三さん重じゅう殺ころせ単語たんご

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三さん重じゅう殺ころせ（トリプルプレー、ゲッスリー）とは、ノーアウトが一気いっきにスリーアウトチェンジとなり守備しゅび側がわを喜よろこばせてしまうプレーのことである。

概要がいよう

野球やきゅうやソフトボールにおいて、一連いちれんのプレーで3つのアウトをとること。併殺へいさつが「ゲッツー」と呼よばれるように、三さん重じゅう殺ころせは「ゲッスリー」と呼よばれる（和製わせい英語えいごで、「ゲットスリーアウト」の略りゃく）。

その性質せいしつ上じょう、塁るい上じょうに走者そうしゃが2人ふたりまたは3人にんおり且かつ無む死しでなければ発生はっせいし得えない。
そのため、1つ成立せいりつしただけで大おおきな話題わだいになるほど珍ちんしいプレーである。また、攻撃こうげき側がわにとってはノーアウト且かつ得点とくてん圏けんという最大さいだいのチャンスが潰ついえてしまう最悪さいあくの形かたちである。

ちなみに、打者だしゃ記録きろくについては併殺へいさつと三さん重じゅう殺ころせの区別くべつをせず、「併殺へいさつ打だ」に含ふくめて記録きろくする。従したがって、「三さん重じゅう殺ころせ打だ」という記録きろくは存在そんざいしない。

三さん重じゅう殺ころせの形かたち

フォースプレー

三さん重じゅう殺ころせの中なかでは最もっとも発生はっせいするケースが多おおい。ゴロの打球だきゅうを処理しょりし、フォース状態じょうたい（進すすむ塁るい義務ぎむのある状態じょうたい）の走者そうしゃ3人にんをアウトにする。

走者そうしゃ一いち・二塁にるいまたは満塁まんるいで打者だしゃが三塁手さんるいしゅへ向むけたゴロを放はなち、三塁手さんるいしゅが捕と球たまして三塁さんるいベースを踏ふみ、二塁にるいに入はいった二塁手にるいしゅまたは遊撃手ゆうげきしゅに送球そうきゅうし、その後ご一塁いちるい手しゅへ送球そうきゅうするのが最もっとも多おおい形かたちである。
この場合ばあい、打者だしゃには併殺へいさつ打だが記録きろくされる。

併殺へいさつ同様どうよう、三さん重じゅう殺ころせの場合ばあいでもボールを処理しょりした順じゅんに野手やしゅの守備しゅび番号ばんごうが記録きろくされる。前述ぜんじゅつの例れいの場合ばあい、「5-5-4-3」または「5-5-6-3」。

実例じつれい

2012年ねん 7月がつ1日にち、埼玉さいたま西武せいぶライオンズ対たい北海道ほっかいどう日本にっぽんハムファイターズの試合しあい。
2回かい表ひょう、無む死し一いち・二塁にるいで、日本にほんハムの打者だしゃ・陽ひ岱鋼が打うったゴロの打球だきゅうを三塁手さんるいしゅのエステバン・ヘルマンが捕と球たまし、三塁さんるいベースを踏ふんで二塁にるい走者そうしゃの中田なかた翔しょうをアウト、ヘルマンが二塁手にるいしゅの片岡かたおか易えき之のに送球そうきゅうして一塁いちるい走者そうしゃの小谷野こやの栄一えいいちをアウト、片岡かたおかが一塁いちるい手しゅの浅村あさむら栄さかえ斗とに送球そうきゅうして打者だしゃ走者そうしゃの陽ひをアウトにし、トリプルプレーが成立せいりつ。

この日ひは稲尾いなお和久かずひさの生誕せいたん75周年しゅうねん記念きねんとして同年どうねんに永久えいきゅう欠番けつばんになった背番号せばんごう24を西武せいぶの選手せんしゅ・首しゅ脳のう陣じん全員ぜんいんがつけており、また陽ひの背番号せばんごうも当時とうじ24だったため、プロ野球やきゅうファンからは神様かみさま、仏様ほとけさま、稲尾いなお様さまの力ちからだと言いわれた。

フライ・ライナーアウトによる三さん重じゅう殺ころせ

外野がいや手しゅが三さん重じゅう殺ころせに関かかわる場合ばあいの多おおくはこの形かたちである。打者だしゃが上あげたフライやライナーの打球だきゅうを直接ちょくせつ野手やしゅが捕と球たまし、2人ふたりの走者そうしゃがリタッチやタッチアップを試こころみるも、タッチされたり戻もどるべき塁るいに送球そうきゅうされてアウトになる形かたち。

