――『忍にん道どう－SHINOBIDO－』が公開こうかい直前ちょくぜんですが、作品さくひんをご覧らんになっていかがでしたか？

「日光にっこう江戸えど村むらさんの25周年しゅうねん記念きねん作品さくひんなんですよね。今回こんかいその記念きねんに、忍者にんじゃを題材だいざいにした時代じだい劇げきをやりたいということで出演しゅつえんさせて頂いただいた訳わけですけど、王道おうどうの忍者にんじゃ映画えいがという意味いみでは凄すごくいい作品さくひんだと思おもいます。海外かいがいにも目めを向むけている作品さくひんということもあったので、参加さんかすることに凄すごく意義いぎがありました。立場たちばの違ちがうふたりが惹ひかれあうというのも、わかりやすくてよかったですよね。その中なかでも独特どくとくな世界せかい観かんは出だせてたと思おもいます。プロットの段階だんかいから作品さくひんや役やくについての意見いけんを言いわせて頂いただいたんですが、最初さいしょは僕ぼくが演えんじる駒こま彦は東あずま五郎ごろう（ユキリョウイチ）の元もと妻つま・お凛りん（岩佐いわさ真悠子まゆこ）の兄あにではなかったんです。でも駒こま彦のキャラクターをもっと深ふかく作つくるために、お凛りんとは兄妹きょうだいという設定せっていに変かえてもらいました。東ひがし五ご郎ろうとの確執かくしつも、その設定せっていを作つくることで説得せっとく力りょくが増ますんですよ。そういう風ふうに、自分じぶんの意見いけんを言いわせてもらうことが出来できたし、実際じっさいに反映はんえいしてもらえたんで、参加さんか出来できて面白おもしろかったしいい経験けいけんになりました」

――今いままでもそういう風ふうにプロットの段階だんかいから参加さんかした作品さくひんはありましたか？

「『ハブと拳骨げんこつ』もシナリオハンティングから参加さんかしてるんです。日本にっぽんにはあまりない形かたちなのかもしれないですけど、アメリカにはよくある形かたちで。芝居しばいの勉強べんきょうをしにニューヨークに行いってた時ときによく感かんじたんですけど、向むこうの俳優はいゆうは凄すごく自主じしゅ的てきに作品さくひん作づくりに参加さんかしてるんです。歴史れきし的てきなバックグラウンドからキャラクターの掘ほり下さげ方かたまで凄すごく時間じかんをかけて、ディスカッションをしながら作つくり上あげていくんですね。自分じぶんの意見いけんを言いえる場ばがあるのは当あたり前まえのことで、そこから生うまれてくるものもあるじゃないですか。もちろん、日本にっぽんは日本にっぽんで素晴すばらしい映画えいがの作つくり方かたがあると思おもうんですけど、僕ぼくは作品さくひんをよりよくするために、言いうべきことは言いえる環境かんきょうが大事だいじだなと。『忍にん道どう～』ではそれが出来できたのがよかったですね。でも怖こわいのは、監督かんとくやスタッフへの越権えっけん行為こうい。それはしてはいけないので、意見いけんを言いってもきちんとバランスを取とりながら、自分じぶんが参加さんかする意義いぎを見出みいだしていければと思おもいます」

――そのバランスは物凄ものすごく難むずかしいですよね。相手あいてによっても違ちがうだろうし。

「そうなんですよ。監督かんとくによってはそういうことを好このまない方ほうもいるし、逆ぎゃくに好すきな方ほうもいるので。周まわりの方ほうにどういう監督かんとくか聞きくこともありますけど、一番いちばんは本人ほんにんにお会あいして、その時ときの印象いんしょうや話はなしをしてみてバランスを決きめますね」

