昨年11月2日に67歳で亡くなった先代高砂親方(元大関朝潮)のお別れの会が5日、東京都内のホテルで行われ、約350人が参列。生前には師匠との和解がかなわなかった、元横綱朝青龍(43)も姿を見せた。
師弟は2010年の引退相撲の収益などを巡り完全に決裂。朝青龍は病身の師匠と和解を願っていたといい、「弟子として何回もトライしましたから。残念ながら会うことはできませんでした。周りの人がたくさん邪魔をしたり」と話す。
この日も〝招かれざる客〟であることは自身が一番理解していたが、それでも来場。献花の際には角界関係者のほかに元プロ野球選手の石毛宏典氏や元プロボクサーの赤井英和の名前が呼ばれる一方、故人が育てた唯一の横綱は来賓扱いされずリストから外れ、遺族や弟分の高砂親方(元関脇朝赤龍)とも顔を合わせることはなかったという。
「弟子として好きか嫌いか別として、人間として見送ることが当然。いくら合わないといっても、心の奥に師匠と弟子のつながりがある。握手して別れたかった」。そう悔やみつつ、本当なら直に伝えたかった反省の言葉も。「良いこともあれば、良くないこともありますし。それで人間は成長していくんじゃないかなと思ってます。(天国で)大目に見てくれればいいかなと思いますけど」
故人の功績を振り返る司会者が「やんちゃな横綱に振り回され…」と話し出すと席を立ち、「飛行機の時間がある」と一般献花を前に退出。30分間の参列ながら、「『自分を超える力士を育てたい』と言っていた師匠の夢をかなえた。『25回も優勝させてもらって感謝しています』と最後に伝えました」と永遠の別れを惜しんだ。 (塚沢健太郎)