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ワンセグは“一瞬、一瞬が勝負”、刹那的なユーザーをどう取り込むか――NHKの田中氏:テレビ局に聞く、ワンセグの今とこれから - ITmedia Mobile

ワンセグは“一瞬いっしゅん一瞬いっしゅん勝負しょうぶ”、刹那せつなてきなユーザーをどうむか――NHKの田中たなかテレビ局てれびきょくく、ワンセグのいまとこれから

» 2008ねん06がつ06にち 1919ふん 公開こうかい
[石川いしかわあつしITmedia]

 2006ねん4がつにワンセグのほん放送ほうそうはじまってから2ねん――。いまやワンセグは、ケータイにほぼ標準ひょうじゅん装備そうびされる機能きのうとなり、端末たんまつラインアップが増加ぞうかつづけている。また、ほう改正かいせいにより4がつからサイマル放送ほうそう解除かいじょされるなど、あらたなうごきもはじめている。これにともない、日本にほんテレビはナイターの延長えんちょうせんをワンセグ独自どくじ放送ほうそうするトライアルを開始かいしし、NHKは来春らいしゅんから教育きょういくテレビでワンセグの独自どくじ放送ほうそう開始かいしすると発表はっぴょうした。

 家庭かていがたテレビとは視聴しちょうスタイルもニーズもことなる“ワンセグ”というしんサービスをがけたテレビ局てれびきょくは、この2年間ねんかんなにて、それを今後こんご放送ほうそうにどうかそうとしているのか。NHKでデータ放送ほうそう通信つうしん連携れんけいサービスをがける編成へんせいきょく デジタルサービス田中たなかひろしふく部長ぶちょうに、ワンセグ開始かいしからこれまでのあゆみと今後こんご展開てんかいについてはなしいた。

Photo NHK 編成へんせいきょくデジタルサービス田中たなかひろし

ITmedia ワンセグのほん放送ほうそう開始かいしされてから、2ねん経過けいかしました。まずは率直そっちょく感想かんそうをおかせください。

田中たなか ワンセグはじつ面白おもしろいメディアです。着実ちゃくじつにユーザーにれられ、興味きょうみたれていると実感じっかんしています。

 個人こじんてき見解けんかいになりますが、帰宅きたく途中とちゅうよる24だい山手やまてせん中央ちゅうおうせん車内しゃない観察かんさつしていると、ユーザーが着実ちゃくじつえているのがかりますね。NHKは24だいに「EYES」という若者わかものけの番組ばんぐみ編成へんせいしており、こうした番組ばんぐみ車内しゃない視聴しちょうえることを期待きたいしています。

 ワンセグが開始かいしされた2006ねん当時とうじは、サッカーワールドカップのなま中継ちゅうけいを19だい深夜しんや放映ほうえいしていましたが、19だいまちてあたりを見回みまわしても、ケータイでているじんがいなくてがっかりした記憶きおくがあります。NHKから渋谷しぶやえきのホーム、さらに新宿しんじゅくえきまであしばしてワンセグをているユーザーをさがして、ようやくつけたとおもったら、当時とうじボーダフォンが発売はつばいしていたアナログテレビだった――というくらい、ワンセグ聴者ちょうしゃがいなかった(笑)

ITmedia この2年間ねんかん、どのタイミングでユーザーの手応てごたえをかんじましたか

田中たなか 放送ほうそう当初とうしょは“そう簡単かんたん反応はんのうはこない”ことを実感じっかんしたのですが、そのの2年間ねんかんは、ユーザーが着実ちゃくじつえている印象いんしょうけます。

 とく顕著けんちょ手応てごたえをかんはじめたのは、去年きょねんはるぐらいです。わたしたちは、年末ねんまつ紅白こうはく歌合戦うたがっせん番組ばんぐみ連動れんどうしたデータ放送ほうそう配信はいしんしているのですが、1ねんと2ねんとでは視聴しちょうしゃ反応はんのうあきらかにちがいましたね。2007ねんまつ紅白こうはくは、しっかりとした手応てごたえがありました。

 データ放送ほうそうはBS、地上波ちじょうは12セグ、ワンセグで提供ていきょうしていますが、ワンセグのデータ放送ほうそうのリアクションがおおきくうごはじめています。日々ひびうごきでると微々びびたるものでしかありませんが、1ねん単位たんい区切くぎってみると、リアクションは変化へんかしており、ニーズもえている。地上波ちじょうは12セグとケータイサイトとワンセグでは、すこしずつ使つかかたちがうようです。法則ほうそくがあるのか、たまたまなのか傾向けいこうがあるのかは分析ぶんせきしながらやっている状態じょうたいですね。

