渋谷区は10月7日、月末に迫るハロウィーンの対策を発表した。
「渋谷は、ハロウィーンをお休みします。」というメッセージのポスター
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イベントが開催されていないにもかかわらず、仮装をした人が渋谷に集まり、路上で写真撮影などをして盛り上がりを見せてきたハロウィーン。飲酒によるトラブルや器物破損、暴行、暴走車両、ごみの大量放置など、一部の来街者らによる犯罪・迷惑行為、などが社会問題にもなっている。
新型コロナが5類に移行し、多くの来街者が見込まれたことから区は昨年は初めて、「ハロウィーン期間に街に来ないでほしい」という強いメッセージを発信。その効果もあってか、ピーク時に駅周辺には6万人が来街すると予測したが、実際には1万5000人だったという。昨年の「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません。」というメッセージに続く形で、今年は「渋谷は、ハロウィーンをお休みします。」とのメッセージで来街を控えるよう呼びかける。
今月30日・31日(30日18時ごろ~11月1日4時ごろ)には、雑踏事故を防ぐためハチ公前広場を一方通行にする柵を設置。忠犬ハチ公像も柵で囲うため見られなくなるようになる。渋谷駅前スクランブル交差点と宮益坂交差点の喫煙所は閉鎖するほか、混雑状況に応じてJR渋谷駅のハチ公改札の一部は封鎖される予定。
例年ピークで来街者が増えるハロウィーン直前の週末と、ハロウィーン前日・当日である今月25日・26日、30日・31日(25日・30日=18時~21時、26日=18時~23時、31日=18時~翌5時ごろ)には区職員延べ130人程度が駅周辺をパトロール。加えて今月30日・31日(19時~翌5時)には延べ185人程度の警備員を導入するほか、ハチ公前広場など10カ所程度に監視台を設置し来街者の滞留を抑制。外国語を含めて呼びかけを行っていくという。別途、警察による警備も行われる予定。今月25日・26日、30日・31日には宇田川町交番前などにごみ収集場を設置する。
区ではこれまで、来街者が増えるハロウィーンや年末年始の夜間に渋谷駅周辺の路上などの公共空間で飲酒を禁止する条例を施行していたが、迷惑路上飲酒が常態化していることから、条例を改正し、今月から路上飲酒禁止を通年にし禁止区間を拡大。規制時間は18時~翌5時。併せて、今月26日~31日(18時~翌5時)、路上飲酒禁止エリア付近のコンビニエンスストアや百貨店、小売り店など酒類販売事業者64店舗に酒類販売の自粛依頼をしている。
今月16日ごろ~11月1日には渋谷駅前の憲章ボードや商店街の街路灯にマナー啓発メッセージを掲出するほか、街頭ビジョンではポスターや動画を掲出・上映し周知を図り、防犯カメラでは人流動向を把握する。
かねてハロウィーンのイベント化を望む声もあり、NHK前広場でイベントを開催したこともあるが、仮装姿でスクランブル交差点付近で写真を撮りたい人が多く「イベント会場から戻るなど、センター街周辺の人が多い状況だった」(長谷部健渋谷区長)と言う。駅周辺でのイベント開催については、周辺で商売をしているビルや店があることから、影響を考えると「非常にコストがかかる」ことから「不可能ではないと思うが現実的には難しい」と言及した。
外国人観光客が多くオーバーツーリズムの問題も絡んでくることから、同時に「中長期的な取り組みとして、観光客の分散化を図ることが重要」と考える。分散化に向け、公園通りなど周辺地域での回遊イベントの実施、時間帯や季節の分散化のため夜間や閑散期などに施策を行うなど「一点集中を避ける対策」や、他の観光資源への誘致、回遊施策として飲食店やライブハウス、 クラブなどのナイトタイムエコノミーの魅力発信を行い、スクランブル交差点をめがけて来た観光客を周辺地域へと誘導することも検討しているという。
長谷部区長は「ハロウィーン期間中、迷惑な路上飲酒や騒ぐのではなくルールを守って過ごすよう心がけてほしい。街を訪れる皆さんには、地域の文化や環境を尊重し、サステナブルな行動を心がけてほしい」と呼びかける。
ハロウィーン対策の予算は、昨年約7,600万円ほどだったことから、施行額で7,557万円(駅周辺安全対策=土木部企画管理課6,513万円、ごみ対策=環境整備課200万円、フラッグ・憲章ボード=産業観光課844万円)を計上。しかし、当初の予定より警備の日数が減ることから予算より減額される見込みだという。