神嘗祭かんなめさいは、神宮じんぐうで最もっとも古ふるい由緒ゆいしょをもち、天皇陛下てんのうへいかの大だい御ご心しんを体からだして、天照大御神あまてらすおおみかみに新穀しんこくを奉まつり収穫しゅうかくの感謝かんしゃを捧ささげる祭典さいてんです。

明治めいじ時代じだいの改暦かいれき以前いぜんは9月に行おこなわれていましたが、現在げんざいは10月15日にちの興きょう玉だま神祭しんさいから始はじまり、続つづいて御ご卜ぼくが行おこなわれます。御ご卜ぼくは祭主さいしゅ以下いかの神職しんしょくが神嘗祭かんなめさいの奉仕ほうしに適かなうかをお伺うかがいする儀式ぎしきです。

翌よく16日にち、皇すめらぎ大神宮だいじんぐうで午後ごご10時じに由貴ゆき夕ゆう大だい御ご饌ゆきのゆうべのおおみけ、17日にち午前ごぜん2時じに由貴ゆき朝ちょう大だい御ご饌ゆきのあしたのおおみけが行おこなわれます。由貴ゆき大だい御ご饌とは清浄せいじょうで立派りっぱな食事しょくじという意味いみで、海川うみかわ山野さんやのお供そなえ物ものを取とり揃そろえ、神田かんだで収穫しゅうかくされた新米しんまいを玄米げんまいのまま蒸むして土器どきに盛もり、御ご餅もちをつき、白酒しろざけしろき黒酒くろきくろきのお酒さけを醸かもしてお供そなえします。17日にちの正午しょうごには、天皇陛下てんのうへいかが遣つかわされた 勅使ちょくしちょくしが幣帛へいはくへいはくをご奉納ほうのうになる奉幣ほうへいほうへいが行おこなわれ、同日どうじつ天皇てんのうは皇居こうきょの神かみ嘉よしみ殿どのしんかでんにて皇すめらぎ大神宮だいじんぐうを御ご遙拝ようはいになられます。最後さいごに夕刻ゆうこく、御ご祭神さいじんを和なごめるために御ご神楽かぐらが行おこなわれます。

神宮じんぐうのお祭まつりは、外宮げくう先さき祭さいといってまず外宮げくうで祭儀さいぎが行おこなわれる習ならわしがありますので、内宮ないくうに先せんだって外宮げくうで15日にちから16日にちにかけて由貴ゆき大だい御ご饌・奉幣ほうへい・御神楽みかぐらが行おこなわれます。

また、天皇陛下てんのうへいかは皇居こうきょの御田みたでお育そだてになられた御ご稲穂いなほを神宮じんぐうに御ご初穂はつほとして御ご献けんじ進すすむになり、両りょう正せい宮みやの内うち玉垣たまがきうちたまがきに奉たてまつ懸がかされます。内うち玉垣たまがきには全国ぜんこくの農家のうかが奉献ほうけんほうけんした稲穂いなほも懸かけられており、それは懸かか税ぜいかけちからと呼よばれます。そこには天皇てんのうと国民こくみんの収穫しゅうかく奉たてまつ謝しゃの真心まごころが一体いったいとなった光景こうけいが見みられます。

このように神嘗祭かんなめさいは、諸しょ神かみに先立さきだち収穫しゅうかくの感謝かんしゃを天照大御神あまてらすおおみかみに捧ささげ、翌よく11月がつに天皇陛下てんのうへいかは新嘗祭にいなめさいを行おこなわれて天神てんじん地祇ちぎすべての神かみ々に収穫しゅうかくを感謝かんしゃされるのです。古来こらいお米こめを主食しゅしょくとして生いきてきた日本人にっぽんじんにとり、神嘗祭かんなめさいは重要じゅうような祭儀さいぎであり、その意義いぎは今日きょうも古代こだいから一貫いっかんして変かわることはありません。