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東海道新幹線の新型車両「N700S」はリニア時代の布石:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

東海道新幹線とうかいどうしんかんせん新型しんがた車両しゃりょう「N700S」はリニア時代じだい布石ふせき杉山すぎやま淳一じゅんいちの「週刊しゅうかん鉄道てつどう経済けいざい(3/4 ページ)

» 2016ねん07がつ01にち 0800ふん 公開こうかい

編成へんせいえと「標準ひょうじゅん車両しゃりょう」の意味いみ

 N700Aまでの新幹線しんかんせん車両しゃりょうとN700Sのおおきなちがいは「標準ひょうじゅん車両しゃりょう」という基本きほん方針ほうしん採用さいようだ。N700Aまでの東海道新幹線とうかいどうしんかんせん車両しゃりょうは16りょう編成へんせいという固定こてい概念がいねんがあった。この固定こてい概念がいねんをN700Sはてた。モーターに電流でんりゅうおく機器きき配置はいちかんするかんがかた変更へんこうした。ここで、電車でんしゃ床下ゆかした搭載とうさいする機器ききについて理解りかいしておきたい。

 たとえば、路面ろめん電車でんしゃのように1りょう運行うんこうする電車でんしゃは、運転うんてんだいもモーターも変圧へんあつしゅ変換へんかん装置そうちもすべて1りょうせる必要ひつようがある。しかし、複数ふくすう車両しゃりょう連結れんけつする通勤つうきん電車でんしゃでは、1りょうにすべて機器きき搭載とうさいすると重量じゅうりょううえ製造せいぞう費用ひようたかくなる。そこでかんがされた方式ほうしきが「MM'ユニット方式ほうしき」だ。モーター車両しゃりょうを2りょう1くみとして、パンタグラフ、変圧へんあつしゅ変換へんかん装置そうちなどは2りょう共有きょうゆうする。

 2りょう1くみ電動でんどうしゃ先頭せんとうしゃつくれば、最低さいてい4りょう編成へんせい運行うんこうできる。あとはMM'ユニットをやせば6りょう、8りょう、10りょう編成へんせいと2りょうずつやせる。車両しゃりょうは3種類しゅるいだけだから、列車れっしゃかずおおいほど量産りょうさん効果こうかがある。ただし、新幹線しんかんせん車両しゃりょうのように電車でんしゃ性能せいのうげると変圧へんあつしゅ変換へんかん装置そうちなどもおおきくなるため、2りょう1くみ床下ゆかしたにはみきれない。

 16りょう編成へんせい前提ぜんていならば、効率こうりつ大型おおがた装置そうち自由じゆう配置はいちできる。N700Aの場合ばあいは4りょうで1くみ。それが運転うんてんだい車両しゃりょう有無うむで2種類しゅるいあった。1くみとなる4りょうはすべてことなる機能きのうっていたから、車両しゃりょう種類しゅるいは8種類しゅるいになる。16りょう編成へんせいでは2種類しゅるいのユニットを4つわせていた。

 この設計せっけいのまま12りょう編成へんせい、8りょう編成へんせい場合ばあいは、4りょう1くみかず変更へんこうすればいいという単純たんじゅんはなしではない。運転うんてんだい車両しゃりょうにはモーターを搭載とうさいしていないから、電動でんどうしゃ電動でんどうしゃ比率ひりつわってしまう。16りょう編成へんせい電動でんどうしゃ比率ひりつたかく、8りょう編成へんせい電動でんどうしゃ比率ひりつひくくなる。つまり16りょう編成へんせいと8りょう編成へんせいおな性能せいのうにはならない。

 そこで8りょう編成へんせい場合ばあい運転うんてんだい車両しゃりょう電動でんどうしゃとし、あらた4りょう1くみ設計せっけいをやりなお必要ひつようがある。N700Aは東海道とうかいどう山陽新幹線さんようしんかんせんようの16りょう編成へんせいのほかに、山陽さんよう九州きゅうしゅう新幹線しんかんせんようの8りょう編成へんせいがある。ただ車両しゃりょうすうらしてうち外装がいそう意匠いしょうえただけではない。専用せんよう設計せっけいしている。

 かつて0けい、100けいは、東海道とうかいどう山陽新幹線さんようしんかんせんけの16りょう編成へんせいを8りょうや6りょう短縮たんしゅくし、山陽新幹線さんようしんかんせんない専用せんよう使つかまわした。これはMM'ユニット方式ほうしきだからできた。500けいは4りょう1くみ設計せっけいだったから、短縮たんしゅくするために改造かいぞう手間てまひまをようした。その教訓きょうくんから、3りょう1くみ設計せっけいされた300けい編成へんせい短縮たんしゅく実施じっしされず、700けい以降いこうはじめから8りょう編成へんせい新造しんぞうしている。

 N700Sは16りょう編成へんせい前提ぜんていの4りょう1くみ方式ほうしきをやめた。SiC素子そし採用さいよう床下ゆかした機器きき小型こがたされ、機器きき分散ぶんさん配置はいち必要ひつようがなくなったからだ。それまで6種類しゅるいあった電動でんどうしゃを2種類しゅるいらし、先頭せんとうしゃ2種類しゅるいわせて4種類しゅるいにとどめた。その結果けっかとして、N700Sは16編成へんせい以外いがい編成へんせい車両しゃりょうすうにも対応たいおうできる。もう東海道とうかいどう山陽新幹線さんようしんかんせん専用せんようではない。たん編成へんせい運用うんようしたい新幹線しんかんせんにも通用つうようする。これが標準ひょうじゅん車両しゃりょう意図いとである。

N700Sは電動車の種類を減らし、16両固定編成の概念を捨てた(出典:JR東海報道資料) N700Sは電動でんどうしゃ種類しゅるいらし、16りょう固定こてい編成へんせい概念がいねんてた(出典しゅってんJR東海とうかい報道ほうどう資料しりょう

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