携帯けいたいキャリアは「5G」にどう向むき合あっていくのか？　各社かくしゃのキーパーソンが語かたる：CEATEC 2019（1/2 ページ）

[房ぼう野の麻子あさこ，ITmedia]

　幕張まくはりメッセで行おこなわれている「CEATEC 2019」において、10月16日にち、携帯けいたい4キャリアの社長しゃちょう、副ふく社長しゃちょうが一堂いちどうに会かいして5Gについて語かたる「5G Summit」が開催かいさいされた。前半ぜんはん部ぶでは各社かくしゃが5Gの取とり組くみや展望てんぼうについて語かたった。4社しゃはどのようなスタンスで5G事業じぎょうに取とり組くんでいくのか。

ドコモ：来春らいしゅんにサービスもビジネスも始はじめる

　ドコモの吉澤よしざわ社長しゃちょうは「5Gでより豊ゆたかな未来みらいを」と題だいしたプレゼンテーションの中なかで、中期ちゅうき戦略せんりゃく「beyond宣言せんげん」を実現じつげんするために「5Gが一番いちばん大おおきな手段しゅだんになる」と語かたった。また、ビジネスシーンでよく語かたられているデジタルトランスフォーメーションを支ささえるIoT、AI、xR、クラウド、5Gといったテクノロジーの柱はしらの中なかで「最もっとも太ふとい柱はしら」との認識にんしきを示しめした。

　5Gには「高速こうそく・大だい容量ようりょう」「低てい遅延ちえん」「多数たすう接続せつぞく」という3つの特徴とくちょうがあるが、5Gはまず高速こうそく・大だい容量ようりょうから始はじまるとされている。吉澤よしざわ社長しゃちょうも「高速こうそく・大だい容量ようりょうと低てい遅延ちえんはうまく組くみ合あわせられると思おもうが、3つを同時どうじに全部ぜんぶに実現じつげんするのはなかなか難むずかしい」と語かたった。まずは高速こうそく大だい容量ようりょうと低てい遅延ちえんという特徴とくちょうを生いかし、4K／8Kのストリーミングやスタジアムソリューションなどを提供ていきょうすることになる。

　ドコモは9月がつ20日はつかに5Gのプレサービスを開始かいししており、全国ぜんこく40拠点きょてんで5Gネットワークを構築こうちく。2020年ねん6月がつ末まつまでに47都道府県とどうふけん全すべてに最低さいてい1カ所かしょは基地きち局きょくを設もうけるという。その後ごの1年間ねんかんで1万まん局きょくまで増ふやし、開設かいせつ計画けいかくでは2024年度ねんど末まつまでに2万まん6334局きょくに増ふやすとしているが、「これは最低限さいていげんの数字すうじ」（吉澤よしざわ氏し）。より速はやいペースでネットワークを構築こうちくしていくそうだ。

　ネットワークシステムの話題わだいでは楽天らくてんモバイルの「完全かんぜん仮想かそう化か」がよく取とり上あげられているが、ドコモもコアネットワークの仮想かそう化かを進すすめている。無線むせんアクセスネットワークについても、コントロールユニットの親おや局きょくと無線むせん機きの子こ局きょくは「必かならずしも同おなじベンダーでなくてもいい」（吉澤よしざわ氏し）。「ベンダークロス」を実現じつげんすることにで、ネットワーク構築こうちくの効率こうりつ化かやコスト削減さくげんを図はかっていくという。なお、コントロールユニットの親おや局きょく側がわの仮想かそう化かについては「今いま、どういうやり方かたをするか検討けんとうしている」状態じょうたいだ。

　5Gのサービス展開てんかいについては、3000以上いじょうの企業きぎょう・団体だんたいが参加さんかする「DOCOMO 5G Open Partner Program」でパートナー企業きぎょうとさまざまなトライアルを行おこなっている。コンシューマー向むけにはラグビーワールドカップでの取とり組くみやMagic Leapと提携ていけいして提供ていきょうしているxRゲーム、法人ほうじん向むけではワコムと共同きょうどうで行おこなっている3Dデザインの共同きょうどう制作せいさくや日本にっぽんプロゴルフ協会きょうかいと行おこなっているゴルフの遠隔えんかくレッスンの事例じれいを紹介しょうかいし「来春らいしゅんの本ほんサービス開始かいしのDay1から、ネットワークだけでなく、サービスやビジネスもスタートしている状況じょうきょうを作つくりたい」と意気込いきごんだ。

KDDI：技術ぎじゅつではなく、5Gで何なにができるかが重要じゅうよう

　KDDIの高橋たかはし社長しゃちょうは「おもしろいほうの未来みらいへ。Tomorrow,Together」という副題ふくだいを付つけて、5Gに関かんするKDDIの取とり組くみと展望てんぼうを語かたった。

　1Gから5Gまで全すべてを経験けいけんしてきたという高橋たかはし氏し。4Gと5Gで大おおきく違ちがうこととして「4G立たち上あげ機きには、デバイスがゴロッと変かわってスマホが出でてきた。特とくにiPhone。だから4Gのネットワークはあっという間まに全国ぜんこくに広ひろがった」と指摘してきした。5Gでは「新あたらしいデバイスが登場とうじょうして状況じょうきょうが一変いっぺんするような予感よかんがまだないため、いろいろな工夫くふうが必要ひつよう」という考かんがえだ。

　まずは「5Gは何なにができるネットワークかということを、しっかりとお客きゃくさまに伝つたえないといけない」ということで提案ていあんしたのが「au UNLIMITED WORLD」だ。「5Gネットワークを使つかうなら無制限むせいげんの安心あんしん感かんを提供ていきょうすべきだが、5Gを待またなくてもいいのではないかということで今秋こんしゅうからauデータMAXプランというアンリミテッドな料金りょうきんを提供ていきょうしている」（高橋たかはし氏し）

　サービスについてはARでも使つかわれている「AUGMENT（拡張かくちょう）」をキーワードとして展開てんかいしている。これは単語たんごの頭文字かしらもじが「AUえーゆー」だから選えらんだという理由りゆうもあるそうだが、「5Gは全すべての体験たいけん価値かちを拡張かくちょうしていく時代じだいなのでは。体験たいけんを創造そうぞうしていくという意味いみでAUGMENTを打うち出だしている」（高橋たかはし氏し）と説明せつめいした。

　スポーツをAUGMENTしている事例じれいとしては、大学だいがくスポーツ協会きょうかい「UNIVAS」とパートナーシップ契約けいやくによる、大学だいがくスポーツのネット配信はいしんや自由じゆう視点してんリプレイ、スポーツギアのIoT化かを紹介しょうかい。また、街まちの事例じれいとして東京とうきょう・渋谷しぶや区くとのタイアップ、エンターテインメントの事例じれいとして、5Gを活用かつようしたドローンレースを紹介しょうかいした。

　高橋たかはし氏しは「5Gをテクノロジーで語かたるのではなく、テクノロジーを使つかって何なにが体験たいけん価値かちとして提供ていきょうできるかを大事だいじにしなくてはいけない」と強調きょうちょうした。CEATECの展示てんじについても、「5GやIoTを使つかってこんなことができるという体験たいけんブースがすごくたくさん並ならんでいて、大おおきく様変さまがわりした」と言及げんきゅうしていた。