ITmedia ワンセグのデータ放送ほうそうならではのられほうというのがあるのでしょうか。

田中たなか ワンセグは、視聴しちょうしゃ本当ほんとうに「刹那せつなてき」なんです。“一瞬いっしゅん一瞬いっしゅん勝負しょうぶ”といったところでしょうか。実際じっさい、ワンセグの番組ばんぐみ連動れんどうしないデータ放送ほうそう独立どくりつ情報じょうほう)は、ケータイサイトよりも緩慢かんまんうごきになっています。

 テレビ放送ほうそう番組ばんぐみわせたデータ放送ほうそうおこなうと、番組ばんぐみないびかけるまではなんのリアクションもなかったりするのですが、出演しゅつえんしゃびかけるとその瞬間しゅんかんにどーんとアクセスがて、放送ほうそうわるとアクセスもすぐにわる――ということがある。これは面白おもしろうごきですね。地上波ちじょうは12セグでも通信つうしん連携れんけいをやっていますが、ワンセグはそれよりも緩急かんきゅうはげしい。ワンセグは、るときはる、ないときは本当ほんとうにこないんです。これまでわたしは、ディレクターやプロデュースにちか仕事しごとたずさわってきましたが、こんなに“られかたむずかしいテレビ”はないとおもいます。

 いままでのテレビ番組ばんぐみというのは、番組ばんぐみが0000ふんからはじまって44ふん30びょうわる場合ばあいテレビ局てれびきょくがわとしては『一瞬いっしゅんたりとものがさずにてもらいたい』というおもいで番組ばんぐみつくっています。しかし、いま視聴しちょうしゃは『ながら視聴しちょう』をしているので、きさせないように5ふんに1かいがる場面ばめんつくって、視聴しちょうしゃをステイさせようとする。もし、きて(のチャンネルに)げてしまっても、かえってきてもらえるようにするんです。

 しかしワンセグは、そので“つまらない”とおもったら、かえってこないひとおおい。つまり、これまでのテレビの常識じょうしき通用つうようしないわけです。そういうことをかんがえなければならないのがむずかしくもあり、面白おもしろくもありますね。

Photo

ITmedia “ワンセグだからこそ”の課題かだいというのはどんなところでしょうか

田中たなか がたのテレビというのはあるしゅ視聴しちょうしゃあいだで『絶対ぜったい時間じかん共有きょうゆう』があるわけです。だからこそ、使つかえるモノやパワーもある。一方いっぽうのワンセグは、おなじテレビなのですが、“オンデマンドがたのニーズにったテレビ”ともいえます。しかし、そもそもがケータイなので“必要ひつようときる”だけで、ひまなときにつける性格せいかくのものではない。

 BSなどのしんチャンネルががったときは、最初さいしょはネタでって視聴しちょうしゃてもらうことからはじまります。“いかにチャンネルをつけてもらうか”が重要じゅうようで、そこから日常にちじょうてき視聴しちょうしゃになってもらうための道筋みちすじがある。しかし、いまのワンセグはそうはかない。まさに、編成へんせいろんにつきあたっているようながします。

 もう1ついえるのは、NHKという公共こうきょう放送ほうそう社会しゃかいてき使命しめいたす必要ひつようがあるということです。民放みんぽう民放みんぽうで、ビジネスとしてまわさなくてはならない。またワンセグは、2リンクへぶと、テレビ映像えいぞうえてしまうので、そこもかんがえる必要ひつようがあります。

 いま編成へんせいろん公共こうきょう放送ほうそうろんみだれており、それらのこたえをみちびきだすのが現場げんばのテーマになっています。

ITmedia ユーザーのワンセグの視聴しちょうスタイルを調しらべてみると、自宅じたくがたのテレビをながら、さらにワンセグ経由けいゆテレビ局てれびきょくのサイトにアクセスする――というポータルてき使つかかたもあるようです。そのあたりは、放送ほうそうきょくとしてどのようにかんがえているのでしょうか。

田中たなか “テレビをてもらえるまど”がえたのはいいことだとおもっています。リモコンを意志いしよりも、サイトに接続せつぞくしてもらったほうがいいですし。ただ、“だい2のテレビ”としててもらえるのは歓迎かんげいすべきことですが、それをきっかけにおおきなテレビでてもらいたいというのはあります。

