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フリーランス新法とは?フリーランスを保護するための法改正を詳しく解説 - カケコムメディア

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フリーランス新法しんぽうとは?フリーランスを保護ほごするためのほう改正かいせいくわしく解説かいせつ

「フリーランス新法しんぽうあたらしく制定せいていされてフリーランスのはたらかた影響えいきょうがあるかもしれないということをいた。」「そもそもフリーランス新法しんぽうとはなに?」「だれにどんな影響えいきょうがあるの?」

フリーランス新法しんぽうは、いわゆるフリーランスとして業務ぎょうむ受託じゅたくする事業じぎょうしゃ保護ほごするために、取引とりひき適正てきせい就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいびはかることを目的もくてきとしてあらたにつくられた法律ほうりつです。フリーランス新法しんぽうは、2023ねん成立せいりつ公布こうふされた法律ほうりつですが、2024ねんちゅうには施行しこうされることがまっています。

この記事きじでは、フリーランス新法しんぽうとはどのような法律ほうりつでありどのような規制きせい内容ないようさだめられているか、フリーランス新法しんぽうによってどのような影響えいきょうがあるのかなどについて、具体ぐたいてきれいまじえながらくわしく解説かいせつしています。

この記事きじむことで、フリーランス新法しんぽうのことをくわしくることができ、フリーランス新法しんぽう施行しこうそなえて適切てきせつ対策たいさくることが可能かのうとなります。

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1.フリーランス新法しんぽうとはなに

フリーランス新法しんぽうとは、個人こじん事業じぎょうぬしとして受託じゅたくした業務ぎょうむにつき安定あんていしてはたらくことができる環境かんきょうととのえるために、業務ぎょうむ委託いたくする事業じぎょうしゃとのあいだ取引とりひき適正てきせい就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいびはかることを目的もくてきとした法律ほうりつのことです。 フリーランス新法しんぽう正式せいしき名称めいしょうは、以下いかとおりです。

特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいとうかんする法律ほうりつ(れいねん法律ほうりつだいじゅうごう)

参考さんこうフリーランス新法しんぽう条文じょうぶんはこちら|

フリーランス新法しんぽう規定きていされている内容ないようは、おおきくけてつぎの2つです。

  • 取引とりひき適正てきせいかんする規定きてい
  • 就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいびかんする規定きてい

このうち、「取引とりひき適正てきせい」については公正こうせい取引とりひき委員いいんかい所管しょかんし、「就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいび」にかんしては厚生こうせい労働省ろうどうしょう所管しょかんします。

これは、「取引とりひき適正てきせい」は事業じぎょうしゃあいだ適正てきせい経済けいざい競争きょうそうのルールという側面そくめんがあるのにたいし、「就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいび」ははたら環境かんきょうととのえてよりくするルールという側面そくめんがあり、それぞれことなる側面そくめんからの規制きせいであることが理由りゆうです。

フリーランス新法しんぽうは、2023ねん2がつ24にちだい211かい国会こっかい提出ていしゅつされ、同年どうねん4がつ28にち成立せいりつし、5月12にち公布こうふされました。法律ほうりつ公布こうふから1ねん6かげつえない範囲はんいない政令せいれいさだめるから施行しこうされることとされており、フリーランス新法しんぽうは2024ねん11月1にち施行しこうされることとなりました。

2.フリーランス新法しんぽう制定せいていされた背景はいけい議論ぎろん経緯けいい

フリーランス新法しんぽう制定せいていされた背景はいけいには、フリーランスの保護ほご取引とりひき適正てきせい必要ひつようせい一層いっそうたかまっていたということがあります。このことを前提ぜんてい検討けんとうがなされ、法案ほうあん提出ていしゅつ可決かけつされるにいたりました。

ここからは、フリーランス新法しんぽう制定せいていされた背景はいけい議論ぎろん経緯けいいについてご紹介しょうかいします。

2-1.フリーランス新法しんぽう制定せいていされた背景はいけい

日本にっぽんでは、フリーランスとしてはたらひとえていることにともない、フリーランスが取引とりひきなかでトラブルにあったり不利益ふりえきけたりすることがえてきています。

厚生こうせい労働省ろうどうしょう統計とうけい資料しりょうによれば、厚生こうせい労働省ろうどうしょうから委託いたくけてだい東京とうきょう弁護士べんごしかい運営うんえいしているフリーランスのための相談そうだん窓口まどぐち「フリーランス・トラブル110ばん」では、2023年度ねんどに8,986けん相談そうだんけています。

2020年度ねんどには1,332けん、2021年度ねんどには4,072けん、2022年度ねんどには6,884けん相談そうだんけており、2023年度ねんどに8,986けんまで右肩みぎかたがりに相談そうだん件数けんすうえていることがかります。

作成さくせい:カケコム/参考さんこうフリーランス・トラブルにかんする統計とうけい資料しりょう(1ぺーじ)|厚生こうせい労働省ろうどうしょう

相談そうだんしゃ年齢ねんれいは、20だいから40だいまでがやく8わりめており、業種ぎょうしゅは、運送うんそう関係かんけい15.3%、システム開発かいはつ・ウェブ制作せいさく関係かんけい9.8%、建設けんせつ関係かんけい9.6%、デザイン関係かんけい7.4%などとなっています。(資料しりょう2ぺーじ

相談そうだん内容ないようは、「報酬ほうしゅう支払しはらい」29.7%、「契約けいやく条件じょうけん明示めいじ」が16.7%、「受注じゅちゅうしゃからの中途ちゅうと解除かいじょ更新こうしん」が10.0%、「発注はっちゅうしゃからの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう」が8.9%などとなっています。(資料しりょう4ぺーじ

このように、フリーランスにかんするトラブルはえる一方いっぽうですが、この背景はいけいにはフリーランスが組織そしきぞくして雇用こようされてはたらひととはことなり、十分じゅうぶん法的ほうてき保護ほごけていなかったということがあります。また、フリーランスは特定とくてい発注はっちゅうしゃ依存いぞんしていることがおおく、対等たいとう取引とりひき関係かんけいもとづいて取引とりひき内容ないようはたら環境かんきょうなどについて発注はっちゅうしゃとしっかり交渉こうしょうすることがむずかしいという現状げんじょうもあります。

このような事情じじょう背景はいけいとして、フリーランスを保護ほごするためのフリーランス新法しんぽう制定せいていされました。

参考さんこうフリーランス・トラブル110ばん厚生こうせい労働省ろうどうしょう

2-2.フリーランス新法しんぽう制定せいていされるまでの議論ぎろん経緯けいい

フリーランス新法しんぽう議論ぎろんはじまったきっかけは、2020ねん7がつ17にち閣議かくぎ決定けっていされた「成長せいちょう戦略せんりゃく実行じっこう計画けいかく」において、フリーランスの増加ぞうか前提ぜんていにフリーランスとして安心あんしんしてはたらける環境かんきょう整備せいびするために保護ほごルールの整備せいびおこなうことがめられたことにあります。

参考さんこう成長せいちょう戦略せんりゃく実行じっこう計画けいかくれい2ねん7がつ17にち)|成長せいちょう戦略せんりゃく会議かいぎ

この実行じっこう計画けいかくでは、まずフリーランス取引とりひきかんするガイドラインを策定さくていすることなどがめられました。行政ぎょうせい策定さくていするガイドラインとは、法律ほうりつ実施じっしかんする基本きほんてき方向ほうこうせい法律ほうりつ具体ぐたいてき解釈かいしゃく判断はんだん基準きじゅんしめしたものです。

2021ねん3がつ26にちには、この実行じっこう計画けいかくもとづいて、「フリーランスとして安心あんしんしてはたらける環境かんきょう整備せいびするためのガイドライン」が策定さくていされました。このガイドラインは、内閣ないかく官房かんぼう公正こうせい取引とりひき委員いいんかい中小企業庁ちゅうしょうきぎょうちょう厚生こうせい労働省ろうどうしょう連名れんめい策定さくていされたものであり、省庁しょうちょう横断おうだんてきくにげてフリーランス保護ほごのための対応たいおうそうという姿勢しせいがうかがえます。

このガイドラインは、独占どくせん禁止きんしほう下請したうけほう労働ろうどう関係かんけい法令ほうれい適用てきよう関係かんけいあきらかにし、法令ほうれいもとづく問題もんだい行為こうい明確めいかくする目的もくてき策定さくていされたものです。ガイドラインのなかでは、フリーランスと取引とりひきおこな事業じぎょうしゃ遵守じゅんしゅするべき事項じこうとして、問題もんだいとなる行為こうい類型るいけい多数たすうげられ、独占どくせん禁止きんしほうなどによる規制きせいかんがかた解説かいせつされています。

参考さんこうフリーランスとして安心あんしんしてはたらける環境かんきょう整備せいびするためのガイドライン(れい3ねん3がつ26にち)|内閣ないかく官房かんぼう公正こうせい取引とりひき委員いいんかい中小企業庁ちゅうしょうきぎょうちょう厚生こうせい労働省ろうどうしょう

2021ねん6がつ18にち閣議かくぎ決定けっていされた「成長せいちょう戦略せんりゃく実行じっこう計画けいかく」では、たんなるガイドラインの策定さくていからいちすすんで、フリーランス保護ほごのための法制ほうせいめん措置そち新法しんぽう制定せいていなど)が検討けんとうされることとされました。

参考さんこう成長せいちょう戦略せんりゃく実行じっこう計画けいかくれい3ねん6がつ18にち)|成長せいちょう戦略せんりゃく会議かいぎ

2022ねん6がつ7にちに「あたらしい資本しほん主義しゅぎ実現じつげん本部ほんぶ」(2021ねん10がつ15にち設置せっち)が作成さくせいした「あたらしい資本しほん主義しゅぎのグランドデザインおよ実行じっこう計画けいかく」のなかでは、フリーランスの取引とりひき適正てきせいするためのほう制度せいどについて検討けんとうし、国会こっかい法案ほうあん提出ていしゅつすることがめられ、閣議かくぎ決定けっていされました。

参考さんこう

ここでは、フリーランスのトラブル増加ぞうかやフリーランスが従来じゅうらい中小ちゅうしょう企業きぎょう法制ほうせいでは保護ほご対象たいしょうとならないことへの問題もんだい意識いしき指摘してきされていました。

また、この「あたらしい資本しほん主義しゅぎ」とは岸田きしだ内閣ないかく主要しゅよう政策せいさくのひとつであり、岸田きしだ内閣ないかくとくちかられてフリーランス保護ほごのための新法しんぽう制定せいていすすめたことがかります。

2022ねん9がつ13にちには「フリーランスにかか取引とりひき適正てきせいのためのほう制度せいど方向ほうこうせい」にかんする意見いけん募集ぼしゅう(パブリックコメント)がおこなわれました。このパブリックコメントでは、2週間しゅうかん募集ぼしゅう期間きかんで622けんというおおくの意見いけんせられ、フリーランス保護ほごのためのほう整備せいびかんする国民こくみん関心かんしんたかかったことをうかがわせます。

