神社じんじゃ参拝さんぱいした証あかしとして戴いただく「御朱印ごしゅいん」。
その起源きげんは、奈良なら・平安へいあんの昔むかし。神社じんじゃ仏閣ぶっかくに書写しょしゃした経典きょうてんを奉納ほうのうした際さいに戴いただいた「納おさめ経けい受取うけとりのうきょううけとりの書付かきつけ」ではないかといわれています。
「神社じんじゃへ経典きょうてんを奉納ほうのうしたの?」
と思おもわれる方ほうもあるかも知しれませんが、こうした例れいの代表だいひょうに「平家ひらか納おさむ経けい」があります。これは時じの天下てんか人じん・平清盛たいらのきよもりが神仏しんぶつ習合しゅうごう思想しそうの影響えいきょうをうけ、
「厳島いつくしま神社じんじゃの御ご祭神さいじんは、十じゅう一面観いちめんかん音おんがお姿すがたをお変かえになったもの」
と解釈かいしゃくして奉納ほうのうしたものといわれています。
こうした納おさめ経けいは徐々じょじょに一般いっぱんにも広ひろがり、社寺しゃじから「納おさめ経けい受取うけとりの書付かきつけ」を戴いただいていたことが、やがて納おさめ経けいをせず参拝さんぱいのみをした場合ばあいにも証明しょうめいを書かいてもらうというように変化へんかしていったものと考かんがえられています。
鉄道てつどう網もうが整備せいびされた明治めいじ以降いこうには、巡拝じゅんぱい旅行りょこうと集あつまり印しるしが盛さかんに行おこなわれるようになりました。それに伴ともなって、案内あんない本ほんや旅行りょこう記きといった書物しょもつも出版しゅっぱんされるようになり、昭和しょうわ10年ねん頃ごろから「御朱印ごしゅいん」という呼称こしょうが見みられるようになります。
遠路えんろをこえて叶かなった神社じんじゃ参拝さんぱい。
敬神けいしんの思おもいの結晶けっしょうともいえる御朱印ごしゅいん帳ちょうは、昔むかしも今いまも、まるで参拝さんぱいした時ときの感動かんどうを永久えいきゅう保存ほぞんしてくれるかのような掛替かけがえのない存在そんざいといえましょう。
参考さんこう文献ぶんけん