――『忍にん道どう～』ではアクションもありましたが、撮影さつえいに入はいる前まえはどのような準備じゅんびをされましたか？

「クランクインの5日にち前まえに現場げんば入いりしてみっちり稽古けいこをしました。実じつは、僕ぼくの役やくが急遽きゅうきょ拳銃けんじゅう使づかいに変かわったんですよ。ユキさんからも、現場げんばに入はいったら殺陣さつじんの稽古けいこを厳きびしくやるからって言いわれてたので意気込いきごんで行いったら、いきなり“駒こま彦は拳銃けんじゅう使づかいになったから”って言いわれて（笑）。刀かたなも使つかいたかったですけど、確たしかに悪役あくやく感かんは増ましたのかなって思おもってます。あとは、カメラテストも実際じっさいの現場げんばで出来できたんですよ。日光にっこう江戸えど村むらのロケーション現場げんばで。それは凄すごく贅沢ぜいたくな時間じかんでした」

――男性だんせいは時代じだい劇げきや歴史れきしが好すきな人ひとが多おおいと思おもいますが、尚なお玄げんさんはいかがですか？

「僕ぼくも歴史れきしは好すきです。日本人にっぽんじんに生うまれたからには、時代じだいものとヤクザものは絶対ぜったいに出でたいと思おもってて。これからもチャンスがあれば出でたいです。中野なかの裕之ひろゆき監督かんとく作さくの『七人しちにんの侍さむらい』に出ださせて頂いただいた時ときに殺陣さつじんと乗馬じょうばはみっちりやったので、ベースは出来できてるつもりですし、今後こんごもその経験けいけんを活いかして時代じだいものは出でたいと思おもってるので……、やっぱり観みてても演えんじててもいいですよね。所作しょさとかもっと奥おくが深ふかい部分ぶぶんもやってみたいです」

――和服わふくが似合にあいますよね。

「僕ぼくは顔かおの作つくりが西洋せいよう的てきだと言いわれるんですけど、意外いがいと時代じだいものははまるって言いわれるんですよ。それは不思議ふしぎですね（笑）」

――特とくに好すきな時代じだいはあるんですか？

「やっぱり江戸えどですね。特とくに幕末ばくまつが好すきです。あの激動げきどうの時代じだい。ユキさんが凄すごく面白おもしろい人ひとで、江戸えどの文化ぶんかを物凄ものすごく勉強べんきょうされてるんです。だからユキさんと話はなしてると勉強べんきょうにもなるし、江戸えど村むらにいた時ときも色いろんな話はなしを聞ききました」

――好すきな人物じんぶつは？

「幕末ばくまつだとやっぱり坂本さかもと龍馬りょうまですね。幕末ばくまつを書かいた本ほんで、いつかは映画えいがにしたい小説しょうせつがあるんですよ。タイトルは内緒ないしょにさせて欲ほしいんですが、鯨くじら取とりを題材だいざいにした坂本さかもと龍馬りょうまとか実在じつざいした人物じんぶつも出でて来くる作品さくひん。それをユキさんに話はなしたら、偶然ぐうぜんにも同おなじことを思おもってたみたいで。そこから一気いっきに仲良なかよくなって、そしたらまた偶然ぐうぜんにも同おなじ作品さくひんに出でることになったんです」/p>

――制作せいさく側がわにも興味きょうみはあるんですか？

「ありますね。これもアメリカの話はなしになっちゃいますけど、向むこうは自分じぶんで作つくって自分じぶんが出でるっていうのは結構けっこうよくある話はなしで。クリエイティブな面めんから役者やくしゃも参加さんかしていくことは、今後こんご必要ひつようになってくるんじゃないかなと思おもいます」

――制作せいさく側がわなら、特とくにこれをやりたいっていうポジションはありますか？

「脚本きゃくほんには参加さんかしたいです。いくつか書かいてる話はなしはあるんですけど、今いまの僕ぼくがひとりで書かくと個人こじん的てきな要素ようそが強つよくなっちゃうので、最初さいしょは共同きょうどうでやるのがいいんじゃないかなと思おもうんですよ。いずれは監督かんとくもやりたいですね。その前まえに、まずはしっかり俳優はいゆうをやるところからですけど（笑）」

