地鎮祭じちんさいとは、建物たてものの新築しんちくや土木どぼく工事こうじの起工きこうの際さいなどに、その土地とちの神様かみさまを祀まつり、工事こうじの無事ぶじ進行しんこう・完了かんりょうと土地とち・建造けんぞう物ぶつが末すえ長ながく安全あんぜん堅固けんごであることを祈願きがんするために、おこなわれる祭まつりです。
一般いっぱんには「じまつり」などとも呼よばれ、国土こくどの守護神しゅごじんである大地だいち主神しゅしんおおとこぬしのかみと、その地域ちいきの神様かみさまである産土神うぶすながみうぶすなのかみ、またその土地とちの神かみ々である「此の地ちを宇志うし波は伎坐うしはきます大神おおがみ等ひとし」をお祀まつりします。
地鎮祭じちんさいは地域ちいきによりお祭まつりの仕方しかたが異ことなる場合ばあいもありますが、基本きほん的てきな祭儀さいぎの流ながれは神社じんじゃの祭儀さいぎとほぼ同様どうようです。そのなかでも特徴とくちょう的てきなこととして三みっつの行事ぎょうじがおこなわれます。
一ひとつは祓はらいはらいの行事ぎょうじであり、四方しほう祓はらいしほうはらいの儀ぎと称しょうして、祭場さいじょう四方しほうの敷地しきちを大麻たいまで祓はらったり、半紙はんしと麻あさを切きって作つくった切きり麻あさきりぬさなどを撒まき、祓はらい清きよめます。
二ふたつ目めは起工きこうの行事ぎょうじであり、刈かり初はつかりぞめの儀ぎ・穿ほじ初はつうがちぞめの儀ぎと称しょうして、施主せしゅ・施工しこう者しゃが忌き鎌がまいみかま・忌き鍬くわいみくわ・忌き鋤すきいみすきなどにより、草くさを刈かり、地ちを穿うがつ(掘ほる)所作しょさをおこない、神様かみさまに工事こうじの開始かいしを奉告ほうこくします。
三みっつ目めは供物くもつの行事ぎょうじであり、鎮物しずめもの埋納まいのうの儀ぎと称しょうして、神霊しんれいを和なごめ鎮しずめるために鎮物の品しなを捧ささげて、工事こうじの無事ぶじ安全あんぜんを祈念きねんします。
土地とちの神かみに敬意けいいをはらい、使用しようの許ゆるしを得えて、工事こうじの安全あんぜんと生活せいかつの平安へいあんを祈願きがんするという祭まつりの意味いみは、まさに日本人にっぽんじんの生活せいかつ習慣しゅうかんにおける伝統でんとうや信仰しんこうに基もとづいたものといえます。
(『神道しんとういろは』92・93頁ぺーじ参照さんしょう)