突如とつじょ降おりかかる「テレワーク」　スマホで「会議かいぎ」に参加さんかする方法ほうほうをチェックしよう：モバイルdeワークスタイル変革へんかく（1/2 ページ）

[井上いのうえ晃あきら，ITmedia]

　「働はたらき方かた改革かいかく」が叫さけばれる昨今さっこん、働はたらき方かたの多様たよう化かが進すすんでいる。「新型しんがたコロナウイルス」の影響えいきょうもあり、働はたらき方かた改革かいかくのキーワードの1つとなっている「テレワーク」がかつてないほど注目ちゅうもくされている。

　しかし、そもそもテレワークとは何なになのだろうか？　テレワークはスマートフォンでもできるものなのだろうか？

　この記事きじでは、“会議かいぎ（ミーティング）”に的まとを絞しぼって、テレワークの基本きほんをおさらいしつつ、スマートフォンで利用りようできる「Web会議かいぎツール」を幾いくつか紹介しょうかいする。遠隔えんかく地ちから会議かいぎに参加さんかしなければならない状況じょうきょうになった人ひとや、そのような会議かいぎのホスト（主催しゅさい者しゃ）となりそうな人ひとの参考さんこうになれば幸さいわいだ。

そもそも「テレワーク」とは？

　そもそも、「テレワーク」とは何なになのだろうか。テレワークの「テレ（tele）」は「遠とおく」、「ワーク（work）」は「仕事しごと」、直訳ちょくやくすれば「遠隔えんかく地ちでする仕事しごと」という意味いみだ。日本にっぽんテレワーク協会きょうかいが定さだめた定義ていぎを借かりれば、「情報じょうほう通信つうしん技術ぎじゅつを活用かつようした時間じかんや場所ばしょを有効ゆうこうに活用かつようできる柔軟じゅうなんな働はたらき方かた」がテレワークということになる。

　テレワークは、自宅じたくで執務しつむする「自宅じたく利用りよう型がたテレワーク（在宅ざいたく勤務きんむ）」、外出がいしゅつ先さきで執務しつむする「モバイルワーク」と、サテライトオフィスやシェアオフィスなどに出向でむいて執務しつむする「施設しせつ利用りよう型がたテレワーク」の3つに大別たいべつされる。いずれも、本来ほんらい出勤しゅっきんするべきオフィス（職場しょくば）とは異ことなる場所ばしょで執務しつむする点てんで共通きょうつうしている。

　企業きぎょうや団体だんたいがテレワークを実施じっしする場合ばあい、さまざまな「ツール」を用意よういする必要ひつようがある。厚生こうせい労働省ろうどうしょうが開設かいせつした「テレワーク総合そうごうポータルサイト」では、必要ひつようなツールとして以下いかの5つが紹介しょうかいされている。

• リモートアクセスツール
• コミュニケーションツール
• 労務ろうむ管理かんりシステム
• ペーパーレス化かツール
• 安全あんぜんなモバイルテレワークツール

情じょうシス以外いがいの人ひとが検討けんとうすべきことはほとんどないが……

　これらのテレワークツールを導入どうにゅうする場合ばあい、情報じょうほうシステム部門ぶもん（情じょうシス）では、検討けんとうすべき事項じこうがたくさんある。

　まず、テレワーク中ちゅうに業務ぎょうむ上じょうで必要ひつようなデータやソフトウェアにアクセスする方法ほうほうを検討けんとうする必要ひつようある。社内しゃないネットワークに外部がいぶからアクセスするための「VPN（仮想かそうプライベートネットワーク」、オフィスのPCにアクセスするための「リモートデスクトップ」、データを共有きょうゆうするための「クラウドストレージ」などの選定せんていや利用りよう方法ほうほうを検討けんとうしなければならない。

　コミュニケーションサービスやWeb会議かいぎシステムといった、テレワーク中ちゅうの「連絡れんらく手段しゅだん」も検討けんとうが必要ひつようとなる。業務ぎょうむでやりとりする書類しょるいは、環境かんきょうを問とわず閲覧えつらんできる形式けいしき（PDFファイルなど）で共有きょうゆうすることはもちろんだが、承認しょうにんが必要ひつようなプロセスにおいて「電子でんしサイン」などを利用りようできると理想りそう的てきだ。

　企業きぎょうの方針ほうしんによっては、勤怠きんたい管理かんりできるシステムも必要ひつようとなるだろう。PCでの操作そうさや表示ひょうじする画面がめんを監視かんしするツールもあるが、システムのコストはもちろん、従業じゅうぎょう員いんの精神せいしん的てき負荷ふかを鑑かんがみると、「始業しぎょう時じや終業しゅうぎょう時じにメールやチャットで報告ほうこくする」と割わり切きった方ほうが現実げんじつ的てきなことも多おおい。

　テレワークに使つかう機器ききも検討けんとうしなければならない。理想りそうは、企業きぎょうや団体だんたいとして必要ひつようなデバイスを支給しきゅうすることだ。ただ、それには膨大ぼうだいなコストがかかる。従業じゅうぎょう員いんの私物しぶつ利用りよう（いわゆる「BYOD」）を許容きょようすることも視野しやに入いれた方ほうが良よい。ただ、支給しきゅうにしてもBYODにしても、機器ききの紛失ふんしつや盗難とうなん時じの対策たいさくは欠かかせない。

　企業きぎょう・団体だんたいの規模きぼや機器ききの台数だいすうによっては、ポリシー（利用りよう方針ほうしん）や必要ひつようなアプリなどを一括いっかつ設定せっていできる「MDM（モバイルデバイス管理かんり）」や「EMM（エンタープライズモビリティ管理かんり）」といったシステムを使つかってデバイスを管理かんりした方ほうが効率こうりつ的てきだろう。手元てもとに情報じょうほうを残のこさない「セキュアブラウザ」、データを暗号あんごう化かしてやりとりする「セキュアコンテナ」といったツールの活用かつようも検討けんとうしたい。

　職種しょくしゅによっては、外部がいぶからの電話でんわ連絡れんらくにどう対応たいおうするのかも考かんがえなくてはならない。「電話でんわ番ばん」のシフトを組くんで出勤しゅっきんさせる手てもあるが、それでは出勤しゅっきんしていない人ひとの電話でんわ応対おうたいに問題もんだいが出でるかもしれない。しかし最近さいきんでは、スマホを内線ないせん電話でんわ化かし、オフィスにかかってきた外線がいせん電話でんわを転送てんそうできる「クラウドPBX」と呼よばれるシステムも普及ふきゅうしており、社内しゃないで用もちいるコミュニケーションサービスと一体いったい運用うんようできるものもある。

　……と、以上いじょうのようなシステム面めんでの検討けんとうは、あくまでも企業きぎょうや団体だんたいの情じょうシスが自社じしゃのポリシーに沿そって行おこなうべきものであって、エンドユーザーである一般いっぱん従業じゅうぎょう員いんは、情じょうシスが指定していするツールを利用りようすることが基本きほんだ。

　しかし、一般いっぱん従業じゅうぎょう員いんであっても、ツールを自みずからセットアップしなくてはならないことは多おおい。今回こんかいの記事きじのテーマであるWeb会議かいぎシステムは特とくにそうだろう。

　セキュリティポリシーの建前たてまえ的てきに、いわゆる「シャドーIT」になる利用りよう方法ほうほうは避さけるべきだが、臨時りんじ的てきな使用しようを提案ていあんする意味いみでも、Web会議かいぎシステムの簡単かんたんな利用りよう方法ほうほうぐらいは、覚おぼえておいて損そんはない。