FMチューナー経由けいゆとアプリでラジオを聴きける「ラジスマ」登場とうじょう――iPhoneにFMチューナーが載のる日ひは来くるか？：石川いしかわ温あつしのスマホ業界ぎょうかい新聞しんぶん

[石川いしかわ温あつし]

　民放連みんぽうれんは、radiko.jpアプリで、FMラジオチューナー経由けいゆの放送ほうそうも聴きける「ラジスマ」を発表はっぴょうした。

　radiko.jpアプリでラジオを聴きければ、それだけでいいような気きもするが、FMチューナーを搭載とうさいすることで、災害さいがい時じ、ネットが使つかえない際さいにも情報じょうほう入手にゅうしゅが可能かのうになる。FMラジオチューナーで聴きく際さいには「アプリと比くらべて消費しょうひするバッテリーは3分ぶんの1程度ていどになる」（京きょうセラ）ということで、災害さいがい時じにはかなり重宝ちょうほうするという。

　また、radiko.jpアプリであればどうしても数すう十じゅう秒びょうの遅延ちえんが発生はっせいしてしまうが、FMラジオチューナーであれば、遅延ちえん無なくスポーツ中継ちゅうけいなどを楽たのしむことが可能かのうだ。

　2015年ねん12月から、AMラジオの放送ほうそうがFMで聴きける「ワイドFM」が始はじまっている。これにより、関東かんとうであれば、TBSラジオ、文化放送ぶんかほうそう、ニッポン放送にっぽんほうそうなどもFMでの聴取ちょうしゅが可能かのうとなっているため、ラジスマの展開てんかいが一気いっきに進すすんだ模様もようだ。

　今回こんかい、開発かいはつ担当たんとう者しゃの話はなしを聞きいて、興味深きょうみぶかかったのが、ラジスマにより「ラジオの周波数しゅうはすうを覚おぼえなくてもいいようにしたかった」という発言はつげんだ。

　ラジオを聞きこうと思おもったら、昔むかしは、それぞれのラジオ局きょくの周波数しゅうはすうを覚おぼえておく必要ひつようがあったりしたものだ。TBSなら954Hzへるつ、文化放送ぶんかほうそうは1134Hzへるつ、ニッポン放送にっぽんほうそうは1242Hzへるつ、TOKYO FMは80.0Hzへるつ、J-WAVEは81.3Hzへるつといった具合ぐあいだ。ラジオ局きょくは、リスナーに周波数しゅうはすうを覚おぼえてもらおうと、番組ばんぐみ中ちゅうにやたらと周波数しゅうはすうを連呼れんこする。これが当あたり前まえのことだった。

　ラジスマでは、アプリを起動きどうさせた際さい、GPSによって、位置いち情報じょうほうを取得しゅとくし、その地域ちいきにあった周波数しゅうはすうを選えらんでラジオが聴きけるようになる。

　「広島ひろしまのラジオ局きょくでは中継ちゅうけい局きょくが県内けんないに13カ所かしょあり、そうでないと県内けんないをカバーできない。誰だれもすべての周波数しゅうはすうを覚おぼえていないわけで、そうした不便ふべんをアプリで解消かいしょうしたかった」（開発かいはつ担当たんとう者しゃ）という。

　スマホに搭載とうさいされることによって、「周波数しゅうはすうで選えらぶ」という時代じだいは終おわり、ラジオ番組ばんぐみも「アイコンで選えらぶ」ことになりそうだ。

　今回こんかい、ラジスマ対応たいおう機種きしゅになったのは、富士通ふじつう「らくらくスマートフォンme」と京きょうセラ「URBANO」の2機種きしゅ。普段ふだんからラジオを聞きいている、年配ねんぱい層そうをターゲットにしているスマホから搭載とうさいされた。

　個人こじん的てきにはこれからリスナーを増ふやさなくてはいけない若者わかもの向むけスマホこそ、搭載とうさいされて欲ほしいと思おもう。

　アメリカでも、ハリケーンなどの災害さいがい時じを考慮こうりょして「iPhoneにFMチューナーを載のせろ」という動うごきがあったりもした。iPhoneがFMチューナーを載のせると、ラジスマも面白おもしろいことになるだろうが、果はたして、アップルはそんな声こえに応こたえてくれるだろうか。