ユニコーン原田郁子 | 原田郁子 | 友部正人 | 原田郁子 | | いつか君が 年をとって またぼくに 会いたくなったら 君が歌った この歌を また口ずさんでね 君がどんなに 遠くに いても ぼくには君が わかるはずさ ぼくは昔君の 心にいたんだもの いつか君が 若かったとき 君はこの歌を 歌ってくれた 狭いアパートの 台所 ピアノを弾きながら 君から生まれた ぼくは ユニコーンだよ 若い涙は 強い角になったよ 君から生まれて 孤独を知ったよ 音のない世界で |
愛の分量石川セリ | 石川セリ | 友部正人 | 玉置浩二 | | あのときのドレスだして わたしに あわせてる そうよ これから わたしは あなたに あいにいくから きせつが おなじはなをさかせ こころに おなじいろつけるように あいの ぶんりょうはおなじだと あなたに おもわれたいの ときのながれを わすれて あなたを みつめてる のみほしたレモネードに じかんが かおをみせてる かがくの じっけんしつにいて きおくを ゆっくりとまぜあわせ あいの ぶんりょう たしかめて ふたりで みているみたい メルヘンいろの ひとのむれから なまえよばれて ふりむく いくら あいがおなじりょうでも ふたりは べつのまつりのなかです あいは いきばをなくしたら わたしを くるしめるだけ |
昔イタリアで石川セリ | 石川セリ | 友部正人 | 玉置浩二 | | そらをまうカモメたちが あなたのぬぎすてた 部屋のすみのシャツのなかに もぐりこむのみえた こうして ふたりきり まどの外ながめていると ずっと昔イタリアの 小さな町に流れてきた 男と女のよう どこからきたの (どこまでゆくの) きこえてはすぐ なみまにきえたおもい あなたのこときかせてよ りんごはまだ甘い きかないでよ ぼくのことは 髪の色は黒い もえつづけているのは はいざらの上のじかん おちてゆくのははやい ラジオをつけておどりましょう 2人のあいはながい くちびるあわせ みえない模型 ひとつに組み立てましょう こうして ふたりきり まどの外ながめていると ずっと昔イタリアの 小さな町に流れてきた 男と女のよう どこからきたの (どこまでゆくの) きこえてはすぐ なみまにきえたおもい |
まちは裸ですわりこんでいるYO-KING | YO-KING | 友部正人 | 友部正人 | | 街ははだかですわり込んでいる 夢を見ようにもあてがない 最後の幸せをポケットに 君は旅立とうとしている 悲しい夜にはなぜか 誰もがきれいに見えるもの やぶれ舟が僕のすき間に 入り込んで Hold onてささやいている とてもはれた日の午後 僕は一人喫茶店の二階 君がおき忘れていったやさしさを テーブルの上でならべかえてみる 夕暮の町は高校生でいっぱい でも君の若さにはもう出口はないよ だから夜はこんなに殺気立っている 今度は台風さえもさけて通るらしい あめ玉をくわえた老人が一人 縁側で今日も日なたぼっこ 夕暮のまんいんバスの中に もう見あきた悲しげな顔ひとつふたつ お日様ももう 先が長くないみたい 肩はこんなにも あかさびだらけ 僕もそろそろ 腰をあげようか ビスケットの匂いのする フランスまで |
もしもしLOU | LOU | 友部正人 | 友部正人 | | もしもし大工さん ぼくの窓わくをとりはずして下さいな 屋根がくずれ落ちてもかまわないから 柱ももういらないのです トンカチトントン始めて下さいな この猫背に釘を打つのです 足元ばかり見て暮らしていたら ほら何もしゃべれなくなってしまいましたよ とめ金をはずしたら何が出る 出るよ出るよふところから 色気やあくびばかりが ほらぼくだけの季節がかけっこしている 君は酔っぱらって町をひとまわり 表通りには着飾った女たち 裏では悲しげな男たちが肩寄せあう 破れたカーテンが風にふかれて 誰かさんの秘密がこぼれ落ちた 真夏の日ざしは肩を焼き 水の流れは足を凍らす やせたのどがつぶやいている 今夜幸せなのはどこの誰さんだい もしもし大工さんぼくの 窓わくをとりはずして下さいな |
一本道友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | | ふと後をふり返ると そこには夕焼けがありました 本当に何年ぶりのこと そこには夕焼けがありました あれからどの位たったのか あれからどの位たったのか ひとつ足を踏み出すごとに 影は後に伸びていきます 悲しい毒ははるかな海を染め 今日も一日が終ろうとしています しんせい一箱分の一日を 指でひねってごみ箱の中 僕は今 阿佐ヶ谷の駅に立ち 電車を待っているところ 何もなかった事にしましょうと 今日も日が暮れました あヽ中央線よ空を飛んで あの娘の胸に突きされ どこへ行くのかこの一本道 西も東もわからない 行けども行けども見知らぬ街で これが東京というものかしら たずねてみても誰も答えちゃくれない だから僕ももう聞かないよ お銚子のすき間からのぞいてみると そこには幸せがありました 幸せはホッペタを寄せあって 二人お酒をのんでました その時月が話しかけます もうすぐ夜が明けますよ |