ITmedia もう1つ、ユーザーからの本音ほんねわせていただくと、AQUOSケータイやVIERAケータイの使つか勝手がってからもかるように、どうしてもディスプレイはよこにしててしまいがちです。テレビ局てれびきょく用意よういしているデータ放送ほうそうはあまりられていないようながするのですが、こうした視聴しちょう動向どうこうをどのようにていますか。

田中たなか データ放送ほうそうであろうとよこ画面がめんであろうと、きょく視聴しちょうしてもらえる機会きかいえたのは歓迎かんげいすべきことです。

 たしかにデータ放送ほうそうへのリターンりつやアクセスりつになるのは事実じじつですが、それも“ワンセグをてもらわないこと”にははじまりません。

 “あきらめている”というのではなく、まずはたてであろうがよこであろうが、NHKをてもらいたいというのが本音ほんねで、そこからこのさきかんがえたい。だからこそ、もっとてもらうための工夫くふうはしていきたいですね。

Photo 4がつからリニューアルしたNHKのデータ放送ほうそう画面がめん

ITmedia ユーザーに画面がめんたてにして使つかってもらう“秘策ひさく”はありますか。

田中たなか まずは、たてにするニーズをつくっていくつもりです。たてにすることを日常にちじょうにしていくためにどうするかはつぎにくる課題かだいです。

 たとえば2007ねんまつ紅白こうはく歌合戦うたがっせんでは、司会しかいしゃ住吉すみよし美紀みきアナウンサーに「投票とうひょうをおちしています。ワンセグをたてにしてください」とってもらいました。そこでデータ放送ほうそう誘導ゆうどうして投票とうひょううながしたわけです。これは視聴しちょうしゃはんおうもよく、成功せいこうれいといえるでしょう。“必要ひつよう情報じょうほう個々ここられる、自分じぶん必要ひつようおうじた情報じょうほうられる”といったことを訴求そきゅうするのは重要じゅうようだとおもいます。

ITmedia NHKの場合ばあい地方ちほうきょくとの連携れんけいもあるかとおもいますが、そのあたりのみはどうなっていますか。

田中たなか NHKは1法人ほうじん全国ぜんこくをカバーしており、ここが民放みんぽうおおきくちがうところでもあります。

 ここ2年間ねんかん、ワンセグにおいては全国ぜんこくいちりつ地域ちいきつくらずに番組ばんぐみ提供ていきょうしてきましたが、3月31にちからは地域ちいき放送ほうそうきょく独自どくじデータ放送ほうそう開始かいししました。これにより、全国ぜんこく地域ちいき情報じょうほうわせててもらえるようになった。9つのメニューのうち、3つを地方ちほうきょく上書うわがきできる仕組しくみです。たとえば“福岡ふくおかはホークス、北海道ほっかいどうはファイターズ”といった具合ぐあいです。

ITmedia データ放送ほうそう操作性そうさせいわるが、ワンセグ開始かいし当初とうしょくらべるとかなりわっているのですね。

田中たなか いまはNHKのデータ放送ほうそうでは、全国ぜんこく地域ちいきのニュースがえるようになっており、よりおおくの誘導ゆうどうができるようになっています。

 ワンセグ放送ほうそう画面がめんしたにある9のアイコンがメニューボタンになっていて、告知こくちやキャンペーンも表示ひょうじされます。2007ねんからMLB速報そくほう提供ていきょうしており、中継ちゅうけいがないときにも情報じょうほうはいってくるので便利べんりになったのではないでしょうか。

 放送ほうそう編成へんせいにとらわれないコンテンツも表示ひょうじしており、「まだ整理せいりしきれていないけど、つけてね」といったところです。

ITmedia 今後こんご、NHKはワンセグをどのように活用かつようしていきますか。

田中たなか ドラマなどでは、データ放送ほうそう経由けいゆのアンケートで番組ばんぐみ評価ひょうかしてもらい、番組ばんぐみ演出えんしゅつかすというこころみもあります。ネットのアンケートと、ハガキでせられる意見いけんにはちがいがあります。ワンセグでは、まずはそので『いまてどうだった?』というアンケートをやってみようということになりました。

 課題かだい多々たたありますが、NHKとしてはワンセグを、より視聴しちょうしゃのニーズにんだ、よりふかいリアクションをもとめるツールにしたいとかんがえています。

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