参考さんこう「フリーランスにかか取引とりひき適正てきせいのためのほう制度せいど方向ほうこうせい」にかんする意見いけん募集ぼしゅうせられた意見いけんについて

このような議論ぎろんて、「特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいとうかんする法律ほうりつあん」(フリーランス新法しんぽう法案ほうあん)が2023ねん2がつ24にち閣議かくぎ決定けっていされ、同日どうじつだい211かい国会こっかい提出ていしゅつ同年どうねん4がつ28にち成立せいりつ、5月12にち公布こうふされました。

作成さくせい:カケコム

フリーランス新法しんぽうは、施行しこう3ねん目途もくととして、施行しこうじょうきょう考慮こうりょしつつ法律ほうりつ規定きてい検討けんとうくわえ、検討けんとう結果けっかもとづいて必要ひつよう措置そちこうずることがさだめられています。

参考さんこう特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいとうかんする法律ほうりつあんたいする附帯ふたい決議けつぎ衆議院しゅうぎいん参議院さんぎいん 内閣ないかく委員いいんかいほう附則ふそく2こう厚生こうせい労働省ろうどうしょう

なお、フリーランス新法しんぽう法案ほうあんたいしては、衆議院しゅうぎいん参議院さんぎいんそれぞれの内閣ないかく委員いいんかいにおいて附帯ふたい決議けつぎがなされています。

附帯ふたい決議けつぎ」とは、行政ぎょうせい法律ほうりつ執行しっこうするにあたっての留意りゅうい事項じこうしめしたもので、法的ほうてき拘束こうそくりょくはないものの国会こっかいからの要望ようぼうとして政治せいじてき効果こうかがあるものです。

附帯ふたい決議けつぎでは、相談そうだん体制たいせい整備せいび具体ぐたいてきなガイドライン作成さくせい禁止きんし事項じこう拡充かくじゅう検討けんとう、インボイス対応たいおう一方いっぽうてき要求ようきゅう不利益ふりえき取扱とりあつか示唆しさ禁止きんし周知しゅうち徹底てっていなど、フリーランス新法しんぽう運用うんよう問題もんだいなくおこなわれるようにさまざまな事項じこうもとめられています。

3.フリーランス新法しんぽう下請したうけほう独占どくせん禁止きんしほうとの関係かんけい

フリーランス新法しんぽう法律ほうりつとして、下請したうけほう独占どくせん禁止きんしほうがあります。

下請したうけほう正式せいしき名称めいしょう下請したうけ代金だいきん支払しはらい遅延ちえんとう防止ぼうしほう)とは、おや事業じぎょうしゃ下請したうけ事業じぎょうしゃたいして下請したうけ代金だいきん支払しはらい遅延ちえんするなど優越ゆうえつてき地位ちい濫用らんようする行為こういまり、下請したうけ事業じぎょうしゃ利益りえき保護ほごすることなどを目的もくてきとした法律ほうりつです。

フリーランス新法しんぽうには下請したうけほうとよく規制きせいおおくありますが、これらの法律ほうりつ適用てきよう対象たいしょうことなります。

下請したうけほうは、資本しほんきん一定いっていがく以上いじょうである発注はっちゅうしゃたいして適用てきようされる法律ほうりつであり、発注はっちゅうしゃ資本しほんきんがくが1,000まんえんえる場合ばあいはじめて下請したうけほう適用てきようされる可能かのうせいてきます。

これにたいし、フリーランス新法しんぽうでは、資本しほんきん要件ようけんはありません。たとえば資本しほんきんがくが1えんである会社かいしゃ資本しほんきんという概念がいねんがない個人こじん事業じぎょうぬし発注はっちゅうしゃである場合ばあいでも、要件ようけんたすかぎりフリーランス新法しんぽう適用てきようされます。

参考さんこう下請したうけ代金だいきん支払しはらい遅延ちえんとう防止ぼうしほう昭和しょうわさんじゅういちねん法律ほうりつだいひゃくじゅうごう

独占どくせん禁止きんしほう正式せいしき名称めいしょう私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ)とは、私的してき独占どくせん不当ふとう取引とりひき制限せいげん公正こうせい取引とりひき方法ほうほうなどを禁止きんしし、自由じゆう経済けいざい社会しゃかいにおける公正こうせい自由じゆう競争きょうそうさまたげる行為こうい規制きせいしている法律ほうりつです。

独占どくせん禁止きんしほうでは、資本しほんきん要件ようけんなどはなく、どうほうさだめられた要件ようけんさえたせば適用てきよう対象たいしょうとなります。

もっとも、独占どくせん禁止きんしほう要件ようけん抽象ちゅうしょうてきであり、要件ようけん該当がいとうして規制きせい対象たいしょうとなるのかの判断はんだんむずかしいという特徴とくちょうがあります。このため、実務じつむじょうはまず下請したうけほう適用てきよう検討けんとうし、下請したうけほう適用てきようできない場合ばあい独占どくせん禁止きんしほう適用てきようができるかが判断はんだんされる傾向けいこうにあります。

参考さんこう昭和しょうわじゅうねん法律ほうりつだいじゅうよんごう私的してき独占どくせん禁止きんしおよ公正こうせい取引とりひき確保かくほかんする法律ほうりつ

独占どくせん禁止きんしほうは、自由じゆう経済けいざい社会しゃかいにおける事業じぎょうしゃあいだ競争きょうそう行為こういのルールをさだめたもっと基本きほんてき法律ほうりつです。

これにたいし、下請したうけほうは、独占どくせん禁止きんしほう補完ほかんする関係かんけいにある法律ほうりつです。

また、フリーランス新法しんぽうは、下請したうけほう補完ほかんする位置付いちづけの法律ほうりつです。

フリーランス新法しんぽう施行しこうされれば、まりの対象たいしょう違反いはん行為こうい内容ないようおうじてかく法律ほうりつ活用かつようされ、より充実じゅうじつしたまりが実行じっこうされ、フリーランスなど立場たちばよわ事業じぎょうしゃ保護ほごがいっそうすすむことが期待きたいされます。

作成さくせい:カケコム

4.フリーランス新法しんぽう適用てきよう対象たいしょう用語ようご定義ていぎ

フリーランス新法しんぽうなに適用てきようされるのかということやフリーランス新法しんぽう使つかわれる用語ようごがどのような意味いみなのかについてご説明せつめいします。

4-1.フリーランス新法しんぽう適用てきよう対象たいしょう

フリーランス新法しんぽうは、業務ぎょうむ受託じゅたくする事業じぎょうしゃ業務ぎょうむ委託いたくする事業じぎょうしゃとのあいだ業務ぎょうむ委託いたく取引とりひき適用てきようされる法律ほうりつであり、いわゆるB to Bの取引とりひきたいして適用てきようされます。

フリーランス新法しんぽうでは、業務ぎょうむ受託じゅたくする事業じぎょうしゃのうち特定とくていのものに業務ぎょうむ委託いたくをする事業じぎょうしゃ(またはそのうち特定とくていのもの)にたいして、一定いってい義務ぎむしています。

フリーランス新法しんぽう適用てきよう対象たいしょうとなる取引とりひきひろく、業務ぎょうむ委託いたく取引とりひき実務じつむあたえる影響えいきょうおおきくなると予想よそうされています。

また、規制きせい内容ないようおうじてすこしずつ適用てきよう対象たいしょうことなるため、ご自身じしん場合ばあいにはどのような規制きせい適用てきようされるのかを正確せいかく見極みきわめて対応たいおうする必要ひつようがあります。

4-2.フリーランス新法しんぽうにおける用語ようご定義ていぎ

フリーランス新法しんぽうのルールを理解りかいするうえでは、とくつぎ用語ようご意味いみをしっかりと把握はあくすることが重要じゅうようです。

  • 特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ
  • 業務ぎょうむ委託いたく
  • 業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ

フリーランス新法しんぽうでは、それぞれのように用語ようご定義ていぎされています。

4-2-1.特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ

特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ」とは、業務ぎょうむ委託いたく相手方あいてがたである事業じぎょうしゃであって、つぎのいずれかに該当がいとうするものです(ほう2じょう1こう)。

  • 個人こじんであって、従業じゅうぎょういん使用しようしないもの
  • 法人ほうじんであって、ひとりの代表だいひょうしゃ以外いがい役員やくいんがなく、かつ、従業じゅうぎょういん使用しようしないもの

この「特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ」が、いわゆるフリーランスのことです。

個人こじん事業じぎょうおもであって完全かんぜんにひとりで業務ぎょうむおこなっているものについては、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ該当がいとうします。また、法人ほうじんしていても完全かんぜん代表だいひょうしゃひとりで業務ぎょうむおこなっており実質じっしつてき個人こじんひとりで業務ぎょうむおこなっているのとおなじである場合ばあいには、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ該当がいとうします。

これにたいして、個人こじんであってもだれかをやとっているなどの場合ばあいや、法人ほうじんであって役員やくいん従業じゅうぎょういんがいるという場合ばあいには、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃには該当がいとうしません。

このような特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ該当がいとうする場合ばあい個人こじんまたは法人ほうじん代表だいひょうしゃのことを、「特定とくてい受託じゅたく業務ぎょうむ従事じゅうじしゃ」といいます(ほう2じょう2こう)。

4-2-2.業務ぎょうむ委託いたく

業務ぎょうむ委託いたく」とは、つぎ行為こういのことです(ほう2じょう3こう)。

  • 事業じぎょうしゃがその事業じぎょうのために事業じぎょうしゃ物品ぶっぴん製造せいぞう加工かこうまたは情報じょうほう成果せいかぶつ(プログラム、映像えいぞう文章ぶんしょう、デザインなど)の作成さくせい委託いたくすること
  • 事業じぎょうしゃがその事業じぎょうのために事業じぎょうしゃ役務えきむ提供ていきょう委託いたくすること(事業じぎょうしゃたいしてみずからに役務えきむ提供ていきょうをさせることをふくむ)

業務ぎょうむ委託いたく」には、いわゆるB to Cの取引とりひきふくまれませんが、下請したうけてき構造こうぞうがある取引とりひきかぎらず対等たいとう事業じぎょうしゃ関係かんけいとして取引とりひきをする場合ばあいふくまれます。これにより、おおくの業務ぎょうむ委託いたく取引とりひきがこれにふくまれます。

4-2-3.業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ

業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ」とは、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ業務ぎょうむ委託いたくをする事業じぎょうしゃのことです(ほう2じょう5こう)。

特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ」とは、業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃのうち、つぎのいずれかに該当がいとうするもののことです(ほう2じょう6こう)。

  • 個人こじんであって、従業じゅうぎょういん使用しようするもの
  • 法人ほうじんであって、2人ふたり以上いじょう役員やくいんがあり、または従業じゅうぎょういん使用しようするもの

業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃは、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ業務ぎょうむ委託いたくをする事業じぎょうしゃすべてをふくみ、従業じゅうぎょういん使用しようしているかどうかなどをいません。

これにたいし、特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃのうち従業じゅうぎょういん使用しようしていたり複数ふくすう役員やくいんがいたりするもののことをします。もっとも、1人ひとりでも従業じゅうぎょういん使用しようしていたり2にん以上いじょう役員やくいんがいたりすれば特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ該当がいとうするので、その範囲はんい相当そうとうひろいといえます。