――今年ことしは年明としあけすぐに舞台ぶたいにも出演しゅつえんされましたね。5年ねん振ふりの舞台ぶたいはどうでしたか？

「楽たのしかったです。5年ねん前まえは芝居しばいを始はじめて間あいだもなくてホントに未熟みじゅくでしたけど、さすがにそのころより少すこしは芝居しばいというものをわかってるので。ニューヨークでステージアクティング、舞台ぶたい芝居しばいの勉強べんきょうもしてたので、日本にっぽんに戻もどってきて舞台ぶたいも出でたいなとは思おもってたんです。それに、新あたらしい環境かんきょうで芝居しばいをして、自分じぶんを1回かい追おい込こみたかったというのもありますね」

――映像えいぞうと舞台ぶたいの芝居しばいでは違ちがう部分ぶぶんも多おおいと思おもいますが、ニューヨークで学まなんだ経験けいけんもあってすぐに適応てきおう出来できたんでしょうか？

「僕ぼくマイペースなんで、最初さいしょは自分じぶんのペースで探さぐりながらやってました。作さく・演出えんしゅつ家かの広瀬ひろせ格かくさんと舞台ぶたいが全すべて終おわったあと話はなしたら、最初さいしょは大丈夫だいじょうぶかなって心配しんぱいしてたらしいです。マイペースだし探さぐり探さぐりだし。でも、言いわれたことは一ひとつひとつちゃんと解釈かいしゃくして自分じぶんのものにしてたので、やる度たびによくなっていってたとも言いってくれました。うしろに戻もどることがなかったと。毎回まいかい成長せいちょうしてたので、途中とちゅうからは信頼しんらいしてくれてたみたいです。そう思おもってくれてたことは自分じぶんの中なかでも自信じしんになりましたし、また舞台ぶたいをやりたいなって気持きもちになりますよね」

――今回こんかいの舞台ぶたいで、一番いちばん悩なやんだり大変たいへんだったところはどの部分ぶぶんですか？

「やっぱり途中とちゅうで本性ほんしょうを出だすところですね。事件じけんの真相しんそうを暴あばくために最初さいしょはおとなしいナヨナヨした男おとこを演えんじてるんですけど、そこからガラっと変かわるところは難むずかしかったです。映像えいぞうだと舞台ぶたいと違ちがう表現ひょうげんが出来できたり色々いろいろとやりようがあると思おもうんですけど、ずっと繋つながった一連いちれんの流ながれで急きゅうに変かわるのは…苦労くろうしました。舞台ぶたいなりの魅みせ方かたはありますが、あまり嘘うそっぽくはしたくなかったので、どのぐらいのバランスでいこうかずっと悩なやんでましたね。広瀬ひろせさんにも相談そうだんはしましたが、あの部分ぶぶんは自分じぶんの中なかで納得なっとくして演えんじないとお客きゃくさんにばれちゃうと思おもうので。結果けっか的てきに、最初さいしょの臆病おくびょうな作家さっかの時ときはちょっとコミカルな感かんじでやらせてもらったんですけど、それが個人こじん的てきには凄すごく面白おもしろかったんです。観みて下くださった方ほうも、そのコミカルな部分ぶぶんが面白おもしろかったって言いって下くださる人ひとが多おおくて」

――知しり合あいの方ほうも観かんにいらっしゃったと思おもいますが、みなさんの反応はんのうはどうでしたか？

「普段ふだんあまりやらないようなコミカルな役やくが観みれて面白おもしろかったって言いってくれましたね。本ほんも面白おもしろかったじゃないですか。30分ぶんの中ちゅうにコミカルな部分ぶぶんとサスペンスを上手うまく入いれ込こんでいて。楽たのしんで帰かえってくれたようなのでよかったです」

――話はなしを聞きいていると、尚なお玄げんさんもホントに楽たのしめたようですね。

「はい。楽たのしかったしやってよかったと思おもってます。年末年始ねんまつねんしを挟はさんで準備じゅんびをしてたので、大変たいへんな部分ぶぶんもありましたけどね。でも、舞台ぶたいのこと以外いがいは興味きょうみがなくなるぐらいのめり込こみました」

