“製造せいぞう物流ぶつりゅう小売こうり業ぎょうのメカニズム”と題だいしてニトリを取とり上あげたのは2017年ねんの1月がつであった。ニトリは開発かいはつ・調達ちょうたつ・製造せいぞう・物流ぶつりゅう・小売こうりというバリューチェーンのすべての機能きのうを自社じしゃで統合とうごう管理かんりすることにより、同業どうぎょう他社たしゃの3～4％程度ていどに対たいして圧倒的あっとうてきに高たかい17.４%というROICを実現じつげんしている（2016年ねん2月がつ期き）。ケースでは統合とうごう管理かんりにより機能きのう間あいだの壁かべを取とり払はらうことで、情報じょうほうの質しつとスピードを改善かいぜんし収益しゅうえきを高たかめること、その収益しゅうえきの合理ごうり的てき再さい配分はいぶんを可能かのうにすることにより継続けいぞく的てき成長せいちょうを実現じつげんすること、を指摘してきした。あわせて、ニトリは多た店舗てんぽ展開てんかいによる大量たいりょう販売はんばいにより、本来ほんらいアウトソーシングで実現じつげんされるはずの規模きぼの経済けいざい性せいや習熟しゅうじゅく効果こうかといったベネフィットについても享受きょうじゅしていることも指摘してきした。

その後ご、4,580億おく円えん（2016年ねん2月がつ期き）だった売上うりあげ高だかは順調じゅんちょうに伸のび、2019年ねん2月がつ期きには6,081億おく円えんとなっている。ホームセンター・家具かぐの業界ぎょうかいの他社たしゃはどのような3年間ねんかんだったのか、2019年ねん2月がつ期きの売上うりあげ高だか営業えいぎょう利益りえき率りつと過去かこ3期きの年とし平均へいきん売上うりあげ高だか成長せいちょう率りつをプロットしたのが下図したずである。売上うりあげ高だか営業えいぎょう利益りえき率りつが高たかいほど、年とし平均へいきん売上うりあげ高だか成長せいちょう率りつも高たかいという高たかい相関そうかん（R2 = 0.61）が見みて取とれる。収益しゅうえきがあがらないことには成長せいちょうに投資とうしできない、というのは当あたり前まえのことだが、図ず中ちゅうのA群ぐんとB群ぐんを対比たいひするとその背景はいけいが想定そうていされる。すなわち、成長せいちょうの見込みこめない国内こくない市場いちばのみで展開てんかいするA群ぐんは価格かかく競争きょうそうに陥おちいり、収益しゅうえきも上あがらず、成長せいちょうも望のぞめない。海外かいがい展開てんかいを進すすめるB群ぐんは各国かっこく市場いちばで独自どくじの価値かちを提供ていきょうすることで収益しゅうえきを上あげ、成長せいちょうを続つづけられるのだろう。

しかし、A群ぐん同士どうしで比較ひかくすると、海外かいがい比率ひりつの高たかい良品りょうひん計画けいかく（2019年ねん2月がつ現在げんざい、975店舗てんぽのうち53％が海外かいがい）に比くらべて、ニトリの海外かいがい進出しんしゅつは遅おくれている（同どう、647店舗てんぽのうち11％のみが海外かいがい）。ニトリが国内こくない市場いちば89％で、A群ぐん各社かくしゃとは別べつ次元じげんの収益しゅうえきを上あげているのはまさに統合とうごう管理かんりのなせる業ぎょうなのであるが、海外かいがい比率ひりつを高たかめないことには今後こんごの成長せいちょうに限界げんかいがあることもまた事実じじつだ。今後こんごの海外かいがい展開てんかいの進展しんてんを見守みまもりたい。

図ず：ホームセンター・家具かぐ業界ぎょうかいの利益りえき率りつと成長せいちょう率りつ