井上誠耕園いのうえせいこうえんのはじまりは1940年ねん、初代しょだい井上いのうえ太子たいし治ち（たすじ）が植うえた一本いっぽんのみかんの苗木なえぎでした。その先人せんじんたちの思おもいがいま、私わたしたちの園地えんちに実みのる5,000本ほんのオリーブや柑橘かんきつとなっています。

園地えんちにオリーブの木きが植うえられたのが1946年ねん。雨あめが少すくなく温暖おんだんな瀬戸内海せとないかいの気候きこうと、水みずはけのよい土壌どじょうのおかげで、オリーブは小豆島しょうどしまを代表だいひょうする産品さんぴんとなります。

二に代目だいめの勝由かつよし（かつよし）は、オリーブの実みの加工かこう方法ほうほうを学まなび、やがてオイルの製造せいぞう、販売はんばいまでを行おこなうようになります。
いま、私わたしたちの園地えんちに実みのる柑橘かんきつやオリーブの木きは、想おもいのこもった最初さいしょの苗木なえぎと、先人せんじんたちの努力どりょくと苦労くろうがあってできたものなのです。

オリーブオイルの品質ひんしつは、オリーブの実みで決きまります。
よい実みを収穫しゅうかくするためには、木きを健康けんこうに保たもつこと。木きを健康けんこうに保たもつためには、健康けんこうな土どをつくること。農業のうぎょうというのは、結局けっきょくそういうことなのです。

日本にっぽんのオリーブの歴史れきしは、1908年ねんにはじまりました。
オリーブオイルを作つくるために三さん県けんで試験しけん栽培さいばいされたのですが、根ねづいたのは小豆島あずしまだけ。それは、雨あめが少すくなく温暖おんだんな瀬戸内海せとないかいの気候きこうと、水みずはけのよい土壌どじょうのおかげと言いわれています。

でも、その水みずはけのよい斜面しゃめんは機械きかいを使つかった効率こうりつ的てきな作業さぎょうには不向ふむき。草刈くさかりも剪定せんていも人ひとの手てでていねいに行おこない、秋あきになったら、ひと粒つぶひと粒つぶ収穫しゅうかくします。

そうやってできた新鮮しんせんなオリーブオイルには、ほんとうに豊ゆたかな香かおりとおいしさが宿やどります。

より多おおくの方ほうにオリーブの素晴すばらしさを届とどけたい。でも、小豆島あずしまの生産せいさん量りょうには限かぎりがあります。2005年ねん、私わたしたちはスペインでいくつものオリーブ農家のうかを訪たずね、ルケさん一家いっかに出会であいました。

ルケさん一家いっかは、アンダルシア地方ちほうコルドバの丘おかで大だい規模きぼにオリーブを育そだてる農家のうか。
自然しぜんのサイクルを大切たいせつにした有機ゆうき農法のうほうにこだわり、長年ながねん実践じっせんしていました。私わたしたちは、彼かれらの農業のうぎょうに対たいする想おもいとオリーブへの愛情あいじょうに触ふれ、「この人ひとたちが作つくるものなら間違まちがいない」と確信かくしんすることができたのです。

オーストラリアで出会であったエドさん、マイケルさんとは「新鮮しんせん檸檬レモンオリーブオイル」をともに開発かいはつ。レモンの爽さわやかな香かおりが溶とけ込こんだフレーバーオイルを、日本にっぽんの夏なつにお届とどけできるようになりました。国境こっきょうや言葉ことばの壁かべを超こえて、納得なっとくのいくまで議論ぎろんを重かさね、築きずいてきた信頼しんらいの絆きずなは、世代せだいが変かわっても続つづいていくことでしょう。

国立こくりつ公園こうえんに指定していされた瀬戸内海せとないかいには、島々しまじまが織おりなす風光ふうこう明媚めいびな風景ふうけいと、人ひとの手てによって受うけ継つがれてきた数々かずかずの名産めいさん品ひんがあります。しかし、近年きんねんは量産りょうさん化かや機械きかい化かの波なみにもまれ、伝統でんとう産業さんぎょうが衰退すいたいに向むかっている現実げんじつもあります。

私わたしたちは、この豊ゆたかな食しょく文化ぶんかをもっと多おおくの方ほうに知しってもらいたいという思おもいから「小豆島しょうどしませとうち感謝かんしゃ館かん」という事業じぎょうを立たち上あげました。
便利べんりさの影かげで失うしなわれつつある手作てづくりの良よさ、手間てまひまをかけることの大切たいせつさを、絶たやすことなく伝つたえていけたらと思おもいます。