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安田 真之「学生ボランティアを中心とした障害学生支援の課題――日本福祉大学における障害学生支援を手がかりとしての考察」
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安田 真之「学生ボランティアを中心とした障害学生支援の課題――日本福祉大学における障害学生支援を手がかりとしての考察」
障害学会第6回大会・
報告要旨 於:
立命館大学
20090927
安田 真之(立命館大学大学院先端総合学術研究科)
「学生ボランティアを中心とした障害学生支援の課題――日本福祉大学における障害学生支援を手がかりとしての考察」
本報告では、100名以上の障害学生が在籍し、全国的にもその取り組みが注目されてきた日本福祉大学(以下、日福と記す)における障害学生支援の状況を取り上げ、学生による無償のボランティア活動を中心とした障害学生支援の課題を明らかにする。
報告者は2009年3月まで日福に在籍し、障害学生として様々な支援を受けてきた一方、支援活動の担い手としても活動してきた。日福においては、支援を必要とする障害学生が自ら支援者を探し、必要な支援を依頼することが原則となっている。点訳・音訳・パソコンテイク、ビデオ教材の字幕付けといった障害学生支援の諸活動の大半は学生による無償のボランティア活動によって担われており、学内に設置された「障害学生支援センター」を中心に、大学もそういった学生による諸活動を支援している。しかしそのなかで、障害学生は、支援の量的・質的不十分さ、不安定で流動的な支援、履修する授業の選択の制限といった深刻な課題に直面しており、そのような状況が慢性化している。また支援活動を担う学生は、慢性的な支援者不足のなかでの過剰負担、「ボランティア」が原則であるにも関わらず支援を断ることができないといった課題に直面している。それら諸課題が生み出される背景には、支援を必要とする多数の障害学生を学内の学生のみで支援することの限界性、学業と支援活動の両立の限界性、支援の大半が友人関係や助け合い精神に基づいて行われていること等を挙げることができる。また、今日の日福の障害学生支援の取り組みの多くは、支援活動を通した学びあい・育ちあい、すなわち、「福祉の心」や「心のバリアフリー」、障害学生の自立の力の涵養といったことが重視されるあまり、障害学生の支援ニーズを充足するものとは必ずしもなっていない。
以上を踏まえ、本報告では、無償のボランティアを中心とする障害学生支援が障害学生の支援ニーズを十分に充足し得ないことを示したうえで、障害学生支援を担う主体とその役割のあり方について検討する。
*作成: