望郷しぐれ新川二朗 | 新川二朗 | 高橋直人 | 花笠薫 | | のれんをくぐれば かすりの女が 故郷なまりで 迎えてくれる 北は粉雪舞う頃か 望郷しぐれ ひとり残した お前のことが 気にかかる 手編みのセーター かさね着すれば 背中にお前のぬくもりしみる 俺のこの胸 濡らすのさ 望郷しぐれ 手酌の酒に 浮かんで揺れる 恋女房 この身は遠くに 離れていても 心はひとつさ 思いがつのる 待っていてくれ 帰る日を 望郷しぐれ 根雪とければ 一緒に暮す春がくる |
霧のグラス宮路オサム | 宮路オサム | 松井由利夫 | 花笠薫 | | 別れたいなら 別れてあげる よしてよ今更 いいわけなんか あんたこの頃 優しすぎたわ だからわたしは 感じていたの 哀しい破局が 近づくことを その日が来たのね こんなに早く あんただけはと 信じていたが あんたもやっぱり おんなじ男 こころ変りを 責めはしないが 許せないのよ 今度の女(ひと)が お店で張り合う あの娘だなんて おんなの誇りが 悲しいだけよ まさかふられて 乱れて泣いて あんたを追うほど 初心(うぶ)ではないわ 背中合わせの 夢の写し絵 消してあげるわ うらみっこなしで グラスをあけたら 左と右へ さよなら他人の ふたりになるわ |
こころ宿角川博 | 角川博 | 木下龍太郎 | 花笠薫 | 南郷達也 | 髪の乱れは 昨夜の名残り うしろ姿で ほつれを梳かす 忍ぶ二人の こころ宿 お別れします…あなた まるで涙を 集めたような 窓の下には 未練川 いくら逢瀬を 重ねてみても 変わらなかった 二人の宿命(さだめ) たとえ短い 間でも 幸せでした… あなた いのち捨てても 悔いない恋を なんで邪魔する 世間川 二人迎えた 最後の夜明け 別れ口紅(べに)さす 鏡がくもる 帰り支度の こころ宿 お先に出ます… あなた 残る未練は 月日をかけて 流すつもりの 明日川 |
宿時雨角川博 | 角川博 | 木下龍太郎 | 花笠薫 | 南郷達也 | 灯火(あかり)落とせば 見えないものを 女ごころの 宵化粧 別れ一夜の 窓に降り出す 宿時雨 情があるのか 箱根の雨は つらい二人に 貰い泣き 肌が馴染んだ 愛され方に 負けて浴衣の 袖を噛む 漏れる吐息を 隠すやさしい 宿時雨 腕を枕に 箱根の夜は 燃えて死にたい 叶うなら 乱れ黒髪 ひと筋抜いて そっと貴方の 指に巻く 名残り一夜の 窓に夜通し 宿時雨 どうせ降るなら 箱根の朝は いっそ遣らずの雨になれ |
北のおんな中村悦子 | 中村悦子 | 高柳三千子 | 花笠薫 | 隼トシヒデ | 海があんたの 女房ならば 私は港の 海猫(ごめ)になる 北のおんなが 操を守り 熱いこの肌 焦がす夜(よ)は ヒュルリヒュルヒュル 風の音さえ 泣けてくる 時化が来るのも 覚悟の上で 港(はま)で見送る 女子(おなご)衆 北のおんなが 心底惚れた 海の男の 生きざまは ヒュルリヒュルヒュル 風の波間に 船を出す 暦変われば あんたの船が 大漁みやげに 港(はま)に着く 北のおんなが 熱燗つけて 帰り待つ身の 切なさに ヒュルリヒュルヒュル 風が哭く夜(よ)は 恋しいよ |
銀色の雨あい&もも香 | あい&もも香 | 多野亮 | 花笠薫 | 伊戸のりお | 銀の雨って 素敵な雨ですね 濡れてみたいの 傘などいらない今は 抱きしめてこのままで 時間を止めて 好きなのとても たまらない あなただけしか 見えないの 何もないこの街に 夢が降る 銀色の雨 銀の雨って やさしい雨ですね 恋をするって こんなに心がはずむ 何気ない景色さえ きれいに見える あなたのあとを 何処までも ついて行きたい 離れずに 街路樹の枝先に 夢が降る 銀色の雨 銀の雨って 不思議な雨ですね つらい涙も いつしか流してくれる 愛されている事の 幸せしみる 寄り添う二人 包むよに 夜の灯りが ゆれている 乾いてたこの街に 夢が降る 銀色の雨 |