――年末年始ねんまつねんしも舞台ぶたいのことばかり考かんがえていたとか。

「そうですね。休やすみ自体じたいもあまりなかったですし、実じつは東京とうきょうで年末年始ねんまつねんしを過すごすことも始はじめてだったんです。だいたい沖縄おきなわの実家じっかに帰かえるか、海外かいがいに住すんでたかどちらかなので。でも舞台ぶたいのことがあったので今回こんかいは東京とうきょうにいました。年末年始ねんまつねんしはお店みせも閉しまってるところが多おおいから、ファミレスで台本だいほんを読よんでましたね」

――正月しょうがつ休やすみの間あいだも舞台ぶたいのことを忘わすれることが出来できなかったんですね。

「そんな余裕よゆうがなかったです。友達ともだちと会あったり飲のんだりはしましたよ。でも、常つねに舞台ぶたいのことは頭あたまにあったし、そういう経験けいけんが出来できたのもよかったです」

――舞台ぶたいに限かぎらず、自分じぶんの役やくが現場げんば以外いがいでも残のこっちゃうほうですか？

「残のこりますね。ほかのことは考かんがえられないです。ずっと役やくや作品さくひんのことを考かんがえちゃってます。何なにかしてても、今度こんど演えんじる彼かれならどういう行動こうどうを取とるのかなとか。友達ともだちと喋しゃべってても、彼かれならこういう時じこう言いうんだろうなとかは、ずっと考かんがえてますね。もちろん、そう思おもってても言いわないですけど、周まわりから見みたらボーっとしてるなって思おもわれてるかもしれません。多少たしょうは、言動げんどうも変かわってるのかもしれませんね。自分じぶんでは気きづかないだけで。でもひとりの時ときのほうが、よりわかりやすいかもしれないです。舞台ぶたいの最中さいちゅうは臆病おくびょうな作家さっかバージョンの役やくに合あわせてずっとメガネをかけてたんですけど、街まちを歩あるいていてもいつもみたいに歩あるいてなかったですよ。姿勢しせいが全然ぜんぜん違ちがってたと思おもいます。背中せなかを少すこし丸まるめる感かんじで、堂々どうどうとは歩あるいてなかったはずです。人間にんげんって、頭あたまの中心ちゅうしん点てんに重心じゅうしんを置おいて、それを前まえにするかうしろにするかで感情かんじょうが変かわってくるんですよ。例たとえば（実際じっさいに立たって実演じつえんをしながら）、うしろにするとちょっと堂々どうどうとした感かんじに見みえるじゃないですか。ずっとこのまま歩あるいてると、行動こうどうや考かんがえもそれによって変かわってくるんです。前まえかうしろか、どのぐらい片寄かたよらせるかで違ちがうんですけど、そういうトレーニングもやったことがあって。『愛あい・命いのち～新宿しんじゅく歌舞伎町かぶきちょう駆かけ込こみ寺てら～』というドラマで、自分じぶんに自信じしんのあるホスト役やくを演えんじたんですけど、その時ときは重心じゅうしんをうしろにして歩あるいてましたね」

――今回こんかいの舞台ぶたいで、一番いちばん得えたものはなんですか？

「いっぱいありましたけどね、一番いちばんか……。今回こんかいは、大だい人数にんずうの会話かいわ劇げきじゃないですか。早はやいテンポを重視じゅうしする作つくりだったので、個こというよりも全体ぜんたいの調和ちょうわを学まなびました。自分じぶんがこういう芝居しばいをしたいというだけでは成なりたない作品さくひんだったので、周まわりといかに合あわせるかが大事だいじ。映像えいぞうじゃないから、編集へんしゅうでテンポは作つくれないですしね。そういうことを経験けいけん出来できたのは大おおきかったです」

――今後こんごはどういう作品さくひんに出でたい、どういう役やくをやりたいというのはありますか？

「やりたい作品さくひんも役やくもいっぱいありますけど、新あたらしいことにはどんどん挑戦ちょうせんしていきたいです。これまでは映画えいがメインでやっていたので、今後こんごは舞台ぶたいのお話はなしがあればまたやってみたいですし、ドラマもほかのジャンルも幅広はばひろくやってきたいと思おもってます」