各地かくちの神社じんじゃでは祭まつりに伴ともない、神輿しんよや山車だしの渡御とぎょがおこなわれています。
この時ときには神社じんじゃにお鎮しずまりになっている神様かみさまが神輿しんよや山車だしにお遷りになり、氏子うじこの手てにより氏子うじこ地域ちいきを巡幸じゅんこうしていくのです。この祭まつりにより神かみと人ひととが一体いったいとなり、人々ひとびとは祭まつりを通つうじて活力かつりょくを取とり戻もどし、神様かみさまもこうした人々ひとびとの姿すがたを見みて喜よろこび、渡御とぎょする地域ちいきの各かく家々いえいえに御ご神徳しんとくを与あたえて下くださると信しんじられています。
渡御とぎょ祭さいについては、それぞれの神社じんじゃにより性格せいかくも異ことなりますが、幾いくつかに区分くぶんしてみると、一ひとつには神様かみさまが初はじめてその神社じんじゃに迎むかえられ、祀まつられるようになった事跡じせきや歴史れきし的てきな事実じじつを繰くり返かえしおこなうもの、氏子うじこ区域くいきや神様かみさまに縁故えんこのある地ちを巡めぐるもの、神慮しんりょを慰なぐさめるためにおこなうもの－－などという分わけ方かたができます。
また、特色とくしょくある渡御とぎょ祭さいの具体ぐたい例れいを挙あげてみると、祇園祭ぎおんまつりなどに見みられる神輿しんよに山車だしや屋台やたいが伴ともなって巡幸じゅんこうするもの、海浜かいひんや川辺かわべなどに渡御とぎょする「浜はま降くだ祭さい」や「神輿しんよ洗あらい」、神輿しんよを船ふねにのせて海上かいじょうや川かわを渡御とぎょする「御船みふね祭さい」など数々かずかずの雄壮ゆうそうな祭まつりがあります。
日本人にっぽんじんはよく祭まつり好すきであるといわれますが、各地かくちでおこなわれているこうした祭まつりを見みると、祭まつりを通とおして地域ちいきが活力かつりょくで満みたされる伝統でんとうは、今いまも変かわらず受うけ継つがれていると感かんじます。
（『神道しんとういろは』118・119頁ぺーじ参照さんしょう）