併殺へいさつに同おなじく、痛いた烈れつなライナーの打球だきゅうが内野ないやで捕と球たまされた場合ばあいに発生はっせいしやすく、ヒットエンドランを試こころみていた場合ばあいでも同様どうようである。バントでの進すすむ塁るいを狙ねらって小しょうフライになり直接ちょくせつ捕と球たまされて三さん重じゅう殺ころせを喫きっしてしまうケースもあるようだ。
この場合ばあい、打者だしゃに併殺へいさつ打だは記録きろくされない。

実例じつれい

帰かえり塁るい失敗しっぱい

2012年ねん 8月がつ17日にち、埼玉さいたま西武せいぶライオンズ対たい東北とうほく楽天らくてんゴールデンイーグルスの試合しあい。
6回かい表ひょう、無む死し一いち・二塁にるいで、楽天らくてんの打者だしゃ・ホセ・フェルナンデスの放はなった痛いた烈れつな当あたりを右翼うよく手しゅの熊くま代だい聖人せいじんが好捕こうほ球だましてアウト、熊くま代だいが二塁手にるいしゅの浅村あさむら栄さかえ斗とへの中継ちゅうけいを挟はさんで二塁にるいベース上うえの遊撃手ゆうげきしゅ・中島なかじま裕之ひろゆきに送球そうきゅうして二塁にるい走者そうしゃの銀次ぎんじをアウト、中島なかじまが一塁いちるい手しゅの中村なかむら剛つよし也に送球そうきゅうして一塁いちるい走者そうしゃの藤田ふじた一也かずやをアウトにし、トリプルプレーが成立せいりつ。

西武せいぶにとっては、同どうシーズンに2度ど目めの三さん重じゅう殺ころせを達成たっせいしたことになる。

タッチアップ失敗しっぱい

（0:53～1:07を参照さんしょう。YouTube版ばんはこちら）

2014年ねん 4月がつ22日にち、東京とうきょうドームでの北海道ほっかいどう日本にっぽんハムファイターズ対たい福岡ふくおかソフトバンクホークスの試合しあい。
3回かい裏うら、日本にほんハムは1点てんを先制せんせいしてなお無む死し一いち・三塁さんるい、打者だしゃはこの日ひが25歳さいの誕生たんじょう日びな中田なかた翔しょう。
中田なかたの当あたりはセンターへのハーフライナーとなり、これを柳田やなぎだ悠ゆう岐が捕と球たましアウト、三塁さんるい走者そうしゃの西川にしかわ遥はるか輝あきらはタッチアップを試こころみるが、柳田やなぎだから捕手ほしゅの細川ほそかわ亨とおるへの好こう返球へんきゅうが返かえってきて、クロスプレーの末すえタッチアウト、さらに一塁いちるい走者そうしゃの大谷おおや翔しょう平たいらもタッチアップを試こころみるが、細川ほそかわが二塁手にるいしゅの本多ほんだ雄一ゆういちに送球そうきゅうして大谷おおやもタッチアウトとなり、トリプルプレーが成立せいりつ。

ホークスとしては球団きゅうだん史上しじょう15年ねんぶりとなる三さん重じゅう殺ころせとなった。柳田やなぎだはその後ご、同点どうてんタイムリーヒットを放はなつ活躍かつやくも見みせ、結果けっか的てきにこの試合しあいはソフトバンクが勝利しょうりした。

ヒットエンドラン失敗しっぱいによる三さん重じゅう殺ころせ

無む死しで走者そうしゃが2人ふたりまたは3人にんいて、攻撃こうげき側がわがツーストライクからヒットエンドランを仕掛しかけるものの、打者だしゃが空振からぶりりして三振さんしん、スタートした走者そうしゃも捕手ほしゅからの送球そうきゅうなどによりアウトとなる形かたち。

この場合ばあい、記録きろく上うえは打者だしゃの三振さんしんと走者そうしゃの盗塁とうるい失敗しっぱいとなり、打者だしゃに併殺へいさつ打だは記録きろくされない。

タッチアウトのみによる三さん重じゅう殺ころせ

打者だしゃ走者そうしゃ以外いがいの2人ふたりの走者そうしゃがいずれもタッチアウトになった後のち、一塁いちるいに達たっした打者だしゃ走者そうしゃが先さきの塁るいを狙ねらってタッチアウトとなるようなケースで、結果けっか的てきに3つのアウトが全すべてタッチアウトによるものになる。打者だしゃがゴロの打球だきゅうを打うって一塁いちるいに到達とうたつすることが前提ぜんていとなり、打者だしゃ以外いがいの走者そうしゃが塁間るいかんに挟はさまれてしまう挟はさみ殺ころせ（ランダウンプレイ）で発生はっせいしやすい。