ここまでにたように、業務ぎょうむ委託いたくけるがわについては完全かんぜんにひとりで業務ぎょうむおこなっているものがフリーランス新法しんぽう適用てきよう対象たいしょうとなりますが、業務ぎょうむ委託いたくをするがわについてはこのような受託じゅたくしゃ業務ぎょうむ委託いたくするのであればすべての事業じぎょうしゃ対象たいしょうとなります。また、業務ぎょうむ委託いたくをする事業じぎょうしゃなかでも従業じゅうぎょういんやとうなど複数ふくすうじん事業じぎょうおこなっているものについては、特別とくべつ規制きせい対象たいしょうとなります。

なお、法案ほうあん審議しんぎ過程かていにおける政府せいふ参考さんこうじん答弁とうべんによれば、業務ぎょうむ委託いたくけるもの家族かぞく仕事しごと手伝てつだ場合ばあいには、青色あおいろ事業じぎょう専従せんじゅうしゃである場合ばあいふくめて、基本きほんてきには従業じゅうぎょういん使用しようしていない場合ばあいおなあつかいになる見込みこみです。また、従業じゅうぎょういんがいる法人ほうじん経営けいえいしている社長しゃちょうあらたに自分じぶんひとりだけの法人ほうじん設立せつりつして仕事しごとけた場合ばあいには、そのしん法人ほうじん新法しんぽう保護ほご対象たいしょうになる見込みこみです。

参考さんこうだい211かい国会こっかい 内閣ないかく委員いいんかい だい10ごうれい5ねん4がつ5にち水曜日すいようび))|衆議院しゅうぎいん

4-3.フリーランス新法しんぽうで「フリーランス」はどのように定義ていぎされているか

この法律ほうりつは「フリーランス新法しんぽう」とばれていますが、法律ほうりつじょうは「フリーランス」という言葉ことば使つかわれていません。わりに「特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ」という名称めいしょうがいわゆるフリーランスをすものとして使つかわれています。

特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ」「特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ」「業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ」のいずれについても資本しほんきん要件ようけんになっておらず、資本しほんきんのない個人こじん資本しほんきんが1えんのような会社かいしゃでもこれらに該当がいとうする可能かのうせいがあります。

ひとりで仕事しごとをしており業務ぎょうむ受託じゅたくするものであれば基本きほんてきには「フリーランス」としてこの法律ほうりつ対象たいしょうになるとかんがえて対応たいおうすすめるとよいでしょう。

5.フリーランス新法しんぽうではどのようなルールがさだめられているか

フリーランス新法しんぽうでは、「取引とりひき適正てきせい」と「就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいび」のために、さまざまなルールがさだめられています。

5-1.取引とりひき適正てきせいかんするルール

フリーランス新法しんぽうでは、取引とりひき適正てきせいするため、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃたいして業務ぎょうむ委託いたくする業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ遵守じゅんしゅするべき義務ぎむ禁止きんし事項じこう規定きていされています。

フリーランス新法しんぽう規定きていされた取引とりひき適正てきせいのための義務ぎむ禁止きんし事項じこうには、つぎのものがあります。

  • 取引とりひき条件じょうけん明示めいじ義務ぎむ
  • 報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめる義務ぎむ
  • 特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ禁止きんし事項じこう

なお、取引とりひき条件じょうけん明示めいじ義務ぎむについては業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃであればすべての発注はっちゅうしゃ対象たいしょうとなりますが、その義務ぎむ禁止きんし事項じこう特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ従業じゅうぎょういんとうがいる事業じぎょうしゃ)が発注はっちゅうしゃとなる場合ばあいかぎられます。

取引とりひき条件じょうけん明示めいじ義務ぎむほう3じょう

業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃたいして業務ぎょうむ委託いたくをした場合ばあいには、ただちにつぎ事項じこう書面しょめんまたは電磁でんじてき方法ほうほうによって特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ明示めいじしなければなりません(ほう3じょう1こう本文ほんぶん)。

  • 特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ給付きゅうふ内容ないよう
  • 報酬ほうしゅうがく
  • 支払しはらい期日きじつ
  • その公正こうせい取引とりひき委員いいんかい規則きそくさだめる事項じこう

からだてき明示めいじ事項じこう明示めいじ手段しゅだんである電磁でんじてき方法ほうほう具体ぐたいてき内容ないようについては公正こうせい取引とりひき委員いいんかい規則きそくさだめることとされていますが、この規則きそく内容ないようは2024ねん5がつ時点じてんではまだ公表こうひょうされていません。

もっとも、「特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいかんする検討けんとうかい報告ほうこくしょ」ではつぎ事項じこうなどを明示めいじ事項じこうとすることが適当てきとうであるとされています。

  1. 業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃおよ特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ商号しょうごう氏名しめいしくは名称めいしょうまた番号ばんごう記号きごうとうであって業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃおよ特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ識別しきべつできるもの
  2. 業務ぎょうむ委託いたくをした
  3. 特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ給付きゅうふ内容ないよう役務えきむ提供ていきょう委託いたく場合ばあいは、提供ていきょうする役務えきむ内容ないよう)(※ちゅう1)
  4. 特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ給付きゅうふ受領じゅりょうする期日きじつまた役務えきむ提供ていきょうける期日きじつ
  5. 特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ給付きゅうふ場所ばしょ役務えきむ提供ていきょう場所ばしょ
  6. 特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ給付きゅうふ役務えきむ内容ないようについて検査けんさをする場合ばあいは、その検査けんさ完了かんりょうする期日きじつ
  7. 報酬ほうしゅうがく(※ちゅう2)
  8. 報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつ
  9. 報酬ほうしゅう全部ぜんぶまた一部いちぶ支払しはらいにつき、手形てがた交付こうふする場合ばあい必要ひつよう事項じこう
  10. 報酬ほうしゅう全部ぜんぶまた一部いちぶ支払しはらいにつき、一括いっかつ決済けっさい方式ほうしき支払しはら場合ばあい必要ひつよう事項じこう
  11. 報酬ほうしゅう全部ぜんぶまた一部いちぶ支払しはらいにつき、電子でんし記録きろく債権さいけん支払しはら場合ばあい必要ひつよう事項じこう
  12. 報酬ほうしゅう全部ぜんぶまた一部いちぶ支払しはらいにつき、デジタルばらい(報酬ほうしゅう資金しきん移動いどう業者ぎょうしゃ口座こうざへの支払しはらい)をする場合ばあい必要ひつよう事項じこう
  13. 具体ぐたいてき金額きんがく記載きさいすることが困難こんなんなやむをない事情じじょうがある場合ばあいの、報酬ほうしゅう具体ぐたいてき金額きんがくさだめることとなる算定さんてい方法ほうほう
  14. 業務ぎょうむ委託いたくをしたときに書面しょめんまた電磁でんじてき方法ほうほうにより明示めいじしない事項じこう未定みてい事項じこう)がある場合ばあいの、未定みてい事項じこう内容ないようさだめられない理由りゆうおよ特定とくてい事項じこう内容ないようさだめることとなる予定よてい期日きじつ
  15. 基本きほん契約けいやくとう共通きょうつう事項じこうがあらかじめ明示めいじされた場合ばあい個別こべつ契約けいやくとの関連かんれんけの明示めいじ
  16. 未定みてい事項じこう内容ないよう書面しょめんまた電磁でんじてき方法ほうほうにより明示めいじする場合ばあいの、当初とうしょ明示めいじした事項じこうとの関連かんれんせい確認かくにんできる記載きさい事項じこう
  17. さい委託いたく場合ばあいさい委託いたくであるむねもと委託いたくしゃ氏名しめいまた名称めいしょうもと委託いたく業務ぎょうむ対価たいか支払しはらい期日きじつ

 

引用いんよう特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいかんする検討けんとうかい報告ほうこくしょれい6ねん1がつ)7ぺーじ特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいかんする検討けんとうかい

このことにかんし、ガイドラインとうあきらかにすることが期待きたいされるかんがかたとして、つぎかんがかたしめされています。

ちゅう1については、「特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ作成さくせいした情報じょうほう成果せいかぶつとうかか知的ちてき財産ざいさんけんについて、業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃが、作成さくせい目的もくてきたる使用しよう範囲はんいえて、当該とうがい知的ちてき財産ざいさんけんみずからに譲渡じょうと許諾きょだくさせることをふくんで発注はっちゅうする場合ばあいには、「特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ給付きゅうふ内容ないよう」の一部いちぶとして、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ作成さくせいした情報じょうほう成果せいかぶつとうかか知的ちてき財産ざいさんけん譲渡じょうと許諾きょだく範囲はんい明確めいかく記載きさいすることが必要ひつよう」とされています。

ちゅう2については、「たとえば、業務ぎょうむ委託いたくをしたさいに、しょ経費けいひを「報酬ほうしゅうがく」として支払しはらうこととしている場合ばあいには、当該とうがいしょ経費けいひふくめた「報酬ほうしゅうがく」を明示めいじすることが必要ひつよう」とされています。

明示めいじ手段しゅだんである電磁でんじてき方法ほうほうとしてはひろ手段しゅだんみとめられる方向ほうこうであり、具体ぐたいてきにはつぎのような手段しゅだんみとめられる方向ほうこうです。(報告ほうこくしょ13ぺーじ)。

  • 電子でんしメール
  • クラウドメールサービス
  • オンラインストレージサービス
  • ソーシャルネットワークサービス(SNS)
  • アプリとうもちいた各種かくしゅメッセージサービス

電磁でんじてき方法ほうほうにより明示めいじした場合ばあいであっても、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃから書面しょめん交付こうふもとめられたときは原則げんそくとして遅滞ちたいなく書面しょめん交付こうふしなければなりません(ほう3じょう2こう本文ほんぶん)。

また、電磁でんじてき方法ほうほうにより明示めいじする場合ばあいには、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ同意どうい承諾しょうだく必要ひつようありません。このことは、下請したうけほうにおいては書面しょめんえて電磁でんじてき方法ほうほうにより情報じょうほう提供ていきょうするために下請したうけ事業じぎょうしゃ承諾しょうだく必要ひつようとされている(下請したうけほう3じょう2こう前段ぜんだん)こととことなります。

取引とりひき条件じょうけん明示めいじ義務ぎむについてとく注意ちゅういしなければならないてんは、義務ぎむ対象たいしょうが「業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ」であることです。

これは、従業じゅうぎょういん使用しようしていない事業じぎょうしゃふくめて業務ぎょうむ委託いたくをするすべての事業じぎょうしゃ対象たいしょうとなることを意味いみします。これにより、フリーランスからフリーランスへの業務ぎょうむ委託いたくさい委託いたくについても取引とりひき条件じょうけん明示めいじ義務ぎむ適用てきようがあります。

また、契約けいやく期間きかんながさにかかわらず義務ぎむ適用てきようされるため、この義務ぎむ適用てきよう範囲はんい非常ひじょうひろくなります。

報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめる義務ぎむ支払しはらい遅延ちえん禁止きんしほう4じょう

特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃたいして業務ぎょうむ委託いたくをした場合ばあいには、報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつについてルールがさだめられています。

具体ぐたいてきには、給付きゅうふ受領じゅりょうしたから60にち以内いない(かつ、できるかぎみじか期間きかんない)に報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめなければなりません(ほう4じょう1こう)。

特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ事業じぎょうしゃから業務ぎょうむ委託いたくけ、その業務ぎょうむ全部ぜんぶまたは一部いちぶについて特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃさい委託いたくをした場合ばあいには、発注はっちゅうもとから支払しはらいけるから30にち以内いない(かつ、できるかぎみじか期間きかんない)に報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめなければなりません(ほう4じょう3こう)。