北国浪漫あい&もも香 | あい&もも香 | 鳥井実 | 花笠薫 | 池多孝春 | 雪が降る降る 雪が降る ここさい果ての街に雪が降る 親に反対され 世間にそむかれ 一筋の愛に生きて 北国の吹雪のなかに散った 男と女の 女と男の それはあまりにもはかない 青春であった… 愛しているのに 一緒になれぬ 運命がにくい 人の世の どうにもならぬと 言いながら 吹雪のなかを 吹雪のなかを 消えた人 幸せってなんなの 白い雪と共に消えてしまうものなの それとも夢なの… 私はいや いや だからどんなにつらくとも 生きていたい 流れる涙が からだの骨に 冷たくしみる 雪野原 生れて来なけりゃ よかったと 幸せうすい 幸せうすい 北の果て 死んで二人が天国で結ばれるなんて そんなの嘘よ 嘘なのよ… 舞う粉雪に まぼろしの恋しい人の 面影を いつか映して また消える あなたの面影 抱きしめながら さまよい歩く 雪の中 はかない女の 恋一度 名のみの春よ 名のみの春よ なぜ遠い 雪が降る降る 雪が降る ここさい果ての街に雪が降る いつまでも語りつがれる 男と女の 女と男の 悲恋物語 はたして二人の運命やいかに 北国浪漫 全編の終わり |
雨の奈良路千葉一夫&小野和子 | 千葉一夫&小野和子 | 野沢冬子 | 花笠薫 | 伊戸のりお | お水取りです 月まで凍る 手と手をかさねて あすかの里に そっと寄り添う 石舞台 恥じらいながら 背をむける しのび恋でも いのちがけ 雨がはらはら 奈良の夜 人目が気になり 肩さえふれず 逢瀬の哀しみ 吉野の深山 さだめはかない 恋だけど ぬくもりひとつ ほしいのよ 抱いて下さい もういちど 雨がしとしと 奈良の夜 湯けむりたなびく 十津川ほとり 瀬音がせつない 愛しさつのる こらえきれずに 涙ぐむ おんなの願い ただひとつ 明日はいらない 今夜だけ 雨がはらはら 奈良の夜 |
泣けてきちゃった立樹みか | 立樹みか | 土田有紀 | 花笠薫 | 伊戸のりお | 帰り支度の 横顔が いつでも他人に なるあなた 詫びる事より い訳よりも 嫌いにさせて ほしいのに 捨てて行くなら 優しさなんて… ああ 泣けてきちゃった 淋しくて なぜか素直に なれなくて なんでもいいのよ その理由は 時計ばかりに 目をやるあなた ごめんなさいと 雨の中 駆けて行きたい 行けない私… ああ 泣けてきちゃった くやしくて 数え切れない いいところ どうしてあんなに 責めたのか みんな忘れて ゆるしてあなた 夢で抱かれて すがりつく 生きる別れる どちらもつらい… ああ 泣けてきちゃった 今日もまた |
冬美のソーラン節坂本冬美 | 坂本冬美 | やしろよう | 花笠薫 | 前田俊明 | 網を引け引け 網を引け まだまだ引け引け どんと引け 波は体を 削り取る この手に皺を 刻み込む ヤーレンソーランソーラン ソーランソーランソーラン 泣いて笑ってヨー 荒波越えてヨー 生きて来たんだヨー この海で ヤサエーエンヤーアサーノ ドッコイショ 汗を拭け拭け 汗を拭け 拳で拭け拭け ぐいと拭け 酒をあおって 夜が明ける 朝陽を浴びて 船を出せ ヤーレンソーランソーラン ソーランソーランソーラン 飲んで唄ってヨー 命を賭けてヨー 生きて行くんだヨー この海と ヤサエーエンヤーアサーノ ドッコイショ ヤーレンソーランソーラン ソーランソーランソーラン 泣いて笑ってヨー 荒波越えてヨー 生きて来たんだヨー この海で ヤサエーエンヤーアサーノ ドッコイショ |
