新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が続く北海道。読者と調査報道に取り組む「みなぶん特報班」は6月上旬、無料通信アプリ「LINE」を使って通信員(フォロワー)に、コロナ禍の日々をどのような思いで過ごしているのか尋ねた。このうち、「東京五輪」「ワクチン接種」「感染予防」について多くの意見が寄せられた。(報道センター 門馬羊次)
アンケートは6
月7~10
日の4
日間行い、191
件の
回答があった。
■東京五輪
五輪開幕までもうすぐ1カ月。複雑な思いを抱える人は少なくない。札幌市中央区の看護師の女性は「札幌で行われる五輪マラソンと競歩は、無観客にしても沿道には人が集まると思う。感染拡大が困惑する」とした上で、「本来はワクワクする五輪なのに」と嘆く。
札幌市豊平区の
派遣社員の
女性(46)は「
五輪マラソンを
札幌で
開催するのに、
道民には
移動自粛をお
願いするようなことがあったら、それは
通用しない」と
憤り、
札幌市白石区の
主婦(49)も「
五輪期間中の
外出自粛が
要請されるのかが
気になる」と
言う。
■ワクチン接種
医療従事者や高齢者らを中心に進められているワクチン接種だが、地域によって遅れも指摘されている。渡島管内七飯町の会社役員の男性(68)は「外出自粛などのストレスの中にあって、唯一の希望はワクチン接種。にもかかわらず、接種のスピードがなぜ上がらないのか」と嘆く。
大規模な接種会場では混乱もあるようだ。札幌市豊平区の主婦(56)は「母に付き添い、ホテルでの集団接種に行ったが、混雑は予想以上で『密』だった。2回目の接種に行くのが憂鬱(ゆううつ)」と打ち明けた。対象者の拡大の方法についても疑問もあった。札幌市手稲区の自営業の男性(51)は「職場接種が始まるが、一番痛い思いをしている飲食事業者を優先するべきではないか」との意見を寄せた。
情報不足への不安も少なくない。空知管内で農業に従事する女性(51)は「町の診療所で接種がどれほど進んでいるのか、報告がないので心配」。釧路管内の公務員の女性(30)は「副反応が心配。どんな反応があり、どういう人に出やすいかなど詳しく知りたい」と言う。
札幌市南区の
女性(38)は「ワクチンの
必要数は
足りていて、(
誰にも)
必ず
回って
来るのだから、『
混乱』よりも、
接種の
手順などをしっかりと
報道してほしい」と
要望。
札幌市白石区の
主婦(64)は「(
接種の
速さを)
市町村に
競わせるような
雰囲気もあるが、
大切なのは
安全に
接種を
終えること」と
指摘した。
■感染予防
コロナ禍が1年以上も続き、感染予防の意識に差を感じさせる投稿もあった。ファミリーレストランで働く札幌市東区の女性(54)は「お客さんの多さに驚いている。マスクを着けずに何時間もおしゃべりをする人もいる」と不安な思いを抱える。千歳市の会社員男性(43)は「街中などでマスクをせず、荒い呼吸で走るランナーがいると困惑する」と投稿した。
車に消毒液を常備するなど感染対策を徹底してきた苫小牧市の主婦(51)は「人との交流が少なくなり、精神的に落ち込んでいる」と打ち明ける。北見市の主婦(56)も「近所の人に会ってもあいさつをするだけ。寂しい気持ちになりますが、今は我慢。ただ、(感染収束後は)以前の付き合い方に戻れるのか不安に思う」と回答した。
札幌市北区の会社員男性(55)は「ワクチンを接種した人でもウイルスを媒介する可能性はなくならないと思うので、全国で接種が終わるまでは今の生活を続ける必要がある」と強調した。
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