＜みなぶん＞コロナ対策たいさく「１０万まん円えん給付きゅうふ」どう思おもう？　「不公平ふこうへい感かん」あらわに

2021年ねん11月19日にち 17:40

　政府せいふは新型しんがたコロナウイルス対策たいさくとして、１８歳さい以下いかへの１０万まん円えん相当そうとうの給付きゅうふを軸じくとする大型おおがたの経済けいざい対策たいさくをまとめた。読者どくしゃと調査ちょうさ報道ほうどうに取とり組くむ「みなぶん特報とくほう班はん」は１１月がつ中旬ちゅうじゅん、無料むりょう通信つうしんアプリ「ＬＩＮＥ」を使つかって通信員つうしんいん（フォロワー）に、給付きゅうふをどう評価ひょうかするか尋たずねた。「給付きゅうふするべきではない」とする回答かいとうと、給付きゅうふ要件ようけんの見直みなおしを求もとめる回答かいとうは８割わりに達たっした。給付きゅうふが「適切てきせつだ」とする回答かいとうは１割わりにとどまり、道民どうみんが給付きゅうふに対たいする不公平ふこうへい感かんを感かんじていることがうかがえる内容ないようとなった。（報道ほうどうセンター　野呂のろ有里あり、川崎かわさき学がく）

　アンケートは１１月じゅういちがつ１５～１７日にちに行おこない、３３６件けんの回答かいとうがあった。

■「給付きゅうふ」に厳きびしい視線しせん

　「１０万まん円えん給付きゅうふ」の評価ひょうかを尋たずねると、４２％が「給付きゅうふするべきではない」と回答かいとう。「所得しょとくにかかわらず、一律いちりつに給付きゅうふするべきだ」が３３％、「所得しょとく制限せいげんを引ひき上あげるべきだ」は１２％と続つづいた。給付きゅうふを「適切てきせつだ」と答こたえたのは１３％にとどまった。

　支給しきゅうの要件ようけんへの異論いろんが相次あいついだ。「世帯せたい内ないの所得しょとくが最もっとも高たかい人ひとの年収ねんしゅうが９６０万まん円えん未満みまん」とされた要件ようけんについて、札幌さっぽろ市し手稲ていね区くの６０代だい男性だんせい会社かいしゃ員いんは「仮かりに共働ともばたらきで収入しゅうにゅうが１９００万まん円えんを超こえていても、夫婦ふうふそれぞれ収入しゅうにゅうが９６０万まん円えん未満みまんであれば給付きゅうふされる。所得しょとく制限せいげんがおかしい」と批判ひはんする。札幌さっぽろ市し豊平とよひら区くの３０代だい男性だんせい会社かいしゃ員いんも「低てい所得しょとく層そうへの分配ぶんぱい機能きのうを果はたしていない」と指摘してきする。

　また、北斗ほくと市しの３０代だいの女性じょせい会社かいしゃ員いんは「子こどものいない働はたらき盛ざかりの年代ねんだいにも支給しきゅうをするべきだ。働はたらいていても、生活せいかつするだけで精せいいっぱいの人ひともたくさんいる」と訴うったえた。

　給付きゅうふ対象たいしょうとなる子こどもの年齢ねんれいを１８歳さいで区切くぎることを疑問ぎもん視しする声こえも目立めだった。オホーツク管内かんない小清水こしみず町まちの４０代だいの男性だんせい会社かいしゃ員いんは「１８歳さい以下いかの子こどもより、大学だいがくや専門せんもん学校がっこうに通かよう方ほうがお金かねがかかる」と指摘してき。大学生だいがくせいの子こどもがいる札幌さっぽろ市し豊平とよひら区くの５０代だいの男性だんせい会社かいしゃ員いんは「半年はんとし間あいだで７０万まん円えん、定期ていき代だいで毎月まいつき２万まん円えんかかる。毎月まいつきの節約せつやくに手ていっぱいだ」と、大学生だいがくせいを含ふくめた年代ねんだいまで一いち律りつで給付きゅうふをするよう求もとめる。札幌さっぽろ市し豊平とよひら区くの６０代だいの主婦しゅふは「困こまっているのは１８歳さい未満みまんだけではない。消費しょうひ税ぜいを数すう年ねんなくすなどして、国民こくみん全員ぜんいんに恩恵おんけいがある方法ほうほうをとるべきだ」と給付きゅうふに反対はんたいする。

　一方いっぽう、士別しべつ市しの４０代だいのパート女性じょせいは「子こどもにお金かねがかかるので良よい」、札幌さっぽろ市し中央ちゅうおう区くの２０代だいの男性だんせい会社かいしゃ員いんは「子育こそだて支援しえんは大事だいじだ」といい、給付きゅうふは「適切てきせつだ」と評価ひょうかした。