大阪へやって来た友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | | 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ それはほんのささいなことで 僕は酔っぱらっていたのかも知れないんだけど 僕がやって来た夜 御堂筋はレース場で 心斎橋はこの世の人だまり その中を真夜中にうろつく僕には今 何の地位も将来も約束されてはいない 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ スポーツ新聞はいつも阪神のことばかりかきたてている おおげさな競馬の報道は貧乏人をくいものにするし うたいたかったけどそんな場所もなくて 僕はいつも求人広告を持ち歩いたんだ でも行ってみるといつもだまされてしまう 尼ガ崎の鉄工所へ行った時なんか たった千円しかくれないし その上命の保障もないんだ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 友だちもいつか名前だけになってしまうことを知っている いつのまにか手をとり合うだけのエゴイズムと すり変わってしまうんだ 長髪を風になびかせる自称ヒッピーたちでさえ 新しいコートがなかなか肌になじまないこと知っている ものすごくたくさんの広告がいろんなスタイルを要求するけど でも家をでることだけが自由じゃないと思うんだ あれはいけない これがいいのさ でももう結構 僕は誰が素敵な奴かを知っている 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 何もかも関係なくなればいいと思うことがある とても眠たい朝 僕は大阪駅に立たずんでいたんだ そうさ 誰もがあせりすぎているんだ 走って行く人 ころぶ人 くつを忘れた人 かかとがかけてしまって歩けない人 朝から晩までラッシュアワーだ まるで恋をする勇気もないまま 僕もあんたもうらみ合いをくり返している 夜にはひま人が金と麻薬を持ち歩く もし君が宿なしなら夜中にうろつかない方がいいよ ましてやポケットに百円ももってないなら へたするとやくざとおまわりの思いのままになってしまうよ 誰かが言ってたっけ? お前は気楽に暮らしてていいって じょうだんじゃないや 何が気楽なもんか いつまでたったって落ちつくあてもなく まるでいくじがないまま まだフラフラしている 一年中わびしくてやりきれない町 それが大阪 でもそれがいいのかもしれないなと思う時がある クリスマスにあの娘に赤ちゃんが生まれるんだって とても小さな女の子でみんなでかけたんだ 顔のぞきこんで 男か女か 今じゃその娘タバコもラリることもやめたんだ みんなでおいわいしてあげたいんだけど その娘大阪の女の子なんだよ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ |
シャバダバBaby大塚まさじ | 大塚まさじ | 友部正人 | 大塚まさじ | | 降りつづいた 黒い雨 顔出した トロンボーンの朝 黄色く破裂 つぐみの声 空にはりついた 青いはばたき ドアーの前には 三足の靴 君とぼくらの 三着の服 「ごきげんよう」 ベッドの中 寝がえりをうち 「おはようさん」 シャバダバBaby 優しい夢 ぼくらにくれた 二本の傘 シャバダバBaby ひっそりした肌 戸口で見送る 夏の長い影 体の望み 果たしたあと 耳傾ける 青い恋人 ぼくらの歩いた 道程を 優しい指が 辿ります 記憶のソリが シュンシュンと 街の上空 飛んでいく 僕らの眠りの どこかの国で 洗濯物が 揺れている シャバダバBaby 優しい夢 ぼくらにくれた 二本の傘 シャバダバBaby ひっそりした肌 戸口で見送る 夏の長い影 朝になって 乾いた服には 青い香り ついていた ぼくら二人 手をとり合って 君のドアーから 踊りだす シャバダバBaby 優しい夢 ぼくらにくれた 二本の傘 シャバダバBaby ひっそりした肌 戸口で見送る 夏の長い影 |
海はどうだ井上陽水 | 井上陽水 | 友部正人 | 井上陽水 | | 君の恋などさめたらしい 雨も上ったこの町 きのう手紙が届きました 晴れたところへ出かけます 青いズボン 波がチャプチャプ 君の舟に眠る人 誰? むぎわら帽子 持って出かけた 海はどうだ うさぎみたいに 長い耳を うまくたたんでかんぱい それは雨降る寒い晩で 二人 向きあいシンシンと エスプレッソコーヒー飲んでる 町はいつも春の風だよ 旅の途中 僕が聞くのは 海はどうだ 少ししめりけ気になるけど 雨も上ったこの町 君のたよりをのきにつるし 僕も明日は出かけます 青いズボン 波がチャプチャプ 君の舟に眠る人 誰? むぎわら帽子 持って出かけた 海はどうだ |