能登の火祭り金田たつえ | 金田たつえ | 横山賢− | 花笠薫 | 佐伯亮 | 能登の火祭り 月夜の浜に キリコの若衆 渦を巻く わたしもあなたに 口説かれたなら 身を灼く女に 変わりそう 飲んでもいいわ 御陣乗太鼓の 浮かれ酒 まるで大漁の 巻網起こし お神輿火の中 水の中 つがいの鴎が 飛び立つように ふたりになりたい 夢見頃 さらっていいわ いのちの祭りに 悔いはない 能登の火祭り かがり火よりも ぶつかる人波 なお熱い あなたと寄り添い 宇出津(うしつ)の宿へ 向かえばやさしく 海が鳴る 抱いてもいいわ しあわせ呼ぶよな 腕のなか |
ふたりの大漁節坂本冬美 | 坂本冬美 | やしろよう | 花笠薫 | | 沖じゃ名うての 暴れん坊が 背中丸めて 飲んでるお酒 船を出せない 嵐の晩は そばに私が いるじゃない アレワエーエ エト ソーリャ 大漁だェ 晴天(なぎ)待つふたりの 大漁節 陸(おか)じゃ取り柄も 甲斐性もないと 笑うあんたが 私の宝 徳利並べて ゆらりと酔って 膝を枕に 眠りゃいい アレワエーエ エト ソーリャ 大漁だェ 寄り添うふたりの 大漁節 海よ荒れるな 夜風よ哭くな どんな苦労も 笑顔で耐える ここはあんたと 私の港 出船 入り船 夢見船 アレワエーエ エト ソーリャ 大漁だェ 春呼ぶふたりの 大漁節 |
母航路岡ゆう子 | 岡ゆう子 | 関口義明 | 花笠薫 | | わが子のためなら 世間を敵に 回す日もある ひとりで母は 人生 雨風 波しぶき 愛と云う名の 灯台あかり 胸にひとすじ 母航路 嫁いで誰もが 愛しい子抱いて 親のこころが 日ごとにわかる 人生 雨風 木の葉舟 妻の立場は 忘れはしても 迷いなき途 母航路 強さとやさしさ 二つの花が 母のすがたを きれいに飾る 人生 雨風 夢みなと 目には見えない きずなを背負い 旅は果てない 母航路 |
かんにんや香田晋 | 香田晋 | 多野亮 | 花笠薫 | 伊戸のりお | 水の都に ともる灯が にじんで揺れる 淀の川 かんにんや かんにんや 今も好きやけど 追ってゆけない 心の弱さ 雨の大阪 めぐり逢いたい もう一度 肩にこぼれる 病葉(わくらば)に 面影しのぶ 御堂筋 かんにんや かんにんや 心だませへん 酔えば酔うほど 恋しくなるの 夜の大阪 未練まじりの こぬか雨 少し幸せ 下さいと 両手を合わす 法善寺 かんにんや かんにんや 今も忘れへん どんな暮らしを してるでしょうか 雨の大阪 夢の灯りよ いつまでも |
夢いちど香田晋 | 香田晋 | 関口義明 | 花笠薫 | 前田俊明 | あなたと一緒に 暮らせたら わたしは死んでも 死んでもいいの ひとり紅ひく 夜ふけの酒場 逢いたいの… お酒にすがって ならべる愚痴は 馬鹿な女の 夢いちど あなたのやさしい 腕の中 もいちど甘えて 甘えてみたい 酔えばなおさら みれんがつのる 欲しいのよ… からだは冷えても こころが燃える 弱い女の 夢いちど あなたをどんなに うらんでも わたしは今でも 今でも好きよ 愛のかけらを つないでみても 辛いのよ… しあわせ信じて 涙を越えて 生きる女の 夢いちど |
