監督かんとく・齊藤さいとう工たくみ×主演しゅえん・北村きたむら一輝いっき「フォークロア：TATAMI」で日本にっぽん的てきな恐怖きょうふを描えがく！2019/10/02

監督・齊藤工×主演・北村一輝「フォークロア：TATAMI」で日本的な恐怖を描く！

　アジア6カ国かこくから気鋭きえいの監督かんとくが集あつまり、それぞれの国くにの文化ぶんかや慣習かんしゅうに根差ねざした伝承でんしょう（＝フォークロア）を基もとに、現代げんだいを舞台ぶたいにした恐怖きょうふ譚たんを描えがくテレビ向むけホラーアンソロジー「フォークロア」。日本にっぽんからは人気にんき俳優はいゆう・斎藤さいとう工こうが監督かんとくとして参加さんかし（監督かんとくの時ときは齊藤さいとう工たくみ）、1枚まいの畳たたみにまつわる恐おそれるべき秘密ひみつを描えがく北村きたむら一輝いっき主演しゅえんのエピソード「TATAMI」を完成かんせいさせた。

畳たたみの上うえで眠ねむれなくなるような怖こわい作品さくひんにしたかった

── お互たがいに監督かんとくと俳優はいゆうという立場たちばで仕事しごとをしてみていかがでしたか？

齊藤さいとう　「北村きたむらさんは、まだ僕ぼくが駆かけ出だしの頃ころから精神せいしん的てきに頼たよりにしてきた先輩せんぱいなので、今回こんかいご一緒いっしょさせていただけたことは夢ゆめのようでしたね。実じつは、脚本きゃくほんの最終さいしゅう的てきな仕上しあげも北村きたむらさんが手伝てつだって下くださったんですよ。それもほぼ徹夜てつやで。俳優はいゆう業ぎょうって基本きほんは表ひょうに映うつる部分ぶぶんで貢献こうけんする職業しょくぎょうだと思おもうんですけれど、北村きたむらさんはプロジェクト全体ぜんたいを良よくするために、その前ぜん段階だんかいから関かかわってくださった。そうした姿勢しせいが普段ふだんの北村きたむらさんの表現ひょうげんにつながっているんだなと痛感つうかんしましたし、俳優はいゆうとしての僕ぼく自身じしんに足たりない部分ぶぶんだと反省はんせいもしました」

北村きたむら　「僕ぼくは、監督かんとくに俳優はいゆうの経験けいけんがあるということはすごく大事だいじなことだなと、齊藤さいとうくんの仕事しごとぶりを見みていてあらためて感かんじましたね。というのも、俳優はいゆう目線めせんで芝居しばいを見みながら演出えんしゅつを決きめられるので、登場とうじょう人物じんぶつが生身なまみの人間にんげんとしてそこに成立せいりつすることができる。海外かいがいだと芝居しばいの勉強べんきょうをしている監督かんとくは珍めずらしくないですが、日本にっぽんだと少すくないですのでそういう意味いみでも非常ひじょうに安心あんしんでしたね」

── 撮影さつえい現場げんばの様子ようすはどんな感かんじでしたか？

齊藤さいとう　「北村きたむらさんは現場げんばでどんどん新あたらしいアイデアを出だしてくださいました。その場ばで感かんじたことをベースに、さまざまな演技えんぎのパターンやバリエーションを見みせてくださったりして。つまり、前まえもって決きめたことをクリアするだけでは飽あき足たらず、そこに生なまの感覚かんかくや生なまの感情かんじょうを加くわえていくんです。編集へんしゅうをするための豊富ほうふな素材そざいを提供ていきょうしていただいたと思おもいます」

北村きたむら　「それと、僕ぼくは齊藤さいとうくんのことを“静しずかな変態へんたい”と呼よんでいます（笑）。昔むかしから独特どくとくの目線めせんというか芸術げいじゅつ的てきセンスを持もっていますね。そこにキャリアで培つちかった人間にんげん的てきな年輪ねんりんが加くわわり、現場げんばを見事みごとなくらい一ひとつにまとめていましたね。センスだけでは人ひともついてこないし、ものを作つくることはできません。おかげで、誰だれもが齊藤さいとう監督かんとくのために頑張がんばろうという思おもいで一致いっち団結だんけつできましたね」

── 本ほん作さくで描えがかれる怖こわさとは？

齊藤さいとう　「まずは1時じ間あいだという決きめられた尺しゃくの中なかで、いろんなことが矢継やつぎ早ばやに起おこるアトラクション的てきな恐怖きょうふではなく、反対はんたいに1時じ間あいだを余裕よゆうたっぷりに使つかった日本にっぽん的てきな恐怖きょうふを描えがきたいと思おもいました」

北村きたむら　「そう、幽霊ゆうれいが出でてきてワーッという叫さけびではなく、ジワジワと静しずかに迫せまってくる日本にっぽん的てきな怖こわさにこだわったのは、海外かいがいへ向むけて発信はっしんする作品さくひんとして素晴すばらしい選択せんたくだったと思おもいますね」

