(14日、オリックス5―0ロッテ)
エースがまた一人で投げ抜いた。オリックスの金子千が3試合連続の完封勝利。1995年のグロス(日本ハム)以来、7人目(8度目)のパ・リーグ記録に「最後の一球まで余裕はなかった。一生懸命投げました」と照れ笑いした。
ロッテ戦は鬼門だった。今季は4戦全敗。牽制(けん・せい)悪送球や四球絡みで大量失点し、チームを裏切り続ける姿はエースと呼ぶには頼りなさすぎた。
この夜も何度か崩れそうな場面はあった。最大のピンチは8回。1死から連続安打で一、二塁とされ、井口にストレートの四球を与えて満塁に。ただ、ずるずるとはいかなかった。「欲張ると球が甘くなる。打者を打ち取ることだけ考えた」。150キロ超の直球が最大の武器だが、4番・金泰均には、スピードではなくコースで勝負した。138キロのわずかに落ちる球を外角低めいっぱいに放り、遊ゴロ併殺。「ロッテにはやられっぱなしだったので、今日こそはという強い気持ちがあった。最高の結果になった」。右の拳で力強くグラブをたたいた。
前夜に零敗し、最下位の楽天に2ゲーム差に迫られて迎えた一戦。連敗できない重圧の中で最後までマウンドを守った。これまで裏切られてきた岡田監督も「3試合連続はなかなかできんやろ。1試合完封するだけでも難しいのに」と褒めちぎるしかない圧巻の投球で、エースが信頼を取り戻した。(金島淑華)
■金子千(オ)が3試合連続完封
14日のロッテ戦(千葉)で完封勝利を挙げ、史上7人目(8度目)のパ・リーグ記録を達成した。1日の楽天戦(京セラ)、8日の西武戦(同)に続く完封勝利。プロ野球記録は1943年の藤本英雄(巨人)の6連続。
●大嶺(ロ) 「無駄な四球が多く、三者凡退もなかった。守りから攻撃のリズムを作ることができなかった」