紀伊水道島津悦子 | 島津悦子 | 木下龍太郎 | 花笠薫 | | 結城つむぎの 袖振るたびに 匂い袋の 鈴が泣く 船を 船を見送る 紀伊水道 こんなか細い 未練の糸が なんで切れない おんな指 馴れぬ手付きで 解(ほど)いて呉れた 酔った昨夜(ゆうべ)の 名古屋帯 宿の 宿の窓には 紀伊水道 後を引くから 許さぬはずが 肌は心に すぐ背(そむ)く 背伸びするたび 爪先痛い 辛さ分かるか 鼻緒まで 船が 船が消えてく 紀伊水道 みさき灯台 点(とも)しておくれ 女ごころに 夢あかり |
雨蛍千葉一夫 | 千葉一夫 | 木下龍太郎 | 花笠薫 | 南郷達也 | 鏡見るのが 嫌なほど どなたの罪の 恋やつれ 逢いたい行きたい… せめて束の間 晴れたなら 憎い浮世の 五月雨に 飛ぶに飛べない 雨蛍 めぐり逢うのが 早ければ あなたの妻で 愛綴り 逢えぬ長夜は… 何度 寝返り 肘まくら 夢も遠野の みちのくで 燃えて身を灼く 雨蛍 世間隠れの 恋ならば 指されりゃ痛い うしろ指 逢いに行きたい… たとえひととき ひと目でも 下げた提灯 濡れぬよに 袖かばった 雨蛍 |
お母さん金田たつえ | 金田たつえ | 関口義明 | 花笠薫 | 佐伯亮 | どなたですかと 他人のように わたしを見上げて きく母の 笑顔は昔と 変わらぬものを いいのよ いいのよ お母さん やせた手をとり うなずきながら あふれる涙が 止まらない 苦労親坂 女手ひとつ なりふりかまわず 五十年 働き続けて くれたんだもの いいのよ いいのよ お母さん 淡い陽射しの 硝子戸越しに 今年も咲いてる 花すすき 母の背中で ねんねの歌を きかせてもらった あの道を 今度はわたしが おぶってあげる いいのよ いいのよ お母さん 心やさしい みんなの中で いのちを灯して また明日も |
越後恋がたり大石円 | 大石円 | 香良沢涼 | 花笠薫 | | 越後桜は 春には咲くが 娘十八 今まだつぼみ 思うお方の 夢をみて 恋の吐息に くもる春 越後うさぎは 栗毛に染まる 染めて下さい あなたの愛で 口に出せずに 目で追って 恋の炎を ゆらす夏 越後もみじは 黄金に映えて はぐれカモメも ねぐらに帰る 帰る胸さえ ない私 恋の無情に 沈む秋 越後椿は 雪にも強い 雪に埋もれて 未練を殺す 娘十八 春遠く 恋の泪も 凍る冬 |
雨降り花大石円 | 大石円 | 関口義明 | 花笠薫 | | 泣いた涙の ひと粒を 拾い集めて 咲くと云う 別れても 憎みきれない 今もあなたが 恋しくて 雨 雨 忘れられないの 夢が濡れます 雨降り花よ 指にからんだ 想い出の 色はうす紅 恋の花 もう一度 信じたいのに 心ひとつが 結べない 雨 雨 めぐり逢いたいの 願い叶えて 雨降り花よ 肌でおぼえた 幸せは わたしひとりの ものですね 出来るなら ついて行きたい そうよ いのちが 尽きるまで 雨 雨 離れられないの なさけ一輪 雨降り花よ |
戻り傘大石円 | 大石円 | 多野亮 | 花笠薫 | | これが最後の 逢う瀬なら いっそ死なせて くれますか 唇が この肌が あゝ 恋しがる… 握る指先 つたって落ちる 涙哀しい 戻り傘 二人寄り添い 向う岸 渡るすべない 恋一夜 抱きしめて 命ごと あゝ 離さずに… 途切れ途切れに そぼ降る雨が 心泣かせる 戻り傘 明日が見えない 契りでも 夢をぬくめて くれますか もう一度 甘えたい あゝ あなただけ… 細い運命を 恨んで泣いて 肩に崩れる 戻り傘 |
