人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作ったシート状の心筋を、重症心不全患者の心臓に移植する初の臨床研究計画を進めている澤芳樹大阪大教授は27日、今秋に予定していた1例目の実施を今冬ごろに延期する方針を明らかにした。移植に使う心筋細胞の安全性を十分に時間をかけて確認するためとしている。
昨年度中に1例目を実施する予定だったが、6月の大阪府北部地震で同大の研究施設が被災し、心筋細胞を作れなくなった。施設が復旧した昨年12月以降、作製を再開。ただiPS細胞に由来する細胞はがん化の懸念も指摘されるため、今秋まで動物実験で安全性を十分に確認する。
澤教授は「第一歩は万全に成功させることが大事。細かく安全性を検証した上で実施したい」と話した。