特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃは、支払しはらい期日きじつまでに報酬ほうしゅう支払しはらわなければなりません(ほう4じょう5こう本文ほんぶん)。

これらの義務ぎむ違反いはんして報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめられなかった場合ばあいには、給付きゅうふ受領じゅりょうしたさい委託いたく場合ばあい発注はっちゅうもとから支払しはらいける)が、報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめられたものとみなされます。また、これらのルールに違反いはんして報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめられた場合ばあいには、給付きゅうふ受領じゅりょうしたから60にちさい委託いたく場合ばあい発注はっちゅうもとから支払しはらいけるから30にち)が、報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめられたものとみなされます(ほう4じょう2こう、4こう)。

特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ禁止きんし事項じこうほう5じょう

特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃたいして、政令せいれいさだめる一定いってい期間きかん以上いじょう継続けいぞくしておこな業務ぎょうむ委託いたくをした場合ばあいには、つぎ禁止きんし事項じこう遵守じゅんしゅ事項じこう)をまもらなければなりません(ほう5じょう)。

  1. 給付きゅうふ受領じゅりょうこばむこと
  2. 報酬ほうしゅうがくらすこと
  3. 給付きゅうふ受領じゅりょうに、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃにその給付きゅうふされたものらせること
  4. 同種どうしゅまたは類似るいじ給付きゅうふ内容ないようたいして通常つうじょう支払しはらわれる対価たいかくらべていちじるしくひく報酬ほうしゅうがく不当ふとうさだめること
  5. 正当せいとう理由りゆうがないのに、自己じこ指定していするもの強制きょうせいして購入こうにゅうさせ、または役務えきむ強制きょうせいして利用りようさせること
  6. 自己じこのために金銭きんせん役務えきむその経済けいざいじょう利益りえき提供ていきょうさせること
  7. 給付きゅうふ内容ないよう変更へんこうさせ、または給付きゅうふ受領じゅりょうしたのち(もしくは役務えきむ提供ていきょうけたのち)に給付きゅうふをやりなおさせること

このうち、1~5については、そのような行為こういをすることそのものが禁止きんしされています(ほう5じょう1こう)。

これにたいして、6、7については、その行為こういをすることによって特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ利益りえき不当ふとうがいすることが禁止きんしされています(ほう5じょう2こう)。ぎゃくにいえば、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ利益りえき不当ふとうがいしない範囲はんい行為こういであれば、6、7に該当がいとうする行為こういであっても許容きょようされます。

政令せいれいさだめる一定いってい期間きかん」についてさだめた政令せいれい内容ないようは、2024ねん5がつ時点じてんではまだ公表こうひょうされていません。

もっとも、「特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいかんする検討けんとうかい報告ほうこくしょ」では、ほう5じょう適用てきよう対象たいしょうとなる業務ぎょうむ委託いたく期間きかんは1かげつとすることが適当てきとうであるとしています(報告ほうこくしょ9ぺーじ以下いか)。このため、1かげつ以上いじょう継続けいぞくしておこな業務ぎょうむ委託いたくがこれらの禁止きんし事項じこう対象たいしょうとなる可能かのうせいがあります。

5-2.就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいびかんするルール

フリーランス新法しんぽうでは、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃはたら環境かんきょう整備せいびするために特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃおこなわなければならない事項じこう規定きていされています。

フリーランス新法しんぽう規定きていされた就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいびするための事項じこうには、つぎのものがあります。

  • 募集ぼしゅう情報じょうほう的確てきかく表示ひょうじ
  • 妊娠にんしん出産しゅっさん育児いくじ介護かいごたいする配慮はいりょ
  • ハラスメント対策たいさくのための措置そち
  • 契約けいやく解除かいじょ予告よこく義務ぎむ

就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいびかんするルールは、特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ従業じゅうぎょういんとうがいる事業じぎょうしゃ)が発注はっちゅうしゃとなる場合ばあいかぎられます。このため、従業じゅうぎょういんとうがおらずひとりで事業じぎょうおこなものはこのルールの適用てきよう対象たいしょうがいです。

募集ぼしゅう情報じょうほう的確てきかく表示ひょうじほう12じょう

新聞しんぶん雑誌ざっし、ウェブサイトなどに仕事しごと募集ぼしゅうかんする情報じょうほう掲載けいさいするときは、虚偽きょぎ表示ひょうじ誤解ごかいしょうじさせる表示ひょうじをしてはなりません。また、掲載けいさいする募集ぼしゅうかんする情報じょうほうは、正確せいかくかつ最新さいしん内容ないようたもたなければなりません。

これまでも、雇用こよう契約けいやくもとはたら労働ろうどうしゃについては求人きゅうじんなどにかんする情報じょうほう的確てきかく表示ひょうじ義務ぎむとされていました。仕事しごと募集ぼしゅうかんする情報じょうほう的確てきかく表示ひょうじするべきであることは労働ろうどうしゃでもフリーランスでもわらないことから、同様どうよう義務ぎむさだめられることとなりました。

参考さんこう職業しょくぎょう安定あんていほう昭和しょうわじゅうねん法律ほうりつだいひゃくよんじゅういちごう五条ごじょうよん

妊娠にんしん出産しゅっさん育児いくじ介護かいごたいする配慮はいりょほう13じょう

政令せいれいさだめる一定いってい期間きかん継続けいぞくする業務ぎょうむ委託いたくかんし、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ妊娠にんしん出産しゅっさん育児いくじ介護かいご両立りょうりつしながら業務ぎょうむおこなうことができるように、状況じょうきょうおうじた必要ひつよう配慮はいりょをしなければなりません。

また、政令せいれいさだめる一定いってい期間きかん継続けいぞくしていない業務ぎょうむ委託いたくかんしても、必要ひつよう配慮はいりょをするよう努力どりょくしなければなりません(努力どりょく義務ぎむ)。

この政令せいれいさだめる一定いってい期間きかん継続けいぞくする業務ぎょうむ委託いたくには、当初とうしょから一定いってい期間きかん以上いじょう期間きかん契約けいやく期間きかんとしてさだめられているものだけでなく、更新こうしんによって一定いってい期間きかん以上いじょう継続けいぞくするものもふくみます。

ハラスメント対策たいさくのための措置そちほう14じょう

いわゆるセクハラ、マタハラ、パワハラについての相談そうだんおうじて適切てきせつ対応たいおうするための体制たいせい整備せいびするなど必要ひつよう措置そちこうじなければなりません。

また、相談そうだんおこなったことや相談そうだんへの対応たいおう協力きょうりょくしたことを理由りゆうとして、契約けいやく解除かいじょするなどの不利益ふりえき取扱とりあつかいをしてはなりません。

契約けいやく解除かいじょ予告よこく義務ぎむほう16じょう

政令せいれいさだめる一定いってい期間きかん継続けいぞくする業務ぎょうむ委託いたく契約けいやく解除かいじょしたり契約けいやく更新こうしんしないこととしたりするときは、すくなくとも30にちまえまでに、契約けいやく解除かいじょ更新こうしんしないむね予告よこくをしなければなりません。

契約けいやく解除かいじょなどの予告よこくがされたから契約けいやく終了しゅうりょうするまでに契約けいやく解除かいじょなどの理由りゆう開示かいじ請求せいきゅうしたときは、遅滞ちたいなく理由りゆう開示かいじしなければなりません。

6.フリーランス新法しんぽう違反いはんするとどうなる?

フリーランス新法しんぽう違反いはんした場合ばあいには、つぎながれで手続てつづきがすすみます(ほう6じょう~11じょうほう17じょう~20じょう)。

  • 申出もうしで
  • 調査ちょうさ
  • 勧告かんこく
  • 命令めいれい
  • 公表こうひょう
  • 罰則ばっそく

 

また、このほかにも、公正こうせい取引とりひき委員いいんかい中小企業庁ちゅうしょうきぎょうちょう厚生こうせい労働省ろうどうしょうにより、必要ひつようおうじて指導しどう助言じょげんがなされることがあります(ほう22じょう)。

6-1.申出もうしで調査ちょうさ

フリーランス新法しんぽうさだめられた義務ぎむ違反いはんした事実じじつがあるときは、フリーランスは、公的こうてき機関きかん違反いはん事実じじつもうます。

申出もうしでさきは、取引とりひき適正てきせいかんするルールに違反いはんしている場合ばあいには公正こうせい取引とりひき委員いいんかいまたは中小企業庁ちゅうしょうきぎょうちょう窓口まどぐち就業しゅうぎょう環境かんきょう整備せいびかんするルールに違反いはんしている場合ばあいには厚生こうせい労働省ろうどうしょう窓口まどぐちです。

これらの公的こうてき機関きかんへのさる理由りゆうとして、取引とりひき数量すうりょう削減さくげん取引とりひき停止ていしなどといった不利益ふりえき取扱とりあつかいをすることは禁止きんしされています。

申出もうしでがなされると、公正こうせい取引とりひき委員いいんかいとうにより調査ちょうさおこなわれます。

調査ちょうさでは、実際じっさい法律ほうりつさだめられたルールに違反いはんした事実じじつがあるかどうか、具体ぐたいてきにどのような違反いはん事実じじつがあるのかなどが調しらべられます。

6-2.勧告かんこく

法律ほうりつ違反いはん事実じじつがあるとみとめられたときは、違反いはん是正ぜせい防止ぼうしするために必要ひつよう措置そちるように、公正こうせい取引とりひき委員いいんかい厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんにより勧告かんこくおこなわれることがあります。

調査ちょうさ勧告かんこくをするにあたっては、報告ほうこく要求ようきゅう立入たちいり調査ちょうさ帳簿ちょうぼ書類しょるいその物件ぶっけん調査ちょうさ可能かのうです。

6-3.命令めいれい公表こうひょう

勧告かんこくけたのに、正当せいとう理由りゆうなく勧告かんこくされた措置そちらなかったときは、措置そちるように命令めいれいすることができます。ただし、ハラスメントの防止ぼうしかんしては、命令めいれい制度せいど対象たいしょうがいです。

命令めいれいをした場合ばあいには、命令めいれいをしたむね公表こうひょうすることができます。

ハラスメントの防止ぼうしかんしては、正当せいとう理由りゆうなく勧告かんこくしたがわなかったときにそのむね公表こうひょうすることができます。

企業きぎょうとしては、公表こうひょうによってフリーランス新法しんぽうのルールをまもらなかったことが社会しゃかいわたり、社会しゃかいてき評価ひょうか低下ていかするリスクがあるため、公表こうひょういたらない段階だんかい適切てきせつ対応たいおうをすることが重要じゅうようです。

6-4.罰則ばっそく

命令めいれい違反いはん報告ほうこく虚偽きょぎ報告ほうこく検査けんさ拒否きょひ妨害ぼうがいがあったときは、50まんえん以下いか罰金ばっきんされることがあります(ほう24じょう)。

罰則ばっそくには、りょうばっ規定きていがあります(ほう25じょう)。りょうばっ規定きていとは、違反いはんしたひとだけでなく、あわせて違反いはんしたひとやとぬしである個人こじん法人ほうじんたいしてもけいされることです。