浮夜舟千葉一夫 | 千葉一夫 | 木下龍太郎 | 花笠薫 | 伊戸のりお | 人目忍んだ はずなのに なんで邪魔する 月明かり 帯をこの手が 解くまで うしろを向いてて くださいね 何度 逢う瀬を 重ねても 女 恥じらう 浮夜舟 声を潜めて いるものを 岸で鳴くのは 川千鳥 堪え切れずに 乱れたら 私を叱って くれますか そっと身を寄せ 強い手に 胸を預ける 浮夜船 帰り支度を 急がせて 西に傾く 月の影 紐で身体を 結び合い 流れて行けたら いいですね 叶う当てない この恋が 無理を言わせる 浮夜船 |
みだれ雪千葉一夫 | 千葉一夫 | 木下龍太郎 | 花笠薫 | 南郷達也 | 明日を想えば 心まで 湯冷めしそうな いで湯宿 これが最後のお酒なら あなた… 今夜は酔って いいですか 雪見障子の 外は遣らずの みだれ雪 逢えてよかった 泣くための 恋でいのちは 終わっても 愛の想い出道連れに あなた… 女は生きて 行けますわ 髪を解いて 添い寝する身も みだれ雪 朝は他人の 憎い手に 帯を解かせる 宿浴衣 付けちゃいけない爪の跡 あなた… 今夜は付けていいですか 別れ湯宿の 外は夜通し みだれ雪 |
津軽のおとこ前石上久美子 | 石上久美子 | 鳥井実 | 花笠薫 | 風早舞 | 津軽吹雪が 地を這(は)う夜は バチを叩けば 三味が泣く 惚れて泣かすな 振られて泣くな 津軽訛(なま)りを 織り込んで うたうひと節 汗がとぶ 津軽の 津軽の 津軽の アイヤ…お前(め)だばおとこ前 寒さしのぎに 地酒を冷で 腹で熱燗 あばれ酒 おんなごころを くすぐるように 津軽訛りを 織り込んで 指であやつる 三味の糸 津軽の 津軽の 津軽の アイヤ…お前だばおとこ前 我慢してたら 季節も変わる 風の匂いも また変わる 白いリンゴの 花咲く頃に 津軽訛りを 織り込んで 逢いに来いやと 口説かれる 津軽の 津軽の 津軽の アイヤ…お前だばおとこ前 |
夜の蝉金田たつえ | 金田たつえ | 萩原たかし | 花笠薫 | 山田年秋 | あられなく胸をふるわせ 夜鳴く蝉は 誰に焦がれて 泣くのでしょうか 好きで別れた あなたに逢えた この橋を渡れたら 棄てて悔いない ああ迷い川 好きだよと 拒むすべなく さしだす傘に 耳を染めても 不埒でしょうか まわり舞台の 道行きならば 赦される 恋路でも 他人は指さす ああ罪の川 狂おしく 命しぼって 夜鳴く蝉は 何処で未練を 消すのでしょうか 息を殺して くるめく闇に うたかたの 肌を焦がす 生きる縁の ああ幻想の川 |
心意気三笠優子 | 三笠優子 | 鳥井実 | 花笠薫 | | つらいだろうが はなすなこの手 あなたの やさしさ 身にしみました 苦労続きの 男の意地を 起(た)ててあげたい いつまでも それが 女の 心意気 ままにならない 世の中ですと 涙で汚した あなたの背中 今が一番 我慢のときと 夢を捨てずに 生きられる それが 女の 心意気 川の流れに 棹さしながら 幸せ探した あなたと二人 親子絆を 引き継ぐ橋を 架けておきたい 残したい それが 女の 心意気 |
あなた様三船和子 | 三船和子 | 鳥井実 | 花笠薫 | 池多孝春 | 雨あがり 日差しの中を あるくあなたの 背中が好きですわ 云わせて欲しいの 照れますが 私あなたの 妻です 母です 女です 愛していますわ あなた様 唇を 噛みしめながら 我慢している あなたが好きですわ 幸せこわさず 生きて行く それが私の 小さな 夢です 願いです ぬくもりください あなた様 雨あがり 名も無い花に そっと差し出す その手が好きですわ 少しは波風 立ちますが 同じ痛みで 家族の絆を いつまでも 守って欲しいの あなた様 |
