5G活用かつようも視野しやに　KDDIの「スマートドローン」が6月がつにサービス開始かいし

[田中たなか聡さとし，ITmedia]

　KDDIが、モバイル通信つうしんに対応たいおうした「スマートドローン」のプラットフォームを活用かつようした法人ほうじん向むけサービスを、2019年ねん6月がつから順次じゅんじ提供ていきょうする。

　auのスマートドローンプラットフォームは、ドローンの機体きたい、通信つうしんサービス、気象きしょう／地図ちず情報じょうほう、運航うんこう管理かんりシステムを束たばねるもの。機体きたいはプロドローン、気象きしょう情報じょうほうはウェザーニュース、気象きしょう情報じょうほうはゼンリンから提供ていきょうしてもらうなど、各かく分野ぶんやでパートナー企業きぎょうと連携れんけいしている。

　同社どうしゃは2016年ねんから、スマートドローンを用もちいた実証じっしょう実験じっけんを、パートナー企業きぎょうと行おこなってきた。その成果せいかを具現ぐげん化かした最初さいしょのサービスとして「広域こういき監視かんし」「鉄塔てっとう点検てんけん」「風力ふうりょく点検てんけん」「測量そくりょう解析かいせき」「精密せいみつ農業のうぎょう」という5つのソリューションを提供ていきょうする。

　広域こういき監視かんしは、鉄道てつどうや道路どうろなどでスマートドローンを巡回じゅんかいさせ、災害さいがい時じの被害ひがい状況じょうきょう確認かくにんや、定期ていき点検てんけんなどに役立やくだてるもの。監視かんしセンターで、ドローンの飛行ひこうルート設定せっていやドローン映像えいぞうの確認かくにんなどができる。近畿日本鉄道きんきにほんてつどう、JR東日本ひがしにっぽん、首都高しゅとこう速そく道路どうろ、御殿場ごてんば市しで広域こういき監視かんしソリューションの採用さいようが決きまっている。

　鉄塔てっとう点検てんけんと風力ふうりょく点検てんけんでは、鉄塔てっとうや風力ふうりょくタービンの周囲しゅういにドローンを飛とばして撮影さつえいさせ、データ管理かんりやレポート作成さくせいなどを行おこなう。これらの点検てんけん作業さぎょうは、現在げんざいは人ひとが目視もくしで行おこなっているが、高所こうしょでの作業さぎょうなので危険きけんが伴ともない、時間じかんも掛かかる。

　この点検てんけんをドローンが代かわることで、作業さぎょう時間じかんを短縮たんしゅくできる。ドローンに備そなえ付つけのカメラを使つかえば、高こう精細せいさいな映像えいぞうが撮影さつえいできるため、サビやねじの緩ゆるみなども見みつけやすく、より質しつの高たかい点検てんけんも可能かのうになる。KDDIが実験じっけんをしたところ、人ひとが行おこなうマニュアル点検てんけんよりも、ドローン点検てんけんは時間じかんと作業さぎょう員いんが半減はんげんしたという。同社どうしゃは、2019年度ねんどから通信つうしん鉄塔てっとうの点検てんけん業務ぎょうむにこのソリューションを導入どうにゅうする予定よてい。

　測量そくりょう解析かいせきでは、スマートドローンで収集しゅうしゅうしたデータと、アイサンテクノロジーの専用せんようソフト「Wing Earth」を活用かつようすることで、さまざまな施工しこう管理かんりシステムに対応たいおうした出力しゅつりょく結果けっかを提供ていきょうできる。

　精密せいみつ農業のうぎょうでは、農薬のうやくや肥料ひりょうの使用しよう量りょうを削減さくげんしたり、収穫しゅうかく時期じきを予測よそくしたりすることができる。スカイマティクスの葉色はいろ分析ぶんせきサービス「いろは」と、適所てきしょに農薬のうやくを散布さんぷするためのサービス「はかせ」を、スマートドローンと連携れんけいさせる。

　ドローンの機体きたいは用途ようとによって異ことなり、点検てんけんや測量そくりょうに適てきしたものにカスタマイズしている。例たとえば風力ふうりょく点検てんけん用ようのドローンは、防水ぼうすい性能せいのうに加くわえ、16mの風速ふうそくに耐たえられる設計せっけいにしている。より高たか精細せいさいな写真しゃしんや映像えいぞうを撮影さつえいできるよう、外そと付づけのカメラを追加ついかできる機体きたいもある。

　ドローンの飛行ひこうルートはあらかじめ設定せっていしており、不測ふそくの事態じたいが起おきたときは、モバイル回線かいせんを使つかって手動しゅどうで操作そうさができる。LTEなので1〜2秒びょうの遅延ちえんはあるが、機体きたいが備そなえるセンサーを活用かつようすることで、障害しょうがい物ぶつへの激突げきとつは回避かいひできるとのこと。

　地方ちほう創世そうせいにもスマートドローンを活用かつようすべく、2019年度ねんどから長野ながの県けん伊予いよ市しで、点検てんけん、配送はいそう、農業のうぎょうなどの分野ぶんやで実証じっしょう実験じっけんを行おこなう。こうした実験じっけんは他たの地域ちいきにも広ひろげていく予定よていだ。

　3月6日にちの発表はっぴょう会かいで登壇とうだんしたKDDI 理事りじ 商品しょうひん・CS統括とうかつ本部ほんぶ 副ふく統括とうかつ本部ほんぶ長ちょうの山田やまだ靖久やすひさ氏しは、5GとAIを組くみ合あわせたドローンの活用かつようにも意欲いよくを見みせる。「ドローンも、5Gを活用かつようすることで、4Kレベルの映像えいぞうをリアルタイムで送信そうしんできる。大量たいりょうの映像えいぞうデータをAIで解析かいせきすることで、より多おおくの利用りようシーンを提供ていきょうできる」と同氏どうし。

　KDDI 商品しょうひん・CS統括とうかつ本部ほんぶ 商品しょうひん戦略せんりゃく部ぶ 商品しょうひん1グループの博はく野の雅文まさふみ氏しも「LTEでドローンから映像えいぞうを伝送でんそうする場合ばあい、人間にんげんの目めに見みえるものと同おなじ解像度かいぞうどは実現じつげんできないが、高速こうそく・大だい容量ようりょうの5Gなら、より高たかい解像度かいぞうどで伝送でんそうできるので、警備けいびでの用途ようとで有益ゆうえきになる」も期待きたいを寄よせる。

　KDDIのドローン事業じぎょうの強つよみについては「1〜2年ねんかけて実証じっしょう実験じっけんを行おこない、個別こべつのお客きゃくさまの業務ぎょうむに関かかわるソリューションを掲かかげているところはまだないと思おもう。2年間ねんかんの実績じっせきをベースにして、他社たしゃとの優位ゆうい性せいを示しめしたい」と山田やまだ氏しは語かたった。