1失点したが8セーブ目を挙げた阪神・岩崎優=マツダスタジアム(撮影・根本成) (セ・リーグ、広島1-2阪神、9回戦、広島5勝3敗1分、22日、マツダ)阪神は〝オールサウスポー〟の継投でカープ打線の勢いを止め、接戦をものにした。岡田彰布監督(66)も相手ベンチの代打策を読み、左、左とバトンをつなぐスタイルを繰り出した。強力ブルペン陣の多彩な組み合わせが、首位攻防戦でも存分に生きた。
「いやいや、向こう残ってるの左ばっかりやから。左な、出さす必要ないやん」
2-0の八回。力投した先発の左腕・大竹に代わり、2番手で左腕・桐敷拓馬投手(24)が登板。この時点で、広島のベンチに残った7人の野手で捕手の石原以外はすべて左打ち。先の先を読む虎将の思惑通り、先頭の会沢を右飛に打ち取り、森浦の代打・石原は二飛とし、最後は秋山を遊ゴロに仕留め、チャンスの芽すら作らせなかった。
10球でホールドの桐敷が「先頭を切れたのが本当によかった。接戦で勝てたのは、明日にもつながる」と胸を張れば、九回に抑えで登板した左腕・岩崎優投手(32)は35球を要して1点を失ったものの、2死満塁で代打・松山を直球で二ゴロに打ち取り、大ピンチをしのいだ。「勝てたのはよかったですけど、このままのピッチングではダメ。頑張ります」と厳しく自己評価したが、価値ある8セーブ目を挙げた。
八回を三者凡退に抑えた阪神・桐敷拓馬=マツダスタジアム(撮影・渋井君夫)指揮官は左腕継投について「ゲラがちょっとな、広島にこの間もやられたからな。今日はもうあと2回やから、左、左でな、ちょうど代打の出る打順やったからな」と説明した。助っ人右腕は8日の広島戦(甲子園)で同点の八回で登板したが、小園、末包に連続適時打を食らい、2敗目を喫していた。それを踏まえての投手起用だった。
岡田監督は一打逆転サヨナラのピンチだった九回を振り返り、「ほんまにもう…。(リードの)2点なあ、ここの球場はな、わからんもんな。やっぱりな」と苦笑い。ヒヤヒヤする場面もあったが、新井鯉と自軍の戦力、過去の対戦データも加味して振るったタクトがさえ、首位陥落の危機を回避する白星をつかんだ。(新里公章)