国会議員の政治資金収支報告書のオンライン提出など政治資金のデジタル化が進まない。道選管が管轄する国会議員関係政治団体のオンライン提出は、2014年から最新の22年分まで0件。義務ではないことなどから紙での提出は続いている。自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、自民は独自案でオンライン提出の義務化を盛り込んだが、現行の公開方法ではオンラインで提出されたとしても検索が難しく、外部からチェックしづらいのが実態だ。
「紙で長年提出してきたためオンライン提出は一度も考えたことがない」。会計事務を担当する道内の国会議員秘書はこう語る。
総務省は10年、約20億円かけてオンライン提出のシステムを全国に導入した。提出には申請登録が必要で、専用ソフトをダウンロードして収支などを入力。領収書をスキャンしたデータを添付して提出する。窓口に出向く必要はなく、修正もオンラインでできる。
だが、道選管によると記録が残る14年から22年分の報告書で、国会議員関係政治団体のオンライン提出はゼロ。全国的にも低迷しており、国会議員数が全国最多の東京都でも、22年の提出は計11件にとどまる。
オンライン提出が「努力義務」とされていることも普及が進まない要因だ。道内選出議員のある秘書は「窓口に紙の報告書を持参すると、職員が誤りを指摘してくれ、その場で修正もできる」と、紙提出の利点を説明。別の秘書は「紙で書類を管理、保管しているのでデジタル化すれば二度手間になる。慣れない作業でミスの可能性もある」とし、現時点でオンライン提出する考えはないという。
政治資金の流れを監視する側にとっても利便性が悪い。現行制度では、都道府県選管などがオンライン提出された報告書を印刷した上で、再度スキャンし、PDFファイルの形でネット上に公開する。画像状態で公開されるため、閲覧者が表示された数字やパーティー券の購入企業名などを容易にデータ化したり、検索したりできない。
こうした手法をとる理由について、同省は「紙で提出された報告書と公開方式をそろえるため」と説明するが、官邸関係者は「検索しやすくすることで、いろいろ探られたくない議員側の思惑もある」と漏らす。...