作品紹介
1996年のオリンピックで驚異的な新記録が次々に打ち立てられ、世界は「超人類の出現!」と囃し立てます。それら「超人類」たちの活躍は芸術や科学の分野にもおよび、世界は「超人類」たちのおかげで飛躍的な進歩を遂げようとしていました。しかし同じ時、ブラック・ジャックは90才の老人のように使い古された内臓を持つ少女の死に立ち会い、愕然となっていました。超人類たちとこの少女との間に隠されていた陰謀の魔の手が、真相を突き止めようとするブラック・ジャックへと伸びてきます。そんな物語を通して、この映画が語るのは「合理主義」と「科学技術の進歩」にしか価値観を見出せなくなった世界に対する警鐘です。劇場用映画として手塚治虫の原作にはないオリジナル・ストーリーが映像化されました。「生命」とそれをいたずらに「制御、改良」しようとする医学や科学の現状に対して、常に厳しい批判の目を光らせていた手塚治虫の遺志を受け継ぐ作品と言えるでしょう。