無む補殺ほさつ三さん重じゅう殺ころせ

その名なの通とおり補殺ほさつがない、つまり打球だきゅうを捕と球たました選手せんしゅが3つのアウトを取とる三さん重じゅう殺ころせである。無む死し一いち・二塁にるいまたは満塁まんるいでヒットエンドランを仕掛しかけたが、それが内野ないやへのライナーになってしまったときにおこりうる。
一いち例れいを挙あげると、無む死し一いち・二塁にるいでヒットエンドランをしかけるもライナーとなり二塁手にるいしゅが捕と球たま、その後ご二塁にるいベースを踏ふんで二塁にるいに戻もどれなかった二塁にるい走者そうしゃをアウト、二塁にるいベースに突つっ込こんできた一塁いちるい走者そうしゃにタッチして3アウトになるというケースがある。

これは非常ひじょうに稀まれなことであり、NPBではセントラル・リーグで表ひょう彰あきら対たい象ぞうとなっている。日本にっぽんでは1967年ねん 7月がつ30日にち、阪急はんきゅうブレーブス対たい東京とうきょうオリオンズ戦せんの2回かい裏うら、無む死し一いち・二塁にるいにおいて阪急はんきゅうの住友すみとも平たいら二塁手にるいしゅが達成たっせいした一いち例れいのみである。

トリプルプレーで試合しあい終了しゅうりょう

0:03～1:06を参照さんしょう。単体たんたいはこちら。
2001年ねん 5月12日にち、ナゴヤドームでの中日ちゅうにちドラゴンズ対たい読売よみうりジャイアンツ戦せんでの出来事できごと。

0対たい3の3点てんビハインドで9回かい裏うらの中日ちゅうにちの攻撃こうげき、1点てんを返かえしてなお無む死し満塁まんるいで打者だしゃは代打だいだ・井上いのうえ一樹かずき。
井上いのうえの打球だきゅうはセンターへのフライとなり、これを松井まつい秀喜ひできが捕と球たましアウト、その後ご二塁手にるいしゅの仁志にし敏久としひさに送球そうきゅう。これを見みた三塁さんるい走者そうしゃの鈴木すずき郁いく洋ようはタッチアップを諦あきらめ、一旦いったんは三塁さんるいベースへ戻もどっていた。しかし、二塁にるい走者そうしゃの大西おおにし崇之たかゆきは飛とび出だしており、それに気付きづいた仁志にしは走はしって大西おおにしにタッチしてアウト。大西おおにしの動うごきを見みて慌あわてて飛とび出だしていた鈴木すずきは三さん本間ほんまに挟はさまれ、仁志にしから捕手ほしゅの阿部あべ慎まこと之これ助すけに送球そうきゅうし、阿部あべが鈴木すずきにタッチしてアウト。

巨人きょじんでは球団きゅうだん史上しじょう初はつの、「トリプルプレーで試合しあい終了しゅうりょう」という奇跡きせきが起おきた。セ・リーグ全般ぜんぱんで見みても、1996年ねんのヤクルトスワローズ以来いらいの2度ど目めである。逆ぎゃくに中日ちゅうにちの星野ほしの仙せん一いち監督かんとくは「何なにやってんじゃもー！」とキレたのは言いうまでもない。

四よん重じゅう殺ころせ？

1962年ねん 7月がつ12日にち、南海なんかいホークス対たい東映とうえいフライヤーズ戦せんの1回かい裏うら、無む死し満塁まんるいで東映とうえいが記録きろくした。

打者だしゃのケント・ハドリが外野がいや飛球ひきゅうを打うちアウト。三塁さんるい走者そうしゃの大沢おおさわ啓二けいじはタッチアップして本塁ほんるいへ。二塁にるい走者そうしゃのバディ・ピート、一塁いちるい走者そうしゃの野村のむら克也かつやもタッチアップを試こころみるが、両者りょうしゃともタッチアウト。その後ご、大沢おおさわのスタートが早はやかったとの守備しゅび側がわのアピールが認みとめられ大沢おおさわもアウトとなり、「四よん重じゅう殺ころせ」が成立せいりつした。公式こうしき記録きろく上うえは三さん重じゅう殺ころせである（第だい3アウトの置おき換かえにより大沢おおさわが第だい3アウトとなり野村のむらに残塁ざんるいが記録きろくされたため）。