ハラスメント対策たいさくかんする報告ほうこく虚偽きょぎ報告ほうこくについては、20まんえん以下いか過料かりょうされます(ほう26じょう)。

7.フリーランス新法しんぽうかんする対応たいおう注意ちゅういてん

フリーランス新法しんぽうかんする対応たいおう注意ちゅういてんについて、「職業しょくぎょうべつ」「シチュエーションごと」の2つの観点かんてんけてご説明せつめいします。

職業しょくぎょうべつ対応たいおう注意ちゅういてん

職業しょくぎょうべつ対応たいおう注意ちゅういてんについてご説明せつめいします。

7-1.シルバー人材じんざいセンターの対応たいおう

シルバー人材じんざいセンターでは、フリーランス新法しんぽう施行しこうわせて契約けいやく方法ほうほう見直みなおしがおこなわれます。

これまでは、発注はっちゅうしゃがセンターに発注はっちゅう業務ぎょうむ委託いたくおこない、センターが会員かいいんさい委託いたくをするという契約けいやく方法ほうほうでした。この方法ほうほうしたでは、発注はっちゅうしゃとセンター、センターと会員かいいんあいだでそれぞれ請負うけおい委任いにん契約けいやく関係かんけい発生はっせいしていました。

見直みなおは、発注はっちゅうしゃ会員かいいんとのあいだ直接ちょくせつ請負うけおい委任いにん契約けいやく関係かんけい発生はっせいします。センターは、発注はっちゅうしゃ会員かいいんとのあいだってさまざまな調整ちょうせいおこない、依頼いらいされた仕事しごとがしっかりとおこなわれたり会員かいいん安心あんしんしてはたらける環境かんきょう確保かくほしたりするために、適切てきせつ対応たいおうおこないます。

このように、形式けいしきてき契約けいやく方法ほうほうわりますが、実務じつむてきめんではこれまでと基本きほんてきわることはありません。

ただし、シルバー人材じんざいセンターの会員かいいんは、フリーランス新法しんぽうもとづいた保護ほごけられるようになるため、はたらまえに「会員かいいん業務ぎょうむ仕様しようしょ」などのかたち業務ぎょうむ内容ないよう報酬ほうしゅうがくなどを明示めいじしてもらったうえで業務ぎょうむけるかどうか判断はんだん同意どういすることができるようになるなどのちがいがあります。

7-2.フリーランス医師いしとの契約けいやくかんする注意ちゅういてん

ある民間みんかん調査ちょうさによると、常勤じょうきんさきたずにフリーランスとしてはたら医師いし割合わりあい全体ぜんたいの15.7%でした。

フリーランスとしてはたら医師いしにもフリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされる可能かのうせいがあります。フリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされる場合ばあいには、医師いしとのあいだ業務ぎょうむ委託いたく契約けいやく締結ていけつするさい取引とりひき条件じょうけん明示めいじするなどの必要ひつようがあります。

もっとも、フリーランス医師いしであればつねにフリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされるというわけではありません。フリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされるのは、医師いしとの契約けいやく業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくである場合ばあいかぎられます。雇用こよう契約けいやくむすんではたら場合ばあいには、フリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされることはありません。

フリーランスとしてはたら医師いし契約けいやく業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくであるか雇用こよう契約けいやくであるかは、業務ぎょうむ内容ないようはたらかたなどにおうじて個別こべつまります。契約けいやくしょのタイトルなど文言もんごんじょうは「業務ぎょうむ委託いたく契約けいやく」と明記めいきされていても、業務ぎょうむ内容ないようはたらかたによっては、契約けいやくしょ文言もんごんにかかわらず雇用こよう契約けいやくであると認定にんていされることもおおくあります。

業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくとしてフリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされる可能かのうせいがある医師いし仕事しごとには、つぎのようなものがあります。

  • 嘱託しょくたく産業さんぎょう
  • 労働ろうどう衛生えいせいコンサルタントなどのコンサルタント業務ぎょうむ
  • 遠隔えんかく読影(CT、MRIなど)
  • 講演こうえん医療いりょう記事きじ執筆しっぴつ監修かんしゅう

これにたいして、フリーランスの医師いしであっても、業務ぎょうむ遂行すいこうたいする指揮しき監督かんとく有無うむ諾否だくひ自由じゆう有無うむ勤務きんむ時間じかん場所ばしょ拘束こうそく有無うむ程度ていど報酬ほうしゅうがく計算けいさん方法ほうほう機械きかい器具きぐ負担ふたんその事情じじょう考慮こうりょして、雇用こよう契約けいやく関係かんけいにあると判断はんだんされる(労働ろうどうしゃせいみとめられる)ことはおおくあります。

非常勤ひじょうきん勤務きんむや、麻酔ますい産業さんぎょうのアルバイトなどであっても、はたらかたなどによっては雇用こよう契約けいやく関係かんけい成立せいりつみとめられます。雇用こよう契約けいやく関係かんけいみとめられる場合ばあいには、フリーランス新法しんぽう適用てきよう対象たいしょうがいである一方いっぽう労働ろうどう基準きじゅんほうその労働ろうどう基準きじゅん関係かんけい法令ほうれいまもらなければならないため、十分じゅうぶん注意ちゅういすることが必要ひつようです。

7-3.建設けんせつぎょう一人ひとり親方おやかたにおける注意ちゅういてん

一人ひとり親方おやかた」とは、建設けんせつぎょう林業りんぎょうなどをいとなほうのうち、他人たにん雇用こようされず、かつ、他人たにん雇用こようしないで、自分じぶんだけで仕事しごとって業務ぎょうむおこなほうのことです。

一人ひとり親方おやかた個人こじん事業じぎょうぬしのひとつです。このため、一人ひとり親方おやかた建設けんせつ業者ぎょうしゃから建物たてもの工事こうじなどの仕事しごと場合ばあいには、基本きほんてきにはフリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされます。

一人ひとり親方おやかたたいして業務ぎょうむ発注はっちゅうする建設けんせつ業者ぎょうしゃは、契約けいやくさい書面しょめんとうにより取引とりひき条件じょうけん明示めいじするなど、フリーランス新法しんぽうのルールをまもらなければなりません。

7-4.コンサルタント契約けいやくかんする注意ちゅういてん

コンサルタントであってもフリーランスとしてはたらひととのあいだ契約けいやく締結ていけつするのであれば、基本きほんてきにフリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされます。このため、契約けいやく締結ていけつさい取引とりひき条件じょうけん明示めいじするなどのルールをまもらなければなりません。

コンサルタント契約けいやくをする場合ばあい特徴とくちょうとして、契約けいやく締結ていけつにはどのようなサービスを提供ていきょうするのかその具体ぐたいてき内容ないようがはっきりとさだまっていないケースもおおいことがあります。たとえば、抽象ちゅうしょうてきに「~のプロジェクトの支援しえんかんする業務ぎょうむ」などとあいまいな範囲はんいでしかさだめられないこともあるでしょう。

ほう3じょう1こうもとづいて明示めいじすることが義務付ぎむづけられた取引とりひき条件じょうけんであっても、契約けいやくただちにその内容ないようさだめられないことにつき正当せいとう理由りゆうがあるものについては、ただちに明示めいじしなくてもかまいません。わりにその内容ないようさだめられたのちにはただちに明示めいじしなければなりません(ほう3じょう1こうただしき)。

コンサルタント契約けいやくでは、はじめの契約けいやく締結ていけつ無理むりこまかな業務ぎょうむ内容ないよう明示めいじする必要ひつようはありませんが、抽象ちゅうしょうてき業務ぎょうむ内容ないようだけを明示めいじしてすべ口頭こうとうませるという対応たいおうのぞましくありません。

コンサルタント業務ぎょうむすすむにつれて具体ぐたいてき業務ぎょうむ範囲はんい取引とりひき条件じょうけんさだまってきたら、その都度つどできる範囲はんいでそのことを書面しょめんやメールとうかたちのこすように留意りゅういしましょう。

【シチュエーションごとに注意ちゅういてん

フリーランス新法しんぽうかんし、シチュエーションごとに注意ちゅういてんをご説明せつめいします。

7-5.さい委託いたく場合ばあい注意ちゅういてん

さい委託いたく場合ばあいには、報酬ほうしゅう支払しはらいにかんして通常つうじょう場合ばあいとはことなるルールがさだめられています。

さい委託いたくをした場合ばあいに、さい委託いたくであることやもと委託いたくかんする一定いってい情報じょうほうさい受託じゅたくしゃであるフリーランスに明示めいじしたときは、もと委託いたく支払しはらい期日きじつから30にち以内いないにフリーランスにたいして報酬ほうしゅう支払しはらわなければなりません(ほう4じょう3こう、4こう)。

通常つうじょうのルールであれば給付きゅうふ受領じゅりょう役務えきむ提供ていきょうから60にち以内いない報酬ほうしゅう支払しはら義務ぎむがあるのにたいし、さい委託いたく場合ばあいにはもと委託いたく支払しはらい期日きじつから30にち以内いない報酬ほうしゅう支払しはら義務ぎむがあり、支払しはらい期日きじつのルールがことなります。

さい委託いたく場合ばあいには、もと委託いたく支払しはらい期日きじつによっては、給付きゅうふ受領じゅりょう役務えきむ提供ていきょうから60にちえてから受託じゅたくしゃ報酬ほうしゅう支払しはらわれることもありますが、さい委託いたく場合ばあいのルールをまもっていればそれでかまいません。

もっとも、さい委託いたく場合ばあいにはこのように通常つうじょうよりも報酬ほうしゅう支払しはらいがおそくなる可能かのうせいがあり、報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつかんする管理かんり間違まちがわないようにすることが大切たいせつです。また、受託じゅたくしゃたいして報酬ほうしゅう支払しはらいがいつになるのかをしっかりと説明せつめいして理解りかいるようにつとめることが大切たいせつです。

7-6.契約けいやくしょじょう表記ひょうきが「じゅん委任いにん契約けいやく」や「請負うけおい契約けいやく」などの場合ばあい注意ちゅういてん

いわゆる「業務ぎょうむ委託いたく契約けいやく」は、典型てんけい契約けいやくであって民法みんぽう直接ちょくせつ規定きていされているわけではありません。

業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくは、個別こべつ契約けいやくごとにさまざまな性質せいしつ内容ないようのものがあり、契約けいやく内容ないよう性質せいしつによって、委任いにん契約けいやくじゅん委任いにん契約けいやく請負うけおい契約けいやくのルールが適用てきようされます。場合ばあいによっては、業務ぎょうむ委託いたく契約けいやく名称めいしょうもちいていても雇用こよう契約けいやく労働ろうどう契約けいやく)としてあつかわれることもあります。

じゅん委任いにん契約けいやく」(参考さんこう民法みんぽう656じょう)とは、依頼いらいけて特定とくてい業務ぎょうむ遂行すいこうするよう委託いたくする契約けいやくのことです。「委任いにん契約けいやく」(参考さんこう民法みんぽう643じょう)が法律ほうりつ行為こうい委任いにんする契約けいやくであるのにたいして、じゅん委任いにん契約けいやく法律ほうりつ行為こうい以外いがい事実じじつ行為こうい事務じむ処理しょり)を委託いたくする契約けいやくであるというちがいがありますが、民法みんぽうじょう規律きりつ同一どういつです。

