宮みや域いき林りんは、内宮ないくうの御ご鎮座ちんざ当時とうじから神路かんじ山さん・天てん照山てるやま・神垣かみがき山さんなどと呼よばれ、大御神おおみかみの山やまとして崇あがめられていました。天武てんむてんむ 天皇てんのうの御代みよに式年しきねん遷宮せんぐうの制度せいどが確立かくりつされ、第だい1回かい式年しきねん遷宮せんぐう（690）が行おこなわれた際さい、宮みや域いき林りんは御ご造営ぞうえい用材ようざいを伐きり出だす「御ご杣山そまやまみそまやま」として定さだめられました。その後ご、御ご用材ようざいの欠乏けつぼうにより御ご杣山そまやまは他たの場所ばしょに移うつりましたが、今いまでも式年しきねん遷宮せんぐうの最初さいしょのお祭まつりである山口やまぐち祭さいやまぐちさい・木本もくほん祭さいこのもとさいは宮みや域いき林りんで行おこなわれており最もっとも神聖しんせいな「心こころ御ご柱はしらしんのみはしら」もここから伐きり出だしています。

このように宮みや域いき林りんは、古ふるくから神宮じんぐうの境内けいだい地ちとして管理かんりされてきた由緒ゆいしょのある森林しんりんです。式年しきねん遷宮せんぐう　御ご神木しんぼくのお祭まつり

神宮じんぐうの宮みや域いきは神域しんいきと宮みや域いき林りんに分わけられ、神域しんいきの森林しんりんは神宮じんぐうの尊厳そんげんを保たもつことを目的もくてきとして自然しぜんの保護ほごに努つとめるのに対たいし、宮みや域いき林りんでは五十鈴川いすずがわの水源すいげんの涵養かんようかんよう、宮みや域いきの風致ふうち増進ぞうしん、そして将来しょうらいの遷宮せんぐうを見据みすえた御ご造営ぞうえい用材ようざいの育成いくせいを目的もくてきとしています。御ご造営ぞうえい用材ようざいは、式年しきねん遷宮せんぐうの度たびに元々もともとは自然しぜん林りんであった宮みや域いき林りんから供給きょうきゅうしていましたが、鎌倉かまくら時代じだい後期こうきから檜ひのきの良材りょうざいが採とれなくなり、近隣きんりんの山さんや美濃みのみのの山やま、更さらには江戸えど時代じだい中期ちゅうきからは木曽きそきその森林しんりんから供給きょうきゅうされるようになりました。

そこで神宮じんぐうでは昔むかしと同おなじように宮みや域いき林りんからまかなえるように大正たいしょう12年ねん(1923)に檜ひのきの人工じんこう林りんを計画けいかく的てきに管理かんりし育そだてていく「神宮じんぐう森林しんりん経営けいえい計画けいかく」を策定さくていしました。必要ひつようとされる御ご造営ぞうえい用材ようざいの中なかには直径ちょっけい１メートルを超こえるものもあり、間伐かんばつを繰くり返かえしながら成長せいちょうを促進そくしんし、200年ねんで目標もくひょうとする檜ひのきが育成いくせいできるよう取とり組くんでいます。その中なかで62回かい目めの遷宮せんぐうでは間伐かんばつ材ざいかんばつざいではありますが、約やく700年ねんぶりに宮みや域いき林りんから御ご造営ぞうえい用材ようざいの一部分いちぶぶんを供給きょうきゅうすることができました。