2018年11月に発売された新しいiPad Pro(11型iPad Pro、第3世代の12.9型iPad Pro)の特徴として、バッテリーの持ちのよさが挙げられる。
筆者は普段、11型iPad Proに充電ケーブルをつないだまま動画視聴に使い、打ち合わせやミーティングがあればケーブルを外して持ち出すという運用をしているが、外出先から戻った後もバッテリー駆動のまま使い続け、2〜3日経ってようやくケーブルがつながれていないのに気づくこともしばしばだ。
このiPad Proの駆動時間について、製品ページの公称値では「Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生:最大10時間」となっているが、感覚的にはもっと長く感じられるのは、筆者だけではないだろう。かつて第5世代iPadで動画の再生を試した時は、公称値の2倍以上となる20時間51分という結果だったが、そこまではいかなくても、相応に長いことが予想される。
そこで今回、11型iPad Proと第3世代の12.9型iPad Proの2製品について、前回と同様、ストリーミング動画を流しっぱなしにしてのバッテリーの持ち時間を調べてみることにした。
11型iPad Pro(左)と、第3世代の12.9型iPad Pro(右)。いずれもUSB Type-C端子を搭載した、iPad Proの最新モデル(2018年11月発売)だ
具体的なテスト環境は前回と同じで、Wi-Fiで動画を途切れずに再生することを前提に、動画を24時間配信している「AbemaTV」のチャンネルの中から「Abema News」のチャンネルをチョイス。バッテリーが満充電の状態で再生を開始し、電源が自動的にオフになるまでの時間を測定した。
対象機種は11型iPad Proと、第3世代の12.9型iPad Proの2機種。前者はWi-Fi+Cellularモデルだが、Cellularの回線はオフの状態で測定している。終日張り付いての監視は困難なので、ネットワークカメラによる録画を行ったうえで、開始時間と終了時間を後からチェックしている。
計測に使用したネットワークカメラ「Safie CC-2」
ネットワークカメラを使って画面の変化を記録し、終了時間を計測している
iPad側の明るさの自動調節はオフ、自動ロックなし、音声はミュートという条件は前回と同じだ。ただし前回と異なり、数時間ごとに再生が自動停止して静止画表示に戻るという挙動がみられ、そのたびに手動で再開を行っているので、電源がオフになるまで中断のなかった前回のテストと、測定結果を単純に横並びで比較するのは注意が必要だ。
これらがAbemaTV側の仕様変更か、あるいはiOS 12での挙動の変更によるものかは不明だが、この他にもルータが別の機種になっており、測定環境には若干相違があるので、その点はご了承いただきたい。
では実際のデータを見ていこう。
ずばり結論から言うと、バッテリー切れまでの時間は以下の通り、約15時間を切るか切らないかということで、公称値の1.5倍に相当する値となった。念のため2回にわたって再計測を行ったが、誤差はそれぞれ30分以内だった。
機種名 |
バッテリー切れまでの時間 |
11型iPad Pro |
15時間8分 |
12.9型iPad Pro |
14時間22分 |
|
動画のストリーミング再生は相応にバッテリーを食う処理だが、公称値をゆうに上回っており、もっと軽い処理が中心であれば、ここからさらに数時間伸びると予想される。ちなみに前回のテストで比較用として9.7型iPad Proを測定した際は「11時間3分」という結果だったので、テスト環境はやや異なるとはいえ、今回の新型iPad Proの方が長時間動作するとみてよさそうだ。
なお、計3回行った測定のいずれのケースでも、12.9型iPad Proが先にバッテリーが切れ、その約40〜45分後に11型iPad Proのバッテリーが切れるという結果になった。つまりバッテリーの持ちについては「11型iPad Pro>12.9型iPad Pro」ということになる。
iPad Proのバッテリースペック。容量は12.9型の方が多い
製品ページによると、両製品のバッテリー(リチャージャブルリチウムポリマーバッテリー)の容量は、11型iPad Proが29.37Wh、12.9型iPad Proが36.71Whと、後者が約25%多いのだが、実際には12.9型が早くバッテリーが切れる傾向にある。画面サイズが大きいことで、その分、バッテリーの消費が早いものと考えられる。
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