赤ちょうちん金田たつえ | 金田たつえ | 荒川利夫 | 花笠薫 | 山田年秋 | 赤提灯の もつやきの 文字が煙で 煤けてる ここまで夫婦を やりながら 熱い熱いと みんなに言われる 仲の良さ 駅裏ネオンの 花園に 夜が咲きます 賑やかに… 苦労があるから 人生と 教えられます この人に 私が選んだ 人だから そんな魅力が 今でも変わらず たっぷりよ ちょっと惚気て すみません 助け愛です どこまでも… お酒はいつでも 色々の 人の心の 写し水 話相手の 肴になって 泣いて笑って 生きてくみんなの 味ごころ 人情無くしちゃ 人じゃない お陰さまです 大入りは… |
世去れ三味線石上久美子 | 石上久美子 | 鳥井実 | 花笠薫 | | 惚れた女に 賭けるのか それとも男は 自分の賭けるのか 人生は…… 幸せつかの間 花も散る 悲しみのこして 人も死ぬ ままにならない この世は嫌だ 世去れ世去れと 三味が泣く 耐えてしのんで 生きるのか それとも出たとこ 勝負に賭けるのか 人生は…… 握ったつもりの 夢の砂 指からこぼれる こともある ままにならない この世は嫌だ 世去れ世去れと 三味が泣く 義理と人情に 生きるのか それとも男は 流れて生きるのか 人生は…… 一度にふたつを 欲張って 幸せなくする こともある ままにならない この世は嫌だ 世去れ世去れと 三味が泣く |
津軽の海岡ゆう子 | 岡ゆう子 | 関口義明 | 花笠薫 | | 破れ刺し網 繕いながら 浜で夢みる 大漁船よ 留守の守りは 任せとき あんたの海だよ 津軽の海は 沖で男を みがいて来され 唄は上げ潮 網引く腕も 女ごころを 酔わせる人が 陸じゃ寝たふり 死んだふり あんたの海だよ 津軽の海は 波を相手に 暴れて来され しぶき華咲く 漁師の家に 生れ育って 伜もはたち 今年ァめでたの 父子船 あんたの海だよ 津軽の海は 絆一本 固めて来され |
他人妻金田たつえ | 金田たつえ | 仁井谷俊也 | 花笠薫 | 山田年秋 | 待たされつづけた 恨みも忘れ 逢いたかったと 腕の中 腕の中 ふたりで過ごす 夜だけは 私のことだけ 考えて おんなの羞じらい 脱ぎ捨てて あなたと炎えたい私です あなたのこの指 この口唇は 私ひとりの ものじゃない ものじゃない 妬いても仕方 ないけれど 今夜は忘れて あの女を 吐息にかすかな 絹の音 あなたに乱れる 女です 幸せ残り火 消えない肌で 肩に上着を 着せかける 着せかける 今度はいつと 甘えても 黙って帰りを 急ぐひと 笑顔で見送る この胸に 涙がかなしい 私です |
家のかみさん芦屋雁之助 | 芦屋雁之助 | 島井実 | 花笠薫 | | にたもの夫婦と 云うけれど やさしさばかりは かなわない むかし気質の あんたに惚れて 少し苦労も あるけれど 人並の倖せが いいと云う 家のかみさん 恋女房 井戸端会議の 話にも 身につまされたと 涙ぐむ 暗い世間の 片隅だって 笑い話が 出来るよな 人並の倖せが いいと云う 家のかみさん 恋女房 怒った顔など 一度でも 俺には見せずに いてくれる なにがなくても あんたと二人 肩を寄せ合い 生きられる 人並の倖せが いいと云う 家のかみさん 恋女房 |