請負うけおい契約けいやく」(参考さんこう民法みんぽう632じょう)は、特定とくてい仕事しごと完成かんせい結果けっか達成たっせい)を約束やくそくするてんで、じゅん委任いにん契約けいやく区別くべつされます。請負うけおい契約けいやくしたでは、仕事しごと完成かんせいしてはじめて報酬ほうしゅう請求せいきゅうすることができ、ぎゃく仕事しごと完成かんせいしなかったり完成かんせいした仕事しごと内容ないよう不十分ふじゅうぶんだったりしたときには債務さいむ不履行ふりこう責任せきにん損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにんなど)をうことがあります。

このように、一定いってい仕事しごと業務ぎょうむまかせる契約けいやくにはさまざまなものがあり、締結ていけつした契約けいやくについてフリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされるかどうかは、あくまでもフリーランス新法しんぽうの「業務ぎょうむ委託いたく」(ほう2じょう3こう)に該当がいとうしてその要件ようけんたすかどうかによって判断はんだんされます。

契約けいやくしょかれた文言もんごんが「業務ぎょうむ委託いたく契約けいやく」ではなく、「委任いにん契約けいやく」、「じゅん委任いにん契約けいやく」、「請負うけおい契約けいやく」またはそれ以外いがい名称めいしょう契約けいやくであったとしても、フリーランス新法しんぽうのルールが適用てきようされる可能かのうせい十分じゅうぶんにあります。文言もんごんなどの形式けいしきめんではなく、実質じっしつめんから判断はんだんしなければならないことに注意ちゅうい必要ひつようです。

7-7.インボイス制度せいどとの関係かんけい

フリーランスにたいする影響えいきょうおおきい最近さいきん話題わだいしん制度せいどとして、インボイス制度せいどがあります。

インボイス制度せいどそのものは、消費しょうひぜいかんする制度せいどであり、フリーランスの保護ほご目的もくてきとしたものではありません。フリーランス新法しんぽうとの直接ちょくせつ関係かんけい基本きほんてきにはありません。

もっとも、フリーランス新法しんぽう附帯ふたい決議けつぎでは、「業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃが、報酬ほうしゅう減額げんがくとう不利益ふりえき取扱とりあつかいを示唆しさして、消費しょうひぜい免税めんぜい事業じぎょうしゃである特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃたいし、課税かぜい事業じぎょうしゃになるよう一方いっぽうてき通告つうこくしないよう、業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ周知しゅうち徹底てっていすること」として、インボイス制度せいど関連かんれんしてフリーランスへの不利益ふりえき取扱とりあつかいがなされないようにすることがまれています(衆議院しゅうぎいん附帯ふたい決議けつぎ18こう参議院さんぎいん附帯ふたい決議けつぎ19こう)。

このことは、インボイス制度せいど導入どうにゅう運用うんようのうえでもフリーランスを保護ほごする必要ひつようがあるとの国会こっかい意識いしきあらわれともいえます。

インボイス制度せいどもフリーランス新法しんぽうも、フリーランスやフリーランスと取引とりひきをする個人こじん会社かいしゃ直接ちょくせつおおきな影響えいきょうがあるしん制度せいどです。これらの内容ないようをしっかりとさえて取引とりひきのぞむことが重要じゅうようです。

参考さんこうれい5ねん10がつからインボイス制度せいど開始かいし事業じぎょうしゃあいだでやりりされる「消費しょうひぜい」が記載きさいされた請求せいきゅうしょとう制度せいどです|政府せいふ広報こうほうオンライン

8.フリーランスにかんするよくあるトラブルと対処たいしょほう

フリーランスにかんするよくあるトラブルとその対処たいしょほうについてご紹介しょうかいします。

8-1.報酬ほうしゅう未払みはらいにかんするトラブル

フリーランスとして仕事しごとをしたのに報酬ほうしゅうがきちんと支払しはらわれないというトラブルはおおくあります。

報酬ほうしゅう支払しはらわれない原因げんいんにはさまざまなものがありますが、たん発注はっちゅうしゃ支払しはらいをわすれているだけであれば、支払しはらいを催促さいそくする連絡れんらくをすることで支払しはらってもらえることがおおいです。

また、発注はっちゅうしゃが「納品のうひんされた成果せいかぶつ品質ひんしつ問題もんだいがあるから支払しはらわない」「報酬ほうしゅう減額げんがくする」「費用ひようなどを天引てんびきしてから報酬ほうしゅう支払しはらう」などとって報酬ほうしゅう支払しはらいを拒絶きょぜつすることがあります。このような理由りゆうであっても、支払しはらい期日きじつまでに約束やくそくどおりの報酬ほうしゅう支払しはらわないことがつね正当せいとうされるとはかぎりません。実際じっさいには成果せいかぶつ品質ひんしつ問題もんだいがあるかどうかなどのてんあらそいになるケースもおおいため、まずは十分じゅうぶんはなうことが大切たいせつです。

これらにたいして、発注はっちゅうしゃ資金繰しきんぐりが悪化あっかして報酬ほうしゅう支払しはら経済けいざいてき余裕よゆうがないから支払しはらわれないというケースでは注意ちゅうい必要ひつようです。最悪さいあく場合ばあいには、そのまま倒産とうさんするなどして報酬ほうしゅう支払しはらわれないままになってしまうこともあります。

フリーランスとしては、発注はっちゅうしゃ支払しはらい期日きじつまでに報酬ほうしゅう支払しはらってくれない場合ばあいには、放置ほうちすることなくできるだけすぐに催促さいそくするとともに支払しはらいおくれている理由りゆうわせるようにしましょう。また、十分じゅうぶん納得なっとくできる理由りゆうがないのに報酬ほうしゅう支払しはらい遅延ちえんつづくようであれば、発注はっちゅうしゃ経済けいざい状況じょうきょう悪化あっかしている可能かのうせいもあります。この場合ばあいには、報酬ほうしゅう債権さいけん回収かいしゅういそぐために、すぐに債権さいけん回収かいしゅうあつか弁護士べんごし相談そうだんするのがおすすめです。

なお、業務ぎょうむ委託いたくかんする契約けいやくしょ作成さくせいされていないなど、証拠しょうことなる資料しりょう手元てもとにないケースもあります。「契約けいやくしょがなければ報酬ほうしゅう一切いっさい請求せいきゅうできない」とあきらめてしまうほうもいるかもしれません。しかし、契約けいやくしょがなくてもそののさまざまな資料しりょう取引とりひきかんする書類しょるい、メール、メッセージ履歴りれきなどから報酬ほうしゅう請求せいきゅうする権利けんりがあることを立証りっしょうすることは可能かのうです。なに使つかえる証拠しょうこなのかの判断はんだん弁護士べんごしでなければむずかしいため、すこしでも不安ふあんがあれば債権さいけん回収かいしゅうあつか弁護士べんごし相談そうだんするべきです。

ぎゃくに、フリーランスに発注はっちゅうする事業じぎょうしゃとしては、まんいち報酬ほうしゅう支払しはらいがおくれるようであればフリーランスにたい十分じゅうぶん事情じじょう説明せつめいし、はないによって報酬ほうしゅう支払しはらいをってもらうようにするべきです。なにもせず放置ほうちしていれば、弁護士べんごし依頼いらいしたフリーランスにより訴訟そしょう提起ていきされるなどの事態じたいになるリスクがあります。

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8-2.契約けいやく関係かんけい解消かいしょうかんするトラブル

フリーランスが取引とりひきさきからいきなり契約けいやく解除かいじょげられるなどして取引とりひきられるというトラブルがあります。

りょう当事とうじしゃ合意ごういすれば、基本きほんてきには合意ごういもとづいて契約けいやく解除かいじょすることができます。合意ごういがない場合ばあいには、取引とりひき当事とうじしゃ自由じゆう契約けいやく解除かいじょできるわけではなく、法律ほうりつ契約けいやくによってさだめられた解除かいじょ要件ようけんたしていることが必要ひつようです。

フリーランスが取引とりひきさきから突然とつぜん契約けいやく解除かいじょをいいわたされた場合ばあいには、あきらめたりあせったりせず、まずはなぜ契約けいやく解除かいじょしようとするのかその理由りゆう根拠こんきょ確認かくにんするようにしましょう。そのうえで、取引とりひきさきとしっかりとはなうようにしましょう。

ぎゃくに、発注はっちゅうしゃがフリーランスとのあいだ契約けいやく解除かいじょしたいときは、まずははないの機会きかいもうけて契約けいやく解除かいじょ合意ごうい成立せいりつさせることができないかこころみ、合意ごういによらずに解除かいじょをする場合ばあいにも解除かいじょ要件ようけんたしているかをしっかりと確認かくにんするようにしましょう。トラブルをけるためにも、安易あんい契約けいやく解除かいじょむね通知つうちするのではなく、そのまえにまずは弁護士べんごし相談そうだんしましょう。

8-3.ハラスメントにかんするトラブル

フリーランスが当事とうじしゃになる取引とりひきでも、取引とりひきさきからパワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメントがおこなわれたとして問題もんだいになることがあります。

フリーランス新法しんぽうしたでは、ハラスメントにかんする一定いっていのルールがもうけられました。フリーランス新法しんぽう施行しこうされたのちは、このルールをしっかりとまもることが重要じゅうようです。

また、新法しんぽう施行しこうまえ取引とりひき施行しこうであってルールの適用てきよう対象たいしょうがいである取引とりひきであっても、各種かくしゅのハラスメントがおこなわれるべきでないことは当然とうぜんのことです。

取引とりひきさきがフリーランスにたいしてハラスメントをおこなったとしてトラブルになると、賠償金ばいしょうきんなどを負担ふたんする可能かのうせいしょうじるのはもちろん、トラブルの事実じじつひろられて社会しゃかいてき評価ひょうか低下ていかするなど、さまざまなリスクがあります。

まずは、実際じっさいにハラスメントがおこなわれないようにすることが重要じゅうようです。そのうえで、ハラスメントにかんするトラブルがしょうじてしまったら、弁護士べんごし相談そうだんするなどすみやかに適切てきせつ対応たいおうることが大切たいせつです。

8-4.著作ちょさくけんなどの知的ちてき財産ざいさんけんかんするトラブル

フリーランスとの取引とりひきでは、著作ちょさくけんなどの知的ちてき財産ざいさんけんかんするトラブルがしょうじることもあります。

たとえば、イラストや写真しゃしん動画どうが文章ぶんしょうなどの成果せいかぶつをフリーランスが納入のうにゅうする取引とりひきおこな場合ばあいには、その成果せいかぶつかんする知的ちてき財産ざいさんけん帰属きぞく取扱とりあつかい、対価たいか支払しはらいなどにかんする法律ほうりつのルールを確認かくにんするとともに、当事とうじしゃ同士どうし契約けいやく条件じょうけんをしっかりと確認かくにんしてできる範囲はんい契約けいやくしょなどの書面しょめんのこしておくことが重要じゅうようです。

また、成果せいかぶつ納入のうにゅうしたフリーランスが著作ちょさくぶつとう盗用とうようなどをおこなっていた場合ばあいには、そのことが発覚はっかくしたさい発注はっちゅうしゃがさまざまな対応たいおうわれることもあります。この場合ばあいには、発注はっちゅうしゃがフリーランスにたいして契約けいやく解除かいじょ損害そんがい賠償ばいしょうなどをもとめることもあります。

