勅使ちょくし門もんChokushimon

禅宗ぜんしゅうの大だい寺院じいんには正面しょうめんに総門そうもんと並ならんでもう一ひとつの門もんを造つくる例れいが多おおいのですが、この勅使ちょくし門もん(ちょくしもん)もそうした一ひとつで、総門そうもんの西にしにこれと並ならんで立たっています。総門そうもんが日常にちじょうの通用つうよう門もんであるのに対たいして、平常へいじょうは閉とじられ、勅使ちょくし門もんあるいは御幸みゆき門もんとよばれています。そのことからもわかるように特殊とくしゅな門もんで、その後方こうほう（北側きたがわ）には少すこしクランク型がたに屈折くっせつして石橋いしばしのかかった放生ほうじょう池ちに続つづいています。天明てんめいの大火たいかを免まぬかれたと伝つたえられ、慶長けいちょう頃ごろの再建さいけんと考かんがえられています。　 平成へいせい十じゅう六ろく年ねん（２００４）九きゅう月がつ二に十じゅう一いち日にち修復しゅうふく落慶らっけい法要ほうようが営いとなまれ、平成へいせい十じゅう九きゅう年ねん（２００７）には京都きょうと府ふ指定してい有形ゆうけい文化財ぶんかざいとなりました。

玉たま龍りゅう院いんGyokuryuin

玉たま龍りゅう院いんは相国寺しょうこくじ第だい五ご世せい雲くも溪けい和尚おしょうを開祖かいそとします。雲くも溪けい和尚おしょうは相国寺しょうこくじ第だい四よん世せい太ふとし清和せいわ尚しょうの法弟ほうていであり、ともに雪村ゆきむら友とも梅うめ禅師ぜんじの法ほう系けいです。足利あしかが義満よしみつが雪村ゆきむら友とも梅うめ禅師ぜんじの法嗣ほうし太ふと清せい宗はじめ渭（相国寺しょうこくじ第だい四よん世せい住持じゅうじ）を相国寺しょうこくじに迎むかえ請しょうするため、その禅室ぜんしつとして創設そうせつされました。
その後ご、時代じだいは下しただり、白しろ隠かくれ下か東嶺ひがしみね和尚おしょうの法ほうを嗣ついだ天真てんしん和尚おしょうが住じゅうし、山門さんもんの為ために大おおいに貢献こうけんします。ことに天明てんめい八はち年ねん（１７８８）四よん月がつにおこった天明てんめいの大火たいかの際さい、本山ほんざんの執事しつじとして在任ざいにん中ちゅうであり、開山かいさん堂どうから法ほう堂どうに通つうじる廊下ろうかを猛火もうかが襲おそいかかろうとした瞬間しゅんかんに東福寺とうふくじの使僧しそうと鹿苑寺ろくおんじの使僧しそう洪ひろし崖がけとほか一いち、二人ふたりの助力じょりょくをかり、廊下ろうかの破壊はかいに成功せいこうしました。この活動かつどうのために、法ほう堂どうは現在げんざいまでその景観けいかんを残のこすことができたといえます。その後ご、天真てんしん和尚おしょうは当とう院いんの再建さいけんに尽力じんりょくし、苦心くしんしてその資金しきんを積つみ立たてました。
明治維新めいじいしん後ご、久ひさしく無住むじゅう状態じょうたいに陥おちいり、廃頽はいたいの危機ききに瀕ひんするが、第だい十じゅう三世良谷恵譲和尚が中興ちゅうこうとなり、寺てらの再興さいこうに力ちからを注そそぎます。昭和しょうわ五ご年ねん（１９３０）現在地げんざいちに移転いてん改築かいちくし、大おおいに旧観きゅうかんをあらためました。

光源院こうげんいんKogenin

【京きょうの冬ふゆの旅たび 特別とくべつ公開こうかい中ちゅう】　【Youtube動画どうが公開こうかい中ちゅう】
光源院こうげんいんは相国寺しょうこくじ二に十じゅう八はち世せい元もと容よう和尚おしょうの塔とう所しょで、応おう永なが二に十じゅう八はち年ねん（１４２１）に創建そうけんされ、広徳ひろのり軒のきと称しょうしました。師しは二に世せい普ひろし明あきら国師こくしに法ほうを嗣つぎ、同年どうねん八はち月がつ十じゅう二に日にち入いれ寺てら、同どう三さん十じゅう二に年ねん（１４２５）三さん月がつ十じゅう七なな日にち示寂じじゃく。永えい禄ろく八はち年ねん（１５６５）足利あしかが義輝よしてるが死去しきょしてその菩提寺ぼだいじとなり、義輝よしてるの院号いんごうにより光源院こうげんいんと改称かいしょうします。もとの光源院こうげんいんは現今げんこんの東ひがしにあり、天明てんめいの火災かさいを免まぬかれますが、明治めいじ十じゅう八はち年ねん（１８８５）その建物たてものを毀こぼち、同どう二に十じゅう九きゅう年ねん（１８９６）善ぜん應おう院いんに合併がっぺいし、善ぜん應おう院いんを廃はいして光源院こうげんいんと改あらためました。
因ちなみに善ぜん應おう院いんは慶長けいちょう九きゅう年ねん（１６０４）七なな月がつ、備前びぜん候こう池田いけだ輝政てるまさが先さき妣善應おう院いん殿どのを葬ほうむり、よってその香こう火ひ所しょとして創建そうけんした所ところです。 昭和しょうわ六ろく十じゅう三さん年ねん（１９８８）には本堂ほんどう、庫裡くりを改修かいしゅうし、新粧しんそうなった本堂ほんどうの仏間ぶつま十じゅう二に面めんの襖ふすまには日展にってん特選とくせん作家さっか、水田すいでん慶けい泉いずみ画伯がはくが構想こうそうを練ねって、約やく半年はんとしがかりで描えがき上あげた禅宗ぜんしゅう寺院じいんにも珍めずらしい干支えとを配はいした襖ふすま絵えが描えがかれています。