齊藤さいとう　「あとは、畳たたみって10年ねんに1度どくらいのペースで表面ひょうめんを張はり替かえるじゃないですか。でも、その内側うちがわには10年ねん以上いじょうの歴史れきしが詰つめ込こまれている。そこにこもった何なにか、時間じかんをかけて熟成じゅくせいされた怨念おんねんみたいなものを描えがきたかったんです」

北村きたむら　「それは人間にんげんと一緒いっしょですよね。表面ひょうめんは化粧けしょうや身みなりで奇麗きれいに見みえるかもしれませんが、中身なかみは人生じんせい経験けいけんの積つみ重かさねによって歪いがんだり腐くさったりしているかもしれない。畳たたみというテーマを通とおして、見みた目めでは分わからない人間にんげんの怖こわさを描えがいた作品さくひんでもあります」

── これからご覧らんになる視聴しちょう者しゃへのメッセージをお願ねがいします。

齊藤さいとう　「畳たたみの上うえで眠ねむれなくなるような作品さくひんにしたいというのが、この作品さくひんの一ひとつの大おおきなミッションなんです。そこは和わの世界せかいに興味きょうみを持もってくれている海外かいがいの方ほうに伝つたわったらうれしいですし、もちろん日本にっぽんの視聴しちょう者しゃにも感かんじていただけたらうれしい。なので、自宅じたくに和室わしつのある方ほうには特とくに見みてほしいです（笑）」

北村きたむら　「ホラーと一いち口くちに言いっても、いろいろなやり方かたや見みせ方かたというものがあります。畳たたみに込こめられた奥深おくふかさを堪能たんのうしていただけたらと思おもいます」

齊藤さいとう　「今回こんかいは音声おんせいスタッフさんもすごく乗のってくださって、畳たたみの中なかにマイクを仕込しこんだりして技術ぎじゅつ的てきに凝こったことをしてくださったんですけれど、さらにわざわざ富士ふじの樹海じゅかいまで行いって録ろくってきた音おとを、本編ほんぺんのあちこちに散ちりばめているんです。樹海じゅかいでしか録ろくれない不穏ふおんな空気くうきの音おとというのがあるらしいんです。それをこの作品さくひんでは、北村きたむらさん演えんじる主人公しゅじんこうの内面ないめんに響ひびいている空間くうかん音おんとして使つかっています。そういう音おと作づくりにも注目ちゅうもくしてもらいたいです」

　先輩せんぱい・北村きたむらを後輩こうはい・齊藤さいとうがさりげなく立たてつつも、20年来ねんらいの古ふるい仲なかだということもあって、とても和なごやかな雰囲気ふんいきで進行しんこうしたインタビュー。何なによりも常つねに高たかみを目指めざし、全身全霊ぜんしんぜんれいを込こめて真摯しんしに仕事しごとへ向むき合あう姿勢しせいが2人ふたりの言葉ことばからも伝つたわり、先輩せんぱい・後輩こうはいというよりも共ともに志こころざしを同おなじくする仲間なかまとして、お互たがいに強つよい信頼しんらい関係かんけいで結むすばれているという印象いんしょうを受うけた。

【プロフィール】

齊藤さいとう工たくみ（さいとうたくみ）　　
1981年ねん8月がつ22日にち生うまれ。東京とうきょう都と出身しゅっしん。モデルを経へて2001年ねんに俳優はいゆうデビュー。「シン・ウルトラマン」（21年ねん公開こうかい予定よてい）の主演しゅえんなど、俳優はいゆうとして活動かつどうする。そのかたわらで監督かんとくとしても精力せいりょく的てきに活躍かつやく中ちゅう。企画きかく・プロデュース・主演しゅえんの映画えいが「MANRIKI」が11月29日にちから公開こうかいされる。

北村きたむら一輝いっき（きたむらかずき）　　
1969年ねん7月がつ17日にち生うまれ。大阪おおさか府ふ出身しゅっしん。99年ねんにキネマ旬報きねまじゅんぽう新人しんじん賞しょうを受賞じゅしょう。連続れんぞくテレビ小説しょうせつ「スカーレット」（NHK）、ドラマ「ニッポンノワールー刑事けいじYの反乱はんらんー」（日本にほんテレビ系けい）に出演しゅつえん中ちゅう。

【番組ばんぐみ情報じょうほう】

「フォークロア」　
スターチャンネル2　
11月10日にち　午後ごご2：45～9：00ほか（字幕じまく・全ぜん6話わ）　
※一挙いっきょ放送ほうそう　
※第だい2話わ　「フォークロア：TATAMI」は午後ごご3：45～　

シンガポールの巨匠きょしょう、エリック・クーが製作せいさく総そう指揮しきを務つとめるホラーアンソロジー。アジアの六むっつの国くにの監督かんとくが、“伝承でんしょう（フォークロア）”をテーマに制作せいさく。日本にっぽんからは、齊藤さいとう工こうが監督かんとくを務つとめ、北村きたむら一輝いっきが主演しゅえんした“畳たたみの染しみ”にまつわる物語ものがたりを描えがく「TATAMI」。