まずは、発注はっちゅうしゃとしては、具体ぐたいてき事例じれいしめすなどしてフリーランスが理解りかいできるかたち盗用とうようにあたる行為こういおこなわないように注意ちゅうい喚起かんきをするべきです。また、実際じっさい盗用とうようなどのトラブルが発生はっせいしたさいには契約けいやく解除かいじょできることや一定いっていがく損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうができることなどをあらかじめ契約けいやくさだめておくという対処たいしょることもかんがえられます。

著作ちょさくけんなどの知的ちてき財産ざいさんけんかんする法律ほうりつのルールは理解りかいむずかしいこともおおいので、安易あんい自己じこ判断はんだんとくけるべきです。このような権利けんり関係かんけいする取引とりひきをするのであれば、契約けいやく締結ていけつやトラブル発生はっせい弁護士べんごし相談そうだんするようにしましょう。

8-5.秘密ひみつ保持ほじ義務ぎむ専属せんぞく義務ぎむきおいぎょう避止義務ぎむかんするトラブル

フリーランスとの取引とりひきおこなさいに、秘密ひみつ保持ほじ義務ぎむ専属せんぞく義務ぎむきおいぎょう避止義務ぎむなどとして、取引とりひきかんする秘密ひみつらしたりきおいぎょう該当がいとうするような他社たしゃとの取引とりひきおこなったりしないように契約けいやく条件じょうけんさだめることがあります。

このような各種かくしゅ義務ぎむさだめる契約けいやく条件じょうけんは、慎重しんちょうあつかうことがのぞましいといえます。場合ばあいによっては、これらの義務ぎむさだめてもそれが合理ごうりてき必要ひつよう範囲はんいえており無効むこうであると判断はんだんされることもあります。

フリーランスは、発注はっちゅうしゃ雇用こようされてはたらくものではなく、取引とりひき相手方あいてがたです。秘密ひみつ保持ほじ義務ぎむ専属せんぞく義務ぎむきおいぎょう避止義務ぎむなどの各種かくしゅ義務ぎむ当然とうぜんうわけではありません。

これらの義務ぎむ契約けいやく条件じょうけんさだめる場合ばあいには、合理ごうりてき必要ひつよう範囲はんいえないように注意ちゅういしましょう。

なお、「フリーランスとして安心あんしんしてはたらける環境かんきょう整備せいびするためのガイドライン」では、発注はっちゅうしゃ合理ごうりてき必要ひつよう範囲はんいでこれらの義務ぎむ設定せっていすることはただちに独占どくせん禁止きんしほうじょう問題もんだいとなるものではないとしたうえで、正常せいじょうしょう慣習かんしゅうらしてフリーランスにたい不当ふとう不利益ふりえきあたえることとなる場合ばあいなどには優越ゆうえつてき地位ちい乱用らんようとして問題もんだいとなる独占どくせん禁止きんしほうだいじょうだいこうだいごうハ)としています。

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9.フリーランス新法しんぽう対応たいおう実務じつむじょう留意りゅういてん

フリーランス新法しんぽう対応たいおう実務じつむじょう留意りゅういてんについてご説明せつめいします。

9-1.労働ろうどうしゃ個人こじん事業じぎょうぬしとをしっかりと区別くべつする

フリーランスと取引とりひきするさいには、「労働ろうどうしゃ」と「個人こじん事業じぎょうぬし」とをしっかりと区別くべつしてかんがえることが大切たいせつです。

労働ろうどうしゃ」とは、雇用こよう契約けいやくむすんで従業じゅうぎょういんなどのかたちやとわれてはたらひとのことです。これにたいして、「個人こじん事業じぎょうぬし」は雇用こよう契約けいやく関係かんけいではなく業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくなどをむすんで取引とりひき相手あいてとしてはたらひとのことです。

労働ろうどうしゃとしてはたらひとは、フリーランス新法しんぽう規制きせい対象たいしょうではありません。

もっとも、労働ろうどうしゃ該当がいとうするかどうかは、契約けいやくしょ文言もんごんなどの形式けいしきめんだけで判断はんだんされるのではなく、はたら実態じったいそくして判断はんだんされます。たとえ業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくという文言もんごん契約けいやく締結ていけつしていたとしても、実際じっさいはたらかた従業じゅうぎょういんとほとんどわらないようであれば、そのひと労働ろうどうしゃとみなされてフリーランス新法しんぽう適用てきよう対象たいしょうがい判断はんだんされることもあります。

もし労働ろうどうしゃとみなされれば、フリーランス新法しんぽうわりに労働ろうどう基準きじゅんほう最低さいてい賃金ちんぎんほうなどの各種かくしゅ労働ろうどう基準きじゅん関係かんけい法令ほうれい適用てきようされることとなります。

フリーランスとしてはたらひと労働ろうどうしゃ個人こじん事業じぎょうぬしかでどのような法律ほうりつのルールが適用てきようされるかがわってくるため、はたらかた実態じったいそくして適切てきせつ判断はんだんし、それぞれにおうじたルールをまもるようにしましょう。

9-2.フリーランスを活用かつようすべき場合ばあいかをかんがえる

フリーランスに仕事しごと発注はっちゅうする場合ばあい今後こんごはフリーランス新法しんぽうのルールも把握はあくしたうえで取引とりひきおこなわなければなりません。

安易あんいにフリーランスに発注はっちゅうするのではなく、まずは自社じしゃ内部ないぶ仕事しごと処理しょりできないかかんがえてみるのもよいでしょう。

また、フリーランスとして仕事しごと発注はっちゅうするのではなく、正式せいしき従業じゅうぎょういんとしてやとれて仕事しごとまかせるという方法ほうほうもあります。従業じゅうぎょういんとしてやとれれば、会社かいしゃへの帰属きぞく意識いしきってより熱心ねっしん仕事しごとおこなうことが期待きたいできたり、労働ろうどう契約けいやく就業しゅうぎょう規則きそくもとづいて秘密ひみつ保持ほじ義務ぎむきおいぎょう避止義務ぎむとうをより実効じっこうせいのあるかたちすことができたり、従業じゅうぎょういんたいするルール(労働ろうどう基準きじゅんほうなど)をまもればそれでよくフリーランス新法しんぽうというあたらしいルールを把握はあくする必要ひつようがなくなったりするなどのメリットがあります。

フリーランスは、場面ばめん関係かんけいなく安易あんい使つかうべきではなく、活用かつようすべき場面ばめん適切てきせつえらんで活用かつようすることが大切たいせつです。いまがフリーランスを活用かつようするときなのかをよくかんがえたうえでフリーランスを活用かつようするようにしましょう。

9-3.契約けいやくしょ発注はっちゅうしょなどをしっかりと用意よういする

フリーランスとの取引とりひきおこなうにあたっては、契約けいやくしょ発注はっちゅうしょなどの取引とりひき書類しょるいをしっかりと用意よういすることが大切たいせつです。

フリーランス新法しんぽうしたでは取引とりひき条件じょうけん明示めいじ義務ぎむされたため、契約けいやくしょなどの条件じょうけん明示めいじのための書類しょるい非常ひじょう重要じゅうようです。

また、契約けいやくしょなどの書類しょるいは、いざというときに訴訟そしょうとう証拠しょうこにすることもできます。

契約けいやくしょ発注はっちゅうしょなどの取引とりひきかんする書類しょるいはしっかりと用意よういし、必要ひつようときにいつでも参照さんしょうできるようにしておきましょう。

9-4.取引とりひき開始かいし正確せいかく募集ぼしゅう情報じょうほう記載きさいし、契約けいやくには取引とりひき条件じょうけん明示めいじする

フリーランス新法しんぽうしたでは、特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃたいして業務ぎょうむ委託いたくをするすべてのものについて取引とりひき条件じょうけん明示めいじする義務ぎむせられています。

このさいには同時どうじ報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつについても、給付きゅうふ受領じゅりょうから60にち以内いない、かつ、できるだけみじか期間きかんないにてさだめておくことで、報酬ほうしゅう支払しはらい期日きじつさだめる義務ぎむまもることができます。

取引とりひき条件じょうけん明示めいじ事項じこう法令ほうれいさだめられることとなっており、新法しんぽう施行しこうには義務付ぎむづけられた明示めいじ事項じこうをしっかりとしめさなければなりません。

また、特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃには募集ぼしゅう情報じょうほう的確てきかく表示ひょうじする義務ぎむせられています。

政府せいふにより公表こうひょうされているフリーランス新法しんぽうのQ&Aでは、つぎのような表示ひょうじをすると募集ぼしゅう情報じょうほう的確てきかく表示ひょうじする義務ぎむ違反いはんするものとかんがえられています(Q&Aとい6)。

  • 意図いとてき実際じっさい報酬ほうしゅうがくよりもたかがく表示ひょうじする(虚偽きょぎ表示ひょうじ
  • 実際じっさい募集ぼしゅうおこな企業きぎょうべつ企業きぎょう名前なまえ募集ぼしゅうおこなう(虚偽きょぎ表示ひょうじ
  • 報酬ほうしゅうがく表示ひょうじが、あくまでいちれいであるにもかかわらず、そのむね記載きさいせず、当該とうがい報酬ほうしゅう確約かくやくされているかのように表示ひょうじする(誤解ごかいしょうじさせる表示ひょうじ
  • 業務ぎょうむもちいるパソコンやせんもん機材きざいなど、フリーランスがみずか用意よういする必要ひつようがあるにもかかわらず、そのむね記載きさいせず表示ひょうじする(誤解ごかいしょうじさせる表示ひょうじ
  • すで募集ぼしゅう終了しゅうりょうしているにもかかわらず、削除さくじょせず表示ひょうじつづける(ふる情報じょうほう表示ひょうじ

参考さんこう特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃかか取引とりひき適正てきせいとうかんする法律ほうりつ(フリーランス・事業じぎょうしゃあいだ取引とりひき適正てきせいとうほう)|内閣ないかく官房かんぼう

ここでは、虚偽きょぎ表示ひょうじ誤解ごかいしょうじさせる表示ひょうじふる情報じょうほう表示ひょうじゆるされない表示ひょうじ基本きほんてき類型るいけいとして想定そうていされています。

意図いとてき虚偽きょぎ表示ひょうじなどがゆるされないことはもちろん、そのつもりがなくて結果けっかてき虚偽きょぎになってしまったというケースは発生はっせいるものです。意図いとてきでなくても虚偽きょぎなどの表示ひょうじゆるされません。

正確せいかく募集ぼしゅう情報じょうほう記載きさいすることは、法律ほうりつじょう義務ぎむであると同時どうじに、取引とりひき開始かいしのトラブルを防止ぼうしする効果こうかもあります。たとえば、報酬ほうしゅう納期のうきなどをただしく記載きさいしていなければ、報酬ほうしゅうをめぐるトラブルがしょうじたり納期のうきまでに成果せいかぶつ納入のうにゅうされなかったりするなどのリスクがあります。

また、正確せいかく募集ぼしゅう情報じょうほう記載きさいしないことで、「あの会社かいしゃは、募集ぼしゅう情報じょうほうにはいことをいているが取引とりひきはじめてみると募集ぼしゅう情報じょうほうことなるわる取引とりひき条件じょうけんけてくる」などと企業きぎょうたいするわる評判ひょうばんひろがるリスクもあります。

