宮中きゅうちゅうの御神楽みかぐらの中なかに「其駒そのこま」という曲きょくがあり、神楽かぐら人じんの長ちょうが舞まうので「人ひと長ちょう舞まい」といいます。
舞まい人じんは葦あしに千鳥ちどり模様もようを青あお摺すりあおずりにした小しょう忌き衣ころもおみごろもをつけ、手てには御鏡おかがみを模もした白しろい輪わのついている榊さかきを持もち1人ひとりで舞まいます。舞まい振ぶりは落おちついた神々こうごうしいもので、いわれもめでたい歌舞かぶとして尊重そんちょうされています。
倭やまと舞まいには現代げんだい的てきな華はなやかさがあるのに対たいし、人ひと長ちょう舞まいは上代じょうだい的てきな幽玄ゆうげんさがあるといえます。

雅楽ががくには、日本にっぽん古来こらいの歌うたや舞まいの系譜けいふをひく国風くにぶり歌舞かぶくにぶりのうたまい、5世紀せいきから10世紀せいきにかけて中国ちゅうごく大陸たいりくや朝鮮半島ちょうせんはんとう、また林はやし邑ベトナム、天竺てんじくインドなどから渡来とらいした外来がいらい音楽おんがく、11世紀せいきごろ日本にっぽんの宮廷きゅうていで流行りゅうこうした朗詠ろうえいろうえい・催馬楽たのしさいばらという3種類しゅるいの種目しゅもくがあります。
国風くにぶり歌舞かぶには御神楽みかぐらみかぐら・倭やまと舞まい・東遊あずまあそびあずまあそびなどがあり、特徴とくちょうとして歌うたが中心ちゅうしんで、和琴わごん・笏しゃく拍子ひょうしなどの楽器がっきを伴奏ばんそうに用もちい、多おおくは神事しんじに関かかわって演奏えんそうされます。
外来がいらい音楽おんがくには、中国ちゅうごく大陸たいりくから渡来とらいした唐楽とうがくとうがくと、朝鮮半島ちょうせんはんとうから伝つたわった高麗こうらい楽らくこまがくとがあります。唐楽とうがくには笙しょうしょう・篳篥ひちりき・龍りゅう笛ふえりゅうてき・羯鼓かっこかっこ・太鼓たいこたいこ・鉦鼓しょうこしょうこなど、高麗こうらい楽らくには高麗こうらい笛ふえこまぶえ・篳篥ひちりき・太鼓たいこ・鉦鼓しょうこ・三さんノ鼓こさんのつづみなどの楽器がっきを用もちいます。
これら唐楽とうがく・高麗こうらい楽らくを伴奏ばんそうとする舞まいを舞楽ぶがくといいます。唐楽とうがくの舞まいは左ひだり舞まいさまいと呼よばれ、赤色あかいろを基調きちょうとする装束しょうぞくを着つけて舞まうのに対たいし、高麗こうらい楽らくの舞まいは右みぎ舞まいうまいといい、緑色みどりいろを基調きちょうとする装束しょうぞくで舞まいます。

朗詠ろうえい・催馬楽らくは古ふるい民謡みんようや漢詩かんしに、雅楽ががく風ふうの旋律せんりつをつけた優雅ゆうがな歌曲かきょくです。
神宮じんぐうで伝承でんしょうしている雅楽ががくは、国風くにぶり歌舞かぶ・舞楽ぶがくを含ふくめ数すう十じゅう種類しゅるいに及および、春はると秋あきの神楽かぐら祭さいでは、内宮ないくう神苑しんえんの特設とくせつ舞台ぶたいで公開こうかい舞楽ぶがくも行おこなわれます。