　給付きゅうふを巡めぐる賛否さんぴがあることに対たいし、子こどもが給付きゅうふ金きんの対象たいしょうとなる札幌さっぽろ市し西にし区くの４０代だいの会社かいしゃ員いん女性じょせいは「２０万まん円えんをもらえるが、子こどもがいなくて生活せいかつが大変たいへんな世帯せたいはたくさんある。とても複雑ふくざつな気持きもちでいっぱい」と困惑こんわくする。将来しょうらい世代せだいの負担ふたん増ぞうを懸念けねんする声こえも寄よせられ、室蘭むろらん市しの５０代だいの無職むしょく女性じょせいは「後々あとあとになって税金ぜいきんが上あがり、子こどもたちの世代せだいが困こまることは避さけてほしい」と訴うったえた。

■支給しきゅう方法ほうほうは「現金げんきんで」

　給付きゅうふを容認ようにんする人ひとに給付きゅうふ方法ほうほうについての考かんがえを尋たずねると、最多さいたの６５％が「全額ぜんがくを現金げんきんで」と回答かいとう。「全額ぜんがくをクーポンで」は１６％、現金げんきん５万まん円えんとクーポン５万まん円えんという政府せいふ方針ほうしんが「適切てきせつだ」とする回答かいとうは１２％だった。

　現金げんきんで支給しきゅうを希望きぼうする十勝とかち管内かんない広尾ひろお町まちの３０代だい主婦しゅふは「地域ちいきには子こども向むけの衣料いりょう品ひん店てんが少すくない。地域ちいき限定げんていのクーポンだとつらい」とし、都市とし部ぶと地方ちほうという環境かんきょうの違ちがいで恩恵おんけいが受うけられないことを懸念けねんする。札幌さっぽろ市し中央ちゅうおう区くの４０代だい主婦しゅふは「クーポンを塾じゅくや通信つうしん教育きょういくの支払しはらいに充あてられるのか。クーポンがあっても、１シーズンの衣料いりょう品ひんに５万まん円えんも使つかわないし、期限きげん付つきだと困こまる」と、使つかい勝手がってを気きにする。

　岩見沢いわみざわ市しの３０代だいの女性じょせい会社かいしゃ員いんも「生活せいかつにいっぱいいっぱい。生活せいかつ費ひに充あてたいと考かんがえていたのに、クーポンでは使つかい道みちと使つかう場所ばしょが限かぎられてしまう」と不満ふまんを訴うったえた。札幌さっぽろ市し西にし区くの契約けいやく社員しゃいんの４０代だい女性じょせいは「現金げんきんとクーポンの給付きゅうふは手続てつづきが煩雑はんざつになる。経費けいひも余計よけいにかかる」と、２度どに分わけての給付きゅうふの効率こうりつ性せいを疑問ぎもん視しした。

■何なにに使つかう？　最多さいたは「生活せいかつ費ひ」

　給付きゅうふ金きんを受うけ取とった場合ばあいの使つかい道みちで、最もっとも多おおかったのは「生活せいかつ費ひ」の４４％で、政府せいふがクーポンの使途しととして示しめした「教育きょういく費ひ・学費がくひ」の１８％を大おおきく上回うわまわった。次ついで「貯金ちょきん・投資とうし」が１６％で続つづいた。

　伊達だて市しで夫おっとと子こども２人にんと暮くらす３０代だいのパート女性じょせいは「どのような形かたちであっても、給付きゅうふ金きんはとても助たすかる」と評価ひょうかする。ただ「節約せつやくをしているが、毎月まいつきとても生活せいかつ費ひがかかる。給付きゅうふ金きんで貯金ちょきんはできない」と生活せいかつに余裕よゆうはないといい、給付きゅうふ金きんは必要ひつような買かい物ものに使つかう予定よていという。

　十勝とかち管内かんない幕別まくべつ町まちの３０代だいの農業のうぎょうの女性じょせいは給付きゅうふ金きんの支給しきゅうを「適切てきせつ」と考かんがえているが、「給付きゅうふ金きんで生活せいかつするのは難むずかしい。すべての人ひとが働はたらける環境かんきょうを整ととのえることが先決せんけつだ」とした。石狩いしかり市しの５０代だいの女性じょせい会社かいしゃ員いんは「給付きゅうふはばらまきだ。子育こそだてしやすい環境かんきょうを国くにが地方ちほうと協力きょうりょくして整ととのえてほしい」と、給付きゅうふ金きんによる一時いちじ的てきな対策たいさくではなく、根本こんぽん的てきな子育こそだて支援しえん策さくの見直みなおしを求もとめた。

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　北海道新聞ほっかいどうしんぶんは、読者どくしゃのリクエストに記者きしゃが取材しゅざいして応こたえる「みんなで探さぐるぶんぶん特報とくほう班はん」（みなぶん）をスタートさせました。

　この手法しゅほうは「オンデマンド調査ちょうさ報道ほうどう」（ＪＯＤ＝Ｊｏｕｒｎａｌｉｓｍ　Ｏｎ　Ｄｅｍａｎｄ）と呼よばれ、読者どくしゃと記者きしゃが会員かいいん制せい交流こうりゅうサイト（ＳＮＳ）やメールなどを通つうじて情報じょうほう交換こうかんしながら取材しゅざいを進すすめていく双方向そうほうこう型がたの新あらたな調査ちょうさ報道ほうどうとして注目ちゅうもくされています。