取引とりひき開始かいしまえには、正確せいかく募集ぼしゅう情報じょうほう記載きさいすることや、契約けいやく取引とりひき条件じょうけん明示めいじすることに留意りゅういしましょう。

9-5.取引とりひきちゅう遵守じゅんしゅ事項じこうまもり、妊娠にんしんとうへの配慮はいりょやハラスメント対策たいさくおこな

一定いってい期間きかん以上いじょう継続けいぞくしておこな業務ぎょうむ委託いたくについて、特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃには、新法しんぽうさだめられた禁止きんし事項じこう遵守じゅんしゅ事項じこう)をまも義務ぎむがあります。

いずれの遵守じゅんしゅ事項じこうも、立場たちばつよ発注はっちゅうしゃ立場たちばよわいフリーランスにんでフリーランスの利益りえき不当ふとうがいすることを禁止きんしし、フリーランスをまも趣旨しゅしもうけられたものです。

これらの遵守じゅんしゅ事項じこうまも義務ぎむは、一定いってい期間きかん以上いじょう継続けいぞくしておこな業務ぎょうむ委託いたくについて特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃたいしてせられたものですが、それ以外いがいすべての業務ぎょうむ委託いたくについても発注はっちゅうしゃ当然とうぜんまもるべき内容ないようのものばかりです。

フリーランスに業務ぎょうむ委託いたくをするにあたっては、新法しんぽうさだめられた遵守じゅんしゅ事項じこう把握はあくし、これらの行為こういはしないようにこころがけることが大切たいせつです。

また、一定いってい期間きかん以上いじょう継続けいぞくしておこな業務ぎょうむ委託いたくについて、特定とくてい業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃは、妊娠にんしん出産しゅっさん育児いくじ介護かいごへの配慮はいりょをすること、ハラスメント対策たいさくこうじることも、義務ぎむとされています。

政府せいふにより公表こうひょうされているフリーランス新法しんぽうのQ&Aでは、妊娠にんしんとうへの配慮はいりょ具体ぐたいてき内容ないようとして、つぎのものなどが想定そうていされています(Q&Aとい7)。

フリーランスがにん検診けんしん受診じゅしんするための時間じかん確保かくほできるようにしたり、就業しゅうぎょう時間じかん短縮たんしゅくしたりする
育児いくじ介護かいごとう両立りょうりつ可能かのう就業しゅうぎょう時間じかんとしたり、オンラインで業務ぎょうむおこなうことができるようにしたりする

このほかにも、たとえば、はたらける時間じかんおうじて納期のうき柔軟じゅうなん設定せっていしたり、出産しゅっさん前後ぜんこう一定いってい期間きかん取引とりひきをいったん休止きゅうししたりするなどの配慮はいりょおこなうことがかんがえられます。

ハラスメント対策たいさくについては、相談そうだん窓口まどぐちとして普段ふだんやりりをおこな発注はっちゅうしゃがわ担当たんとうしゃとはべつもの上長じょうちょう部門ぶもんなが代表だいひょうしゃなど)を設定せっていして必要ひつようなときには相談そうだんできるようにするなどの対策たいさくかんがえられます。

ハラスメント対策たいさくのための措置そち具体ぐたいてき内容ないようとして、政府せいふにより公表こうひょうされているフリーランス新法しんぽうのQ&Aでは、つぎのようなものが想定そうていされています。

  • ハラスメントをおこなってはならないむね方針ほうしん明確めいかくし、従業じゅうぎょういんたいしてその方針ほうしん周知しゅうち啓発けいはつすること(対応たいおうれい社内しゃないほう配布はいふ従業じゅうぎょういんたいする研修けんしゅう実施じっし
  • ハラスメントをけたものからの相談そうだん適切てきせつ対応たいおうするために必要ひつよう体制たいせい整備せいび対応たいおうれい相談そうだん担当たんとうしゃさだめる、外部がいぶ機関きかん相談そうだん対応たいおう委託いたくする)
  • ハラスメントが発生はっせいした場合ばあい事後じご迅速じんそくかつ適切てきせつ対応たいおう対応たいおうれい事案じあん事実じじつ関係かんけい把握はあく被害ひがいしゃたいする配慮はいりょ措置そち

なお、ハラスメントのかんがかた発注はっちゅう事業じぎょうしゃこうずべき措置そち具体ぐたいれいについては、今後こんご厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんさだめる指針ししん新法しんぽう15じょう)においてより明確めいかくなものとされる予定よていです。

さだめられた指針ししん参考さんこうにしつつ、ハラスメント対策たいさく措置そち的確てきかくおこなうことが重要じゅうようです。

9-6.取引とりひき終了しゅうりょう契約けいやく解除かいじょ予告よこくし、支払しはらい期日きじつまでに報酬ほうしゅう支払しはら

契約けいやく解除かいじょして取引とりひき終了しゅうりょうさせるのであれば、契約けいやく解除かいじょ予告よこく義務ぎむまもらなければなりません。

フリーランス新法しんぽうさだめられたルールをまもって契約けいやく解除かいじょ予告よこくすることが必要ひつようですが、可能かのうであればできるだけはやくから契約けいやく解除かいじょ予告よこくをしておくことで解除かいじょをめぐるトラブルのリスクをらすことができます。

また、契約けいやく終了しゅうりょうしたら、さだめられた支払しはらい期日きじつまでに報酬ほうしゅう支払しはらうことが必要ひつようです。支払しはらい期日きじつまもることは当然とうぜんのことですが、どうしても期日きじつまでに支払しはらいができない事情じじょうがある場合ばあいには、できるだけはやくフリーランスにたいしてそのむね相談そうだんし、報酬ほうしゅう支払しはらい時期じき延長えんちょう合意ごういしてもらえないかはなうようにしましょう。十分じゅうぶんなコミュニケーションができていないなか報酬ほうしゅう支払しはらい遅延ちえんさせてしまうと、トラブルに発展はってんしかねないため、注意ちゅうい必要ひつようです。

10.フリーランス新法しんぽうかんするよくある質問しつもん

フリーランス新法しんぽう関連かんれんしてよくある質問しつもんについてご説明せつめいします。

10-1.フリーランス新法しんぽう遡及そきゅう適用てきよう規定きていはある?

フリーランス新法しんぽうには遡及そきゅう適用てきよう規定きていはありません。このため、原則げんそくとして施行しこうから法律ほうりつ内容ないようおうじた対応たいおうれるように準備じゅんびができていればそれでかまいません。

もっとも、施行しこうよりまえからつづいている業務ぎょうむ委託いたく契約けいやくとうについては、なるべくはやめに契約けいやく内容ないよう見直みなおして、フリーランス新法しんぽう内容ないよう想定そうていされるガイドラインの内容ないようおうじた対応たいおうおこなっておくことが大切たいせつです。

10-2.フリーランスがはたらなかでけがをしたら労災ろうさい保険ほけん使つかえる?

労災ろうさい保険ほけんとは、労働ろうどう通勤つうきん起因きいんしてけがや病気びょうきになった場合ばあい無料むりょう診療しんりょうけることができるなど、労働ろうどう災害さいがいたいする補償ほしょうけられる公的こうてき保険ほけんのことです。

これまで、労災ろうさい保険ほけん原則げんそくとして雇用こようされて労働ろうどうする労働ろうどうしゃ対象たいしょうとしており、フリーランスとしてはたらひと基本きほんてき労災ろうさい保険ほけん加入かにゅうできませんでした。

しかし、2024ねんあきからフリーランスが労災ろうさい保険ほけん特別とくべつ加入かにゅう制度せいど労働ろうどうしゃ以外いがいでも労災ろうさい特別とくべつ加入かにゅうできる制度せいど)の対象たいしょうとなり、任意にんい労災ろうさい保険ほけん加入かにゅうして補償ほしょうけることができるようになりました。

2024ねんあきから労災ろうさい保険ほけん特別とくべつ加入かにゅう制度せいど対象たいしょうになる事業じぎょうは、つぎ事業じぎょうです。
フリーランス(特定とくてい受託じゅたく事業じぎょうしゃ)が企業きぎょうとう業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ)から業務ぎょうむ委託いたくけておこな事業じぎょう特定とくてい受託じゅたく事業じぎょう
フリーランスが消費しょうひしゃ業務ぎょうむ委託いたく事業じぎょうしゃ以外いがいもの)から委託いたくけておこな特定とくてい受託じゅたく事業じぎょう同種どうしゅ事業じぎょう

あたらしく特別とくべつ加入かにゅう制度せいど対象たいしょうとなるフリーランスのほうは、フリーランス新法しんぽう施行しこうから労災ろうさい保険ほけん特別とくべつ加入かにゅうをすることができます。

このように、フリーランス新法しんぽう施行しこうわせて労災ろうさい保険ほけん加入かにゅう対象たいしょう拡大かくだいされることとなっており、フリーランスへの保護ほごがいっそうあついものになるといえます。

参考さんこうれいねんあきから「フリーランス」が労災ろうさい保険ほけんの「特別とくべつ加入かにゅう」の対象たいしょうとなります|厚生こうせい労働省ろうどうしょう

11.まとめ

  • フリーランス新法しんぽうはフリーランスを保護ほごするためのしんルール。対象たいしょうひろいので適切てきせつ対応たいおう必要ひつよう

フリーランス新法しんぽうは、これまで下請したうけほうなどでも保護ほご対象たいしょうとなっていなかったフリーランスを幅広はばひろ保護ほごするためのしんルールをさだめた新法しんぽうです。

対象たいしょうとなるフリーランスとは従業じゅうぎょういんやとわずにひとりで仕事しごとをする個人こじん法人ほうじんであり、このようなフリーランスに仕事しごと発注はっちゅうするものであれば取引とりひき条件じょうけん明示めいじなどのルールをまも義務ぎむ発生はっせいします。

フリーランス新法しんぽうのルールに違反いはんした場合ばあいには、罰則ばっそくなどがされる可能かのうせいもあります。また、調査ちょうさ勧告かんこく命令めいれい結果けっか違反いはんした事実じじつ公表こうひょうされることもあります。違反いはん事実じじつ公的こうてき機関きかんにより公表こうひょうされれば、発注はっちゅうしゃにとっては社会しゃかいてき評価ひょうか低下ていかするリスクがあり、公表こうひょういたらないうちに適切てきせつ対応たいおうおこな公表こうひょうされることがないようにすることがなにより重要じゅうようです。

フリーランス新法しんぽうへの対応たいおうは、まずはフリーランス新法しんぽうのルールを把握はあくするところからはじめるとよいでしょう。また、ご自身じしん取引とりひきにおいて実際じっさいにどのように対応たいおうしたらいいのかからないときには、フリーランス新法しんぽうくわしい弁護士べんごし対応たいおう相談そうだんすることもおすすめです。

弁護士べんごしのアドバイスも参考さんこうにして、フリーランス新法しんぽう適切てきせつ対応たいおうし、トラブルなくフリーランスとの取引とりひきつづけられるようにしましょう。

記事きじ執筆しっぴつ秋葉原あきはばらあやめ法律ほうりつ事務所じむしょ 岡島おかじま 賢太けんた 弁護士べんごしだい東京とうきょう弁護士べんごしかい

 

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