息子へ芦屋雁之助 | 芦屋雁之助 | 鳥井実 | 花笠薫 | | 親元はなれて 世間にもまれ 人の情を知るがいい 俺は息子に とやかく云わぬ 文句あるなら 男の子だろ おやじ こうだと 云って来い 自分の理屈が 通らぬからと 人に迷惑かけるなよ 勝手気ままに つっぱるけれど どんな奴でも 息子のことを 憎む親など いやしない 親父風吹かすなと 息子の奴に云われたけど… そうや そうなんや 遠い昔のことやけど 俺にもあったなぁ 息子と同じ青春が… おやじの背中を 裸になって 流す気持になれないか いつか二人で酒のみながら 男同志で 話をしよう それが 親子と云うものさ |
夕照の女金田たつえ | 金田たつえ | 平田まつみ | 花笠薫 | | あなたがくれた真心に 捧げて悔いないこの命 どうせ散るなら誠の夢に 散らせてあげたい男花 京の都にそぼふる雨は 偲ぶ女の祈り雨 「総司さま 死ぬなんてそんな 気の弱いこといわんと… あんたはんの志を 果たしておくれやす それまでその命 私が 守り通してみせます」 この身で代われるものならば あなたの病を背負わせて 願いひとすじとく黒髪が 未練の涙に絡みつく 夕陽悲しい病葉ひとつ 照らす女の高瀬川 「私はほんまに倖せどした 生まれかわってまた二人が巡りおうたなら そのときはあんたはんの女にしておくれやす」 男の青春を駆けてゆく 背中の細さに泣けてくる 一目みせたい 夜明けの空に 移ろう明日の 曙を 燃えてせつなく心を焦がす 夏の終りの大文字 |
演歌人生冠二郎 | 冠二郎 | 鳥井実 | 花笠薫 | | 枯れた 情の 恋歌聞けば 裏街こぼれ灯 淋しいね 演歌人生つらいと言って 坂道転げて泣いてもいいが 俺のこの手をはなすなお前 俺とお前の 心の中に 秋風冷たく しみて来る 演歌人生 夢だと言わず 指折り数えて待ってたならば きっと花咲く季節が来るさ 俺の命が 終ったあとで わかってくれたらそれでいい 演歌人生みせかけだけの 幸せ残して死んだとしても 誰れも本気で泣いてはくれぬ |
人生船三笠優子 | 三笠優子 | 鳥井実 | 花笠薫 | 池多孝春 | 長い旅路に 疲れたからと くじけちゃ駄目だよ なあお前 俺が舵とる 人生船は 苦労と云う名の 海峡越えて たどり着きたい 幸せ港 からだひとつで 積荷はないが それでもいいだろ なあお前 俺が舵とる 人生船は 涙と云う名の 海峡越えて たどり着きたい 幸せ港 浮世 荒波 まともにうけて 船酔いするなよ なあお前 俺が舵とる 人生船は 嵐と云う名の 海峡越えて たどり着きたい 幸せ港 |
越佐海峡西村亜希子 | 西村亜希子 | 松井由利夫 | 花笠薫 | | 二度と昨日は ふりむきません 決めて 鴎と 越えた海 越佐海峡…夕陽の潮路 遠く茜の 越後の山が おんな涙をまたさそう 男らしさに すがってみても しょせん かぼそい夢の糸 越佐海峡…大佐渡小佐渡 こころ一つが二つに別れ いつかちぎれた はぐれ雲 胸の迷いを 洗っておくれ 佐渡の鬼太鼓乱れ花 越佐海峡…片恋しぶき せめて泣くだけ 泣かせて欲しい おけさ浜なす 風岬(かぜみさき) |
浮世川西村亜希子 | 西村亜希子 | 高橋直人 | 花笠薫 | | あなたと私の間には 越すに 越されぬ 川がある いくら好きでも 愛していても あゝ…渡る橋がない 風が身を切る浮世川 哀しい心に 音もなく 寄せる 冷たい 細波(さざれなみ) 涙ふくたび やせてく影の あゝ…すがる胸はない ゆれて流れる 浮世川 添えない仲なら 宿命なら せめて一夜 なさけ舟 髪の芯まで 焦がれていても あゝ…思いかなわない 夢で逢いたい 浮世川 |
