ほくたん）付近ふきんから南東なんとうへ直交ちょっこうする方向ほうこうに明瞭めいりょうな不連続ふれんぞくが生しょうじており、地表ちひょう地震じしん断層だんそうが現あらわれていると考かんがえられます（図ず7-図ず10）。ここでは西側にしがわ隆起りゅうきで左ひだり横よこずれとなっています。西側にしがわの隆起りゅうき量りょうは最大さいだい約やく10mに及および、南みなみ方向ほうこうへも最大さいだい6m以上いじょうの大おおきな変動へんどうがあります。
これらの地殻ちかく変動へんどうは、今回こんかいの地震じしんにより複数ふくすうの断層だんそうで複雑ふくざつに入いり組くんだ断層だんそう運動うんどうが生しょうじたことを示唆しさしています。

※　より詳細しょうさいな分析ぶんせき等とうにより、今後こんご内容ないようが更新こうしんされることがあります。

SAR解析かいせき結果けっか（干渉かんしょうSAR及およびピクセルオフセット法ほう）

画像：図1干渉画像

図ず1 ペア1のSAR干渉かんしょう解析かいせき結果けっか
[PNG: 1.53MB]

画像：図2レンジオフセット

図ず2　ペア1のピクセルオフセット解析かいせき結果けっか
（電波でんぱ照射しょうしゃ方向ほうこう）[PNG: 1.31MB]

画像：図3アジマスオフセット

図ず3 ペア1のピクセルオフセット解析かいせき結果けっか
（衛星えいせい進行しんこう方向ほうこう）[PNG: 1.32MB]

画像：図4干渉画像

図ず4 ペア2のSAR干渉かんしょう解析かいせき結果けっか
[PNG: 1.12MB]

画像：図5レンジオフセット

図ず5　ペア2のピクセルオフセット解析かいせき結果けっか
（電波でんぱ照射しょうしゃ方向ほうこう）[PNG: 0.99MB]

画像：図6アジマスオフセット

図ず6 ペア2のピクセルオフセット解析かいせき結果けっか
（衛星えいせい進行しんこう方向ほうこう）[PNG: 1.02MB]

ペア番号ばんごう	観測かんそく日び	観測かんそく時間じかん (UTC)	衛星えいせい進行しんこう方向ほうこう	電波でんぱ照射しょうしゃ方向ほうこう	観測かんそくモード *1	入射にゅうしゃ角かく	垂直すいちょく基線きせん長ちょう	KMZ
1	2016-10-18 2016-11-15	23:27頃ころ	南みなみ行こう	右みぎ	W-W	41°-49°	-63m - -86m	図ず1 7.58MB 図ず2 930KB 図ず3 812KB
2	2016-10-06 2016-11-17	13:13頃ころ	北きた行こう	右みぎ	F-F	33°-39°	-10m - -13m	図ず4 4.08MB 図ず5 81.4KB 図ず6 100KB

*1 W：広域こういき観測かんそく（Normal）、F:高こう分解能ぶんかいのう（10m）
（参考さんこう: ALOS-2プロジェクト/PALSAR-2（JAXA））

画像：解析範囲

解析かいせき範囲はんい

解析かいせき：国土こくど地理ちり院いん　　　原初げんしょデータ所有しょゆう：JAXA
本ほん成果せいかは、地震じしん予知よち連絡れんらく会かいSAR解析かいせきワーキンググループの活動かつどうを通とおして得えられたものです。

ピクセルオフセット3次元じげん解析かいせき結果けっか

[PNG: 784KB]
図ず7. 3次元じげん解析かいせき結果けっか。色いろは上下じょうげ方向ほうこう、矢印やじるしは水平すいへい方向ほうこうの変位へんい量りょうを示しめします。

画像：図8東西

図ず8　東西とうざい方向ほうこうの変位へんい量りょう
[PNG: 777KB] [KMZ: 72.2KB] [GeoTIFF: 1.77MB]

画像：図9南北

図ず9　南北なんぼく方向ほうこうの変位へんい量りょう
[PNG: 819KB] [KMZ: 65.7KB] [GeoTIFF: 1.77MB]

画像：図10上下

図ず10　上下じょうげ方向ほうこうの変位へんい量りょう
[PNG: 735KB] [KMZ: 60.6KB] [GeoTIFF: 1.77MB]

ピクセルオフセット解析かいせき結果けっかを利用りようした3次元じげん解析かいせきの原理げんり図ず。
2方向ほうこうからの結果けっかによって得えられた4方向ほうこうの変位へんい量りょうを用もちいて、最小さいしょう二に乗法じょうほうで3つの未知数みちすう（東西とうざい、南北なんぼく、上下じょうげ）を計算けいさんすることができます。

地震じしん概要がいよう

地震じしん発生はっせい日時にちじ	2016年ねん11月13日にち11時じ02分ふん（UTC）、20時じ02分ふん（JST）
震源しんげん位置いち	42.757°S、173.077°E、深ふかさ23.0 km （USGS、2016年ねん11月19日にち現在げんざい）
マグニチュード	Mw=7.8（USGS、2016年ねん11月19日にち現在げんざい）

分析ぶんせきに使用しようした人工じんこう衛星えいせい

日本にっぽんの地球ちきゅう観測かんそく衛星えいせい「だいち2号ごう」（ALOS-2）

広報こうほう・講演こうえん・論文ろんぶん発表はっぴょう

Morishita, Y., T. Kobayashi, S. Fujiwara, and H. Yarai (2017), Complex crustal deformation of the 2016 Kaikoura, New Zealand, earthquake revealed by ALOS‐2, Bull. Seismol. Soc. Am., 107(6), 2676-2686, doi:10.1785/0120170143. [html]

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