Smart KeyboardやiPadOSの使つかい心地ごこちは？　第だい7世代せだい「iPad」（3万まん4000円えん〜）のコスパを検証けんしょうする：石野いしの純じゅん也のMobile Eye（1/3 ページ）

[石野いしの純じゅん也，ITmedia]

　9月30日にちに、Appleが第だい7世代せだいの「iPad」を発売はつばいした。10月4日にちには、ドコモ、au、ソフトバンクが同どうモデルの取とり扱あつかいを開始かいししている。同どうモデルは、9月がつ10日とおか（現地げんち時間じかん）に米べいカリフォルニア州しゅうクパチーノで開催かいさいされたスペシャルイベントで、iPhone 11シリーズやApple Watch Series 5と合あわせて発表はっぴょうされた。現行げんこうモデルの中なかでは最もっとも低てい価格かかくで、Wi-Fi版ばんは3万まん4800円えん（税別ぜいべつ、以下いか同どう）から。モバイルデでータ通信たつうしんの利用りようできるWi-Fi＋セルラー版ばんも4万まん9800円えんと、手てに取とりやすい価格かかくを打うち出だしている。

　位置付いちづけとしては、2018年ねん発売はつばいされた第だい6世代せだいiPadの後継こうけい機きだが、新あらたにSmart Keyboardの利用りようが可能かのうになった。ディスプレイサイズも、9.7型がたから10.2型がたへと拡大かくだいしている。Wi-Fi＋セルラー版ばんは、Apple SIMと統合とうごうされた形かたちのeSIMも内蔵ないぞう。第だい6世代せだいから対応たいおうしたApple Pencilも、引ひき続つづき利用りよう可能かのうだ。

　iPadが第だい7世代せだいに置おき換かわったことで、Smart Keyboard対応たいおうモデルが拡大かくだい。現行げんこうモデルは、iPad miniを除のぞく4機種きしゅが、Smart KeyboardとApple Pencilに両りょう対応たいおうした格好かっこうだ。これは、次世代じせだいのコンピュータとして、PCのリプレースを狙ねらうAppleの戦略せんりゃくに沿そった進化しんかといえる。当然とうぜん、出荷しゅっか時じからiPadOSを搭載とうさいしており、強化きょうかされたマルチタスク機能きのうや、ファイルアプリ、ダークモードなどを利用りようできる。この第だい7世代せだいのiPadを、短みじかい期間きかんだが試用しようすることができた。本ほん連載れんさいでは、そのファーストインプレッションをお届とどけしよう。

大だい画面がめん化かというよりキーボード対応たいおう、10.2型がた化かの真意しんい

　ディスプレイサイズが9.7型がたから10.2型がたへとアップした第だい7世代せだいiPadだが、正直しょうじきなところ、0.5型がたの差さで映像えいぞうの迫力はくりょくが大幅おおはばにアップすることはない。第だい6世代せだいと比くらべると「ちょっと大おおきくなったかな？」と感かんじる程度ていどで、大だい画面がめん化かを期待きたいしていると肩透かたすかしを食くった気分きぶんになるかもしれない。一方いっぽうで、ボディーのサイズはiPad Airと同おなじになり、厚あつさは7.5mmとiPad Airの6.1mmよりあるが、250.6（高たかさ）×174.1（幅はば）mmという数値すうちは、全まったく同おなじだ。対たいiPad Air比ひでディスプレイが0.3型がた小ちいさいため、その分ぶんディスプレイ周まわりのベゼルはやや太ふとくなっている。

　第だい6世代せだいの後継こうけい機きながら、本体ほんたいのデザインはよりiPad Airに近ちかづいたというわけだ。これは、大だい画面がめん化かというより、Smart Keyboardへの対応たいおうを優先ゆうせんしたためだとみられる。第だい7世代せだいiPadは、側面そくめんにSmart Keyboard用ようの端子たんしを備そなえており、Smart KeyboardもiPad Airと兼用けんよう。厳密げんみつに言いえば、現行げんこうのiPad Airの前身ぜんしんとも呼よべる、10.5型がたのiPad Proと同おなじSmart Keyboardを利用りようすることができる。

　見みた目めはiPad Airに近ちかくなったが、価格かかくが価格かかくなだけに、ディスプレイの品質ひんしつはお値段ねだん相応そうおうといったところ。解像度かいぞうどや色いろなどの表示ひょうじ品質ひんしつは高たかい方ほうだが、やはりフルラミネーションディスプレイではない点てんは、使つかっていると少々しょうしょう気きになってくる。フルラミネーションディスプレイは、ディスプレイとガラスを一体化いったいかさせる技術ぎじゅつのこと。これによって、他たのiPadはあたかもガラスにそのまま映像えいぞうが表示ひょうじされているかのように見みえる。これに対たいし、第だい7世代せだいiPadは、目視もくしでも映像えいぞうがガラスの奥おくにあることが分わかる。

　フルラミネーション加工かこうを施ほどこしていないからといって、映像えいぞうの品質ひんしつが大おおきく下さがるわけではないが、操作そうさ時じの感覚かんかくが少々しょうしょう異ことなってくることは覚おぼえておきたい。他たのiPadの場合ばあい、アイコンやボタンに直接ちょくせつ触ふれているような錯覚さっかくに陥おちいるが、第だい7世代せだいiPadではその感覚かんかくがやや薄うすくなる。Apple Pencil使用しよう時じの違ちがいはさらに大おおきく、ガラスとディスプレイの隙間すきまがあるため、ペン先さきから少すこし離はなれた場所ばしょに字じや絵えの線せんが表示ひょうじされることが体感たいかんで分わかる。ただし、追従ついしょう性せいなどの書がき心地ごこちに関かんしては、iPad Proと比くらべてもそん色しょくない。フルラミネーションディスプレイは、価格かかくとのトレードオフとして割わり切きるべき点てんといえる。

　他ほかにも、環境かんきょう光こうに応おうじてディスプレイの色いろ温度おんどを変かえる「True Toneディスプレイ」や、P3の高こう色いろ域いきには非ひ対応たいおう。iPad Airのような、光ひかりの反射はんしゃを抑おさえる加工かこうも施ほどこされていない。とはいえ、明あかるさは500ニトと同おなじで、ピクセル密度みつども264ppiとRetinaディスプレイの基準きじゅんを満みたしている。上位じょういモデルと比くらべれば、確たしかに足たりないところはあるが、最低さいてい価格かかくであることを考かんがえれば、クオリティーは十分じゅうぶんだ。