命みちづれ金田たつえ | 金田たつえ | 仁井谷俊也 | 花笠薫 | 山田年秋 | 愛したことが 罪ですか こぼす涙が 罪ですか あなたがふたり この世にいたら そうよこんなに 苦しまないわ 私は命を 捨てられる ああ あなた… 私の為に死ねますか 世間の眼には 隠せない 耐える覚悟の 針の山 あなたに溺れ 深みに堕ちた こんな女に したのはあなた ひとりじゃ眠れぬ 生きられぬ ああ あなた… 私の為に死ねますか 恋しい男を 待ちわびて 夜毎おんなは 夜叉になる あなたの吐息 あなたの匂い 奪い取りたい あなたのすべて 私は生命も 惜しくない ああ あなた… 私の為に死ねますか |
涙のグラス宮史郎 | 宮史郎 | 石本美由起 | 花笠薫 | | 心も身体も ひとつだと 言ったあなたは 罪つくり 涙しみじみ 女のグラス 生きるこの世の 淋しさを 酒と泣きたい ネオン街 信じて不幸に なるのなら 惚れた私が 馬鹿なのよ みれんひと彩 女のグラス 酔って抱かれた その後は 別ればかりが 待っていた 酔う人 泣く人 笑う人 夜の酒場の 恋模様 朝はどこやら 女のグラス 嘘の小石に つまずいて 胸に残るは 傷ばかり |
お酒だよ岸千恵子 | 岸千恵子 | 吉田旺 | 花笠薫 | | お酒だよ お酒だね 浮気亭主に 腹立つときは おんな同士で 呑もうじゃない くよくよしたって 目尻のシワと 白髪(しらが)ばかりが ふえるだけ 注いで頂だい ネエ マスター 酒は苦労の 忘れ水 お酒だよ お酒だね バカタレ息子に 泣きたい夜は たまにゃやりまっしょ 夫婦酒(めおとざけ) あれこれぐずぐず くやんでみても オタマジャクシは 蛙(かえる)の子 呑んで呑みましょ ネエ あなた 酒は吐息(といき)の 捨てどころ お酒だよ お酒だね どうせ呑むなら ホイキタサッサ パッと陽気に いきましょう 人情ひらひら 紙よりうすい いやなご時勢(じせい) とんで行け グット干してよ ネエ あんた 酒は憂(う)き世の 力水(ちからみず) |
雪の炎大石円 | 大石円 | 新本創子 | 花笠薫 | | お酒に捨てても また燃える 恋は情けの 走り湯よ あなた舞子を 泣かせるために 逢いにくるのね 雪国へ 姿見に雪舞う 国境 恋の闇夜の 底深さ ひえた黒髪 ほどかれながら 憎いきらいと 袖をかむ 踊りに三味線の音 化粧より 恋は生き身を ゆるすもの 酔った舞子を のこらず抱いて つらいわかれの 火の枕 |
春待ち川花咲あい | 花咲あい | 高柳三千子 | 花笠薫 | | やっと見つけたの 女の夢を こころ寄せ合う あなたと私 手と手重ねた ふたりの絆 迷い道でも 信じ合い 幸せ探して 生きて行く 愛が流れる 春待ち川よ 待って待ちわびて あなたに逢えて うれし涙が この頬濡らす そうね今夜は 情けの酒を 呑んで酔いましょ 甘えたい 微笑むあなたの やさしさを 乗せて流れる 春待ち川よ ずっとこの先も あなたの側で 生きて行けたら それだけでいい 赤いつぼみも いつかは花に 根雪解ければ 実をつける ふたりの明日に ささやかな 夢が流れる 春待ち川よ |
男の涙はあとで拭け三笠優子 | 三笠優子 | 鳥井実 | 花笠薫 | | 義理も人情も 薄れたと 嘆きなさるな そこの人 人生は… 待った待ったと 叫んでみても 待ったなしだと 過ぎて行く 苦労の嵐に 耐え忍び 男の涙は あとで拭け 一度惚れたら 諦めず 押して行くんだ そこの人 人生は… どこでどうなる 合縁奇縁 誰も知らない ことばかり 幸せも一度 たしかめて 男の涙は あとで拭け 渡る世間に 鬼はない それが浮世さ そこの人 人生は… 夢をみるのは いいことだけど 思い通りに なりゃしない あわてず急がず 出直して 男の涙は あとで拭け |