林はやし光ひかり院いんRinkoin

普ひろし廣こう院いんFukoin

創建そうけん当初とうしょは乾徳けんとく院いんと呼よばれました。夢ゆめ窓まど国師こくしの法ほうを嗣つぎ相国寺しょうこくじ第だい九きゅう世せいとなった性せい眞ま圓まどか智さとし禅師ぜんじ観かん中ちゅう和尚おしょうは、足利あしかが義満よしみつの帰依きえ厚あつく、山内やまうちに退すさ休きゅうの地ちと禅室ぜんしつを与あたえられ、ここを塔とう所しょとして創立そうりつされました。嘉吉よしきち元年がんねん（１４４１）足利あしかが六代将軍義教薨じ、普ひろし廣こう院いん殿どのと号ごうし、当とう院いんを影かげ堂どう（位牌いはい所しょ）と定さだめ、法号ほうごうに因ちなんで普ひろし廣こう院いんと改号かいごうしました。
第だい三さん世せいには永楽えいらく通宝つうほうの字じを書かいたとされる仲なか芳かおる中正ちゅうせい（中正ちゅうせい蔵主くらぬし）がいます。応仁おうにんの乱らんによる被災ひさい後ご、第だい四よん世せい文ぶん林はやし永ひさし集しゅう（慶けい集しゅう）の在ざい生せい中ちゅうに「普ひろし廣こう院いん封ふう境さかい絵図えず（ほうきょうえず）」（本山ほんざんに現存げんそん）なる再建さいけん復興ふっこう計画けいかく図ずが制作せいさくされ、永えい正ただし七なな年ねん（１５１０）頃ごろには冷泉れいせん家かの旧きゅう邸やしき地ちが藤原ふじわら定家さだいえの墓所はかしょを併あわせて冷泉れいせん家かより寄進きしんされています。つまり当とう院いんに墓はかの管理かんりを委託いたくし、祠堂しどう料りょうに相当そうとうする土地とちを含ふくめて寄付きふされ、寺てら域いきは大おおいに拡張かくちょうされました。第だい八はち世せい清きよし叔寿泉いずみは冷泉れいせん家か出身しゅっしんで、普ひろし廣こう院いんと冷泉れいせん家かの関係かんけいは密接みっせつでした。
天明てんめいの大火たいかの後のち、長ながく復旧ふっきゅうが遅おくれ、嘉よしみ永なが元年がんねん（１８４８）五ご月がつに漸ようやく再建さいけん、大正たいしょう九きゅう年ねん（１９２０）に旧きゅう鹿しか苑えん院いん跡あとの現在地げんざいちに移転いてんして今日きょうに至いたっています。

養やしなえ源げん院いんYogenin

開祖かいそを曇くもり仲道なかみち芳かおる（どんちゅうどうぼう）といいます。幼おさなくして常光じょうこう国師こくし・空谷くうこく明あかり応おうに参さんじ、空谷くうこく和尚おしょうの相国寺しょうこくじ住持じゅうじに際さいして焼香しょうこう侍者じしゃを、また結ゆい制せいには問とい禅ぜんの禅ぜん客きゃくを勤つとめました。長ながじて国師こくしの法ほうを嗣つぎますが、座元ざもと以上いじょうの法ほう階かいを望のぞまず、終生しゅうせい黒衣くろごで通とおします。ことに詩文しぶんに優すぐれ足利あしかが義満よしみつ、義持よしもち父子ふしの寵ちょう遇ぐうを受うけました。やがて、相国寺しょうこくじ常徳じょうとく院内いんないに養やしなえ源げん軒のきを設もうけ、退すさ隠かくしたのが養やしなえ源げん院いんの始はじまりです。 応おう永なが１６年ねん（１４０９）、世よ寿ことぶき４３歳さいで示寂じじゃく。東山ひがしやま百ひゃく万まん遍へんの長生ちょうせい軒のきを塔とう所しょとして葬ほうむった。長生ちょうせい軒のきは後のちに珍蔵ちんぞう軒のきと改あらためられますが、さらに常徳じょうとく院内いんないの旧きゅう隠居いんきょ所しょに倣ならって、養やしなえ源げん院いんと改名かいめいされました。 相国寺しょうこくじ７９世せい横川よこかわ景けい三さん（おうせんけいさん）は、曇くもり仲道なかみち芳かおる３３回忌かいきに東山ひがしやま養よう源げん院いんに於おいて香こうを焚たいてその弟子でしとなり、やがて養やしなえ源げん院いんを相国寺しょうこくじ内ないに移転いてんして、その第だい２世せいとなりました。弘ひろし化か２年ねん（１８４５）、現在地げんざいちに移転いてんし今日きょうに至いたる。 　薬師如来やくしにょらいを本尊ほんぞんとし、毘沙門天びしゃもんてん（鎌倉かまくら期き）を祀まつり、近隣きんりんの信仰しんこうを集あつめています。

大だい通院つういんDaitsuin