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障害学会第12回大会(2015年度)報告要旨 | 白石 勇
 

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障害しょうがい学会がっかいだい12かい大会たいかい(2015年度ねんど報告ほうこく要旨ようし


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白石しらいし いさむ (しらいし いさむ)

報告ほうこく題目だいもく

はなせない、はたらけない知的ちてき障害しょうがいしゃ一人ひとりらしをすること

報告ほうこくキーワード

障害しょうがい福祉ふくしサービス / 知的ちてき障害しょうがいしゃ / ヘルパー

報告ほうこく要旨ようし

 この報告ほうこく関係かんけいしゃ承諾しょうだくうえ作成さくせいしたものである。

 ひろしさん(仮名かめい)は35さい男性だんせいで、2015ねんがつ現在げんざいアパートにて単身たんしん生活せいかつをしている。かれ身辺しんぺん自立じりつ経済けいざいてき自立じりつ不十分ふじゅうぶんであるばかりでなく、自分じぶんめ、それをつたえるということがほとんどできない知的ちてき障害しょうがいしゃである。全身ぜんしんせい障害しょうがいしゃ自立じりつ生活せいかつは、身辺しんぺん自立じりつ経済けいざいてき自立じりつむずかしいが自分じぶんめてきるという社会しゃかいてき自立じりつ確保かくほしている。ひろしさんはこのみっつの自立じりつがどれもむずかしい。それでも2007ねんがつからヘルパーサービスをけながららしている。
 ひろしさんは結節けっせつせい硬化こうかしょうという病気びょうきにともなう知的ちてき障害しょうがいがあり、生活せいかつ関係かんけい簡単かんたん言葉ことば理解りかいはできるが音声おんせいのよる言葉ことばみずからの意思いしつたえることはできない。そのため要求ようきゅうするときは、ゆびさしやす、それで相手あいてつたわらないときにはいかり、つねる、つめてる、ものこわすなどということもある。そだててきた両親りょうしんならばある程度ていどそういうあらわかた理解りかいできるだろうが、そうでないひとたちにはまずむずかしい。かれのような場合ばあい普通ふつう入所にゅうしょ施設しせつはいるのだが、以前いぜんかぎのかかる部屋へやれられた経験けいけんから、本人ほんにん家族かぞくもそういう選択せんたく拒否きょひするようになった。そうなるとかれともごすひと必要ひつようになる。そこで支援しえん制度せいどのヘルパーを使つかうことになった。
 かれ地方ちほうまちでは介護かいご保険ほけんのヘルパーはいるのだが、障害しょうがいしゃ支援しえんのヘルパー派遣はけん事業じぎょうしょはほとんどなく、あるのは障害しょうがいしゃ福祉ふくし施設しせつだけだった。しかたなくおや事業じぎょうしょをつくりヘルパーをもとめ、サービス時間じかん確保かくほくるしみながらかうことになった。しかし農業のうぎょうをしながら年老としおいていく両親りょうしんは、元気げんきあまひろしさんをいつまでもかかえていることができないため、かれにアパートをりることにした。
 まわりのひとたちはひろしさんの単身たんしん生活せいかつ理解りかいできなかった。電話でんわることもできないひとがアパートをりて一人ひとりらしをするなんて意味いみがない。こんなじんほうして他人たにんまかせるなんておや養育よういく義務ぎむ放棄ほうきだ、あるいはアパートらしはミニ施設しせつだともわれた。まわりのひとたちは福祉ふくし行政ぎょうせいふくひろしさんに意思いしがあることをまったかんがえようとはしなかった。したがって1ヶ月かげつのヘルパーサービスの時間じかんは360あいだのこ時間じかん事業じぎょうしょしでおぎなってきた。(なお、現在げんざい介護かいご時間じかん増加ぞうかもとめて裁判さいばんちゅう
 それでは24あいだ共同きょうどう生活せいかつをするヘルパーがよき理解りかいしゃだったかとえばそうでもなかった。ひろしさんの問題もんだい行動こうどうをほとんど理解りかいできなかった。かれ問題もんだい行動こうどうがひとつのうったえだとわかっても、そこをかんがえるより、最低限さいていげん生活せいかつ問題もんだいなくごすことが優先ゆうせんされた。ヘルパーの仕事しごとひろしさんを指導しどうするのではなく、できないところを援助えんじょすることになっている。しかしほとんどのことができないひとへの援助えんじょ指導しどうとの区別くべつがつきにくい。このようなわかりにくいところがあるためかヘルパーはつね不足ふそくしている。
 ひろしさんの場合ばあい身辺しんぺん自立じりつ障害しょうがい福祉ふくしサービスでおぎない、経済けいざいてき自立じりつ障害しょうがい基礎きそ年金ねんきん生活せいかつ保護ほごなにとかなるとしても、西原にしはら雄次郎ゆうじろうべている社会しゃかいてき自立じりつ問題もんだいまった見通みとおしがっていない。
 そこで家族かぞく障害しょうがい福祉ふくしサービス事業じぎょうしょからそれぞれ1めいずつ委員いいんし、どちらにも利害りがい関係かんけいたない第三者だいさんしゃ委員いいんさがしてきて生活せいかつ向上こうじょう委員いいんかいをつくることになった。毎日まいにち生活せいかつなかで、できるだけかれ意思いしをくみるためのものである。まずは生活せいかつのこまごまとしたシャドウワークの部分ぶぶんあつかうことからはじめている。それとともに障害しょうがい当事とうじしゃかいをつくり知的ちてき障害しょうがいしゃ自身じしんちからをつけてもらうようなみをはじめている。生活せいかつ向上こうじょう委員いいんかい障害しょうがい当事とうじしゃかいふたつを充実じゅうじつさせることでどれだけ知的ちてき障害しょうがいしゃ生活せいかつわっていくのか、そしてまわりのひとたちがそれをどのようにめるのか。現在げんざい実践じっせんちゅう

西原にしはら雄次郎ゆうじろう知的ちてき障害しょうがいしゃにとって自立じりつ生活せいかつとはなにか」



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