蛤はまぐり生田いくた間あいだ,名めい田た雞。冬ふゆ藏ぞう春はる出で。篝火かがりび作さく聲ごえ,呼よび之の可か獲え。三月さんがつ三日農以其聲卜水旱。聲こえ小しょう,水みず小しょう;聲ごえ大だい,水みず大だい。諺ことわざ曰:「田た雞聲啞,田た好こう稻いね把わ;田でん雞聲響ひびき,田た好こう蕩とろけ槳。」又また,「田た雞上晝ひる鳴な,上鄉かみさと熟じゅく;下か晝ひる鳴な,下鄉しもごう熟じゅく;終日しゅうじつ鳴な,上下じょうげ齊ひとし熟じゅく」。唐詩とうし:「田家たや無む五ご行ぎょう,水みず旱ひでり卜ぼく蛙かえる聲ごえ。」蛙かえる,蛤はまぐり也。或ある謂いい大聲おおごえ曰蛙,小聲こごえ曰蛤[一いち]。