一本道ガガガSP | ガガガSP | 友部正人 | 友部正人 | | ふと後ろを振り返ると、そこには夕焼けがありました。 本当に何年ぶりの事、そこには夕焼けがありました。 あれからどの位たったのか、あれからどの位たったのか。 ひとつ足を踏み出すごとに、影は後ろに伸びていきます。 悲しい毒は、はるかな海を染め、今日も一日が終わろうとしています。 しんせい一箱分の一日を、指でひねってごみ箱の中。 あぁ中央線よ空を飛んで、あの娘の胸に突き刺され。 |
密漁の夜三上寛 | 三上寛 | 友部正人 | 友部正人 | | 君は窓の中 いつのまにか コックリ コックリ 眠ってしまったみたい ぼくは窓の外 降りしきる雪の中 ひとりかけようと ズボンをぬいている ここ吹き嵐れるオホーツクの海を前にして ぼくはとばされた一枚の紙きれだよ そこに書かれた一行の書きおき やがて月がでて サロマ湖のほとり 眠り白鳥もおきて歌い出す 月は空高く サロマ湖の上 陸の小舟も今夜旅に出る ほら空にはハマナスの花が咲きみだれ 気がついてみるとぼくはもう もう誰も信じちゃ いないみたい 犬が吠えるよ 煙草屋の屋根の上 オホーツクがいまにもあふれそうだし 漁師たちはトラックにまたがり 花咲く町のキャバレーへ ぼくは君と二人 ふとんの中 風は湖をわたり 遠くの窓あかり 小さな欲望のほのおがゆれるよ 密漁の夜の 漁師たちは サロマ湖のほとり 大木のようなサケに 抱かれて眠る 密漁の夜 漁師たちは ストーブをかこみ 果てのない ほら話しに 顔を赤らめる |
愛について矢野顕子 | 矢野顕子 | 友部正人 | 友部正人 | 矢野顕子 | 壁に二つの影が映っている 子と母の二つの影が映っている 二人は自転車をこいで 今、家へ帰るところ 子は母に話しながら 母は子にうなずきながら 子に父はいなく 母に夫はいない 父も夫もいない夜道を 二人はゴムまりのようにはずんでいく ぼくには愛が二つの ゴムまりになったように見える 父のいない子は 愛について考えつづける 夫のいない母も 愛について考えつづける 愛について考えることで 二人は結ばれている 道ばたである日 星のように遠いはずの男とすれ違う 愛のことを考えながら 子と母と、男は道端ですれ違う 星のように遠い場所から その夜、男は子と母に電話をかける 愛のことを考えながら 子と母は生きていく 愛のことを考えながら 男もまた生きていく 遠く離れた場所にいて どちらも愛について考えている つかまえた、と壁に映った子の影が言う つかまえた、と壁に映った母の影が言う 子と母は自転車をこいで 家へ帰って行く つかまえた、とつぶやく二つの影を 道ばたの壁の上に残して |
夜よ、明けるな友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | | だが 君は帰って来ない 夜道をぼくは帰ってきたのに 君の窓明かりは消えたままさ 月はあんなに明るいのに 町は居留守を使ってる 呼んでも君は答えない 疑問は頭から抜け出して 路上でぼくの影になる 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 女たちが笑ってる 胸をはだけた夏の夜 ぼくは静かにたたずんでいる 君がどこにもいないので ぼくが持ってる一番高価なものを 君の笑顔と取りかえたい 日々はぼくの大好きな君の笑顔を 波の彼方に置き忘れたようなのだ だが やがて朝が来る 君が飛ばなかったことを知り 夜の列車には乗らなかったことを知り ぼくの汽笛はこう繰り返す 悲しみを石に変えてくれ 海の底に沈めたいから 海の底で揺れる美しい藻は いいかげんな言葉をまだ知らない 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 夜よ 明けるな 君のために |
夏のたった今柏原芳恵 | 柏原芳恵 | 友部正人 | 田所純一郎 | | おはようと一言 めざめのごあいさつよ 夏の風 窓からそよそよ吹いてくるわ 起きなさい お昼ですよ おねぼうさん こっちを向いて ラララ…… あなたは毛布から手を出して あくびする もうひとつ あくびする 夏が走る たった今 窓辺を‥‥ ゆうべから海辺のホテルにとまっている ついさっき ボーイがコーヒー持ってきたわ 夏休み 二人の旅 あらいざらし 夏の光 ラララ…… あなたを信じてはいないけど こうやってすごすのはステキだわ 夏がさわる たった今 うなじを 望むものなんにもないけど幸せなの これっきりあなたとあえなくなるとしても 影ふんで歩きましょう おどけながらあなたのあとを ラララ…… だれかに見られてもへいきです 私達 きれいだと言えるから 時が走る たった今 私を‥‥ |